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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W18
管理番号 1371788 
審判番号 取消2019-300733 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-09-27 
確定日 2021-02-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第5805008号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5805008号商標(以下「本件商標」という。)は、「PXG」の欧文字を標準文字で表してなり、2014年9月23日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成27年1月20日に登録出願、第18類「汎用スポーツバッグ,バックパック,キャリーオールバッグ,手提げかばん,ダッフルバッグ,ゴルフ用傘,革製及び人工皮革製のバッグ,ラゲッジ,メッセンジャーバッグ,旅行用靴袋,スポーツバッグ,化粧道具入れ(中身が入っていないもの),トートバッグ,旅行かばん,傘」を指定商品として、同年11月6日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和元年10月11日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成28年10月11日から令和元年10月10日までの期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張
1 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次の2のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
2 本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について使用されていないものである。
したがって、本件商標は、取り消されるべきものである。
3 請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「乙第○号証」を「乙○」のように省略して記載する。
1 本件商標は、請求に係る指定商品中「ゴルフ用傘,ダッフルバッグ」等につき、商標権者及び通常使用権者により継続して使用されているものである。
2 被請求人について
被請求人は、著名な資産家で熱心な慈善家でもあるA氏によって、2014年9月に創業された。
被請求人製造のゴルフクラブは、2016年6月に日本総販売代理店が設置され我が国にも進出したが、初心者から上級者までの広い範囲のゴルファーたちの熱烈なる支持により、短期間で被請求人のゴルフクラブ、「PXG」の文字商標(以下「PXGマーク」という。)及び「PXG」の文字を図案化した商標(以下「PXGロゴ」という。)は周知著名となり、日本のゴルフ愛好家にも広く浸透している。
被請求人は、2019年3月16日に大阪府にドライビングレンジ(PXG OSAKA DRIVING RANGE)を開設し(乙3の2)、また、同月26日に東京において「PXG TOKYO FITTING STUDIO」での事業を開始しており、ゴルフクラブのフィッティングのサービスを主たる事業としながら、ゴルフに関連するキャディーバッグやダッフルバッグ、キャップ、バイザーその他の商品の販売も行っている(乙3の1)。
3 本件審判請求について
請求人は、産業用ギヤユニット(インダストリアル・ギヤ)やモータ、ギヤモータの分野の工業製品の製造及び販売を主たる業務としている。
これに対して、被請求人は、ゴルフクラブ等のゴルフに関連する商品の製造販売、ゴルフクラブのフィッティング、ゴルフ大会の主催等のサービスの提供を主たる業務とするものであり、両者において利害の抵触する様子は見て取れない。
請求人は、本件を含め被請求人に対しPXGマーク及びPXGロゴに係る登録商標の取消しの審判の請求を26件という大量の件数につき行っている。挙証責任を被請求人が負うことからも、答弁等の対応に被請求人は過大な精神的、経済的な負担を負っている。
本件審判請求は、商標法第50条の趣旨に反し、精神的、経済的に被請求人を害することを目的としているものといわざるを得ず、このような審判請求は権利の濫用であって却下されるべきものである。
4 使用事実の説明
被請求人の日本総代理店で通常使用権者である株式会社PXG JAPAN(以下「PXGジャパン社」という。)は、被請求人のゴルフクラブ等の販売促進のために商品カタログ(乙1の1)を発行している。ゴルフクラブ、キャップ、バイザー等にPXGマークやPXGロゴが多数使用されている。当該商品カタログの印刷の請求書(乙1の2)の発行日は2019年4月24日であり、要証期間内に発行されており、要証期間内に配布されていたことは明らかである。
被請求人の日本総代理店で本件商標の通常使用権者であるPXGジャパン社は、2019年3月19日に現在の名称に変更され、被請求人の創業者であるA氏も同日付けで取締役となっており、被請求人とPXGジャパン社が極めて密接な関係にあることが理解される(乙1の3)。
ダッフルバッグの写真(乙5の1ないし乙5の3)に関しては、撮影日は最近であるが、撮影されたダッフルバッグは流行に左右されない商品であり、要証期間内から現在に至るまで継続して販売されているものである。なお、タグ(乙5の3)には、品名「PXG“Lifted”Duffel Bag」と記載されている。これを請求書(乙6の1)と対比すると、請求書の品名部分に「PXG Lifted Duffel Bag」と記載されており、品名がほぼ同一の表示であることからして、現在販売されているものと同一の商品が要証期間内に取引されていたことが理解される。
請求書及び納品書(乙6の1ないし乙8の2)は、ダッフルバッグが納入、請求されたことを示すものであり、それらが要証期間内に行われていたことを明らかにしている。
ダッフルバッグには、PXGマーク及びPXGロゴが明らかに使用されている(乙5の1ないし乙5の3)。
なお、納品書には納入日の記載がないが、納品書は請求書と一体となり取引されるものであり、発行日の特定はないものの請求書と同日付けで発行されていることは明らかである。
ゴルフ用傘の写真(乙9の1ないし乙9の3)に関しては、撮影日は最近であるが、撮影されたゴルフ用傘はゴルフプレ一時に持ちやすい柄等の工夫がされた定番商品であり、要証期間内から現在に至るまで継続して販売されているものである。
請求書及び納品書(乙10の1及び乙10の2)は、ゴルフ用傘が納入、請求されたことを示すものであり、それらが要証期間内に行われていたことを明らかにしている。
ゴルフ用傘には、PXGマーク及びPXGロゴが明らかに使用されている(乙9の1ないし乙10の2)。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張(当事者間に争いのない事実)によれば、次の事実が認められる。
(1)PXGジャパン社は、本件商標に係る商標権者(以下、単に「商標権者」という。)の日本総代理店である(被請求人の主張)。
(2)商標権者の創業者であるA氏は、PXGジャパン社の取締役である(乙1の3及び被請求人の主張)。
(3)破線で描かれた図形が表示された「ダッフルバッグ」(以下「使用商品」という。)には、「PXG “Lifted” Duffel Bag」の欧文字を表してなる商標(以下「使用商標」という。)が記載されたタグが付されている(乙5の1ないし乙5の3)。
(4)使用商品は、PXGジャパン社から、代官山ゴルフ倶楽部、第一ゴルフ株式会社箕面北摂店及び北海道クラシックに対して納品され、それぞれ2018年(平成30年)10月29日、2019年(平成31年)3月27日及び2019年(令和元年)7月4日に代金の請求がされた(乙6の1ないし乙8の2)。
2 前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「PXG」の欧文字を標準文字で表してなるものである。
他方、使用商標は、前記1(3)のとおり、「PXG “Lifted” Duffel Bag」の欧文字を表してなるものである。
そして、使用商標は、その構成中「“Lifted” Duffel Bag」の文字部分は、その文字(語)の意味合いからして、使用商品を表したものと認められるから、出所識別標識としての要部は「PXG」の文字部分であるといえる。
そうすると、本件商標と使用商標の要部とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなるものといえるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(2)使用商品について
使用商品は、前記1(3)のとおり、「ダッフルバッグ」であるから、本件商標の指定商品中に含まれていること明らかである。
また、使用商品には、前記1(3)のとおり、使用商標が記載されたタグが付されているのだから、使用商品には使用商標が付されているといえる。
(3)使用時期について
前記1(4)のとおり、使用商品は、PXGジャパン社から、代官山ゴルフ倶楽部、第一ゴルフ株式会社箕面北摂店及び北海道クラシックに対して納品され、それぞれ2018年(平成30年)10月29日、2019年(平成31年)3月27日及び2019年(令和元年)7月4日に代金の請求がされたから、当該日又はその数日前に使用商品はそれぞれに対して納品(譲渡)されたものと推認することができる。
そして、当該日又はその数日前は、いずれも要証期間内である。
(4)使用者について
前記1(1)のとおり、PXGジャパン社は、商標権者の日本総代理店であり、また、前記1(2)のとおり、商標権者の創業者であるA氏は、PXGジャパン社の取締役である。
そうすると、商標権者とPXGジャパン社とは、密接な関係にあったということができるから、PXGジャパン社は、本件商標の使用について、商標権者から黙示の許諾を与えられていたものと推認することができる。
したがって、PXGジャパン社は、本件商標に係る通常使用権者(以下、単に「通常使用権者」という。)であるということができる。
(5)小括
以上によれば、通常使用権者であるPXGジャパン社は、本件商標の指定商品中に含まれる「ダッフルバッグ」に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付したものを代官山ゴルフ倶楽部、第一ゴルフ株式会社箕面北摂店及び北海道クラシックに対して、それぞれ要証期間内である平成30年10月29日、同31年3月27日及び令和元年7月4日頃に譲渡したと認めることができる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品・・・に標章を付したものを譲渡・・する行為」に該当する。
3 なお、被請求人は、本件審判の請求は、商標法第50条の趣旨に反し、精神的、経済的に被請求人を害することを目的としているものといわざるを得ず、権利の濫用であって却下されるべきである旨主張している。
ところで、商標法第50条において規定される商標登録の取消しの審判(以下「取消審判」という。)は、何人も請求することができるのであるから、取消審判の請求が権利の濫用となるのは、専ら被請求人を害することを目的としていると認められる場合などの特段の事情がある場合に限られるというべきである。
そして、たとえ請求人が被請求人に対し26件の取消審判を請求したとしても、このことが特段の事情に該当するとは認められず、他に、本件審判の請求が権利の濫用となるべき事情は何ら認められない。
したがって、本件審判の請求を却下することはできない。
4 まとめ
以上により、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、請求に係る商品に含まれる「ダッフルバッグ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲


審理終結日 2020-08-31 
結審通知日 2020-09-02 
審決日 2020-09-28 
出願番号 商願2015-4022(T2015-4022) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (W18)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小松 里美 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 木村 一弘
山田 啓之
登録日 2015-11-06 
登録番号 商標登録第5805008号(T5805008) 
商標の称呼 ピイエックスジイ 
代理人 中村 稔 
代理人 松尾 和子 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 石戸 孝 
代理人 藤倉 大作 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 網野 誠彦 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 網野 友康 

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