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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0608
審判 全部申立て  登録を維持 W0608
審判 全部申立て  登録を維持 W0608
審判 全部申立て  登録を維持 W0608
審判 全部申立て  登録を維持 W0608
審判 全部申立て  登録を維持 W0608
管理番号 1372925 
異議申立番号 異議2020-900113 
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-04-23 
確定日 2021-03-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第6224207号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6224207号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6224207号商標(以下「本件商標」という。)は、「Lionladder」の文字を標準文字で表してなり、令和元年5月14日に登録出願、第6類「金属製のきゃたつ及びはしご」を含む第6類及び第8類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同2年1月9日に登録査定され、同年2月7日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標(引用商標1ないし引用商標10)は、別掲に掲げるとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
また、申立人が、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、引用商標1である。
以下、引用商標1ないし引用商標10をまとめて、「11号引用商標」という場合がある。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号、同項第16号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第23号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号
(1)本件商標は、「Lionladder」(標準文字)であり、第6類「金属製のきゃたつ及びはしご」を含む第6類及び第8類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品とするものであり、2019年5月14日に登録出願、2020年2月7日に設定登録されたものである。
本件商標の構成中の「ladder」は、「はしご、はしごに似たもの、踏み台」などを意味する(甲15,甲16)ことから、指定商品中の「金属製のきゃたつ及びはしご」はまさに「ladder」の内容を示している。「ladder」が「はしご、はしごに似たもの、踏み台、きゃたつ」を示す語であることは当業者、その分野の需要者には自明であり当然に認識されている。
そうすると、指定商品「金属製のきゃたつ及びはしご」については、「ladder」が商品の普通名称を表す部分であることから、本件商標のうち識別力を生じる部分は「Lion」である。
(2)引用商標1は、「LION」(ロゴ)の態様からなり、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料」を含む第1類、第2類、第5類ないし第12類、第14類ないし第22類、第24類ないし第28類、第31類、第34類、第35類及び第38類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として平成26年8月11日に登録出願され、同27年7月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(3)本件商標の構成中の「Lion」の部分と引用商標1の「LIONとは称呼・観念において共通であり、外観上その文字列は大文字小文字の差はあるにせよ共通である。
(4)本件商標の第6類指定商品のうち「金属製のきゃたつ及びはしご,拍車,金属製の可搬式家庭用温室,金属製建具,金庫,金属製工具箱,金網,金属製の滑車・ばね及びバルブ(機械要素に当たるものを除く。),金属製荷役用バレット,荷役用ターンテーブル,荷役用トラバーサー,金属製建造物組立てセット,建築用又は構築用の金属製専用材料」は、引用商標1の指定商品にも存在する。
本件商標の第8類指定商品のうち「組ひも機(手持工具に当たるものに限る。),くわ,鋤,レーキ(手持工具に当たるものに限る。),靴製造用靴型(手持工具に当たるものに限る。),チャコ削り器,十能,暖炉用ふいご(手持工具に当たるものに限る。),火ばし,護身棒,ピッケル,水中ナイフ,水中ナイフ保持具,パレットナイフ」は、引用商標1の指定商品にも存在する。
(5)両商標の「金属製のきゃたつ及びはしご」以外の第6類で共通する指定商品(以下「第6類残余共通商品」という。)は、いずれも「金属製のきゃたつ及びはしご」と同様の分野・業界内で製造・流通・販売等取引されるものであり、ホームセンターや量販店及び各種電子商取引サイト等でも同じもしくは近くの売り場に置いてある、あるいは同じジャンルもしくは類似ジャンルにカテゴライズされていることが多い。
つまり、本件商標の第6類残余共通商品についても、本件商標の識別力を生じる部分は、「Lion」であり、第8類の指定商品についても、第6類「金属製のきゃたつ及びはしご」と同様の分野・業界内で製造・流通・販売等取引されるものであり、ホームセンターや量販店及び各種電子商取引サイト等でも同じもしくは近くの売り場に置いてある、あるいは同じジャンルもしくは類似ジャンルにカテゴライズされていることが多いことから、第8類の指定商品についても、本件商標の識別力を生じる部分は、「Lion」である。
(6)本件商標の指定商品中「金属製屋外用ブラインド」は、引用商標2の指定商品第22類「日よけ,雨覆い,天幕,日覆い,よしず」とは、商品類似であり、「金属製植物の茎支持具」は、引用商標3の指定商品第20類「植物の茎支持具」が商品類似であり、本件商標の指定商品中「ワイヤロープ」は、引用商標4の指定商品第6類「ワイヤロープ」が商品類似であり、本件商標の指定商品中「金属製金具」は、引用商標5の指定商品第20類「プラスチックを主材とした耐震用固定具」が商品類似である。
また、本件商標の指定商品中「ピンセット」は、引用商標6の指定商品第10類「化学物質を塗布してなるシート状の患部用保温保冷具,熱をとるシート状の患部用保冷具,皮膚面貼付用冷却シート,おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),家庭用電気マッサージ器,耳かき」が商品類似であり、本件商標の指定商品中「電気アイロン」は、引用商標7の指定商品第7類「家庭用超音波洗浄器」が商品類似である。
さらに、本件商標の指定商品中「電気かみそり及び電気バリカン,エッグスライサー(電気式のものを除く。),かつお節削り器,缶切,スプーン,チーズスライサー(電気式のものを除く。),ピザカッター(電気式のものを除く。),フォーク,ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット」は、引用商標8の指定商品第21類「清掃用具及び洗濯用具,ようじ,化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。),電気式歯ブラシ,デンタルフロス,軽便用靴クリーナー」が商品類似であり、本件商標の指定商品中「手動利器」は、引用商標9の指定商品第8類「手動利器」が商品類似であり、本件商標の指定商品中の「手動工具」は、引用商標10の指定商品第8類「げんのう,つち,ハンマー,ねじ回し類,こて,万力,やっとこ類,つるはし類,ショベル類,すみつぼ類」が商品類似である。
本件商標の指定商品中の前記の指定商品についても、「金属製のきゃたつ及びはしご」と同様の分野・業界内で製造・流通・販売等取引されるものであり、ホームセンターや量販店及び各種電子商取引サイト等でも同じもしくは近くの売り場に置いてある、あるいは同じジャンルもしくは類似ジャンルにカテゴライズされていることが多いことから、これらの指定商品についても、本件商標の識別力を生じる部分は、「Lion」である。
(7)本件商標の構成中の「Lion」と引用商標は、称呼・観念類似である。
2 商標法第4条第1項第15号
本件商標は、引用商標1の指定商品と非類似の商品、すなわち、第6類「金属製屋外用ブラインド,金属製植物の茎支持具,ワイヤロープ,金属製金具」、第8類「ピンセット,電気アイロン,電気かみそり及び電気バリカン,手動利器,エッグスライサー(電気式のものを除く。),かつお節削り器,缶切,スプーン,チーズスライサー(電気式のものを除く。),ピザカッター(電気式のものを除く。),フォーク,ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット」について、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生じる。
本件商標は申立人の著名な商標「LION」(甲2)と「ladder」との結合商標であり、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、商品の出所の混同を生ずるおそれがあるものである。
申立人の商標「LION」(甲2)が本件商標の指定商品分野及びその関連商品分野で著名であることは、長年の業務による信用化体、所有する他の登録商標の数、防護標章登録(甲22)及び日本国周知・著名商標登録(甲23)からして明白である。
「LION」の商標は、申立人が江戸時代から業務を積み重ねてきた結果の業務上の信用が化体したものであり、日本国内では全国的に文房具・オフィス家具については「LION」といえば株式会社ライオン事務器の商品であると誰もが認識するほど周知著名である(甲14、甲21)。
甲第21号証の200年史では「ライオン」に関する商標が明治10年頃から使用されるようになり、以来今日まで「ライオン」ブランドが使用され浸透してきたことが記載されている。
3 商標法第4条第1項第16号
本件商標は、第6類「金属製のきゃたつ及びはしご」以外の指定商品は、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある)。
上述のように「ladder」は「はしご、はしごに似たもの、踏み台」などの意味を有する(甲15、甲16)。
この商品分野の当業者には「ladder」が「はしご」等の意味を有することはヨドバシカメラの通販サイトである「ヨドバシ.com」での商品紹介(甲17)、楽天市場での商品紹介(甲18、甲19)でも、「ラダー」、「LADDER」の語が自然に多数使用されていることから、当業者は「ラダー」、「ladder」といえば「はしご、はしごに似たもの、踏み台、きゃたつ」のことであると理解するものである。
4 商標法第4条第1項第19号
本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものである。
この規定の趣旨は「全国的に著名な商標について出所の混同のおそれがなくても出所表示機能の希釈化から保護することを目的とする」(特許庁編・工業所有権法逐条解説[第20版](甲20))ことである。
不正の目的」の想定例として、前記工業所有権法逐条解説[第20版]では「日本国内で商品の分野を問わず全国的に知られているいわゆる著名商標と同一又は類似の商標について、出所の混同のおそれまではなくても出所表示機能を稀釈化させたり、その名声を毀損させる目的をもって出願した場合」とある。
「LION」の商標は、申立人が江戸時代から業務を積み重ねてきた結果の業務上の信用が化体したものであり、日本国内では全国的に文房具・オフィス家具については「LION」といえば株式会社ライオン事務器の商品であると誰もが認識するほど周知著名であり、このことは、防護標章登録(甲22)及び日本国周知・著名商標登録(甲23)からして明白である。
甲第21号証の200年史では「ライオン」に関する商標が明治10年頃から使用されるようになり、以来今日まで「ライオン」ブランドが使用され浸透してきたことが記載されている。
本件商標は、語頭が「Lion」でありその後に「ladder」という商品普通名称が続く語であるため、識別力があり需要者に目立ちやすい「Lion」の存在により株式会社ライオン事務器の出所表示機能を稀釈化させることは間違いない。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に違反するものである。
5 むすび
前記したとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第16号及び同項第19号の規定に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

第4 当審の判断
1 引用商標1の周知性・著名性について
(1)申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、文房具及びオフィス家具について、「LION」の欧文字を横書きしてなる引用商標1を使用している(甲14、甲21)。
イ 申立人は、「『LION』の商標は、申立人が江戸時代から業務を積み重ねてきた結果の業務上の信用が化体したものであり、日本国内では全国的に文房具・オフィス家具については『LION』といえば株式会社ライオン事務器の商品であると誰もが認識するほど周知著名である」旨を主張するとともに、株式会社ライオン事務器のウェブサイトの写しと会社案内(甲14、甲21)を提出しており、同社が1792年(寛政4年)に創業され、2016年(平成28年)に至るまでの同社の事業活動及び同社の取り扱う商品や同社の商標の変遷の紹介がされている。
ウ 申立人は、昭和5年1月31日に設定登録された登録第213080号商標に係る防護標章登録第2号を有している(甲22)。
エ 登録第1565592号商標は、「日本国周知・著名商標検索」(甲23)として掲載されている。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、申立人の業務に係る文房具及びオフィス家具について、引用商標1が長年使用されていることは認められる。
しかしながら、申立人が提出した全証拠を確認しても、引用商標1の具体的な使用開始時期が不明であること、引用商標1が使用された商品についての売上高、市場シェアなどの販売実績並びに引用商標1に係る広告宣伝の費用、方法、回数及び期間などについては、その事実を量的に把握することができず、引用商標の周知性・著名性を証明する証拠は、株式会社ライオン事務器のウェブサイトの写しと会社案内(甲14、甲21)、昭和5年1月31日に設定登録された登録第213080号商標に係る防護標章登録第2号(甲22)及び「日本国周知・著名商標」として掲載された登録第1565592号商標(甲23)が存在することのみである。
そして、防護標章登録の原登録である登録第213080号商標は、だ円図形内に左向きのライオン様の図形とその下に「LION」の文字を配してなるものであり(甲22)、引用商標1の「LION」の文字からなる商標とは商標の構成が同一ではない。
また、登録第1565592号商標が、「日本国周知・著名商標検索」(甲23)に掲載されているとしても、そのことのみをもって、引用商標1が、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されていたと客観的に把握することはできない。
そうすると、引用商標1は、申立人が提出した全証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、「Lionladder」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、本件商標の構成中、後半の「ladder」の文字が、「はしご」(小学館 プログレッシブ英和中辞典)の意味を有する英単語として、辞書に掲載されているとしても、当該文字が、直ちに特定の意味合いを有する英語として、一般に親しまれているということはできないものである。
また、本件商標の構成文字は、同じ書体で、等間隔に、空白なく表されており、第1文字目のみを大文字で表し、その他の文字を小文字で記載されていることから、本願商標は、全体として、横一列にまとまりよく一体的に構成されているものといえる。
そして、本件商標の構成文字に相応して生じる「ライオンラダー」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、その構成中の「Lion」の文字が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではなく、構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、「ライオンラダー」の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標1、引用商標4、引用商標6ないし引用商標9について
引用商標1、引用商標4、引用商標6ないし引用商標9は、いずれも「LION」の欧文字を横書きしてなり、当該文字は「獅子」を意味する語として一般に親しまれているものであるから、これらより、「ライオン」の称呼及び「獅子」の観念が生じる。
(3)引用商標2
引用商標2は、「LION」、「ライオン」、「らいおん」及び「獅子」の各文字を四段に横書きしてなり、二段目の片仮名と三段目の平仮名は、一段目の「LION」の欧文字の読みを表したものと容易に理解されるものであり、四段目の「獅子」の漢字は、「LION」の欧文字の日本語での意味合いを表したものと一般に親しまれているものであるから、これらより、「ライオン」の称呼及び「獅子」の観念が生じる。
(4)引用商標3
引用商標3は、「LION OFFICE PRODUCTS」の欧文字を横書きしてなるところ、これは、辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから、特定の意味合いを想起させるものではなく、一種の造語として理解されるものである。
そうすると、引用商標3は、構成文字に相応して、「ライオンオフィスプロダクツ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというのが相当である。
(5)引用商標5、引用商標10
引用商標5及び引用商標10は、別掲1(5)及び別掲1(10)のとおり、いずれも円弧内に、ライオンの図形と「LION」の欧文字とを横書きしてなるところ、構成中のライオンの図形及び「LION」の欧文字から、「ライオン」の称呼及び「獅子」の観念が生じる。
(6)本件商標と11号引用商標との類否について
ア 外観
外観においては、本件商標と、11号引用商標とをそれぞれ比較すると、両者の外観は、明確に区別し得るものであって、相紛れるおそれのないものである。
イ 称呼
称呼においては、本件商標から生じる「ライオンラダー」の称呼と、引用商標1及び引用商標2、引用商標4ないし引用商標10から生じる「ライオン」の称呼とを比較すると、両称呼は、構成音数が相違し、かつ、「ラダー」の音の有無に顕著な差異を有することから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が異なり、相紛れるおそれのないものである。
また、本件商標から生じる「ライオンラダー」の称呼と、引用商標3から生じる「ライオンオフィスプロダクツ」の称呼を比較すると、両称呼は、構成音数が相違し、かつ、「ラダー」又は「オフィスプロダクツ」の音に顕著な差異を有することから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が異なり、相紛れるおそれのないものである。
ウ 観念
観念においては、本件商標からは特定の観念を生じないものであるところ、引用商標1及び引用商標2、引用商標4ないし引用商標10からは「獅子」の観念を生じるものであるから、観念上、両者は相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標と引用商標3とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較できないものである。
エ まとめ
そうすると、本件商標と11号引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない別異の商標というべきである。
(7)本件商標の指定商品と11号引用商標の指定商品又は指定役務との類否について
11号引用商標の指定商品は、本件商標の指定商品と、同一又は類似する商品を含むものである。
(8)小括
以上によれば、本件商標の指定商品が、11号引用商標の指定商品と同一又は類似するとしても、本件商標と11号引用商標は非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 第4条第1項第15号該当性について
(1)前記1のとおり、引用商標1は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。
(2)前記2のとおり、本件商標は、引用商標1と相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異のものというべきである。
そうすると、本件商標は、本件商標の商標権者がこれをその指定商品について使用しても、需要者をして引用商標1を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
(3)その他、本件商標が、引用商標1と、出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、その構成中の「ladder」の文字が「はしご」の意味を有する英単語として、辞書に掲載されているとしても、前記第2のとおり、本件商標は、構成全体をもって不可分一体の造語を表したと認識されるものであるから、本件商標をその指定商品のいずれについて使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
前記1のとおり、引用商標1は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。
また、本件商標は、引用商標1と相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異のものである。
そして、本件商標が、引用商標1の名声などにただ乗りする、引用商標1の出所表示機能を希釈化させるなど不正の目的をもって使用をするものであることを示す証拠の提出はなく、職権で調査するも不正の目的をもって使用するとの事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号、同項第16号及び同項第19号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲 引用商標1ないし引用商標10
(1)登録第5775735号(引用商標1)(甲2)
商標の構成:「LION」の欧文字を横書きしてなる商標
登録出願日:平成26年8月11日
設定登録日:平成27年7月3日
指定商品及び指定役務:第1類、第2類、第5類ないし第12類、第14類ないし第22類、第24類ないし第28類、第31類、第34類、第35類及び第38類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
(2)登録第2711306号(引用商標2)(甲3)
商標の構成:「LION」、「ライオン」、「らいおん」及び「獅子」の各文字を四段に横書きしてなる商標
登録出願日:平成4年2月25日
設定登録日:平成7年11月30日
書換登録日:平成18年5月31日
指定商品:第6類、第14類、第19類、第20類、第22類、第24類及び第27類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(3)登録第2282474号(引用商標3)(甲4)
商標の構成:「LION OFFICE PRODUCTS」の欧文字を横書きしてなる商標
登録出願日:昭和63年10月12日
設定登録日:平成2年11月30日
書換登録日:平成13年11月14日
指定商品:第4類ないし第6類、第8類、第10類、第11類、第14類、第16類、第18類ないし第21類、第24類及び第26類ないし第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(4)登録第1975852号(引用商標4)(甲5)
商標の構成:「LION」の欧文字を横書きしてなる商標
登録出願日:昭和60年5月27日
設定登録日:昭和62年8月19日
書換登録日:平成19年8月1日
指定商品:第6類、第17類、第18類及び第20類ないし第22類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(5)登録第4026607号(引用商標5)(甲6)
商標の構成:以下のとおり



登録出願日:平成7年3月31日
設定登録日:平成9年7月11日
指定商品:第20類「プラスチックを主材とした耐震用固定具」
(6)登録第5492801号(引用商標6)(甲7)
商標の構成:「LION」の欧文字を横書きしてなる商標
登録出願日:平成23年12月16日
設定登録日:平成24年5月11日
指定商品:第10類及び第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(7)登録第5937465号(引用商標7)(甲8)
商標の構成:「LION」の欧文字を横書きしてなる商標
登録出願日:平成28年5月11日
設定登録日:平成29年3月31日
指定商品:第7類「家庭用超音波洗浄器」
(8)登録第4553132号(引用商標8)(甲9)
商標の構成:「LION」の欧文字を横書きしてなる商標
登録出願日:平成12年10月5日
設定登録日:平成14年3月22日
指定商品:第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(9)登録第4939892号(引用商標9)(甲10)
商標の構成:「LION」の欧文字を横書きしてなる商標
登録出願日:平成17年8月19日
設定登録日:平成18年3月24日
指定商品:第8類「手動利器」
(10)登録第2381271号(引用商標10)(甲11)
商標の構成:以下のとおり



登録出願日:昭和55年8月6日
設定登録日:平成4年2月28日
書換登録日:平成14年9月18日
指定商品:第8類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品



異議決定日 2021-02-25 
出願番号 商願2019-68250(T2019-68250) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W0608)
T 1 651・ 272- Y (W0608)
T 1 651・ 262- Y (W0608)
T 1 651・ 261- Y (W0608)
T 1 651・ 263- Y (W0608)
T 1 651・ 222- Y (W0608)
最終処分 維持  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 豊田 純一
山根 まり子
登録日 2020-02-07 
登録番号 商標登録第6224207号(T6224207) 
権利者 イーストウェスト エレクトロニック コマース カンパニーリミテッド
商標の称呼 ライオンラダー、ライオン 
代理人 松浦 憲三 

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