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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W43
審判 一部申立て  登録を維持 W43
審判 一部申立て  登録を維持 W43
審判 一部申立て  登録を維持 W43
審判 一部申立て  登録を維持 W43
管理番号 1372944 
異議申立番号 異議2020-900254 
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-10-05 
確定日 2021-04-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第6269470号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6269470号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6269470号商標(以下「本件商標」という。)は、「Not Hotel」の文字を標準文字で表してなり、令和元年8月7日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供」を含む第36類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、令和2年6月19日に登録査定、同年7月14日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、以下の3件(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第6141297号商標(以下「引用商標1」という。)は、「Knot」の文字を標準文字で表してなり、平成30年6月27日に登録出願、「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供」を含む第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同31年4月26日に設定登録されたものである。
(2)登録第6009442号商標(以下「引用商標2」という。)は、「THE KNOT」の文字を標準文字で表してなり、平成29年5月9日に登録出願、「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供」を含む第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同30年1月5日に設定登録されたものである。
(3)登録第5990652号商標(以下「引用商標3」という。)は、「HOTEL THE KNOT」の文字を標準文字で表してなり、平成29年5月9日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供」を含む第24類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年10月20日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の指定役務中、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供」(以下「申立役務」という。)について、商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標1との対比
(ア)本件商標は、外観上「Not」と「Hotel」の部分に分離され、「Hotel」の部分は「ホテル、旅館」を意味する英単語として我が国において広く日常的に頻繁に使用され親しまれているから、需要者・取引者は「Hotel」の部分から、宿泊するための部屋を提供したり、その予約を行ったり、食事などの飲食物を提供するといった役務であること、あるいはこれらの役務を提供する場所であること、すなわち「ホテル」であることを認識するにすぎないことは明らかである。
そうすると、本件商標の構成中、需要者・取引者にとって自他役務識別力を発揮し得るのは「Not」の部分である。
(イ)また、ホテルを表す場合に、「ホテル」の部分を省略して呼ばれることもよく知られ、あるいはその逆もあり、多くの需要者・取引者は、役務を提供するホテルの正式な商標として、「ホテル」の語が含まれているかどうかには頓着しないというのが実情といえる。
(ウ)このようなことから、本件商標は「Not」の部分が自他役務識別力を発揮する要部であることは間違いないから、本件商標に接する需要者・取引者は、「Hotel」部分を省略して、識別力の強い「Not」部分から「ノット」の称呼を生じさせ、記憶すると考えるのが自然であり、実情に適している。
特に、店名や人名やタイトルなどあらゆるものを短く省略することを好む近年の強い傾向に鑑みると、役務の内容が「ホテル」であることはわかっている状況で、あえて「Hotel」の部分まで称呼することは極めて少ないと考えられるから、本件商標に接する多くの需要者・取引者は、当該役務について商標を「ノット」と記憶し、予約のためのインターネット検索などの際にも「not」や「ノット」の語で検索することが容易に予想される。
(エ)これに対し、引用商標1は、「Knot」のローマ字を標準文字により横書きしてなり、自然な称呼は「ノット」である。
なお、「Knot」には先頭に「K」の文字があるが、我が国でよく知られた英検4級程度とされる英単語である「Know」(知っている)を「ノウ」と、「Knife」(ナイフ)を「ナイフ」と、「Knee」(ひざ)を「ニー」と発音することもよく知られているので、需要者・取引者が「Knot」から「ノット」の称呼を生じさせることも極めて自然である。
(オ)してみれば、本件商標と引用商標1は、指定役務が同一又は類似であって、共に「ノット」の称呼を生ずることが明らかであり、類似の商標である。
(カ)しかも、本件商標の「Not」部分からの称呼「ノット」と、引用商標1の「Knot」からの称呼「ノット」とは、我が国における日本語としての発声が同一であるだけでなく、英語の発音としても発音記号が同じ「同音」の英単語であるから、例えば旅行で来日する外国人の需要者にとっても、聞き分けることの困難な極めて紛らわしい称呼であり、このことは、外国からの観光客を需要者とするホテルなど宿泊施設の提供や飲食物の提供などの指定役務において、重大な弊害である。
(キ)以上に対し、「Not」は否定を意味する助動詞の英単語であるのに対し、「Knot」は結び目を意味する英単語であるから、意味合いと綴りは相違している。
しかしながら、英単語「Knot」は、英検準1級あるいは英検2級以上、高校3年以上の水準の英単語(甲5)とされ、需要者・取引者の誰もが意味合いまで認識しているとはいい難い英単語であるから、多くの需要者・取引者が直ちに特定の観念を生ずるとは考えられず、両商標は、観念においては比較できない商標である。
(ク)むしろ、本件商標や引用商標1のように本来はローマ字表記である商標であっても、例えば宿泊施設や飲食店を検索する際や予約サイトでの表示など、商取引や日常生活において、当該ローマ字商標を、称呼である片仮名表記で表すことが、極めて頻繁に行われている。
そうだとすると、本件商標は片仮名「ノット ホテル」で表されて要部は「ノット」であり、引用商標1も片仮名「ノット」で表されるから、称呼すなわち称呼を片仮名で認識し表す「ノット」こそが自他役務識別力を発揮するといえるのであって、この場合、ローマ字商標としての意味合いや綴りは、需要者・取引者には全く考慮されないこととなり、自他役務識別力の面では、片仮名で認識される称呼「ノット」の共通性が、観念や外観を凌駕している。
(ケ)しかも、引用商標1を、需要者・取引者が称呼により「ノット」と記憶し、再度指定役務の提供を受けるためにインターネット検索などする際には、目的とする役務と商標として片仮名「ホテル」と「ノット」の語をキーワードとする可能性が極めて高いと推察され、そればかりか、ローマ字で検索しようとする際には、記憶している「ノット」の称呼から、誤って「not」の綴りで検索する可能性も極めて高いと思われ、両商標は需要者・取引者にとって出所の混同を生じる可能性が極めて高い類似する商標である。
(コ)以上のとおり、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することができず、外観において1文字の相違はあるものの、称呼が共通して発音も全く同一であり、指定役務において、称呼「ノット」によって印象付けられ記憶されると考えるのが自然であるから、極めて紛らわしく明らかに類似する商標である。そして、本件商標と引用商標1の指定役務は、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
イ 本件商標と引用商標2との対比
(ア)本件商標の要部は「Not」の部分であって、「ノット」の称呼が生じることは、上述のとおりである。
(イ)引用商標2は、「THE KNOT」のローマ字を標準文字により横書きしてなり、「THE」は定冠詞である。
そして英文における定冠詞「THE」は、通常和訳の際に特別の意味合いに訳されないことからも、我が国においては、その有無の違いについて多くの需要者・取引者が明確に区別して認識しているとは思われないから、定冠詞「THE」の部分は、自他役務識別力は弱いか、あるいは無い場合もあり得る部分と考えられ、主として自他役務識別力を発揮する要部は「KNOT」の部分であるといえる。そして「KNOT」の自然な称呼は、上述のとおり「ノット」である。
(ウ)そうすると、本件商標と引用商標2のそれぞれの要部は、「Not」と「KNOT」であるから、すでに述べたとおり、需要者・取引者は、どちらの商標についても「ノット」の称呼で印象付けられ、記憶する。
そのため、両商標は称呼を共通にする類似の商標であり、指定役務は同一又は類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
ウ 本件商標と引用商標3との対比
(ア)本件商標の構成は「Not Hotel」であり、引用商標3の構成は「HOTEL THE KNOT」である。
(イ)両商標の「Hotel」及び「HOTEL」の部分は指定役務の内容を表す部分であるから、「Not」と「THE KNOT」の部分を比較して観察する。そうすると、上記で述べたとおり、「THE」は定冠詞であることから、自他役務識別力に関する要部は「KNOT」の部分となり、本件商標の要部「Not」と称呼が同一である。
したがって、両商標は称呼が共通する類似の商標といえる。
(ウ)しかも本件商標と引用商標3とは、単に要部の称呼が同一というだけにとどまらず、「Hotel」および「HOTEL」の部分も構成要素として共通していることから、さらにいっそう紛らわしい商標となっている。
すなわち、両商標の構成全体の称呼は「ノットホテル」と「ホテルザノット」であって、どちらも「ノット」の語と「ホテル」の語を構成要素としているから、全体を称呼した場合に、語順こそ異なるが、どちらも「ノット」の音と「ホテル」の音の印象が残る商標となることで、需要者・取引者の記憶において極めて紛らわしく、出所の混同を生じてしまうことが容易に推測される。
(エ)このように、本件商標と引用商標3は、要部において称呼が共通するばかりでなく、それぞれの商標全体を構成する語の殆どが共通することにより商標全体の称呼も共通するため、需要者・取引者が役務の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標であるといえる。
そして、両商標の指定役務は同一又は類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第10号又は同項第15号について
ア 申立人の商標として広く知られている
(ア)申立人(いちご株式会社)は、引用商標を使用するいちごデザインホテルとして、2017年12月に神奈川県横浜市でホテル「HOTEL THE KNOT YOKOHAMA」を、2018年8月に東京都新宿区西新宿でホテル「THE KNOT TOKYO Shinjuku」を、2020年8月1日に北海道札幌市でホテル「THE KNOT SAPPORO」を、2020年8月に広島県広島市にホテル「THE KNOT HIROSHIMA」を次々と開業させて宿泊施設の提供や飲食物の提供のサービスを行ってきており(甲6?甲9)、申立人のホームページで紹介するほか、Web上の予約サイトや旅行業者によって紹介され、全国の需要者に利用されている(甲10、甲11)。
また、申立人は、資本金約260億の東証一部上場企業であってホテル事業も同社の重要な業務の一部であるから、今後も全国的なホテル事業の展開を予定している。
(イ)申立人は、「THE KNOT YOKOHAMA」、「THE KNOT TOKYO Shinjuku」及び「THE KNOT HIROSHIMA」のホテルでは建物の入り口や外壁の最上部など建物の最も目立つ場所に「THE KNOT」の文字を大きく表示するなど、「THE KNOT」の商標がより早く広く認識されるようこれまで積極的に使用してきている(甲12?甲14)。
(ウ)申立人は、上記のホテルをまとめて表す場合に「HOTEL THE KNOT」(甲15)や片仮名の称呼である「ホテルザ ノット」(甲16)も使用している。
(エ)申立人は、上述のホテル群が、旅・街・人などを“結ぶ”ことをコンセプトとしており(甲17)、ブランドの中心が結び目を意味する「KNOT」の語であるとして、引用商標1を広告などで紹介しており、申立人のブランド構築にとって中心ともいえる重要な登録商標である。
(オ)以上のように、申立人は全国に展開するホテルブランドの商標として、引用商標を、2017年より全国的に使用しているから、これらの商標が申立人の役務を示す商標として需要者・取引者に広く認識されていることは明らかである。
そして、本件商標と引用商標の商標は類似し、指定役務も同一又は類似するものであるから、本件商標が本件指定役務に使用された場合、需要者が申立人に係る役務と出所について混同するおそれがあり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号又は同項第15号の規定に違反してなされたものである。
イ 出所の混同を生ずるおそれがある
(ア)引用商標はローマ字による登録商標であるが、需要者・取引者が記憶した称呼を片仮名によって表して使用することも頻繁に行われている。
その結果、2020年11月4日にgoogle検索(甲18、甲19)したところ、片仮名の「ホテル」と「ノット」の語順で上位30件以上全てが、また「ノット」と「ホテル」の語順でも上位30件以上がいずれも申立人のホテルに関する記事となっており、このことからも、ホテルの分野において「ノット」の称呼が、申立人の役務を表す商標の称呼として広く知られていることは疑いようのない事実である。
(イ)このような状況の中で、申立役務について、本件商標が使用されれば、申立人が提供する役務と出所の混同を生じるおそれがあることは明白であり、例えば需要者・取引者がインターネット検索などした際に混同して需要者・取引者にとって不利益が生じるおそれがあることが明らかである。
(ウ)さらに、本件商標が使用されれば、申立人がこれまで全国でホテルを開業させ、良好なサービスの提供によって人気や信用を獲得し、営業や広告によってブランドの名を広めてきたブランド構築のためのあらゆる企業努力が瞬く間に棄損され、さらにはこれまで蓄積された申立人の信用やブランド力が無断で利用されるおそれすらあり得るといえる。
(エ)したがって、本件商標は他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれのある商標であって、商標法第4条第1項第10号又は同項第15号の規定に違反してなされたものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、「Not Hotel」の文字を標準文字で表してなるところ、視覚上、「Not」と「Hotel」との2語からなると容易に認識されるものである。
そして、「Not」の文字は、「・・・でない」という否定の意味を有する語であるのに対し、「Hotel」の文字は、「ホテル」の意味を有する語であって、申立役務との関係において役務の提供の場所、質を認識させるものであることからすれば、本件商標の構成中「Hotel」の文字は、役務の出所識別標識としての機能がないか又は極めて弱いものとして認識されるものというのが相当である。
そうすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者がその構成中の「Not」の文字部分を捉え、これをもって取引に当たる場合も決して少なくないというべきである。
してみれば、本件商標は、出所識別標識として強く支配的な印象を与える「Not」の文字部分(要部)から「ノット」の称呼を生じ、「・・・でない」の観念を生ずるものというのが相当である。
イ 引用商標
(ア)引用商標1
引用商標1は、「Knot」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「ノット」の称呼を生ずるというのが相当である。
また、「Knot」の文字が辞書において「結び目」の意味を有する成語であるとしても、該語は我が国において親しまれた語とはいえないものであるから、引用商標1は、一種の造語からなるものとみるのが相当であって、特定の観念を生じないものというべきである。
(イ)引用商標2
引用商標2は、「THE KNOT」の文字を標準文字で表してなるところ、視覚上、「THE」と「KNOT」との2語からなると容易に認識されるものであって、その構成全体をもって特定の意味合いを想起させる熟語等ともいえないものである。
そして、構成中の「THE」の文字は、英語の定冠詞であることが広く知られているところ、当該定冠詞は、名詞の前に付される場合は、その名詞によって表されるものを強調、限定する働きをし、強いて訳さない場合が多いことからすれば、「KNOT」の前に付された「THE」の文字については、役務の出所識別標識としての機能がないか又は極めて弱いものとして認識されるものというのが相当である。
これに対し、構成中の「KNOT」の文字は、上記(ア)で述べたことと同様に「ノット」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
そうすると、引用商標2のうち、「KNOT」の文字部分は、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができ、当該文字部分だけを要部として抽出し、本件商標と比較して商標の類否を判断することも許されるものというべきである。
したがって、引用商標2からは、「KNOT」の文字部分に相応する「ノット」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
(ウ)引用商標3
引用商標3は、「HOTEL THE KNOT」の文字を標準文字で表してなるところ、視覚上、「HOTEL」と「THE」と「KNOT」との3語からなると容易に認識されるものであって、その構成全体をもって特定の意味合いを想起させる熟語等ともいえないものである。
そして、構成中の「HOTEL」の文字は上記アで述べたことと同様に、また、「THE」の文字は上記(イ)で述べたことと同様に、共に、役務の出所識別標識としての機能がないか又は極めて弱いものとして認識されるものというのが相当である。
これに対し、構成中の「KNOT」の文字は、上記(ア)で述べたことと同様に「ノット」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
そうすると、引用商標3のうち、「KNOT」の文字部分は、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができ、当該文字部分だけを要部として抽出し、本件商標と比較して商標の類否を判断することも許されるものというべきである。
したがって、引用商標3からは、自他役務の識別機能を有する「KNOT」の文字部分に相応する「ノット」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とを比較するに、両商標の出所識別標識として機能する文字(要部)は、語頭の「K」の有無、大文字と小文字の相違など、構成態様に差異を有することから、両者の構成文字数が少ない中にあって外観上見誤るおそれはなく、明確に区別し得るものである。
次に、称呼については、本件商標と引用商標から生じる「ノット」の称呼において同一である。
また、観念については、本件商標からは「・・・でない」の観念が生じ、引用商標からは特定の観念を生じないものであるから、観念上、両者が相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その要部において称呼上同一であるものの、外観上明確に区別し得るものであって、観念上相紛れるものでもないから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標であるというのが相当である。
さらに、他に本件商標と引用商標が類似するというべき理由は見いだせない。
なお、申立人は、本件商標と引用商標3は、要部において称呼が共通するばかりでなく、それぞれの商標全体を構成する語の殆どが共通することにより商標全体の称呼も共通するため、需要者・取引者が役務の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標である旨主張している。
しかしながら、本件商標と引用商標3とを、両商標全体をもって比較検討しても、「K」の有無を始めとする綴り字の相違、構成順の相違、大文字か小文字かの相違など、構成態様に差異を有することから、外観上見誤るおそれはなく明確に区別し得るものであり、称呼上も、その音の構成の明らかな相違により、明瞭に聴別できるものであるから、結局、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標と引用商標とは、類似する商標ということはできない。
エ 本件商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否
申立役務と引用商標の指定役務中の第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供」とは、同一の役務である。
オ 小括
以上のとおり、申立役務と同一の役務が引用商標の指定役務に含まれるとしても、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)引用商標の周知著名性について
ア 申立人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、既存のホテルを買い取り、神奈川県横浜市で「HOTEL THE KNOT YOKOHAMA」という名称のホテルを2017年12月1日にオープンしている(甲6)。
(イ)その後、申立人は、2018年8月に東京都新宿区でホテル「THE KNOT TOKYO Shinjuku」を(甲7)、2020年8月に北海道札幌市で「THE KNOT SAPPORO」を(甲8)、それぞれオープンしている。
(ウ)上記(ア)及び(イ)の他、2020年夏に広島県広島市でホテル「THE KNOT HIROSHIMA」をオープン予定であることが、2019年11月付けのプレスリリースに掲載された(甲9)。
(エ)インターネット上で「THE KNOT SAPPORO」などの申立人に係るホテルが紹介されている(甲10、甲11)。
(オ)申立人に係るホテルは、「THE KNOT」と省略して記載される場合があることがうかがえる(甲12?甲14、甲16、甲17)。
(カ)インターネット検索エンジン「Google」における、「ホテル ノット」又は「ノット ホテル」をキーワードとする検索結果には、上記(ア)に係るホテルを中心として、上記(ア)及び(イ)に係るホテルが上位に表示された(甲18、甲19)。
イ 上記アの事実によれば、申立人は、ホテル事業に参入し、名称に「HOTEL THE KNOT」又は「THE KNOT」の文字を含むホテルを少なくとも神奈川県横浜市、東京都新宿区、北海道札幌市においてオープンしたことが認められる。また、インターネット上で、上記ホテルについて紹介等されたこともうかがえる。
しかしながら、申立人に係るホテルの数は決して多いものとはいえず、引用商標が使用された申立役務の利用者数、市場シェアなどの提供実績、並びに広告宣伝の費用、方法、回数及び期間などについて、その事実を把握することができる証拠は何ら提出されていないから、引用商標は、いずれも申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。なお、引用商標1が使用されたことを認めるに足る事実は、提出された証拠から見いだすことができない。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
上記(2)イのとおり引用商標は、他人(申立人)の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認められないものであり、上記(1)ウのとおり本件商標と引用商標とは類似する商標ではない。
そうすると、本件商標は、申立役務について商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立役務と申立人の業務に係る役務は、「宿泊施設の提供」において共通するから、両者の性質、用途又は目的における関連性の程度、並びに取引者及び需要者の共通性の程度は高いものといえるとしても、本件商標と引用商標は上記(1)ウのとおり非類似の商標であって、その類似性の程度は低く、何より上記(2)イのとおり引用商標は申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認められないものであるから、申立役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すれば、本件商標は、商標権者がこれを申立役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることなく、その役務が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録異議の申立て係る指定役務についての登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2021-03-31 
出願番号 商願2019-107210(T2019-107210) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (W43)
T 1 652・ 262- Y (W43)
T 1 652・ 25- Y (W43)
T 1 652・ 271- Y (W43)
T 1 652・ 261- Y (W43)
最終処分 維持 
前審関与審査官 真鍋 恵美 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 板谷 玲子
森山 啓
登録日 2020-07-14 
登録番号 商標登録第6269470号(T6269470) 
権利者 濱渦 伸次
商標の称呼 ノットホテル、ノット、エヌオオテイ、ホテル 
代理人 橋本 京子 
代理人 橋本 克彦 
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