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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z30
管理番号 1372852 
審判番号 取消2019-300401 
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-05-28 
確定日 2021-01-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第4436896号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第4436896号商標の指定商品中,第30類「米」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4436896号商標(以下「本件商標」という。)は,「白川水源」の文字を標準文字で表してなり,平成11年9月14日に登録出願,第30類「米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン」を指定商品として,同12年12月1日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,令和元年6月13日であり,当該登録前3年以内の期間である平成28年6月13日ないし令和元年6月12日までの間を,以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中「米」(以下「請求に係る指定商品」という。)について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証について
ア 被請求人は,乙第1号証には「白川水源の米」と表記されており,「白川水源」の後に続く「の米」,「のお米」の付記部分は指定商品「米」に対して社会通念上「白川水源」の商標と実質的に同一ということができると述べている。
イ 「白川水源の米」の表記について
一般的に商標の解釈として「白川水源の米」とは,白川水源という場所,あるいは白川水源という水の名所で作られた米,あるいはそのような場所で売られている米等の意味を有する。
このように同じ「米」であっても特にその米の出身地や米に関連する地を付記することにより単なる普通名称の「米」から「特定の生産地等を表す米」の意味を有した特有米の意義を有することになる。
例えば,全国に数ある祭りの名称でもある「山笠」についても「博多」という地名が付記されて「博多山笠」と表記されると,「山笠」祭の中でも伝統的な祭りである「博多山笠」という独特の観念を想起させるものになり,「山笠」と「博多山笠」とは観念的に非類似の商標となる。
本件商標の「白川水源」と「白川水源の米」とは,このような実例からみても観念上,非類似の商標であると解釈することができ,需要者にとっても出所混同を生起する商標ではない。
更には乙第1号証の米製品の商標は,袋中央に表記された「はくすい」の文字であり,傍記された「白川水源の米」はこの「はくすい」の商標の付された米が「白川水源で収穫された米」であることを説明表示したにすぎないものであり,仮に「白川水源の米」が商標として把握されるとしてもその観念は商標「はくすい」の米が「白川水源」の地で収穫された米を説明的に表記したものであり,単なる「白川水源」を書した本件商標とは非類似である。
したがって,「白川水源の米」の表記があっても本件商標を使用したことにはならない。
(2)乙第2号証について
同号証は南阿蘇村の物産館に関するホームページの写しであるが,このホームページに表記されているのは「大自然のお土産」の表題のもとに「名水百選白川水源」の表記と共に「南阿蘇のお米はくすい米」の表記がある。
ここでも「はくすい米」が南阿蘇村生産の米を表す商標であることは理解できるが,「白川水源」の商標を使用表示した米商品は一切開示されていない。
(3)乙第3号証について
同号証には,やはり「南阿蘇のお米」としての商標として「はくすい米」が使用されていることがわかるが,乙第1号証と同様に「はくすい」の表記の米商品包装袋に「白川水源の米」の表記が見られる。これが米の産地の説明を表したものであることは前述のとおりであり,本件商標の使用実績は見られない。
乙第3号証のホームページの写し中,「阿蘇の肥沃な土地と白川水源のミネラル豊富な美味しい湧水を使い丹精込めて育て上げた,まじりっけなしの『白水米』。」との説明文がある。
すなわち,「白川水源の米」は南阿蘇の生産米の生産地である白川水源で作られた米であることを表しており,したがって「白川水源の米」は,かかる白川水源の地で生産され米としての特定の観念を表記した標章として,単なる湧水地を表す「白川水源」とは非類似である。
(4)乙第4号証について
ア 乙第4号証の1
ここで表されている「おすすめ商品」の欄には,乙第1号証と同様の「白川水源の米」が表記されているにすぎず,本件商標の「白川水源」が使用されている実績はない。
なお,その他の記載表記にはミネラルウォーターとしての「白川水源」の表記が多く記載されているが,これらは商品が「米」ではなく「水」であり,「白川水源」の商標が水の名所いわゆる名水地の名称として周知著名であることを表している。
換言すれば,「白川水源」とは名水地として周知著名である地名と理解することができる。
だからこそ,被請求人の主張する「白川水源の米」の使用実績は,白川水源で収穫された特有の米を指称するものとして名水地の「白川水源」とは非類似の商標である。
イ 乙第4号証の2
乙第4号証の1と同様に「白川水源の米」の使用実績は本件商標とは異なっており,本件商標を使用したことにはならない。
(5)乙第5号証について
同号証も使用実績は「白川水源の米」であり,本件商標の使用実績にならないことは,前述のとおりである。
(6)以上,述べたように本件商標は使用された実績はなく,3年間不使用であり取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 「物産館自然庵」での使用
(1)本件商標権者の第三セクターが経営する「物産館自然庵」では「はくすい米」の名称で米を販売している。
乙第1号証の「はくすい米」の袋表面には,中央に縦書きで「はくすい」の文字が配置され,その右側に「阿蘇のおいしい水でつくりました」「白川水源の米」の文字が表示されている。
(2)乙第1号証の袋の裏面には販売者表示として,「物産館 自然庵」「熊本県阿蘇郡南阿蘇村白川2096-1」の記載がある。
ここで「物産館自然庵」とは,乙第2号証の物産館「自然庵」ホームページ写しに示すように,農林水産省の「地域食品商業活性化施設整備事業」の補助を受けて建設された物産館であり,旧白水村時代より引き継いで,地域農産物や農産加工品の販売などを行っている。そして「物産館自然庵」は南阿蘇村の第三セクター「株式会社あそ望の郷みなみあそ」(以下「あそ望の郷みなみあそ」という。)が運営しており,「あそ望の郷みなみあそ」は本件商標権者から本件商標の使用許諾を得ている。本件商標権者の使用許諾証明書に関しては追って提出する。
(3)本件商標は「白川水源」である。一方,使用権者により使用されている使用商標は乙第1号証の米袋の右側に黒字に白抜きで「白川水源の米」と表記されている。
また,後述の物産館自然庵ショップの商品説明個所やおすすめ商品の欄には「白川水源のお米」との表記が用いられている。
使用商標は「白川水源」までは本件商標と同一であるが,「の米」,「のお米」の部分が付記されている。
前記使用商標の使用商品は,お米の「こしひかり」であるから,商品の普通名称「米」を「・・・・の米」又は「・・・・のお米」として付記している。
したがって,「白川水源の米」,「白川水源のお米」は,指定商品「米」に対して社会通念上,「白川水源」の商標と実質的に同一ということができる。
このように,本件商標は,商品「米」について使用されていることは明かである。
(4)「物産館自然庵」では前記「はくすい米」を販売している。乙第3号証の物産館「自然庵」ホームページ写しでは「白川水源のお米はくすい米」として,乙第1号証の米袋に詰められた米の写真が掲載され,「お求めは物産館『自然庵』店頭,またはネットショップで」の記載がある。そして「自然庵通販サイトはこちら」「楽天サイトはこちら」の記載があり,それぞれのサイトにリンクしている。
(5)前記「自然庵通販サイトはこちら」のリンク先は「物産館自然庵ショップ」のホームページとなっており,各種商品を購入することができる。
前記ホームページにはInternetArchiveによるウェブ魚拓があり,日付の特定ができる。
乙第4号証の1は2018年3月27日付のウェブ魚拓である。
前記魚拓では,おすすめ商品の欄1段目に「【新米】平成29年産白川水源のお米はくすい2kg(コシヒカリ)1,200円(内税)」「【新米】平成29年産白川水源のお米はくすい5kg(コシヒカリ)2,700円(内税)」「【新米】平成29年産白川水源のお米はくすい10kg(コシヒカリ)4,900円(内税)」の記載があり,乙第1号証の米袋に詰められた米の写真が掲載されている。
次に,乙第4号証の2は2018年12月28日付のウェブ魚拓である。
前記魚拓では,おすすめ商品の欄1段目に「【新米】平成30年産白川水源のお米はくすい2kg(コシヒカリ)1,200円(内税)」「【新米】平成30年産白川水源のお米はくすい5kg(コシヒカリ)2,700円(内税)」「【新米】平成30年産白川水源のお米はくすい10kg(コシヒカリ)4,900円(内税)」の記載があり,乙第1号証の米袋に詰められた米の写真が掲載されている。
(6)これらより,少なくとも2018年3月27日及び同年12月28日に,本件商標を使用した米が,「物産館自然庵ショップ」のホームページに販売のために表示されていたことがわかる。
2 ふるさと納税の御礼品としての使用
乙第1号証の米袋に詰められた米は南阿蘇村へのふるさと納税に対する御礼品としても使用されている。
ふるさと納税サイト「さとふる」の熊本県南阿蘇村のお礼品ページでは南阿蘇村の農産物等が御礼品として記載されているが,これの2018年11月18日付ウェブ魚拓(乙5)では,乙第1号証の米袋に詰められた米の写真と共に「はくすい米2kg×3袋」(3段目)「はくすい村炊飯セット」(8段目)「南阿蘇村産『はくすい米』こしひかり(白米)10kg×2袋」(9段目)の記載があり,本件商標を使用した米がふるさと納税の御礼品として頒布されていたことがわかる。

第4 審尋及び被請求人の回答
1 審尋
審判長は,令和2年8月18日付け審尋において,被請求人に対し,被請求人が提出した証拠によっては,被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解及び請求人提出の令和元年9月30日付け審判事件弁駁書に対する回答を求めた。
2 被請求人の回答
被請求人は,上記1の審尋に対し,令和2年9月25日付け上申書において,「本件商標権者からの使用許諾を示す書類の取り寄せに時間を要するため,2週間程度の猶予を頂きたい。」旨上申するが,その後応答していない。

第5 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(1)米袋を写した写真(乙1)には,表面に「阿蘇のおいしい水でつくりました」「白川水源の米」「はくすい」「南阿蘇村産/こしひかり」「10kg」の記載があり,裏面の「名称」の欄に「精米」,「原料玄米」の欄に「単一原料米 熊本県南阿蘇村」の表示と「平成30年産こしひかり」のシールが貼られている。また,販売者の欄に「物産館 自然庵」とその住所及び電話番号が表示されている。
(2)南阿蘇村物産館「自然庵」のウェブサイト(乙2)には,「大自然のお土産」の項に「南阿蘇のお米 はくすい米」の表示がある。同ウェブサイト(乙3)には,「白川水源のお米 はくすい米」として,上記米袋を写した写真の表面と同一と認められる米袋の写真が掲載されている。
(3)「物産館 自然庵ショップ」のウェブサイト」(乙4の1,平成30年3月27日にウェイバックマシンに記録保持)には,「【新米】平成29年産 白川水源のお米 はくすい2kg(5kg,10kg)」の記載と3枚(2kg,5kg,10kg)の米袋の写真が掲載されている。また,同ウェブサイト(乙4の2,平成30年12月28日にウェイバックマシンに記録保持)には,「【新米】平成30年産 白川水源のお米 はくすい2kg(5kg,10kg)」の記載と3枚(2kg,5kg,10kg)の米袋の写真が掲載されている。
2 判断
(1)使用者について
被請求人は「『白川水源の米』の文字が表示された『はくすい米』を販売する『物産館自然庵』は本件商標権者の第三セクター『あそ望の郷みなみあそ』が運営しており,『あそ望の郷みなみあそ』は本件商標権者から本件商標の使用許諾を得ている。」旨主張している。
しかしながら,上記第4の2のとおり,本件商標権者からの使用許諾書は提出されておらず,「物産館 自然庵」を「あそ望の郷みなみあそ」が運営している証拠も提出されていない。
そうすると,あそ望の郷みなみあそは,本件商標の通常使用権者であるとは認められないから,通常使用権者が本件商標を使用しているものとは認められない。
(2)使用商品及び使用時期について
被請求人が本件商標の通常使用権者が本件商標を使用しているとする商品は,上記1(1)のとおり,商品写真には「白川水源の米」「精米」の文字があるから,本件審判請求に係る商品「米」であると認められる。また,「物産館 自然庵ショップ」のウェブサイトに商品「米」が掲載された平成30年3月27日及び同年12月28日は要証期間内である。
(3)本件商標と使用商標との社会通念上同一性について
ア 被請求人は,米袋(乙1)に表示された「白川水源の米」及び物産館自然庵ショップのウェブサイト(乙4の1・2)に掲載された商品「米」の説明欄の「白川水源のお米」の記載をもって,本件商標の使用と主張する。
イ そこで,米袋に表示された「白川水源の米」及び上記ウェブサイトに記載された「白川水源のお米」について検討すると,構成中の「の」の文字は,格助詞であって独立して自他商品の識別力を有するものではない。また,「お」の文字は,「広く事物に冠して,聞き手に対する丁寧の気持を表す。」の意味を有するから,独立して自他商品の識別力を有するものではない。
そして,構成中の「米」の文字は,請求に係る指定商品の普通名称を表すものと認められ,「白川水源」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を有する要部として認識,理解されるというのが相当である。
そうすると,当該米袋及び当該ウェブサイトには,「白川水源」の標章(以下「使用商標」という。)が使用されているとみるのが相当である。
本件商標は,「白川水源」の文字よりなるところ,使用商標の要部である「白川水源」の文字部分とは,構成文字を同一にするものであるから,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(4)小括
以上のとおり,「あそ望の郷みなみあそ」は,本件商標の通常使用権者であると認めることはできない。
したがって,被請求人が提出した証拠によっては,要証期間内に,本件商標の通常使用権者が,本件審判の請求に係る指定商品について本件商標の使用したことを認めるに足る事実を見いだせない。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者及び通常使用権者のいずれかが,本件審判の請求に係る指定商品についての本件商標を使用していた事実を証明したものとは認められない。
また,被請求人は,本件商標を請求に係る指定商品に使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,その指定商品中の「結論掲記の商品」について,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2020-11-24 
結審通知日 2020-11-27 
審決日 2020-12-08 
出願番号 商願平11-83308 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z30)
最終処分 成立 
前審関与審査官 吉野 晃弘 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 平澤 芳行
佐藤 松江
登録日 2000-12-01 
登録番号 商標登録第4436896号(T4436896) 
商標の称呼 シラカワスイゲン、シロカワスイゲン 
代理人 西 良久 
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