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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1375202 
異議申立番号 異議2020-900309 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-11-26 
確定日 2021-06-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第6290633号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6290633号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6290633号商標(以下「本件商標」という。)は、「絹肌らぼ」の文字を縦書きしてなり、令和2年2月21日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」を指定商品として、同年7月15日に登録査定され、同年9月10日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4846459号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 ハダラボ(標準文字)
指定商品 第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」を含む第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成16年6月9日
設定登録日 平成17年3月11日
(2)登録第5475757号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 肌ラボ(標準文字)
指定商品 「せっけん類,歯磨き,化粧品」を含む第3類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成23年9月13日
設定登録日 平成24年3月2日
(3)登録第5803554号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲のとおり
指定商品 第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」を含む第3類、第5類及び第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成27年5月25日
設定登録日 平成27年10月30日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するため、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標の周知著名性
ア 申立人について
申立人は、1949年(昭和24年)9月15日に設立された医薬品・化粧品・機能性食品等の製造販売を主な事業とする会社であり、その売上高は年間1,883億円(2020年3月期)の我が国を代表する医薬品及び化粧品メーカーである(甲3)。
そして、申立人の製造、販売している化粧品の代表的なシリーズの一つに「肌ラボ」があるところ、引用商標は、該シリーズの商標として長年使用してきた事実があり、その具体的な使用状況を挙げると以下のとおりである。
イ 引用商標の使用状況について
(ア)引用商標の使用時期及び期間について
引用商標は、申立人が製造、販売するスキンケア化粧品シリーズの「肌ラボ」に使用されている商標であり、この「肌ラボ」シリーズ(以下「本件シリーズ」という。)の商品は、2004年8月の発売開始以来(甲4)、16年以上もの間継続して販売され、現在では「極潤」及び「白潤」の2つのシリーズを主力として「化粧品,せっけん類」に関する全22アイテムにて展開されている(甲5)。
本件シリーズの商標としては、発売開始当初は「肌研」と引用商標1「ハダラボ」を結合した商標が使用されており、その後2015年8月にブランドロゴが一新され、それ以降は引用商標2及び引用商標3が使用されている(甲6)。
このように、引用商標は、本件シリーズに係る商品に使用されている商標として、少なくとものべ16年以上もの間使用されていることとなる。
(イ)本件シリーズの商品における販売数量及び販売額並びにマーケットシェアについて
全国4,000店舗における小売店の販売データを収集しているインテージ株式会社の全国小売店パネル調査(SRI)の報告結果によると、本件シリーズに係る商品の2019年度における販売数量は751万4千個、販売額は53憶4千万円であり、2007年4月から2020年3月までの累計販売数量は1億1千万個以上、累計販売額は842億5千万円以上に及ぶ(甲7)。
さらに、本件シリーズに係る商品の発売を開始した2004年8月から2019年3月までの累計販売額は1,460億円に達している(甲8)。
また、マーケットシェアについてみると、本件シリーズの商品の販売数量は、2007年度より2019年度に至るまで13年間、化粧水の商品カテゴリーにおいて連続でトップシェアを獲得しており(甲7)、申立人も自社ウェブサイト等において「肌ラボ化粧水シリーズ販売個数」が「13年連続肌支持率No.1」である旨を大々的に宣伝している(甲5)。
このようにその販売数量・販売額及びマーケットシェアだけに注目したとしても、本件シリーズに係る商品が極めて多くの需要者に長期にわたり愛用されている実情を容易に理解することができる。
(ウ)宣伝広告活動について
a 広告宣伝費について
申立人は、本件シリーズに係る商品の発売開始以来、継続して大々的な宣伝広告活動を行っており、その広告費は、2004年8月から2019年3月の期間中で合計220億円にも上る(甲8)。
b テレビコマーシャルにおける宣伝
本件シリーズは、テレビCMにおいて「延べ視聴率」を意味するGRPにおいて非常に高い数値を示している。販売開始の2004年8月から2020年6月30日までの期間中のGRPは、関東圏だけでも56,836.2%もあり(甲9)、本件シリーズが極めて多くの人の目に触れていることが理解できる。
また、本件シリーズのテレビCM(甲10)には、基本的に引用商標のいずれかが大きく映し出され、最後に「肌にいいこと肌ラボ?」のフレーズが軽快な音楽とともにテロップとナレーションが流れる構成からなり、そのことで視聴者に対して「肌ラボ」というブランドを強く印象付けている。なお、上記音楽とフレーズは、音商標として登録されている(登録第5991309号)。
c 雑誌広告における宣伝
本件シリーズに係る商品は、数多くの雑誌に広告が掲載されている(甲11)。これらの広告の中には、純広告だけでなく雑誌とタイアップしたいわゆる記事広告も多く採用されており、申立人がより効果的な広告宣伝活動に向けて注力していることが分かる。
d 広告キャンペーンによる宣伝活動
申立人は2019年8月8日から25日までの期間限定で「日本で一番売れているシリーズの化粧品」を予想するTwitterキャンペーンを実施し、それに連動して同年8月19日から25日までの期間に、商品名については何も触れずに「日本で一番売れてる化粧品は?」とだけ記載された広告を、新宿駅と阪急梅田駅に掲出した(甲12)。その結果、本キャンペーンの応募数は初動5日間で約5,000件にものぼり、またメディアの露出においてもデジタルメディア約400媒体に掲載される等、大きく注目され(甲12)、該キャンペーンでの活動により、本件シリーズの化粧品がキャンペーン時に12年連続で売上No.1を獲得していた事実を改めて世間に広く知らしめることができたといえる。
(エ)雑誌掲載について
本件シリーズに係る商品は、女性誌、男性誌等、様々な雑誌において、用途に合わせたランキング等の特集記事で数多く紹介されている(甲13)。このような点からも、本件シリーズに係る商品が男女関係なく、「化粧品,せっけん類」の需要者に、広く注目され強く求められていることがうかがえる。
(オ)新聞記事の掲載について
2010年12月及び2011年7月の新聞記事によれば、本件シリーズの商品が、2010年の時点で既に大ヒット商品となり、その売れ行きが好調であったことが理解できる(甲14)。
(カ)他社とのコラボレーション
本件シリーズでは、他社の有名キャラクターとコラボレーションした商品が数多く販売されており(甲15)、本件シリーズと他社キャラクターの双方が有する認知度の相乗効果により、世間の注目を集めることとなった事実がある。
ウ 小括
以上の事実に鑑みれば、本件シリーズに係る商品は、「化粧品,せっけん類」の商品分野において申立人の代表的なブランドとして高い人気を獲得するに至っていることは明白であり、それらの商品に継続して使用されている引用商標については、本件商標の登録出願時には既に申立人の業務に係る上記商品を表示する商標として取引者、需要者の間で周知、著名になっており、それは現在も継続しているものと認められる。
(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 商品の類否について
本件商標の指定商品である第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」は、引用商標の指定商品中、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」と同一又は類似するものである。
イ 商標の類否について
本件商標と引用商標との類否について、最高裁判決(昭和37年(オ)第953号、平成3年(行ツ)第103号、平成19年(行ヒ)第223号)で判示された判断基準に照らし、以下に検討する。
(ア)本件商標は、「絹肌らぼ」の文字を縦書きした構成からなるところ、その構成中の「絹」の文字部分は、我が国において馴染みのある平易な英語「silk」の片仮名表記である「シルク」と同義の語として一般的に認識されているものであり、それは各種辞書の記載からも容易に理解できる(甲16)。
また、「シルク」の文字は化粧品及び医薬部外品の成分の一つの名称として使用されており、該成分はパウダー型の化粧品や感触改良を目的としてクリームや美容液に配合される等、広く採用されている事実がある(甲17)。
加えて、「絹」及び「シルク」の文字は、化粧品業界内で、「化粧品,せっけん類」の配合成分を示す語として一般的に使用されている事実が数多く存在しており、その中において「絹」と「シルク」が同義語として使用されている例も数多くみられる(甲18)。
してみれば、「絹」及び「シルク」の文字は、商品「化粧品,せっけん類」の配合成分として取引者、需要者に一般的に認識されているといえるため、本件商標の構成中、「絹」の文字部分については該商品との関係において自他商品の識別標識としての機能を有さないか極めて弱いものであって、出所識別標識としての称呼、観念が生じない。
また、上記(1)にて示したとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に申立人の代表的な商品シリーズである「肌ラボ」を表示するものとして周知、著名となり、出所識別標識として取引者、需要者の間で強い識別力を持っているものといえることからすると、該「肌ラボ」の文字と片仮名と平仮名の表記の差異でしかない本件商標の構成中の「肌らぼ」の部分は、「化粧品,せっけん類」との関係では強い出所識別力を持つと考えるのが自然である。
そうすると、本件商標は、その構成中の「肌らぼ」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を有する要部として理解され、この部分をもって商取引に資されることも決して少なくないと考えるのが相当である。
したがって、本件商標からは、その構成文字全体から生ずる「キヌハダラボ」の称呼のほか、その構成中の要部である「肌らぼ」の文字部分に相応して、「ハダラボ」の称呼が生じるといえ、また、引用商標の周知、著名性に鑑みて「申立人の化粧品・せっけん類のブランド」としての観念が生じるものといえる。
(イ)そこで、本件商標と引用商標とを対比するに、本件商標の要部である「肌らぼ」と引用商標とは称呼が「ハダラボ」で共通するとともに、いずれも「申立人の化粧品・せっけん類のブランド」といった観念が生じる。
また、本件商標の要部である「肌らぼ」と引用商標とは、一部の文字種が異なるところはあるが、我が国の商取引においては、漢字や片仮名で構成されている商標の一部又は全部をその読みに対応した片仮名や平仮名で代替的に表記したりすることが、一般に行われていることからすると、両者の外観における差異は、外観上、取引者、需要者に対して特段印象付けられるものではない。
してみれば、本件商標の要部と引用商標とは、称呼及び観念を共通にし、外観における差異も特段強く印象づけられるものではないことから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に考察すれば、両者は互いに類似するものであって、本件商標が「化粧品,せっけん類」に使用された場合には、引用商標と出所混同のおそれがあるといえる。
ウ 小括
以上のように、本件商標と引用商標は類似し、かつその指定商品及び指定役務も同一又は類似することから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について
本号の該当性について、最高裁判決(平成10年(行ヒ)第85号)で判示された判断基準に基づいて、以下検討する。
ア 本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標は、「絹肌らぼ」の文字からなるところ、その構成中「肌らぼ」の文字は、申立人の周知、著名商標である引用商標と、その構成文字を全て片仮名表記にするものであったり、平仮名部分を片仮名に変更する程度の違いでしかないことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者はその構成中、該「肌らぼ」の文字部分に特に着目して商標を記憶するものといえ、該部分が取引者、需要者に対して、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。
してみれば、本件商標中、取引者、需要者に強く支配的な印象を与える「肌らぼ」の部分と引用商標とは、称呼、観念が共通し、両者の外観における差異も特段印象付けられるものではないことから、本件商標と引用商標との類似性の程度は高いということができる。
イ 引用商標の周知性及び独創性について
上述のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時には申立人の業務に係る商品「化粧品,せっけん類」を表示するものとして周知、著名となっていたことは明らかであり、それは現在も継続している。
また、引用商標の文字部分である「ハダラボ」及び「肌ラボ」は既成語ではない造語であることからすると、創作性の程度は高いものであるといえる。
ウ 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度、取引者及び需要者の共通性について
本件商標の指定商品中「せっけん類,化粧品」は、申立人の業務に係る商品と共通し、同指定商品中「歯磨き」は「化粧品,せっけん類」と同一の生産者、販売者によって取引きされることも多く、実際に申立人も「歯磨き」を販売している事実がある(甲19)。また、いずれも一般需要者を対象とするものであることからすれば、本件指定商品と申立人の業務に係る商品とは高い関連性を有し、用途又は目的、並びに取引者、需要者は互いに共通するものといえる。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は申立人の業務に係る商品「化粧品,せっけん類」を表すものとして取引者、需要者の間で広く認識され、かつ創作性の程度が高い引用商標と極めて高い類似性を有する商標であって、加えて本件商標と引用商標が使用される商品間の関連性及び取引者、需要者の共通性を勘案すれば、本件商標は、これをそのいずれの指定商品について使用した場合であっても、これに接する取引者、需要者が、申立人の業務に係る商品を連想、想起し、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、申立人はスキンケア化粧品について、2004年から2015年頃まで「肌研」の文字と結合した引用商標1を使用し、2015年以降現在まで引用商標2及び3を使用していること(甲4?甲6ほか、職権調査)、インテージ株式会社の調査によれば、引用商標を使用した化粧水は、2007年4月から2020年3月までの累計販売数量が1.1億個、累計販売額が842.5億円であり、2007年度から2019年度まで「化粧水」の商品カテゴリーにおいて販売数量がトップシェアであったこと(甲7)、引用商標を使用した商品(以下「申立人商品」という。)は2015年2月から2019年9月頃に発行された各種雑誌における化粧水などに係るランキングにおいて多数上位にランクインしていること(甲13)、及び申立人商品は2004年10月ないし2019年7月頃までテレビCMや雑誌で広告されたこと(甲10、甲11)などが認められることから、申立人商品並びにそれに使用される引用商標2及び3は、申立人の業務に係る商品として並びに同商品を表示するものとして、化粧水などの需要者の間において、ある程度の認識がされているものと認めることができる。
イ しかしながら、上記インテージ株式会社の調査によれば、引用商標を使用した化粧水のシェアは、ロゴが変更された2015年度以降2019年度までの5年間で、数量では11.4%、金額では5.4%程度(甲7)であり、いずれも高いシェアとはいえないから、申立人商品並びに引用商標2及び3は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品として並びに同商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
また、2015年以降において、引用商標1が使用されていると認め得る証左は少なく(甲11の2、3、甲13の1、3ほか)、また、他に引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めるに足りる証左は見いだせない。
したがって、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
(ア)本件商標は、上記1のとおり、「絹肌らぼ」の文字を縦書きしてなるところ、その構成文字は、同一の書体、同一の大きさ、同一の間隔をもって、外観上まとまりよく一体的に表されたものであり、該文字に相応し「キヌハダラボ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
(イ)申立人は、本件商標の構成中の「絹」の文字は、商品「化粧品,せっけん類」との関係において、自他商品識別標識としての識別力を有しないか、極めて弱いものであること、及び引用商標は周知・著名であることから、本件商標の要部は「肌らぼ」の文字部分にあり、引用商標と類似する旨主張している。
しかしながら、上記(1)のとおり、引用商標は、いずれも申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、仮に本件商標の構成中の「絹」の文字が、単独では商品「化粧品,せっけん類」との関係において自他商品識別標識としての識別力を有しないか、極めて弱いものであるとしても、本件商標の構成文字「絹肌らぼ」は、同書同大同間隔でまとまりよく一体に表され、これから生じる「キヌハダラボ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものであることからすれば、本件商標は、看者をして、該構成文字全体をもって一体不可分ものと認識、把握されるとみるのが相当である。
さらに、本件商標は、その構成中「肌らぼ」の文字部分を分離抽出し、他の商標と比較検討すべきとする事情は見いだせない。
したがって、申立人のかかる主張は、その前提において採用できない。
イ 引用商標
引用商標1及び2は、上記2(1)及び(2)のとおり、「ハダラボ」及び「肌ラボ」の文字からなり、引用商標3は別掲のとおりの態様で、その構成中に「肌」、「ラボ」及び「HADALABO」の文字を含んでなるものであるから、引用商標は、いずれも、それらの構成文字に相応し「ハダラボ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、それらの外観は、文字種の差異など構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
次に、本件商標から生じる「キヌハダラボ」と引用商標から生じる「ハダラボ」の称呼を比較すると、両者は、称呼の識別上重要な要素である語頭において「キヌ」の音の有無という差異を有するものであり、該差異が両称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両商標の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)のとおり本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標3)



異議決定日 2021-06-01 
出願番号 商願2020-24966(T2020-24966) 
審決分類 T 1 651・ 272- Y (W03)
T 1 651・ 262- Y (W03)
T 1 651・ 261- Y (W03)
T 1 651・ 263- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田添 佑奈浦崎 直之 
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 石塚 利恵
大森 友子
登録日 2020-09-10 
登録番号 商標登録第6290633号(T6290633) 
権利者 株式会社絹肌らぼ
商標の称呼 キヌハダラボ、キヌハダ、ラボ 
代理人 特許業務法人藤本パートナーズ 

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