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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W43
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W43
審判 査定不服 外観類似 登録しない W43
管理番号 1372902 
審判番号 不服2020-7845 
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-08 
確定日 2021-04-01 
事件の表示 商願2018-143594拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第43類「ハンバーグ料理の提供」を指定役務として、平成30年11月20日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4754831号商標(以下「引用商標」という。)は、「ヒッコリー」の片仮名を横書きしてなり、平成15年7月25日に登録出願、「飲食物の提供」を含む第43類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同16年3月12日に設定登録、その後、同25年11月5日に更新登録され、現在も有効に存続するものである。

第3 当審の判断
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおり、半割の切り株状図形の上部に「HAMBURG RESTAURANT」の欧文字を円弧状に表し、その内側に「HICKORY」の欧文字を円弧状に大きく太く顕著に表し、さらにその内側にフォークとナイフのシルエット状の図形を交差してなるものである。
本願商標の構成中、上記した各図形部分は、特定の事物を表すものとして知られているような事情も見いだせないことから、特定の称呼や観念が想起されるとは認め難いものである。
また、本願商標の構成中、「HAMBURG RESTAURANT」の文字部分は、原審で説示したとおり、また、請求人も自認するとおり、「ハンバーグを提供するレストラン」の意味を看取させる文字として広く用いられていることから、本願の指定役務との関係においては、役務の提供の場所を表示する語として理解、把握されるにとどまるものであって、自他役務の識別標識としての機能を有しないものであるから、当該文字部分よりは出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというのが相当である。
一方、本願商標の構成中、大きく太く顕著に表された「HICKORY」の文字部分は、「ヒッコリー≪特に北米産のクルミの類。」(ベーシックジーニアス英和辞典(株式会社大修館書店))の意味を有する英単語を大文字表記したものであって、本願商標の指定役務の質等を表す語ではないことから、当該文字に相応して、「ヒッコリー」の称呼を生じ、また、「北米産のクルミの類」の観念が生じるものである。
そして、本願商標の構成中、各図形部分及び各文字部分は、互いに接することなく、視覚的に明確に分離して認識できること、及び観念的に密接な関連性を有しているなど、両者を不可分一体のものとして把握しなければならない特段の事情は見いだせないことから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものとはいえない。
これらの事情を勘案すると、本願商標は、その各文字部分と各図形部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認めることはできず、また、上述のとおり、「HAMBURG RESTAURANT」の文字部分は、自他役務の識別標識としての機能を有しないものであるのに対し、「HICKORY」の文字部分は、「ヒッコリー」の称呼を生じ、また、「北米産のクルミの類」の観念が生じるものであるから、その構成中、「HICKORY」の文字部分は独立して出所識別機能を有する要部の一であるというべきである。
してみると、本願商標は、その構成中、「HICKORY」の文字部分を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、本願商標は、その要部である「HICKORY」の文字部分に相応して、「ヒッコリー」の称呼を生じ、また、「北米産のクルミの類」の観念が生じるものである。
2 引用商標
引用商標は、上記第2のとおり、「ヒッコリー」の片仮名を横書きしてなるところ、当該文字は、「北米産のクルミの類」の意味を有する「hickory」の英単語の表音を片仮名で表したもの(同掲書)と認められることから、その構成文字に相応して「ヒッコリー」の称呼を生じ、また、「北米産のクルミの類」の観念が生じるものである。
3 本願商標と引用商標の類否
本願商標と引用商標は、それぞれ上記1及び2のとおりの構成よりなるところ、その全体の外観構成において相違するものの、本願商標の要部である「HICKORY」の文字部分と、引用商標を比較すると、両者は欧文字と片仮名の差異があるとしても、いずれも一般的に使用されている書体をもって表されており、商標の構成文字を同一の称呼の生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することが一般的に行われていることからすると、それぞれの文字を置き換えたものとして、取引者、需要者に無理なく認識されるものであるから、かかる文字種の相違が出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいえないものである。
そして、両者は、「ヒッコリー」の称呼、及び「北米産のクルミの類」の観念を共通にするものである。
以上からすると、本願商標と引用商標は、称呼及び観念を共通にするものであり、称呼及び観念を共通にすることによる類似性を凌駕するほどの外観上の顕著な差異を有するとはいえないものであるから、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標とを同一又は類似する役務に使用したときは、取引者、需要者をして、役務の出所について混同を生ずるおそれがある類似の商標というのが相当である。
(2)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願商標の指定役務「ハンバーグ料理の提供」は、引用商標の指定役務中、「飲食物の提供」に含まれる役務であるといえるから、本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似するものである。
(3)小括
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、引用商標の指定役務と同一又は類似する役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)請求人の主張について
請求人は、本願商標の構成中、「HICKORY」の文字の表音である「ヒッコリー」は、「クルミ科の落葉高木。北アメリカを中心に約20種が分布。材は、粘り強く、家具・スキー板などに使用。果実は食用。」を意味する語として知られ、甲第2号証に示すインターネット情報(a)ないし(k)(以下、単に(a)、(b)、(c)、のように記載する。)のように、飲食物の提供を行う業界においては、燻製材料の一種を指す語として広く用いられている実情が伺えることからすると、本願商標中、「HICKORY」の文字自体は、「燻製材料」程の意味を看取させる文字として用いられるものであり、本願商標の指定役務との関係においては、単に役務の提供の用に供する物を表示するにすぎないといえるから、自他役務識別標識としての機能を果たし得るものではない旨、及び、本願商標中、半割の切り株の図形、及び「HAMBURG RESTAURANT」によって表された切り株の上部輪郭図形よりなる図形部分(以下「複合図形部分」という。)は、本願商標の面積の半分以上を占めており、また、切り株の上部輪郭図形を除いたとしても、半割の切り株の図形だけで本願商標の面積の約半分を占めていること、さらに、図形を含む商標は、一般に、図形によって取引者、需要者の注意を引き、その意味・内容が需要者、取引者に視覚的に伝達されることが少なくないものであることを併せ考えると、複合図形部分は、本願商標に接する需要者、取引者に対して強い印象、記憶、連想を与える部分であるといえるから、本願商標において、自他役務識別標識として機能する部分は、複合図形部分にあるといえる旨主張する。
しかしながら、本願商標の構成中、「HICKORY」の文字は、上記1のとおり「北米産のクルミの類」の意味を有する英単語であるところ、請求人提出の甲第2号証をみるに、(c)の飲食物の提供の役務に関する情報において、提供する飲食物のメニューにおける素材の一に「ヒッコリー」が使用されている例があり、また、(d)の飲食物の提供の役務に関する情報において、提供する飲食物のメニューとは直接関連しない、料理の素材の説明の文章中に「ヒッコリー」の記載の例があるものの、それ以外の(a)、(b)、(e)ないし(k)は、いずれも、本願商標の指定役務における取引の実情を示したものとはいえないため、「HICKORY」あるいは「ヒッコリー」の文字が本願商標の指定役務である「ハンバーグ料理の提供」の質等を表示するものとすべき事実を立証する証拠とはいえないものである。また、当審における職権調査においても、本願商標の指定役務について、「HICKORY」の語が役務の質等を表すものとして、取引上一般に使用されている事実を発見することはできない。さらに、本願商標は、上記1のとおり、その構成中、各図形部分及び各文字部分ともに、互いに接することなく、視覚的に明確に分離して認識できること、及び、各図形部分と各文字部分とが観念的に密接な関連性を有しているなど、両者を不可分一体のものとして把握しなければならない特段の事情は見いだせないことから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものとはいえない。そして、本願商標の構成中「HAMBURG RESTAURANT」の文字部分は、自他役務の識別標識としての機能を有しないものである。これらの事情を総合すると、本願商標は、各文字部分と各図形部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認めることはできないものである。そうすると、仮に、本願商標の構成中、複合図形部分が、自他役務の識別標識としての機能を有する要部になり得るとしても、そのことによって、「HICKORY」の文字部分が、独立して出所識別機能を有する要部の一であるという、上記認定が左右されるものではない。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
(5)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲(本願商標)


審理終結日 2021-01-25 
結審通知日 2021-01-26 
審決日 2021-02-15 
出願番号 商願2018-143594(T2018-143594) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W43)
T 1 8・ 262- Z (W43)
T 1 8・ 263- Z (W43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎宮崎 愛 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 杉本 克治
庄司 美和
商標の称呼 ハンバーグレストランヒッコリー、ハンバーグレストラン、ヒッコリー 
代理人 特許業務法人あいち国際特許事務所 

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