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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z25
管理番号 1371785 
審判番号 取消2019-300124 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-02-18 
確定日 2021-02-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4805259号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4805259号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成12年9月29日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同16年9月24日に設定登録され、同26年5月27日に存続期間の更新登録がされたものである。
なお、本件審判請求の登録は、平成31年3月4日にされたものであり、この登録前3年以内の期間を以下「本件要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証(枝番号含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号のすべてを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した(以下、証拠を表示する際は、「甲1」等と表記する。)。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁の要旨(弁駁書、同(2)及び同(3))
(1)本件商標を関連会社「株式会社トランス・ファー」(以下「トランス・ファー社」という。)が使用しているとの主張は、信頼性がない。
(2)被請求人は、トランス・ファー社との商標使用許諾契約書を提出しているが、使用契約と実際にその商標を使用したかは必ずしも一致するとはいえない。
(3)本件商標は、「ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」が1963年末米国マサチューセッツ州ウスター市で「スマイリー・フェイス」を創作・著作した「故ハーベイ・ボール氏」の権利を承継している。
(4)「スマイリー・フェイス」について、日本では、1970年(昭和45年)に当時の文具メーカーが、「スマイル大流行」を真似して日本で「ニコニコ・マーク」「ラブ・ピース」として大流行し、その当時から日本人では小学生からお年寄りまで知らない人はいない程に有名になっている。
(5)被請求人は、自ら「本件商標」を本格的に使用する訳でもなく、下請け企業又は特別関係先に「使用実績」を作らせ「登録商標」の権利期間の延長を目的としたもので、悪質な行為といわざるを得ない。
(6)本件審判については、日本国(特許庁)も真剣に考えるべきである。
(7)被請求人等は、20年間円満解決や共通の利益を目指す方法等について話し合いを求めたが、被請求人は「聞く耳を持たない」態度で、大企業らしからぬ対応に失望している。
交渉の過程については、甲1ないし4、甲7ないし10を参照。
(8)乙7に関し、被請求人の審判事件用のねつ造された証拠としか思えない。
(9)乙9の1?3は、内容の大部分が黒塗りで消されており、全く証拠能力がない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙10(枝番を含む。)を提出した。
1 被請求人は、トランス・ファー社に対し、本件商標についての通常使用権を許諾しているところ、同社は、本件商標を第25類「被服」について、本件要証期間に使用している。
2 請求人と実質的に同視できる財団であるハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団は、本件商標に対し別件不使用取消審判を請求しているが、本件審判の結論は、別件不使用取消審判と同様の内容とならざるを得ないものであり、本件審判に関し、別個に新たな審理を行う必要はない。
3 通常使用権者による本件商標の使用
(1)通常使用権の許諾
被請求人は、トランス・ファー社に対し、2016年(平成28年)9月1日付けで本件商標に係る通常使用権の許諾を行っている(乙5)。本契約は2017年(平成29年)3月31日まで有効であるが、それ以降も別段の意思表示がなければ、1年間同1条件で更新され、以後も同様であるから、現在も効力を有している。
(2)通常使用権者の商標の使用態様
トランス・ファー社は、本件商標を付した「被服」を販売している。 通常使用権者が製造、販売している品番「CC-62021」のセーター(以下「本件使用商品」という。)の表面には、本件商標が表されている(乙7)。
乙7は、トランス・ファー社が、平成28年の前半頃に作成した2016年(平成28年)の秋・冬用の商品のオーダーシートであるが、本件使用商品は、乙7の3葉目に21番の商品として掲載されている。
(3)本件使用商品の販売時期
トランス・ファー社は、本件使用商品を本件要証期間に販売している。この事実は、乙8の電子メール、乙9の1の合計請求書並びに乙9の2及び3の納品書によって明確に立証できる。
乙8の電子メールは、平成28年9月26日付けでファッションリンク株式会社(以下「ファッションリンク社」という。)からトランス・ファー社の担当者に送信されたものであり、乙9の1の合計請求書並びに乙9の2及び3の納品書は、本件使用商品の取引の際にトランス・ファー社からファッションリンク社に提供されたものであり、これらの証拠には、品番・品名の欄に「CC-62021 LOVEアーススマイルPO」との記載があり、平成28年10月1日及び同5日に本件使用商品が納品されたことが分かり、乙9の2の納品書は、乙8の電子メールの発注に基づき行われた納品に係るものである。
なお、乙9の2及び3の納品書に捺印はされていないが、乙9の1の合計請求書の右上のトランス・ファー社の社判と担当者の印鑑が押されていることから、実際に交付された書面である。
また、乙9の1の合計請求書、並びに乙9の2及び3の納品書には、商品のサイズや色彩に関する表記がないが、これは、ファッションリンク社が、納品伝票に、品番、数量管理のみでサイズ・色の明記はしていないことによる(乙10)。
(4)結論
以上のとおり、通常使用権者であるトランス・ファー社は、本件審判の請求に係る指定商品第25類「被服」について、本件商標を本件要証期間に使用しており、かかる事実は、被請求人が提出した証拠によって十分に立証されている。
よって、本件商標が不使用であるとする請求人の主張は失当であり、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証及び被請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)平成28年(2016年)9月1日付けの被請求人とトランス・ファー社の商標使用許諾契約書(乙5)には、該契約書の第1条(定義)の(1)に、許諾商標として、「登録番号:第4805259号」の記載があり本件商標及びその指定商品が掲載されている。また、第2条(使用権の許諾)の「1.」には、本契約に従い許諾商標の通常使用権を許諾する旨の記載がある。該契約書の最終頁の「甲」として「大阪市北区梅田2丁目5番25号 ハービスOSAKAオフィスタワー22階」及び「グンゼ株式会社」の記載、「乙」として「株式会社トランス・ファー」及び住所の記載がある。
なお、該契約書の「甲」として記載されている住所は、被請求人の大阪本社の住所と一致する(乙6)。また、本契約は2017年(平成29年)3月31日まで有効であるが、それ以降も別段の意思表示がなければ、3年を限度として、1年間同1条件で更新され、以後も同様である旨記載されている。
(2)トランス・ファー社作成の「Order Sheet CASHYAGE Ladies/2016 fall & winter collection PART2」(乙7)には、4枚目(3頁)の右の上側に「CC-62021」の表示の下、セーター(本件使用商品)の画像があり、同商品の前面には、「LOVE EARTH」の文字とその下に、円輪郭内の上部に目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、この2つの黒塗りの縦長楕円形の下に口と思しき両端上がりの弧線を描いた図形からなる商標(以下「本件使用商標」という。)が表示されている。
(3)ファッションリンク社担当者からトランス・ファー社担当者M氏へ送信したとされる電子メール(平成28年9月26日付け)(乙8)には、本文中に「早速、少量ですがオ-ダーを添付で送りますのでご確認をお願いします。全部で3型6枚です。とりあえず各1枚ですが、バイヤーは毎週出てきますので反応がよければフォローが来ますので。入荷後、即出していただいて店頭には10/5頃のスケジュールを予定しています。」の記載があり、また、乙7の4枚目(3頁)と同じものが添付されているところ、これには、「CC-62021」の「3 LTグレー」及び「31 チャコール」について、いずれも「1」の記載がある。
(4)2016年(平成28年)10月1日付けのトランス・ファー社からファッションリンク社に対する納品書(乙9の2)には、伝票番号に「No.C01497」、「品番・品名」の欄に「CC-62021」及び「LOVEアーススマイルPO」の記載、その「数量」に「2」及び単位に「PS」の記載がある。
(5)トランス・ファー社からファッションリンク社に対する2016年(平成28年)10月31日締切分の合計請求書(乙9の1)には、「毎度ありがとうございます。下記の通り御請求申し上げます。」の記載の右側に、円輪郭内に「済」の文字を表示したもの及び「11/25」の記載がある。また、「伝票日付」の「16/10/01」の「伝票No」の欄に「C01497」、「品番・品名」の欄に「CC-62021」及び「LOVEアーススマイルPO」の記載、その「数量」に「2」及び単位に「PS」の記載があるが、それ以外の記載は一部マスキングされている。
(6)平成30年(2018年)3月19日付けのトランス・ファー社M氏からグンゼ株式会社経営戦略部知的財産室W氏あての送付状(乙10)には、「備考」の欄に「請求書の原本は取引先に捺印して送っておりますが、弊社の控えは、捺印しておりません。納品伝票には、効率化を図るため、品番、数量管理のみでサイズ、色の明記はありません。」及び「POとは、プルオーバーセーターというアイテム名称の略語になっております。」の記載がある。
2 上記1で認定した事実によれば、以下のとおりである。
(1)本件商標の使用権者について
2016年(平成28年)9月1日に、商標権者である被請求人とトランス・ファー社との間で、本件商標の指定商品について、本件商標の使用を許諾する旨の通常使用権の許諾契約が締結された。当該契約は2017年(平成29年)3月31日まで有効であるが、それ以降も別段の意思表示がなければ同1条件で更新されることから、本件要証期間に含まれる2016年(平成28年)9月1日以降において、トランス・ファー社は、本件商標についての通常使用権者であったと認められる。
(2)本件使用商品及び使用時期について
上記1(2)ないし(6)によれば、トランス・ファー社作成のオーダーシートには、4枚目(3頁)の右の上側に「CC-62021」の表示の下、セーター(本件使用商品)の画像があり、同商品の前面には、本件使用商標が表示されているところ、2016年(平成28年)9月26日付けのファッションリンク社からの商品「CC-62021」について「グレー」及び「チャコール」をそれぞれ1着の注文に対して、同10月1日付け納品書により本件使用商品(グレー及びチャコール)を合計2点トランス・ファー社がファッションリンク社に販売(譲渡)したことが推認できる。
そして、本件使用商品「セーター」は、本件審判の請求に係る指定商品「被服」に含まれる商品であり、2016年(平成28年)10月1日は、本件要証期間に含まれるものである。
(3)本件商標と本件使用商標との社会通念上の同一性について
本件商標は、別掲のとおり、「LOVE EARTH」の欧文字の下に、円図形内の上部に、目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、この2つの黒塗りの縦長楕円形の下に口と思しき両端上がりの弧線を描いた図形を配した構成からなるものである。
他方、本件使用商標は、「LOVE EARTH」の欧文字の下に上記図形に黄色を配したものであり、本件商標と本件使用商標とは、構成要素(欧文字、図形部分の円輪郭・黒塗りの縦長楕円及び弧線)を共通にし、また、これらの構成全体として、人の顔を簡潔に描いてなる点において、外観における印象を共通にすることから、色彩に多少の差異を有するとしても、これらは、ほぼ同視される図形からなるものである。
よって、本件商標と本件使用商標は、社会通念上同一である。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、本件商標の通常使用権者は、本件要証期間である2016年(平成28年)10月1日に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を、本件審判の請求に係る指定商品「被服」に含まれる商品「セーター」に付したものをファッションリンク社に対して販売(譲渡)したことが認められ、この行為は、商標法第2条第3項第2号に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、被請求人が提出する商標権使用許諾契約書、商標のデザインが付されたセーターの写真の写し、納品書について、これらは本件取消審判の「使用証拠」とは認められず、本件取消審判の使用証拠を捏造する為に作成したものにしか思えない旨主張するが、これらが捏造されたとする証左はなく、被請求人の使用の事実については、上記認定のとおりであり、請求人の主張は採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、その請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条1項の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)


審理終結日 2020-12-07 
結審通知日 2020-12-10 
審決日 2020-12-23 
出願番号 商願2000-112952(T2000-112952) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 榎本 政実 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 板谷 玲子
木村 一弘
登録日 2004-09-24 
登録番号 商標登録第4805259号(T4805259) 
商標の称呼 ラブアース 
代理人 山田 威一郎 

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