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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09
審判 一部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1372943 
異議申立番号 異議2020-900238 
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-09-23 
確定日 2021-04-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第6264539号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6264539号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6264539号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和元年5月15日に登録出願、第9類「電子計算機用プログラム,アプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能な音声・音楽・画像・映像・文字情報」を含む第9類、第39類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同2年6月10日に登録査定、同月30日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する商標は次のとおりである(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)。
(1)国際登録第1258865号商標(以下「引用登録商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2014(平成26)年5月16日にUnited Kingdomにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年11月13日に国際商標登録出願、第9類、第35類、第38類、第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成28年12月16日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
(2)申立人の使用に係る商標は、別掲3のとおりの構成よりなる商標である(以下「使用商標」という。)。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「音楽認識用の電子計算機用プログラム,音楽認識用のアプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能な音声・音楽・画像・映像・文字情報」(以下「申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。なお、特に断らない限り、証拠番号には枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人について
申立人は、GAFAと称されるデジタル市場の巨大企業の4つのうちの1社である米国の法人で、「世界の最も価値あるブランドランキング」で2011年から9年連続で首位の座を維持している(甲3)など、高い知名度を誇る。
申立人は、コンピュータ機器、スマートフォン等の電子機器の他、テレビ、音楽、動画等の分野においても世界のリーディングカンパニーとなっている。
(2)申立人の引用商標の周知著名性について
ア Shazamアプリ
申立人は、音楽関連事業の1つとして、楽曲を瞬時に認識し、検索することを可能とするアプリケーションソフトウェア「Shazam(シャザム)」(以下「Shazamアプリ」という。)を提供している(甲4?甲6)。
Shazamアプリは、聞き取った曲をデータベース内の楽曲と照合して曲認識を行うことで、楽曲の検索を可能とし、以前調べた曲を表示することも可能である(甲4)。本アプリケーションは、申立人が提供する商品のみでなく、他社製品でも使用できる(甲5、甲7)。
Shazamアプリは、Shazam Entertainment Ltd.(以下「Shazam社」という。)により開発され、2002年に、使用者が携帯電話からダイヤルすることで楽曲を認識させるというサービスから始まり(甲8)、2004年に米国でMusicphone社と共同で提供が開始された。
そして、スマートフォン用アプリケーションとして、2008年に申立人が提供するプラットフォームに、2009年にはマイクロソフト社が提供するプラットフォームに公開された(甲5)。
Shazamアプリは、楽曲検索アプリとして人気を博し、2012年4月にはShazamアプリのサービスは、50億回使用され、200か国に2億2500万人のユーザーがいることが公表された(甲5)。2016年9月には、Shazamのアプリケーションのダウンロード数は、累計10億を突破し、我が国においても話題になった(甲9)。現在、本アプリケーションは、世界中で10億人以上のユーザーに使用され(甲10)、我が国においても、音声検索の代表的サービスのひとつとして紹介されている(甲11)。
なお、Shazam社は2017年に申立人に買収され、当該買収を発表した新聞記事(甲9の3)をみても、「同社のアプリのダウンロード数は累計で10億回を超え、数億人の利用者がいる。」と紹介されている。
Shazamアプリは、無料で公開されているアプリであるため、販売売上という数字は存在せず、ダウンロード数がアプリの認知度を客観的に示す数字となる。そして、全世界で10億のダウンロードを達成したということは、世界中の人の7人に1人がダウンロードしたということになる。
イ ランキング及びロコミ数
アプリダウンロードランキングをみると、2020年11月30日時点でのShazamアプリは「ミュージック」「無料」のカテゴリーでは第8位にランキングされている(甲12)。
「Top Free iPhone Apps 400」では、2020年12月21日時点での全カテゴリー対象で284位にランキングされ、音楽のカテゴリーでは8位と示されている(甲13)。
アプリ紹介サイトでは、ダウンロードおすすめアプリランキングTOP10でShazamアプリが第1位に紹介されている(甲14)。また、曲名検索アプリのランキングでは第1位として紹介されている(甲15)。
Google社が提供するAndroid向けアプリサイトGooglePlayでは、アプリの紹介部分で3,930,776件ものロコミが寄せられている(甲7)。
ウ 公的資料中の紹介
Shazamアプリの人気については総務省でも取り上げられている。例えば、平成27年版の情報通信白書(甲16)の第1部「ICTの進化を振り返る」第3節「ICT産業の構造変化」で紹介されている。
また、平成27年11月の内閣官房知的財産戦略推進事務局が作成した「次世代の知的財産システムに関する検討の背景について」の資料中(甲17)、デジタル・ネットワーク時代の新規ビジネスの特徴としてShazamアプリを例示として挙げている。
平成29年の文化審議会著作権分科会が作成した「文化審議会著作権分科会報告書(案)」でも、Shazamアプリが紹介されている(甲18)。
日本貿易振興機構(JETRO)においても米国で成功を収めている海外企業の開発アプリに関する調査2013年(甲19)において、Shazamアプリについて「2億5千万人」のユーザーが世界中に存在し、「音楽のタグ付け機能は、独自性が高いこと、さらにiPhoneでの楽曲のダウンロードが注目を集めたことが功を奏してShazamは急速に拡大した。提供開始から18ヵ月後、2009年12月の時点で、既に世界150ヵ国350社のワイアレスキャリアを経由して、1,000万回のダウンロード数を記録。」と紹介している。
このように、行政機関である省庁の資料内で、Shazamアプリを例として取り上げているのは、例として万人に理解しやすいために示したものであり、国としてもShazamアプリの人気を認識していることが裏付けられる。
エ 雑誌記事
ビジネス雑誌として有名なForbesでは2016年10月17日の記事(甲20)で、「音楽認識アプリ『Shazam』は9月後半に10億DLを達成し、史上最も人気の高いアプリの一つとなった。」「Shazamは10年近い歴史を持ち、競合ひしめく音楽アプリの中で抜きん出た存在感を誇ってきた。」とShazamアプリを紹介している。
また、2019年に発行された「情報の科学と技術」内の論文(甲21)や、「Reproジャーナル」(甲22)でも、Shazamアプリは、「日本でも有名である。」などと、紹介されている。
このように、ダウンロード数、ランキング、ロコミ数、紹介記事から総合すると、Shazamアプリが日本及び世界で広く認識されていることが理解でき、2016年の時点で10億人のダウンロードの事実からみると、本件商標の出願時(2019年)にはすでに、音楽検索アプリケーションソフトウェアの分野にて広く知られた商標となっており、現在でもその周知性は維持されているといえる。
オ 使用態様
申立人は、Shazamアプリを表示する商標として、引用商標を継続して使用している(甲7、甲10)。
引用商標は、Shazamアプリのアイコンとして使用されており(甲7、甲10)、Shazamアプリを起動すると、引用商標が画面の中央に大きく表示され、楽曲を検索する際は、この引用商標をタップする。また、楽曲を検索する間も使用商標が継続して表示される。
このように、引用商標は、本アプリケーションを使用する際に必ず目にする商標であり、Shazamアプリが、世界中で10億人以上のユーザーがいることからすると、引用商標は、世界中で10億人以上のユーザーに知られているといえる。
また、2015年には、本アプリケーションの付随的な機能として、画像認識機能が追加された。引用商標が記載されたポスターや雑誌、グッズなどを読み取ることで、動画や限定特典、グッズの購入等が可能となり、Shazam社は、本機能の発表と同時に、ウォルト・ディズニー社やワーナー・ブラザーズ・インタラクティブ社などと提携を結び、Shazamの提供促進を行った。このような大々的なプロモーションからも、引用商標が取引者、需要者に広く知られた商標であることがわかる(甲9の1、甲23)。
カ 小括
以上より、引用商標は、申立人の業務に係る「音楽認識用のアプリケーションソフトウェア」を表示する商標として、日本を含む世界中の取引者、需要者の間に広く認識されていることがわかる。
(3)商標法第4条第1項第11号該当性
本件商標及び引用登録商標は、丸みを帯びた、同幅の、2本の曲線を用いて、左に傾斜させたアルファベットのSを連想させる図形からなる点で共通する。
本件商標は、それぞれの曲線の片側に突起を有する点が若干引用登録商標と異なるが、両者の図形の傾斜角度及び曲線のカーブの角度・太さは酷似しており、重ね合わせると、粗一致する。
引用登録商標は、黒い円図形を含むが、独立して注意を惹く要素は、当該2本の曲線から成る図形であり、両者は、ともに丸みを帯びた同幅の2本の曲線を用いて、左に傾斜させたアルファベットのSを連想させる図形という基本的構成において共通し、特に傾斜角度及び曲線のカーブの角度・太さが酷似していることを考慮すると、視覚的な特徴が一致する。
そうすると、本件商標と引用登録商標は、一見して、丸みを帯びた、同幅の、2本の曲線を用いて、左に傾斜させたアルファベットのSを連想させる図形として認識され、その着想や構図、特徴を同じくするため、看者に外観上酷似した印象を与える。したがって、本件商標と引用登録商標を時と所を異にして隔離的に観察した場合、両者は、互いに相紛れるおそれがある類似の商標である。
上述のとおり、引用商標は、申立人の楽曲認識アプリケーション「Shazam」を表す商標として我が国においても広く知られている実情を考慮すると、本件商標が「音楽認識用のアプリケーションソフトウェア」又はこれに類似する商品に使用された場合、需要者は、本件商標が使用されている商品を申立人の商品と誤解する可能性が高いことは明らかである。
また、引用登録商標と本件商標の第9類の指定商品は、同一又は類似であることも明白である。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 本件商標とその他人の標章との類似性の程度
本件商標と引用登録商標の類似性が高いことは、上記(3)のとおりである。使用商標は、青色の背景を用いており、本件商標も青色を用いている。商標の要部となるS字図形は極めて近似しているので、両商標は全体として関連性があると認識される類似性のある商標である。
イ その他人の標章の周知度
申立人の引用商標の周知性が高いことは、上記(2)のとおりである。
ウ その他人の標章が造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するものであるか
引用商標は、申立人が創作した独創性のある商標である。
エ その他人の標章がハウスマークであるか
引用商標は、ハウスマークではないが、申立人の主力製品の1つであるアプリケーションを表す重要な商標である。
オ 企業における多角経営の可能性
申立人は、コンピュータの分野以外にも様々な事業分野で商品・役務を展開している。例えば、音楽配信サービス(甲24)、映像のストリーミングサービス(甲25)の他、中古の申立人製品の下取りサービスを行っている(甲26)。したがって、多角経営の可能性は十分に認められる。
カ 商品間、役務間又は商品と役務間の関連性
本件商標の指定商品中「電子計算機用プログラム,アプリケーションソフトウェア,コンピュータソフトウェア,電子応用機械器具並びにその部品及び附属品,ダウンロード可能な音声・音楽・画像・映像・文字情報」は、申立人が引用商標について使用する商品であるアプリケーションソフトウェアと同一又は類似するものであり、商品間の関連性は、非常に高い。
キ 商品等の需要者の共通性その他取引の実情
本件商標の指定商品は、引用商標の使用商品であるアプリケーションソフトウェアと同一又は類似のものを含むため、共通の需要者が存在することは当然に認められる。
ク 小括
以上のとおり、本件商標がその指定商品に使用されると、かかる指定商品分野における需要者は、それらの商品が申立人の業務に係る商品・役務ないし申立人と何等かの関係がある者の業務にかかる商品・役務であると誤認し、出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかであって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、両端を四角様に角張った形状にした(外側に位置する一方の端は、外側に向けて直角方向にやや突出させている)U字状の濃青色の帯状図形及び両端を丸い形状にした(外側に位置する一方の端は外側に向けて直角方向にやや突出させている)U字状の薄青色の帯状図形を、濃青色の図形を向かって左側に、薄青色の図形を向かって右側にして、45度程度傾けて、各帯状図形の開口部を帯状図形の幅と同程度の間隔を空けて噛み合わせるように、一体的に組み合わせた図形よりなるものであり、角張った印象を与える濃青色の図形と丸みをおびた印象を与える薄青色の図形という、2つの異なる帯状図形から構成されるものと看取される。
そして、上記図形からなる本件商標は、特定の事物等を表すものと認識されるというべき事情は見いだせないから、これより特定の称呼及び観念を生じないものである。
イ 引用登録商標
引用登録商標は、別掲2のとおり、上部から下部に向かって徐々に濃くなるように表された黒色の円形内に、白抜きで、両端を丸い形状にしたU字状の帯状図形2つを、45度程度傾けて、各帯状図形の開口部を帯状図形の幅の半分程度の間隔を空けて噛み合わせるように、一体的に点対称のように組み合わせた図形を表してなるものであり、円形と、いずれも丸みをおびた印象を与える2つの同形の帯状図形とから構成されるものと看取される。
そして、上記図形からなる引用登録商標は、特定の事物等を表すものと認識されるというべき事情は見いだせないから、これより特定の称呼及び観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用登録商標との類否
本件商標と引用登録商標とを比較するに、本件商標は、角張ったものと丸みをおびたものという2つの異なる帯状図形から構成されるのに対し、引用登録商標は、円形内に、いずれも丸みをおびた2つの同形の帯状図形を表して構成されるものであり、また、両商標は、上記帯状図形の先端の形状についても、外側に向けて直角方向に突出させているか否かの差異を有するものである。さらに、本件商標は、その帯状図形の幅と同程度の間隔を空けて2つの帯状図形が配置されているのに対し、引用登録商標は、その帯状図形の幅の半分程度の間隔でやや密着させるように2つの帯状図形が配置されているものである。加えて、本件商標は、濃青色と薄青色という異なる彩色をもって帯状図形が表されるのに対し、引用登録商標は、黒地に白抜きという色が異なることのない帯状図形が表されるものである。
そうすると、両者は、U字状の帯状図形2つを45度程度傾けて、各帯状図形の開口部を間隔を空けて噛み合わせるように組み合わせた図形において共通するとしても、上記の相違により、構成全体としてそれぞれから受ける印象が異なるから、両商標を対比観察した場合はもとより、時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上、十分に区別し得るものであり、互いに紛れるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標と引用登録商標とは、外観上類似するものとはいえない。
また、称呼及び観念については、上記ア及びイのとおり、両者共に特定の称呼及び観念は生じないから、比較することはできない。
以上によれば、本件商標と引用登録商標とは、称呼及び観念において比較することができないとしても、外観において類似するものではないから、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
そのほか、本件商標と引用登録商標とが類似するというべき事情も見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用登録商標とは、非類似の商標であるから、本件商標の申立商品と引用登録商標の指定商品及び指定役務との類否について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知著名性について
申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、米国の法人であり、2019年5月24日付けのForbes JAPANの記事によれば、「世界で最も価値あるブランド」100社ランキングで9年連続のトップとなり、ブランド価値が前年比12%増の約2055億ドル(約22兆5100億円)となったと記載されている(甲3)。
(イ)申立人のウェブサイト、ウィキペディア及びShazam公式ウェブサイトによれば、申立人は、流れている曲を認識し、データベースと照合することで、曲名を調べることなどを可能とするアプリケーションソフトウェア「Shazam」(Shazamアプリ)を提供している(甲4?甲6)。
(ウ)ウィキペディア及びGoogle Playのウェブサイトによれば、Shazamアプリは、申立人が提供する商品のみでなく、他社製品でも使用できることが記載されている(甲5、甲7)。
(エ)Shazam公式ウェブサイト及びウィキペディアによれば、Shazamアプリは、Shazam社(2017年に申立人に買収されている。)により開発され、2002年にサービス(使用者が携帯電話からダイヤルすることで楽曲を認識させるサービス)が始まり、2004年にMusicphone社と共同で提供が開始され、2008年に無償のスマートフォン用アプリケーションとして公開され、2009年に有償版が登場したことが記載されている(甲5、甲8)。
(オ)ウィキペディア及びインターネット情報によれば、Shazamアプリに関して、2012年4月には、そのサービスが50億回使用され、200か国に2億2500万人のユーザーがいることが公表されたこと(甲5)、及び2016年9月には、Shazamアプリのダウンロード数が累計10億を超えたこと(甲9、甲10)が記載され、また、音声検索の代表的サービスの1つであることが「IT用語辞典バイナリ」に掲載されている(甲11)。
(カ)Shazamアプリは、APP ANNIEのウェブサイトのアプリダウンロードランキングにおいて、2020年11月30日時点で、「Top Apps on iOS Store,日本,ミュージック」の「無料」のカテゴリーで第8位にランキングされていること(甲12)、appios.netのウェブサイトの「Top Free iPhone Apps 400」では、2020年12月21日時点の全カテゴリーで284位にランキングされ、音楽のカテゴリーで8位であること(甲13)、APP LIVのウェブサイトにおいて、「ダウンロード おすすめアプリランキングTOP10」及び「鼻歌で曲名を検索する おすすめアプリランキングTOP10」のランキングで1位であること(甲14、甲15)が記載されている。
(キ)Shazamアプリは、「平成27年版情報通信白書」(総務省)(甲16)、平成27年11月の「次世代の知的財産システムに関する検討の背景について」(内閣官房 知的財産戦略推進事務局)(甲17)、平成29年4月の「文化審議会著作権分科会報告書」(文化審議会著作権分科会)(甲18)、及び2013年3月の「米国で成功を収めている海外企業(米国以外)の開発アプリに関する調査」(日本貿易振興機構(ジェトロ))(甲19)において、音声認識技術の使用例等として紹介されるなどしている。
(ク)Shazamアプリが、2016年10月17日付けの「Forbes JAPAN」の記事(甲20)、「情報の科学と技術」(69巻5号、2019年発行)(甲21)、及び「Repro」のウェブサイトの記事(甲22)において、「10億DLを達成し、史上最も人気の高いアプリの一つとなった」などと紹介されている。
(ケ)引用商標は、Shazamアプリのアイコン等として使用され(甲7、甲10ほか)、Shazamアプリ使用時の画面においても表示されている(甲4ほか)。
(コ)2015年に、Shazamアプリに画像認識機能が追加され、これと合わせてウォルト・ディズニー社等と提携を結んだ(甲23)。
(サ)小括
上記(ア)ないし(コ)によれば、引用商標は、申立人の業務に係る商品「Shazamアプリ」(音楽認識用のアプリケーションソフトウェア)について使用されている商標であり、インターネット関連事業において、需要者の間である程度知られているといい得るとしても、申立人の提出に係る証拠においてShazamアプリの累計のダウンロード数等の記載はあるものの、それらShazamアプリのダウンロード数や使用回数、使用者数等を裏付ける資料の提出はなく、まして、我が国におけるダウンロード数など使用実績を示す客観的な証拠は見いだせない上、我が国における市場占有率等の量的規模を把握することもできない。
また、広告宣伝活動に係る証拠についても、申立人の業務に係る商品を広告・宣伝した時期、回数及びその方法が明らかでないことなどから、引用商標の使用状況を把握することができず、引用商標の周知性を認めることができない。
その他、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 出所の混同について
引用商標は、上記ア(サ)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。
また、上記(1)ウからすれば、本件商標と引用商標とは非類似の商標であり(なお、使用商標には青色の彩色が施されたものもあるが、青色の色彩の共通性によって上記判断が左右されるものではない。)、別異のものとして認識されるといえる。
そうすると、たとえ申立商品と申立人の業務に係る商品とが、「(音楽認識用の)アプリケーションソフトウェア」という点において共通し、それらの性質、用途又は目的における関連性の程度が高く、需要者について共通性があるとしても、本件商標の申立商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すれば、本件商標は、商標権者がこれを申立商品について使用した場合に、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想、想起することはないというべきであるから、その取引者、需要者をして、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認めることはできない。
その他、本件商標が申立商品について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録異議の申立て係る指定商品についての登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1 本件商標(色彩は原本参照)


別掲2 引用登録商標


別掲3 使用商標(色彩は原本参照)


異議決定日 2021-03-30 
出願番号 商願2019-69344(T2019-69344) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W09)
T 1 652・ 271- Y (W09)
最終処分 維持 
前審関与審査官 駒井 芳子河島 紀乃 
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 小田 昌子
板谷 玲子
登録日 2020-06-30 
登録番号 商標登録第6264539号(T6264539) 
権利者 株式会社しぇあくる
商標の称呼 エス 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
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