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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X16
管理番号 1373930 
審判番号 取消2019-300446 
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-06-13 
確定日 2021-04-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第5445064号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5445064号商標の指定商品中、第16類「印刷物」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5445064号商標(以下「本件商標」という。)は、「PRIECO」の欧文字と「プレコ」の片仮名を上下二段に横書きした構成よりなり、平成22年12月9日に登録出願、第16類「紙製包装用容器,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙製テーブルクロス,紙類,紙製ファイル,紙製書類ホルダー,印刷物」を指定商品として、同23年10月21日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和元年6月27日である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第16類「印刷物」(以下「請求に係る商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより使用された事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標について
本件商標は、「PRIECO」の欧文字と「プレコ」の片仮名を上下二段にまとまりよく横書きした構成によりなるものである。
本件商標の上段の「PRIECO」の文字は、一般の辞書等に掲載されている既成語ではないため、特定の意味合いを想起させない一種の造語と認識され、該欧文字を見た者は、我が国において広く知られる英単語の発音に倣って、「プリエコ」と称呼するのが自然である。したがって、「プリエコ」の称呼が、本件商標の欧文字部分の自然な称呼であるといえる。
一方、下段の片仮名「プレコ」も、一般の辞書等に掲載されている既成語ではなく、特定の意味合いを想起させない一種の造語と認識されるものであり、その構成文字に相応して「プレコ」と称呼されるものである。
ところで、「PRIECO」は、通常、「プレコ」とは称呼されず、また、「プレコ」の片仮名から「PRIECO」の欧文字表記を導き出すのも容易ではない。
被請求人の提出する乙第1号証の1の左上に表れる「Prieco」の欧文字の真下には、「Printable eco paper file」の表示があり、このうち、「Printable」の文字の冒頭の3文字「Pri」と「eco」の文字が赤字で強調するように表示されているから、本件商標中の「PRIECO」の欧文字は、「Printable」の「Pri」の文字と「eco」の文字を組み合わせた造語であると推察される。「Printable」が「印刷できる」などの意味で使用され「プリンダブル」と発音されること、及び、「eco」が「環境にやさしい」といった意味で使用され「エコ」と発音されることは広く一般に知られているから、「PRIECO(Prieco)」の欧文字は、「プリエコ」と称呼するのが自然である。
以上のことからすれば、本件商標の下段の片仮名「プレコ」は、上段の欧文字「PRIECO」の称呼(読み仮名)を併記したものとはいえず、本件商標は、「PRIECO」の欧文字と「プレコ」の片仮名とを二段に併記した結合商標であるか、もしくは、本来「プリエコ」と称呼される「PRIECO」の欧文字を、あえて、「プレコ」という特殊な読みに限定すべく「プレコ」の片仮名を「PRIECO」の欧文字の下段に配したものと理解するのが相当であるといえる。
(2)被請求人の使用する商標が「本件商標の使用」に該当しないことについて
ア 「Prieco」の欧文字の使用について
乙第1号証の1の左上には、「Prieco」の欧文字が表示されている(以下「使用商標1」という。)。これは、本件商標の上段の欧文字「PRIECO」の書体のみに変更を加えた同一の文字からなるものと認められるが、「Prieco」の欧文字の下段には「プレコ」の文字が表示されていない。したがって、本件商標の構成文字のうち「プレコ」の片仮名を欠く使用商標1を使用しても、本件商標の使用には該当しない。
また、本件商標は、本来「プリエコ」と称呼される「PRIECO」の欧文字を、あえて、「プレコ」と称呼させるべく「プレコ」の片仮名を下段に配したものと理解できる。したがって、「プレコ」の文字を欠いた状態で「PRIECO」の欧文字のみを単独で使用した場合、「PRIECO」の欧文字からは、「プリエコ」の称呼が生じるから、「PRIECO」の欧文字のみを使用するときは、本件商標と同一の称呼「プレコ」を生ずる商標を使用していることにはならない。したがって、使用商標1の使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用にも該当しないといえる。
イ 「プレコ」の片仮名の使用について
被請求人は、乙第1号証の1の「赤帯部」に表れる複数の白抜き文字「プレコ」や、乙第1号証の1の右側端部に設けられた半月状の赤地部分に表れる複数の白抜き文字「プレコ」も、本件商標の使用であると考えているようであるが、これらの「プレコ」の文字の上段には「PRIECO」の欧文字は確認できない。また、これらの「プレコ」の文字は、商品の出所識別標識として機能しているというよりも、複数の「プレコ」の文字をバランスよく配置して装飾模様を構成するために表示されているものと考えるのが自然である。したがって、当該「プレコ」の文字の使用は、商品の識別標識として、商標法第2条第3項第1号及び同項第2号に規定する商標の使用をしているものとは認められない。
仮に、これらの「プレコ」の文字が商標であるとしても(便宜上、以下「使用商標2」という。)、使用商標2は、本件商標の構成文字のうち、欧文字「PRIECO」を欠く状態で表示されるものであるから、本件商標の使用には該当しない。また、「プレコ」の文字を「PRIECO」と欧文字で表記するのは自然ではないので、「プレコ」の片仮名から、「PRIECO」の欧文字を想起することはできない。したがって、「プレコ」の片仮名のみの使用は、欧文字(ローマ字)「PRIECO」及び片仮名「プレコ」の文字を相互に変更するものであって同一の称呼を生ずる商標の使用には該当しないので、使用商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標とも認められない。
被請求人は、乙第1号証の2の下部に「プレコ 厚口」の文字が印刷されていることにも言及しているが、バーコードの上部に小さな文字で書かれた「プレコ 厚口」の文字は、商品の出所識別機能を発揮する状態で使用される「商標」とは認められない。また、「プレコ」の片仮名のみの使用は、本件商標の使用にも、本件商標と社会通念上同一の商標の使用にも該当しないのは上述のとおりである。
ウ 小括
以上のように、被請求人の提出する証拠のいずれにおいても、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている事実は確認できない。
(3)被請求人の販売する商品が、第16類「印刷物」に該当しないことについて
ア 被請求人は、乙第1号証に示す商品(以下「本件使用商品」という。)のことを、「プリンターで印刷して用いる紙製の書類ホルダー作成用印刷物」と特定し、本件使用商品は、透明な袋に収容された「表側(透明な袋の開封部分が無い側)の印刷物」(以下、単に「表側の印刷物」という。)(乙1の1)、「裏側の説明書」(乙1の2)、及び「内包された印刷物」(乙1の3・4)の書面からなるものと特定している。
しかし、以下イに述べるように、本件使用商品は、請求に係る商品(第16類「印刷物」)に該当するものではない。
イ(ア)本件使用商品について
本件使用商品は、前記アの各書面を、上から「表側の印刷物」、「内包された印刷物」、「裏側の説明書」の順に重ねて透明な袋に封入した状態で取引される商品であることが確認でき、答弁書における当該各書面についての説明や、これに表示される文言等によれば、本件使用商品は、第16類の「紙製ホルダー」又は「紙製のファイル」であると認められるものの、第16類の「印刷物」に該当するものではない。
(イ)「表側の印刷物」について
この書面は、本件使用商品の表側部分に表れるものであるから、需要者・取引者の注意を最も強く惹くものといえる。
本件使用商品に接する需要者・取引者は、この書面に表示される、「印刷可能な環境にやさしい紙製のファイル」を意味すると容易に理解できる「Printable eco paper file」や、赤色の下線が付された「紙ホルダー」の文字をもって、本件使用商品は、「紙製のファイル」又は「紙ホルダー」であると理解する。実際に、本件使用商品を取り扱う複数のショッピングサイトでは、本件使用商品は、「紙ホルダー」又は「紙製ホルダー」として販売されている(甲3)。
また、被請求人は、この書面を「表側(透明な袋の開封部分が無い側)の印刷物」と特定している。これは、紙に文字や絵などの画像を印刷したものであることは間違いないが、「商標法上の商品」であるというためには、当該商品が、市場において独立して商取引の対象として流通に供される必要がある。この書面は、上記のとおり、裏側の説明書及び内包された印刷物とともに透明な袋に収容された状態で取引されるものである。したがって、この書面自体は、市場において独立して商取引の対象として流通に供されるものではないので、「商標法上の商品」としての「印刷物」には該当しない。
(ウ)「裏側の説明書」について
この書面は、本件使用商品の使用方法や本件使用商品の特徴等を説明するために本件使用商品に封入されたものである。つまり、紙に文字や絵などの画像を印刷したものであったとしても、前記(イ)と同様に、市場における独立取引の対象として流通に供されるものではない。したがって、この書面も、「商標法上の商品」としての「印刷物」には該当しない。
(エ)「内包された印刷物」について
被請求人は、この書面を「印刷物」と特定しているが、写真(乙1の3・4)、「使用例」のイラスト及び「ご使用方法」における図による説明(乙1の2)などからすれば、これは、印刷可能な書類を保管等するための「紙製ホルダー」そのものであって「印刷物」でないことは明らかである。被請求人も、これについて、「完成後の機能を捉えれば『紙製書類ホルダー』でもある。また、プリンターで印刷される前の材質面から捉えれば『紙製品』でもある」と述べているので、「印刷物」には該当しない。
ウ 小括
以上のように、本件使用商品は、本件使用商品の内容や使用方法などを説明する書面と、プリンターなどを用いて印刷可能な「紙製ホルダー」本体とを透明な袋に封入した状態で販売される「紙製ホルダー」又は「紙製のファイル」であって、請求に係る商品に該当するものではない。
被請求人のウェブサイトにおける本件使用商品に関する記載からしても、本件使用商品は、「紙製ホルダー」に該当するものであることは明らかである(甲4、甲5)。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。なお、前記第2を含め、枝番号を有する証拠において、枝番号のすべてを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。
1 本件商標の使用
(1)本件使用商品は、「プリンターで印刷して用いる紙製の書類ホルダー作成用印刷物」であり(乙1、乙6)、透明な袋に収容された以下アからウまでの書面からなるものである。そして、これらが一体不可分であって、全体で一つの商品である。
ア 表側の印刷物(乙1の1)
上部左側に、「Prieco」の大きな文字とその文字の下に「Printable eco paper file」が配され(「Pri」と「eco」の文字部分が赤い文字で強調されている)、中央上部左側に、紙を帯状に破き赤い地が見えるように印刷されている箇所(以下「赤帯部」という。)に白抜き文字の「プレコ」の文字が複数表示され、また、その右側の右辺部には半月状の赤地の部分に白抜き文字の「プレコ」の文字が複数表示され、下部には「家庭でもオフィスでも」、「パソコン・手書きで自由にデザイン!!」、「マイデザイン 紙ホルダー」、「環境にやさしい森林認証紙を使用」、「しっかり丈夫な厚ロタイプ」の文字が印刷されている。
イ 裏側の説明書(乙1の2)
「使用例」、「使用上の注意」などの文字が表側の赤帯部を小さくした図柄部分に白抜き文字で表され、それぞれの箇所で説明がなされており、また「ご使用方法」の箇所でプリンターを用いて印刷する方法が図と共に詳細に説明されている。下部には、左から、被請求人についての情報と、商品の性質、Pri-03・プレコ厚口・バーコード及び「FSC認証」のロゴマークが印刷されている。この説明書を読むとこの商品が何で、どのように使用するのかを理解することができる。
ウ 内包された印刷物(乙1の3・4)
表面は、左辺が折りたたまれ、底辺全体が貼付けされ、右辺上部が容易に切り離し可能に加工処理(この右辺上部の加工処理部分を、以下「仮止め」という。)されたものである(乙1の3)。仮止めの部分は、半円形状の切り込み部分において3箇所切れていない部分を設けてそれらを印刷後に切断し、さらにその切り込みから上方に連続する右辺も容易に裏面と分離されるように貼着されてなるものである。
裏面は、上記「FSC認証」のロゴマークと、被請求人の会社名がオフセット印刷により印刷されている(乙1の4)。
この内包された印刷物は、表側と裏側の印刷物に挟まれていて袋の外側から確認することができない。使用する際は、袋を開いて取り出し、プリンターに設定して印刷した後に仮止めを切り離す。この段階に至って紙製の書類ホルダーとして各種書類を包摂することができるものとなる。
(2)ア 本件使用商品は、外側からは見えない印刷物(前記(1)ウ)が印刷され、仮止めを切り離した後に「紙製書類ホルダー」として利用できる状態となる。本件使用商品の説明や取り扱い方法などを記載したウェブサイト(写し)を提出する(乙7)。
そして、その完成後の機能を捉えれば「紙製書類ホルダー」でもある。
また、プリンターで印刷される前の材質面から捉えれば「紙製品」でもある。内包された印刷物(用紙部分)は、紙ホルダー、紙ファイルなどの形になる前の原材料の状態にあり、所定の条件下での保存が必要なものである(乙1の2、乙6、乙7)。「FSC認証」のロゴは紙製品に印刷されるものである。
この「印刷物」には、「事務用印刷物」、「商業印刷物」、「その他の印刷物」といった分類があり、その中の「事務用印刷物」には「封筒」などの「文房具」も含まれている(乙2)。
本件使用商品は、印刷物としてこのような多面性を有するが、いずれも第16類に属する「紙,厚紙及びこれらを材料とする特定の商品及び事務用品」に含まれるものである。
イ(ア)本件使用商品は印刷物であるが、文房具や紙製品としての要素もある。
「印刷物」、「文房具類」及び「紙類」が属する第16類は、「主として、紙、厚紙及びこれらを材料とする特定の商品及び事務用品を含む。」と注釈されている。これらの商品は、原材料が共通するだけでなく、書店においては文房具が書籍と並んで置かれて販売され、文房具店においては紙製品とカレンダーが販売されているように、販売場所や需要者の範囲も一致するので、その区別は曖昧である。
「はがき」は、「類似商品・役務審査基準」によれば、その類似群コードは「25B01」と「26A01」の両方であり、文房具類と印刷物の双方の要素を持つ商品である。これは需要者が購入後、宛先や文章や絵を書くなどの作業を経て投函することで「はがき」として機能する。そのような作業を経る前の状態では「印刷物」として存在している。
本件使用商品も、購入後、プリンターで文字や絵を印刷し、連結部分を分離し、ここに至って「紙ホルダー」や「紙ファイル」として機能する。本件使用商品も、はがきのように文房具類と印刷物の双方の要素を持つものである。
(イ)従来に無い商品を認知させ、商品販売サイトなどで表現してもらうには、結果物である「紙ホルダー」といった表現が便利である。しかしながら、本件使用商品は、実際には外観上直ちに「紙ホルダー」と認識することはできず、裏側の説明書部分等を読んでどのような商品でどのように使うかが理解できる。本件使用商品の表側にも「紙ホルダー」の文字はあるが、その部分は、自分でデザインした「オリジナルのホルダーを作成でき」る(乙7)、といった意味合いである。
(ウ)本件使用商品は、最終消費者の購入後の作業によって「紙ホルダー」や「紙ファイル」として機能させることができるもので、流通段階では本件使用商品全体で一つの印刷物としての要素を持つ商品である。
(3)本件使用商品の取引の事実を示す請求書(乙3)に記載の「株式会社ディーソル」は、被請求人の商品の販売を担当している被請求人の親会社である(乙4、乙5)。
2 本件使用商品に使用している商標について
(1)本件商標は、上段に「PRIECO」の欧文字を、下段に「プレコ」の片仮名を書してなるものである。本件使用商品の表側の左上部に表示した「Prieco」の部分が本件商標の上段の「PRIECO」の文字に対応する。この「Prieco」は、その文字の直下に示した「Printable eco paper file」(印刷できる環境に優しい紙ファイル)の文字部分の「Pri」と「eco」の部分を結合して作ったものである。
(2)本件商標の「PRIECO」の文字部分を「プリエコ」と称呼することができることは明らかである。ただ、プリントできる、エコな商品の性質を覚えてもらいつつ、需要者の記憶に残る愛される商品となるためには、「プリエコ」より「プレコ」の方が適切である。「プレコ」は3音という短い称呼であり、名前のような印象を与えることができるからである。
そこで、表側部分の左上部の「Prieco」の文字が、その位置とその直下の「Printable eco paper file」の商品説明的文字部分と相まって本件使用商品の商標であると認識させつつ、それを「プレコ」と呼んで認知してもらうために、赤帯部に複数の「プレコ」を表示したのである。需要者は、同時に視認できる「Prieco」の文字と赤帯部にあるプレコを目にして、「Prieco」は「プレコ」と読むと理解するのに難くない。
さらに本件使用商品は、表側の印刷部分において、「Pri」の部分と「eco」の部分をいずれも赤い文字で目立たせて、赤色同士で赤の地の部分とつながりをもたせている。
(3)本件商標は、今日、流通する商品を認識するのに不可欠となったバーコードの上に「プレコ 厚口」と表示されている。需要者は、表側の「プレコ」の複数の片仮名とも相まって表側の左上部の「Prieco」は「プレコ」と称呼し、これが厚口である、と理解できる。
(4)商品の性質を暗示する「Prieco」の欧文字と「プレコ」の片仮名とは一体不可分の関係にあり、いずれも一つの商品の見やすい位置に存在している。
したがって、本件商標は、本件使用商品において一体的に使用されている。
(5)その使用行為は商標法第2条第3項第1号の使用に該当し、この商品が譲渡されているため(乙3)、同項第2号の使用も行われている。
3 まとめ
上述のとおり、本件使用商品は表側部分、裏側部分及びこれらに挟まれて見えない用紙部分が全体として一体不可分な印刷物としての要素を持ち、需要者に商品全体で「プリンターで印刷して用いる紙製の書類ホルダー作成用印刷物」のように認識されるものである。本件使用商品は、文房具類と印刷物の双方の要素を持つものであるから、印刷物についての商標権が維持されなくてはならないものである。
そして、本件商標は本件使用商品に一体的に使用され、それが本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で流通された事実があるから、「印刷物」についての商標登録は取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 当事者の提出に係る証拠及び被請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件使用商品は、商品名、使用方法及び事業者の情報等が記載された一枚紙を表側と裏側に配置し、それらの間に、左辺が折りたたまれ、底辺全体が貼付けされ、右辺上部が仮止め(半円形状の切り込み部分において3箇所切れていない部分を設けて、それらを後に切断し、さらにその切り込みから上方に連続する右辺も容易に裏面と分離されるように貼着されてなる)されたもの(以下「内包物」という。)を挟むようにして、透明な袋に封入したものである(乙1、乙6)。
(2)本件使用商品に封入された表側の一枚紙に、「パソコン・手書きで自由にデザイン!!マイデザイン 紙ホルダー」(当該「紙ホルダー」の文字には赤色で下線が付されている。)、「しっかり丈夫な厚口タイプ」などの記載(乙1の1)、同裏側の一枚紙に、「このホルダーは、レーザープリンタ、インクジェットプリンタ、コピー機での使用を目的としています。」などの記載並びに被請求人の社名及び住所の表示がある(乙1の2、乙6)。また、内包物に、被請求人の名称の英語表記(「OSTRICHDIA CO.,LTD.」)(乙4)の表示がある(乙1の4、乙6)。
(3)被請求人の商品の販売を手掛ける株式会社ディーソル(乙4、乙5)が発行した請求書(写し)に、商品名として「紙ホルダー プレコ」の記載がある(乙3)。
(4)株式会社ディーソルのウェブサイト(写し)に、「紙ホルダー Prieco【プレコ】」の表題の下、「Prieco【プレコ】とは」として「A4サイズまでの書類を収納できる紙ホルダーです。・・・プリントすることができるので、簡単にオリジナルのホルダーを作成できます。」、「■手書きで文字やイラストを描ける」などの記載がある(乙7)。
(5)複数の通信販売サイト(写し)において、本件使用商品が「紙製ホルダー」と称されている(甲3)。また、被請求人のウェブサイト(写し)においても、本件使用商品が「紙ホルダー」と称され、「紙製のホルダーです。」といった説明がなされている(甲4、甲5)。
2 請求に係る商品のいずれかについての登録商標の使用が行われたか否かについて
(1)判断
ア 前記1(1)及び(2)の認定事実によれば、本件使用商品は、内包物と2枚の紙とから構成されるところ、当該2枚の紙は、内包物の使用方法等を表示するために封入されたものであって、それら自体が商品として取引に資されるものではなく、換言すれば、内包物に付随するものであるから、本件使用商品においては、内包物が商品取引の目的物であるというのが相当である。
イ 前記1(1)の認定事実によれば、内包物は、右辺の一部が貼着されているものの、当該貼着は容易に分離できるものとされており、その基本的な形状は、一般的な書類ホルダー(ファイル)と同様である。また、前記1(2)及び(4)の認定事実によれば、内包物には任意のデザインを印刷等することが可能であるという特徴があるものの、その用途は書類を収納することであって、一般的な書類ホルダー(ファイル)と変わりはない。
ウ 前記1(2)ないし(5)の認定事実によれば、本件使用商品は、「紙ホルダー」又は「紙製ホルダー」と称して取り扱われている。
エ 以上を総合して検討すれば、本件使用商品は、本件商標の指定商品において「紙製ファイル,紙製書類ホルダー」に含まれる商品であると判断するのが相当であって、請求に係る商品(印刷物)に含まれるものということはできない。
オ そうすると、請求に係る商品のいずれかについての本件商標の使用をしていることを認めることはできない。
(2)被請求人の主張について
被請求人は、本件使用商品を「プリンターで印刷して用いる紙製の書類ホルダー作成用印刷物」であると述べ、〈ア〉「印刷物」には「事務用印刷物」等の分類があり、当該「事務用印刷物」には「封筒」などの「文房具」も含まれている(乙2)などとして、本件使用商品は印刷物として多面性を有すること、〈イ〉本件使用商品は、購入後に文字等を印刷し、連結部分を分離するに至って「紙ホルダー」や「紙ファイル」として機能するものであって、第16類に属する「印刷物」、「文房具類」及び「紙類」の区別も曖昧であるから、「類似商品・役務審査基準」における「はがき」のように、文房具類と印刷物の双方の要素を持つものであることを主張している。
確かに、例えば、ある商品について、それが文房具類の範ちゅうに属することをもって直ちに、印刷物の範ちゅうに属しないことになるとは限らない場合があり得ることは否定しない。
しかしながら、本件使用商品について検討するに、上記〈ア〉については、印刷会社が、市販品とは別に、特注品を印刷する事業において、封筒を印刷加工の取扱商品(印刷対象物)とする分野を「事務用印刷物」と称しているにすぎないものと解され、また、〈イ〉についても、たとえ本件使用商品を「紙ホルダー」や「紙ファイル」として機能するためには連結部分を分離する必要があるとしても、内包物それ自体に、商品「印刷物」として把握し得る何らかの印刷がなされているものではない以上、「印刷物」の要素をも有するものとは認めることができない。そして、本件使用商品が「紙製ファイル,紙製書類ホルダー」に含まれる商品であると判断するのが相当であることは、前述のとおりである。
したがって、被請求人の上記主張は、採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人が、請求に係る商品のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明したとはいえないから、商標法第50条第2項に規定されているその他の使用の要件について論及するまでもなく、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る商品のいずれかについての本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを被請求人が証明したとはいえない。
また、当該使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたともいえない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、請求に係る商品について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2021-02-08 
結審通知日 2021-02-10 
審決日 2021-03-08 
出願番号 商願2010-99660(T2010-99660) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X16)
最終処分 成立 
前審関与審査官 鈴木 斎白鳥 幹周岩本 和雄 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 板谷 玲子
馬場 秀敏
登録日 2011-10-21 
登録番号 商標登録第5445064号(T5445064) 
商標の称呼 プリエコプレコ、プリエコ、プレコ 
代理人 瀧澤 文 
代理人 小林 浩 
代理人 小林 克行 
代理人 鈴木 康仁 
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