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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1375193 
異議申立番号 異議2020-900055 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-02-25 
確定日 2021-02-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第6202999号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6202999号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6202999号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成30年10月5日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」を指定商品として、令和元年10月25日に登録査定、同年11月29日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する登録商標は、以下のとおり(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。

1 登録第6150830号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 「バイオム」(標準文字)
指定商品 第25類「履物,ゴルフ靴,被服,帽子,ベルト,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
登録出願日 平成30年6月8日
設定登録日 令和元年6月7日

2 国際登録第969825号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 別掲2のとおり
指定商品 第25類「Footwear, including especially golf shoes, clothing and headgear, and parts and accessories (not included in other classes) for all the aforesaid goods.」
優先権主張日 2008(平成20)年1月14日(Denmark)
国際商標登録出願日 2008(平成20)年7月4日
設定登録日 平成21年4月24日

3 国際登録第971096号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 「BIOM」
指定商品 第25類「Footwear, including especially golf shoes, clothing and headgear, and parts and accessories (not included in other classes) for all the aforesaid goods.」
優先権主張日 2008(平成20)年1月14日(Denmark)
国際商標登録出願日 2008(平成20)年7月4日
設定登録日 平成21年4月24日

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第43号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。

1 商標法第4条第1項第11号について
(1)商品の類否について
本件商標及び引用商標1の指定商品は、完全に重複し、引用商標2及び3の指定商品とは「ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、仮装用衣服」を除き重複する。
したがって、本件商標の指定商品と引用商標1ないし3の指定商品とが同一又は類似することは明らかである。
(2)商標の類否について
ア 本件商標の称呼について
本件商標は図形と「Biion」の欧文字とを組み合わせた結合商標であるところ、図形部分と文字部分とは明確に分離しており、その構成上これを一体不可分でのみ認識・把握しなければならない合理的理由はないから、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標中の文字部分から生じる称呼をもって取引に臨むと考えるのが自然である。そして、「Biion」の語は辞書に記載のない造語であるものの、本件商標の商標権者は「バイオン インコーポレイテッド」であり、我が国における代理店の告知においても「Biion(読み:バイオン)」と明記されている(甲5)。
こうした取引の実情を踏まえると、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標中の「Biion」から「バイオン」の称呼を認識し、これをもって取引に臨むことは明白である。
よって、本件商標の称呼は「バイオン」である。
イ 引用商標の称呼について
引用商標1は「バイオム」の片仮名、引用商標2はデザイン化されているものの依然として容易に看取できる「biom」の欧文字、引用商標3は「BIOM」の欧文字を書してなるから、引用商標よりは「バイオム」の称呼を生じる。
ウ 取引の実情について
申立人は1963年にデンマークで創業し、デンマークを代表するシューズメーカーとしてデンマーク王室御用達の栄誉を受けるなど、世界的に著名となった靴メーカーである(甲7及び甲8)。申立人は2009年から引用商標を用いたスポーツシューズの製造・販売を開始、主に「ゴルフシューズ」のブランドとして継続して使用されており、その結果、今日では「ゴルフシューズ」のブランドとして周知・著名なものとなっている(以下、引用商標を付したゴルフシューズをまとめて「バイオム商品」という。)。
甲9ないし甲17は、バイオム商品の宣伝広告や紹介記事であるが、バイオム商品に関する情報は、ゴルフ専門誌である、月刊及び週刊「ゴルフダイジェスト」(ゴルフダイジェスト社)、「GOLF TODAY」(ゴルフトゥデイ社)、「EVEN」(えい(きへんに「世」の漢字)出版社)、「月間ゴルフ用品界」(ゴルフ用品界社)等に随時掲載されている。また、ファッション雑誌等の他の分野や、クレジットカードの会員誌にもバイオム商品の宣伝広告や紹介記事が掲載されている(甲18ないし甲20)。
このように、申立人のバイオム商品は分野を問わず各種刊行物で紹介されている。
また、インターネット上では、個人のブログやいわゆるロコミ記事(甲21ないし甲23)も多いが、ゴルフ用品店が目玉商品としてバイオム商品を紹介しているものも多くある。例えば「FAIRWAY GOLF USA」(甲24及び甲25)、スポーツ用品小売大手の株式会社アルペンが運営するゴルフ用品専門店「GOLF5」でも、バイオム商品の特集が組まれており(甲26及び甲27)、その他の小売店でも目玉商品として紹介されていることからもバイオム商品の注目度の高さをうかがい知ることができる(甲28ないし甲30)。
さらに、ゴルフ関連情報を配信する「ゴルフサプリ」において「極の逸品」として紹介(甲31)、「みんなのゴルフダイジェスト」においてバイオム商品の特集記事が掲載(甲32及び甲33)、各種の趣味とそのための用具を紹介する「ReRe」の「ビギナーズ」においてバイオム商品が著名ブランドの「NIKI」、「アシックス」を押さえて一番に紹介(甲34)、「MYGOLFSPY JAPAN」の「2018年スパイクレスシューズランキング」において著名ブランドの「PUMA」、「ADDIDAS」、「NIKI」とともにバイオム商品がランクイン(甲35)、ゴルフ用品通販大手「GDOゴルフショップ」の「セールスランキング」において第9位にランクイン(甲36)、上記「GOLF5」の「ゴルフシューズハルの売上ランキング」において第4位(甲37)、「YAHOO!JAPANショッピング」の「ゴルフシューズ」ランキングにおいては第52位にとどまるが(甲38)、同ページに貼られた厳選された「人気ブランド」へのリンク先においてバイオム商品が紹介(甲39)、日本最大級のプレゼント&ギフト情報メディア「ベストプレゼントガイド」の「彼氏や旦那に喜ばれるメンズゴルフシューズ人気ブランドランキングTOP10」において、「デンマーク王室御用達」、「アメリカ足病医学協会認定(健康を高める靴として)」といった栄誉とともにバイオム商品が第10位で紹介(甲40)されていることより、バイオム商品が人気商品となっていることが分かる。
また、ランキング記事で注目すべきはバイオム商品の順位の高さもさることながら、ランクインしている他の商品が、上記のとおり「PUMA」、「ADDIDAS」、「NIKI」等の著名ブランドのゴルフシューズである点である。バイオム商品は取引市場においてこうした著名ブランドの商品と競合し、しばしば上位にランキングすることを踏まえると、バイオム商品について使用されている引用商標もこうした著名商標と同程度の周知性・著名性を獲得しているであろうことが容易に想像できる。
なお、申立人の集計ではあるが、バイオム商品の我が国における販売実績は2015年からの4年間だけで、合計7万足以上、販売額として14億円以上である。
このように、引用商標は本件商標の出願時点で既にゴルフシューズとの関係において我が国で周知・著名なものとなっており、その周知・著名性は現在も継続しているものである。
(3)類否判断
以上の事実を踏まえて本件商標と引用商標を対比すると、本件商標は、前記(2)アのとおり、その構成中の「Biion」の文字に応じて「バイオン」の称呼を生じる。他方、引用商標からは「バイオム」の称呼を生じる。
この両称呼を対比すると、語尾における「ン」音と「ム」音の相違しかない。「ン」音と「ム」音は両唇を閉じて発する通鼻音であってその音調・音感が近似するばかりでなく、その発音も弱く、かつ、それが比較的聞き取り難い語尾に位置することを考慮すれば、称呼「バイオン」と「バイオム」は聴き誤る恐れがあるといわざるを得ない。現に、過去の特許庁の審決例では、語尾において「ン」音と「ム」音の相違しかない両称呼は、明確に観念が異なるとか、音数が2音や3音しかないという特殊な例を除き、圧倒的多数が類似と判断されている(甲41)。
加えて、引用商標が「ゴルフシューズ」の取引者、需要者間に周知であるから、「運動用特殊靴」について、商品出所の混同のおそれを増幅させ、他の指定商品についても、商品出所の混同のおそれを増幅させる可能性がある。
そうとすれば、たとえ、本件商標と引用商標の外観において多少の相違があり、観念について対比することができないとしても、本件商標と引用商標が同一又は類似の商品に使用された場合にはその商品の出所について混同が生じるおそれがあるというべきであって、本件商標は、引用商標と類似するとするのが相当である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の周知・著名性
前記のとおり、申立人は引用商標をゴルフシューズについて永年に渡り使用し、申立人の商品はその履き心地の良さや機能性の高さ、デンマーク王室御用達という信頼性が評価され、我が国を含む全世界で好評を博しており、インターネットを始め各種媒体でバイオム商品の特集が組まれ、各種ランキングでも著名ブランドのゴルフシューズと競り合う等しているから、バイオム商品に使用されている引用商標は相当程度の周知・著名性を獲得しているであろうことが容易に想像できる。
(2)「BIOM」の造語性、独創性
「BIOM」は申立人が作出した造語であり辞書に記載のない語であるからその造語性、独創性は極めて高い。
(3)本件商標と引用商標の類似性
前記のとおり本件商標と引用商標は語尾における「ン」音と「ム」音の相違しかなく、両音は音調・音感が近似するばかりでなく、その発音も弱く、かつ、それが比較的聞き取り難い語尾に位置することを考慮すれば、両商標は称呼上類似するものといえる。
(4)商品の関連性
申立人が引用商標を使用する商品はゴルフシューズであって、これは本件商標の指定商品中の「運動用特殊靴」に含まれ、また、ゴルフ用品メーカーがアパレル関連商品を展開することがよくあることも周知の事実である(甲42及び甲43)。
そうとすれば、本件商標の全ての指定商品は、引用商標が周知・著名となっている商品と強い関連性があり、その需要者が共通することも明らかである。
(5)申立人のブランド防衛努力について
本件商標は我が国のみでなく欧州や韓国においても出願された結果、本件商標と引用商標間において出所の混同が生じるおそれが発生したため、申立人は欧州及び韓国の当局に対して本件商標の登録を取り消すべく審判を提起したところ、共に申立人の主張が認められた。
このように、申立人はその著名商標の保護のために多大な労力を払っている。
(6)混同のおそれ
以上、検討したように、引用商標の著名性、申立人が引用商標を使用し周知・著名となっている商品と本件商標の指定商品は重複し、その取引者、需要者も一致すること等を総合的に考察すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合には、それがあたかも申立人の著名な「BIOM」ブランドに係る商品であるかのように誤認され、そうでなくとも、何らかの密接な営業上の関連性を想起させ、あたかも申立人のグループ会社か、あるいは許諾を受けた者に係る商品であるかのように誤認させ、商品又は営業上の出所混同を生じるおそれが極めて高いといわねばならない。
(7)小括
以上のとおり、本件商標がその指定商品について使用された場合は、申立人の著名商標に係る商品と出所の混同を生ずるおそれが高いものであり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ない。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、次のとおりである。
ア 申立人は、昭和38(1963)年に創業したデンマークの靴の製造、販売会社であり、世界にECCO(エコー)ブランド(以下「申立人ブランド」という。)の販売店舗を3800店以上構えている。2009年に、申立人ブランドのスポーツシューズは認知され始め、申立人は、BIOM(バイオム)と呼ばれるコンセプトの新しいランニングシューズを販売した(甲7)。
イ 甲9ないし甲40は、雑誌又はウェブサイトの写しであるところ、当該雑誌の表紙や裏表紙の写しの提出はないものの、例えば「ECCOはデンマーク発のフットウェアメーカー・・・そんなエコーの新作スパイク『BIOM G3』」(甲13)、「『エコー』の新作スパイクシューズ・・・『BIOM G3(バイオム ジー スリー)』」(甲15)、「ECCO超軽量ゴルフシューズ!!・・・【BIOM ZERO】(バイオム ゼロ)」(甲29)等のように、引用商標1及び3が記載された商品(以下「申立人商品」という。)が、いずれも申立人ブランドのゴルフシューズとして、写真とともに掲載されている。それら写真にあるゴルフシューズには、引用商標2が表示されていることが確認できるものもあるが、申立人ブランドのロゴに比して著しく小さく表されている(甲9、甲11。一例である。)。
ウ 甲35は、「2018年ベストスパイクレスシューズバイヤーズガイド」であるところ、「2018 SPIKELESS SHOSE BUYER’S GUIDE」の見出しのランキング表(全て英語である。)には、申立人ブランドを冠して申立人商品が掲載されており(甲35)、また、令和2年3月31日及び同年5月13日時点におけるゴルフシューズの人気ランキングにおいても、申立人ブランドを冠して申立人商品が掲載されている(甲36及び37)。
エ 申立人ブランドのゴルフシューズとして、例えば「ECCO BIOM HYBRID3(エコーバイオムハイブリッド3)」(甲22)、「エコー バイオム ゴルフショーズ-ecco BIOM golf shoes」、「エコー バイオム レディース ゴルフショーズ-ecco BIOM ladies golf shoes」(甲24)等が紹介されており、「45年に渡るエコーの『足』を第一に考えた靴作りの集大成が、2011年の新モデル『バイオム BIOM』シリーズ」との記載がある(甲24)。
オ 申立人の主張によれば、申立人商品の日本における販売実績は、平成27年からの4年間で、合計7万足以上、販売額14億円以上である。
(2)前記(1)によれば、申立人ブランドは、ゴルフシューズのブランドとして、ゴルフ用品を取り扱う取引者、需要者の間に一定程度知られており、引用商標は申立人ブランドのゴルフシューズにおけるサブブランドの一つとして、日本においても雑誌やウェブサイトにおいて紹介されていることが認められる。
しかしながら、雑誌やウェブサイトにおいて引用商標は、あくまで申立人ブランドのサブブランドとして紹介されており、引用商標2を付したゴルフシューズにも申立人ブランドが表されているため、引用商標が、申立人ブランドに依存せず、申立人商品を示すものとして、どの程度取引者、需要者に広く知られるようになっていたかどうかは明らかではない。
また、その販売数は、請求人の主張によっても4年間で7万足と、年間にして2万足程度であるから、決して多いものとはいい難く、提出されたゴルフシューズ人気ランキングは、ランキング表が全て英語で国外の情報と推測されるもの、又は本件商標の登録査定後のものであり、何より、これも申立人ブランドを冠した表示となっている。
その他、申立人商品が市場全体に占める程度、広告宣伝の規模や範囲などは明らかではなく、引用商標が我が国の取引者、需要者の間で広く認知されている事実を把握することができない。
そうすると、申立人の提出する証拠によっては、引用商標は、申立人ブランドのサブブランドの一つにすぎず、商品「ゴルフシューズ」について、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されていたと認めることはできない。

2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「ii」の文字を内包する略五角形の図形を左側に配置し、右側に、「BiiON」の欧文字を横書きしてなる、図形と文字との結合商標であるところ、図形部分と文字部分とは、いずれも重なることなく間隔を空けて配置されているから、視覚上、分離して看取、把握され得るものであり、また、本件商標の図形部分と文字部分は、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものであるから、図形部分と文字部分が独立して自他商品の出所識別標識として機能し得るものである。
そして、本件商標の文字部分は、既成の語として辞書等に載録されておらず、一般に親しまれた語でもないから、特定の観念を生じないものであって、当該文字部分のように特定の語義を有しない欧文字を称呼するときは、我が国で広く親しまれている英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、当該文字部分からは、「バイオン」及び「ビーオン」の称呼を生じるものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、要部の一つである「BiiON」の文字部分から「バイオン」及び「ビーオン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標
引用商標1は、前記第2の1のとおり、「バイオム」の片仮名を標準文字で表してなるところ、これより「バイオム」の称呼を生ずること明らかであって、また、当該文字は、既成の語として辞書等に載録されておらず、一般に親しまれた語でもないから、特定の観念を生じないものである。
また、引用商標3は、前記第2の3のとおり、「BIOM」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、既成の語として辞書等に載録されておらず、一般に親しまれた語でもないから、特定の観念を生じないものであって、引用商標3のように特定の語義を有しない欧文字からなる商標を称呼するときは、我が国で広く親しまれている英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、引用商標3からは、「バイオム」及び「ビオム」の称呼を生じるものとみるのが相当である。
そして、引用商標2は、別掲2のとおり、図形を左側に配し、右側に「iom」の欧文字を横書きしてなるところ、図形を「b」の欧文字とみて「biom」と捉える場合には、上記と同様の理由により、「バイオム」及び「ビオム」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との比較
本件商標と引用商標との類否について検討すると、これらは、外観においては、前記(1)及び(2)のとおりの構成からなるものであるから、外観上、明確に区別し得るものであることは明らかである。また、本件商標の要部の一つである「BiiON」の文字部分と引用商標との外観を比較してみても、書体の違いや、構成各文字の相違により、明らかに区別し得るものであり、相紛れるおそれはない。
次に称呼については、本件商標から生じる「バイオン」の称呼と、引用商標から生じる「バイオム」の称呼とを比較すると、両称呼は、その語尾において、「ン」と「ム」の音の差異を有するものであるところ、当該差異音は、前者が母音を伴わない「ン」の音であって、「オ」の音に続く語尾の「ン」の音は鼻から出す音であるのに対して、後者は母音(u)を伴う「ム」の音であって、明瞭に発音されるといえるから、比較的短い称呼において、両者を一連に称呼しても語感の異なるものとして聴別され、互いに紛れるおそれのないものというのが相当である。
また、その他の、本件商標から生じる称呼と、引用商標から生じる称呼との比較(本件商標の「バイオン」と引用商標2及び3の「ビオム」、本件商標の「ビーオン」と引用商標の「バイオム」又は引用商標2及び3の「ビオム」)においては、構成音や構成音数の明らかな違いにより容易に聴別できるものである。
さらに、観念については、本件商標と引用商標からは特定の観念を生じないから、両者は、観念上、比較することができないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができず、外観において判然と区別し得るものであり、称呼においても相紛れるおそれはないものであるから、これらを総合的に勘案すると、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、たとえ本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について
前記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていると認めることはできず、その周知・著名性は何ら認められない。
また、前記2のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、その類似性の程度は極めて低いといわなければならない。
そうすると、たとえ、本件商標が造語であって、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性があり、その需要者を共通にするとしても、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはないといわなければならない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものではなく、その登録は同項の規定に違反してされたものとはいえない。
他に、本件商標の登録が、商標法第43条の2各号のいずれかに該当するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標2)



異議決定日 2020-12-21 
出願番号 商願2018-125751(T2018-125751) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
T 1 651・ 262- Y (W25)
T 1 651・ 261- Y (W25)
最終処分 維持 
前審関与審査官 福田 洋子 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 黒磯 裕子
山田 啓之
登録日 2019-11-29 
登録番号 商標登録第6202999号(T6202999) 
権利者 バイオン インコーポレイテッド
商標の称呼 バイオン、ビイオン、ビーオン 
代理人 外川 奈美 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 青木 篤 
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