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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W40
審判 全部申立て  登録を維持 W40
管理番号 1372935 
異議申立番号 異議2020-900223 
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-09-07 
確定日 2021-04-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第6261795号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6261795号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6261795号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年2月21日に登録出願、第40類「一般廃棄物の収集・分別及び処分,産業廃棄物の収集・分別及び処分,廃棄物の再生」を指定役務として、同年6月4日に登録査定され、同月19日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめていうときは、単に「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第5539377号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品・役務 第41類「自動車競走の企画・運営又は開催」を含む第9類、第16類、第38類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成23年11月14日
設定登録日 平成24年11月30日
2 国際登録第1087826号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品・役務 第41類「Entertainment; sporting activities;」(参考訳「娯楽の提供,スポーツの興行の企画・運営又は開催」)を含む第3類、第6類、第7類、第9類、第11類、第12類、第14類、第16類、第18類、第21類、第25類、第28類、第32類、第33類、第35類、第36類、第38類、第39類、及び第41類ないし第43類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務
国際商標登録出願日 2010年(平成22年)12月14日
優先権主張日 2010年(平成22年)6月29日(Benelux)
設定登録日 平成26年8月22日
3 国際登録第1398403号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲4のとおり
指定商品・役務 第41類「Sporting activities; entertainment;」(参考訳「スポーツの興行の企画・運営又は開催,娯楽の提供」)を含む第3類、第4類、第6類、第8類、第9類、第11類、第12類、第14類、第16類、第18類、第21類、第25類、第28類、第30類、第32類、第33類、第35類ないし第39類、及び第41類ないし第43類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務
国際商標登録出願日 2017年(平成29年)11月17日
優先権主張日 2017年(平成29年)8月14日(Andorra)
設定登録日 令和2年1月10日

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号、及び同項第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号に該当し取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第53号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号の主張
(1)申立人の表示の周知著名性
申立人は、国際自動車連盟(以下「FIA」という。)が主管し、モーター・レースの中で最高峰のレースとされるF1世界選手権、通称「F1」「Formula 1」に関する商標権を保有・管理しており、日本においても「F1」若しくは「Formula 1」の文字を含む登録商標を多数保有している。
「F1」「Formula 1」が世界で最も有名なモーター・レースを指標する商標であることは、多言を要するまでもなく、また、特許庁においても顕著な事実であると確信する。
ア F1レースの歴史
F1世界選手権いわゆる「F1(Formula 1)」は、国際的なモーター・レースのシリーズとしてFIAによって運営され、1948年にFIAが制定したレース用自動車に関する規定の下で、1950年から始まり(甲2?4ほか)、それ以来、F1世界選手権は、毎年欠かさずに開催されている。つまり、「F1(Formula 1)」は、1950年から継続して、FIA主催の人気レースのシリーズを指称するものとして、また、同レースに関連するグッズ等に係る商標として、長きに亘り使用されているものである。
「F1(Formula 1)」は、世界の様々な地域で年間約20レース程度が開催されており、2016年には21レース開催され(甲5)、2020年は新型コロナウィルスの影響で多くのレースが中止になったが、それでも17レースを開催する予定である。
また、F1レースの開催国は、欧州のほか、オーストラリア、北アメリカ、南アメリカ、アジアと世界中に及んでおり(甲5)、かかる開催地域の広範さがF1世界選手権の世界的な人気の高さを証明している。
2019年の世界全体のF1レースの視聴者数は19億2200万人に達し、また、同年には、F1のフェイスブック、ツイッター、インスタグラム、YouTubeのフォロワー数は2490万人を超え、F1のデジタルプラットフォームの総閲覧者数も10億人を超える(甲53)。
イ 日本とF1レース
日本が「F1(Formula 1)」に初めて登場したのは、1964年にホンダ・チームが参戦したときであり、同チームは翌年優勝を果たし(甲8)、その頃から、F1レースは日本でも広く知られるところとなり、日本におけるモーター・スポーツ・ファン、とりわけF1ファンの数は急伸した。
その後、1976年には日本で初のF1グランプリが開催され、1978年から日本グランプリの開催はなかったが、1987年から日本グランプリが再開され(甲2)、いわゆるF1ブームが日本に到来した(甲9)。1989年には、ザックスピード・ヤマハがF1に参戦し、翌年に同チーム所属のドライバーが日本人としては初の日本グランプリ3位入賞という快挙を成し遂げている(甲2)。
「F1」レースには、時代時代で必ず人気ドライバーが現れては、日本の大衆を楽しませ、その人気を支えてきた(甲7)。
また、周知のとおり、現在でも、日本グランプリは、毎年開催されており、その様子は民放テレビで放送され、また、各メディアにおいても大きく報道されている。
ウ 日本におけるF1レースの放送・報道
F1レースのテレビ放送については、1976年から1977年の間は、TBSが日本グランプリの中継を担当し、その後もTBSが、世界各地のF1レースの様子を1986年までダイジェスト形式で放送した(甲6)。
1987年以降は、フジテレビジョンが、日本におけるF1レースの独占中継権を獲得し、現在に至っている(甲4、10?23)。フジテレビジョンは、これまで、「F1(Formula 1)」のテレビ特番を組んだり、テレビコマーシャルを高頻度で提供したり、F1レースをテレビ観戦するためのハンドブック(甲4、11?22)を販売したりと、大々的なプロモーション活動をおこなってきた。現在においては、主に「DAZN」などのインターネットの動画配信サービスを通じて、日本においてF1レースを視聴することができる。
また、F1レースに特化した専門誌が、申立人の許諾の下に複数提供されているほか(甲7)、その他のモーター・スポーツの専門誌でもF1レースは必ず大きく特集されている(甲24、25)。
なにより、「F1(Formula 1)」は、年間10戦以上開催されているから、日本グランプリのみならず世界各国のF1レースの様子が、その都度ニュース番組、全国紙、スポーツ新聞、ソーシャルメディアその他あらゆるメディアを通じて大きく報道されており、その報道資料の数は枚挙に暇がない。
エ 「F1(Formula 1)」関連商品について
申立人は、これまで、スポンサー・パートナー・ライセンシーなどの事業提携者をして、「F1(Formula 1)」に関連する商品を、多数販売している。「F1(Formula 1)」に関連する商品は、多岐にわたり、現在、公式サイトにおいて、帽子・ティーシャツ等の被服類やスピーカー、USBメモリー、スマートフォン用ケース、レーシングカーの模型、傘など、多種多様な商品を幅広く取り扱っている(甲46)。また、近年では、2015年7月にレーシングテレビゲーム「F1 2015」が日本国内で発売されている(甲26)ほか、「F1」を題材として映画・漫画も多数存在し(甲6)、人気を博しており、さらには、F1観戦用スマートフォン用アプリが配信されるなど(甲27)、時代に合わせたF1人気拡大を常に図っている。
さらには、F1レースに参加している企業も、申立人の許諾の下に、「F1(Formula 1)」に関連する商品を独自に取り扱っており、特に、2015年にF1に復帰したホンダは「F1(Formula 1)」の文字を有するグッズを多数販売し(甲47)、また、鈴鹿サーキットの公式オンラインショップにおいても、「F1」に関連したグッズを取り扱っている。
オ 小括
特許庁は、多数の審決・決定において「F1(Formula 1)」商標の周知・著名性を認定してきた(甲28?38)結果、申立人の使用に係る商標「F1/FORMULA 1」は、J-PlatPat「日本国周知・著名商標検索」において、著名商標として掲載されている(甲39)。
さらに、広辞苑等の一般の国語辞典や、英和辞典、その他事典にも、「F1」「Formula 1」は、申立人グループが主催するモーター・レースを意味する言葉として載録されている(甲40?44)。
以上のとおり、「F1」及び「Formula 1」は、日本においては、公衆がその文字や音に接すれば、必ず申立人グループ主催に係るモーター・レースを想起するといっても過言ではない程に、広く認識されるに至っており、世界的にみても「F1」及び「Formula 1」の文字は、申立人の業務を示す以外には他に存在しない唯一無二の著名商標と評せるものである。
(2)本件商標と申立人の表示との類似性
ア 本件について考察するに、片仮名の「フライトワン」に比べて数倍の大きさで、目立つように「F1」の文字を記載している。よって、本件商標中の「F1」の語が、需要者に対して支配的な印象を与えることは明らかであり、ましてや、前述した申立人の長年の使用に係る「F1」の周知著名性を考慮すれば、当該部分が需要者に対して強く支配的な印象を与えることは自明である。
なお、「F1」の周知著名性を考慮し、本件商標のような「F1」の文字を内包する商標について、申立人の業務との混同のおそれを認定した例があり(甲31、33、37、38)、特許庁は同異議事件において、取消の決定を発している。
イ 以上のとおり、需要者が本件商標の使用に係る役務に接したときには、その構成中の「F1」から、F1レースを連想し、例えば申立人とのスポンサーシップ、パートナーシップ、あるいはタイアップ・コラボレーションなどのように申立人と経済的又は組織的に関係を有する者が、申立人グループ又はその許諾の下で役務を提供していると、誤認・混同するには充分の類似性が認められるものというべきである。
(3)混同のおそれ及びフリーライド(アンブッシュマーケティング)
「F1(Formula 1)」は、スポーツ興行を通じて広告宣伝をはかりたい各企業と公式スポンサーシップ契約ないしは公式パートナーシップ契約を締結し、それら企業が自己の商品を販売したり役務を提供したりするときに、「F1」「Formula 1」を使用することのライセンスを与えている。
また、年20回程度開催される各グランプリにも、必ず公式スポンサーや公式パートナーが付いており、スポンサーシップ契約・パートナーシップ契約のもとで、各スポンサーやパートナーは自己の商品や役務の広告に「F1」「Formula 1」を使用することができる。
メジャーかつ著名なスポーツ興行が、かかるスポンサーシップ・パートナーシップにより一部運営がなされていること、こうした著名なスポーツ興行のブランド・イメージに便乗し、あたかも当該スポーツ興行と公式スポンサーシップないしパートナーシップの関係にあるかのごとく、著名なスポーツ興行の名称やロゴを使用して営利を目論む者の出現、いわゆるアンブッシュマーケティングやフリーライドの問題が、日本のみならず世界中であとを絶たない状況であることは、特許庁において顕著な事実である。
しかして、「F1(Formula 1)」も、いわゆるアンブッシュマーケティングによる被害を受けている著名なスポーツ・ブランドのひとつであり、本件商標は、「F1」の文字が、ひと際目立つ態様で記載してなるから、本件商標が、「F1(Formula 1)」のブランド・イメージを利用して使用されることにより、需要者及び取引者は、商標権者が、申立人及びそのモーター・スポーツ興行「F1(Formula 1)」の公式スポンサーないし公式パートナーであるかのごとく誤認混同を与えるおそれが高いものであり、また、実際に商標権者は、そのようなフリーライドを目的として、本件商標を採択したことが明らかである。
かかる状況の中、本件商標のような商標の登録・使用を許せば、同じようなことを考える不正使用者や不正登録が次々と現れ、申立人及びその使用権者の営業努力の成果、つまり、申立人の使用に係る商標が獲得してきた市場における信用・評価・評判等に代表される顧客吸引力は弱められるおそれに晒される。とりわけ、申立人にとっては、スポンサーシップやライセンス・ビジネスが、重要な事業のひとつであるところ、「F1(Formula 1)」という長い歴史と高い著名性を有するブランドのイメージや信用を維持・強化するために、申立人は、厳しい規定の下、徹底したスポンサーシップ契約ないしライセンス契約のもとでスポンサーやライセンサーによる商標の使用の管理をおこなっている。
そして、申立人にとっての最大の懸念は、「F1(Formula 1)」ブランドを少しでも貶めるようなアンブッシュマーケティングが第三者によって行われることによって、申立人が長年構築してきた洗練されたブランド・イメージが著しく毀損され、「F1(Formula 1)」ブランドが稀釈化・汚染されてしまうということである。申立人は、こうした懸念を未然に防ぐために、「F1」を含むフリーライド商標に対して、毅然としてその中止を求めたり、異議申立・無効審判等を通じて取り消す対応をとったり、あるいは、新聞において「F1」「Formula 1」に関する商標の告知をおこなったりと(甲49)、その不正使用や便乗に対して、多大な費用と労力を払い続けている。
本件商標の商標権者は、F1の直下に位置する自動車レースのカテゴリーのF2に参加する日本人ドライバーのスポンサーとなり、F2の自動車レースで使用する車体・ヘルメット・スーツなどに本件商標を使用していた事実がある。したがって、明らかに、申立人の「F1」に係るブランド・イメージや信用にただ乗りするような商標が使用されていた。
「F1」「Formula 1」ブランドの信用が毀損・稀釈化されるような憂慮すべき事態は、何としても防止しなければならず、その方法が、本件異議申立により本件商標の登録を取り消すことであり、そのことが「商標の使用をする者の業務上の信用の維持」をして「需要者の利益を保護する」という法目的に適う最善の結果であることに疑う余地はない。
以上のとおり、本件商標の登録は、申立人の業務との混同のおそれ、ないし、申立人の使用に係る著名商標へのフリーライド及びダイリューションという観点から、許されるものではない。
(4)小括
以上のとおり、「F1」の文字を含み、かつその部分が強く支配的な印象を与える本件商標は、少なくとも広義の混同を惹起する、すなわち、F1レースを連想し、申立人とのスポンサーシップ、パートナーシップ、あるいはタイアップ・コラボレーションなど、当該役務があたかも申立人と経済的又は組織的な関係を有するものであって、そして、その許諾の下で提供されたものと、誤認・混同されるおそれが高いものといわねばならない。
本件商標は、商標法第4条第1項第15号に規定される「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当することが明らかである。
2 商標法第4条第1項第7号の主張
前述したとおり、本件商標の商標権者は、F1の直下に位置する自動車レースのカテゴリーのF2に参加する日本人ドライバーのスポンサーとなり、F2の自動車レースで使用する車体・ヘルメット・スーツなどに本件商標を使用していた事実があるから、本件商標の出願の経緯に社会的相当性を欠き、さらには、「F1」は世界的に著名な商標であるので、本件商標の登録を認めると、国際信義にも反する。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に規定される「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当することも明らかである。

第4 当審の判断
1 引用商標等の周知性について
(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
ア 申立人は、FIAの規定の下で1950年から始まった国際的な自動車レースであるF1世界選手権(甲2?4ほか)に関する商標権を保有する者である(甲39ほか)。
イ F1世界選手権は、1976年に初めて日本で開催され(甲2)、同年以降、日本においてテレビ放送され(甲6、23ほか)、1989年(平成元年)から1999年(平成11年)にかけてテレビ観戦用ハンドブックの販売(甲4、11?22)もされたほか、同選手権専門誌「F1速報」の発売(甲7(2012年(平成24年)発売))がされるなどした。
また、F1世界選手権は、2016年(平成28年)には21レースの開催が承認され、その開催国はオーストラリア、中国、欧州、日本などの世界各国であり(甲5)、2019年の同選手権のテレビ及びデジタルプラットフォームによる世界全体の視聴者数は約19億人、ソーシャルメディアにおけるフォロワー数は約2500万人、デジタルプラットフォームの閲覧者は10億人超とされる(甲53)。
ウ 2016年(平成28年)1月のF1世界選手権の公式グッズ販売サイト(英語表記のもの)において、商品「帽子、ティーシャツ、レーシングカー模型」等が取り扱われ、当該サイトには、色彩は異なるものの、引用商標2と酷似する態様からなる商標が表示されている(甲46)。
また、申立人の許諾の下、2016年(平成28年)1月、「Honda公式ウェア&グッズオンラインショップ」においてもF1世界選手権に関連する商品「スマートフォン用ケース」等が取り扱われており、当該「スマートフォン用ケース」には、色彩は異なるものの、引用商標2と酷似する態様からなる商標が表示されている(甲47)。その他、上記商標は、レーシングゲームに係る日本公式サイト(甲26)や2014年(平成26年)配信とみられるF1世界選手権観戦用アプリケーションソフトウェア(甲27(2016年(平成28年)1月印刷))にも表示されている。
しかしながら、引用商標1及び3(これと色彩が異なるものも含む。)については、提出された証拠において視認し得る限り、その使用は見いだせない。
エ 「F1(F-1、エフワン)」又は「Formula 1(Formula One、フォーミュラワン)」の文字については、「国際自動車連盟が構造・重量・車輪・安定性などの細目を規定する競走用自動車の最上位級」(「広辞苑第6版」2008年1月、株式会社岩波書店発行(甲40))、「モータースポーツ」の見出しの下「フォーミュラマシンは、・・・のレース専用車、と定義される。・・・国際フォーミュラは三種類あり、その頂点がF-1である。」(「情報・知識imidas1996」1996年1月、株式会社集英社発行(甲43))のように事典等に掲載されている。
また、「F1」の文字は、モータースポーツに関連する書籍・記事等において、例えば「F1レースカレンダー」(甲5)、「F1 GRAND PRIX 2015」(甲23)、「鈴鹿名レース・ベストセレクション/F1招致の難関と23回開催の実績」(決定注:「/」は改行を表す。)(甲25)のように記載され、「Formula 1」又は「F1世界選手権」を指す略称として使用されていることがうかがわれる。
(2)前記(1)の事実からすれば、引用商標2又は「F1」の文字は、F1世界選手権ないしモータースポーツとの関連において、これに係る需要者の間である程度知られているものといい得るものの、上記商標等に係る商品又は役務の取引実績や宣伝広告の実績等を裏付ける証左を見いだせないから、これが他人(申立人)の業務に係る商品又は役務を表示するものとして一般の需要者の間に広く認識されているものとまでは認めることができない。
また、引用商標1及び3が使用されている事実を示す証左は見いだせないから、両商標はいずれも他人(申立人)の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、籠文字風に表された「F1」の文字及び略三角図形並びにその下に配された「フライトワン」の文字の組み合わせからなるものである。
そして、構成中の文字部分についてみるに、「F1」の文字自体は、我が国において特定の意味合いを有する語として親しまれたものとはいえず、また、一般に、欧文字1字と数字からなる標章が商品又は役務の型番、等級等を表示するための記号、符号として類型的に取引上普通に採択されているものであることからすれば、上記文字はむしろ、それ単独では極めて簡単で、かつ、ありふれた標章というべき部分であるから、該文字よりは、出所識別標識としての称呼及び観念を生じないというのが相当である。また、構成中の「フライトワン」の文字部分よりは、該文字に相応して「フライトワン」の称呼を生じること明らかであり、当該文字が我が国において一般的に使用されている辞書等に掲載されている事実は見いだせないから、特定の意味合いを理解させるものではなく、観念は生じない。
さらに、構成中の図形部分は、直ちに特定の事物を表したものとして認識されるというべき事情は認められないから、特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。
以上からすると、本件商標は、構成中の「F1」の文字部分が単なる「F1」の文字として独立して自他役務識別標識として把握されるものではなく、構成中の「フライトワン」の文字部分に相応して「フライトワン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標
ア 引用商標1は、別掲2のとおり、太字のゴシック体で表された「F1」の文字並びに三角形及び複数の円弧図形からなる図形の組み合わせからなるものであるところ、特段の事情がない限り、前記(1)と同様の理由から、出所識別標識としての称呼及び観念を生じないというのが相当である。
そして、前記1(2)のとおり、引用商標1は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないことからしても、これより出所識別標識としての称呼及び観念は生じないといわざるを得ない。
イ 引用商標2は、別掲3のとおり、「F」及び「1」の文字を基に図案化したと思われる図形並びに「Formula 1」の文字からなるものであるところ、上記文字に相応して「フォーミュラワン」の称呼を生じるものであり、また、該文字は「【自動車】(レーシングカーの)フォーミュラ・ワン、エフワン、エフワン規格※F1とも」(「goo辞書」(甲41))と記載され、引用商標2が前記1(2)のとおり、F1世界選手権ないしモータースポーツとの関連において、これに係る需要者の間である程度知られているものといい得ることからすれば、引用商標2は、その限度で「F1世界選手権」を想起させ、当該観念を生じるものということができる。
ウ 引用商標3は、別掲4のとおり、三本の太い線を組み合わせた図形からなるところ、該図形は、直ちに特定の事物を表したものとして認識されるというべき事情は認められないから、特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。
そして、前記1(2)のとおり、引用商標3は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないことからしても、これより出所識別標識としての称呼及び観念は生じないといわざるを得ない。
(3)混同を生ずるおそれについて
前記1(2)のとおり、引用商標又は「F1」の文字は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないことに加え、引用商標は、その図案化された構成に一定程度の独創性を有するものということができるものであって、単なる「F1」の文字は、書体に特徴のない欧文字1字とアラビア数字1字であるから、その独創性は認められないものである。
また、本件商標と引用商標とを比較するに、構成中の図形の構成態様及び「フライトワン」の文字の有無において顕著に相違するものであって、両者において共通する点があるとすれば、前述のとおり把握、認識されるにすぎない「F1」の文字のみであるから、両商標の類似性の程度は極めて低いものといわなければならない。
そしてなにより、本件商標の指定役務は、前記第1のとおりであって、一般廃棄物又は産業廃棄物の収集、処分又は再生等に関する役務であるのに対し、引用商標又は「F1」の文字が使用される商品又は役務は、モータースポーツ関連の商品又は役務であることから、それらの性質、用途又は目的における関連性の程度は低く、取引者及び需要者の共通性も見いだせない。なお、それらの共通性を立証する証拠や取引の実情に係る証拠は見いだせない。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その役務が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第7号について
前記1(2)のとおり、引用商標又は「F1」の文字は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認めることができないものであり、前記2のとおり、本件商標は引用商標を連想又は想起させるものでもない。
そうすると、本件商標は、引用商標の顧客吸引力にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものであるとか、その登録を認めることが国際信義に反するなどということはできない。
そして、他に本件商標が、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くなど、商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものといえない。
4 申立人の主張について
申立人は、<1>特許庁が「F1」の周知著名性を考慮し、「F1」の文字を内包する商標について、申立人の業務との混同のおそれを認定した例があると述べ、本件商標も、これに接する需要者が申立人と経済的又は組織的に関係を有する者が、申立人グループ又はその許諾の下で役務を提供していると誤認・混同する旨、<2>本件商標の商標権者は、F2(F1の直下に位置する自動車レースのカテゴリー)に参加する日本人ドライバーのスポンサーとなり、車体などに本件商標を使用していた事実があるから、本件商標の出願の経緯に社会的相当性を欠く旨を主張する。
しかしながら、上記<1>については、当該主張に係る商標と本件商標とは、その構成及び指定商品・役務を異にするものであり、もとより、登録出願に係る具体的事案の判断においては、過去の審査・審理例等に拘束されることなく個別に判断されるべきものであるから、上記事例の存在によって、本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性の判断が左右されるものではない。また、上記<2>については、その主張によって直ちに本件商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くということはできない。
したがって、申立人の上記主張は、いずれも採用することができない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1 本件商標(色彩は原本参照)


別掲2 引用商標1


別掲3 引用商標2


別掲4 引用商標3


異議決定日 2021-03-25 
出願番号 商願2020-19123(T2020-19123) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W40)
T 1 651・ 22- Y (W40)
最終処分 維持 
前審関与審査官 渡邉 潤 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 板谷 玲子
小田 昌子
登録日 2020-06-19 
登録番号 商標登録第6261795号(T6261795) 
権利者 株式会社フライトワン
商標の称呼 エフイチ、エフワン、フライトワン、フライト 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 松尾 和子 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 角谷 健郎 
代理人 苫米地 正啓 
代理人 藤倉 大作 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 中村 稔 
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