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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2017900051 審決 商標
異議2020900163 審決 商標
異議2014900320 審決 商標
不服202013251 審決 商標
異議2020900117 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W38
審判 全部申立て  登録を維持 W38
審判 全部申立て  登録を維持 W38
審判 全部申立て  登録を維持 W38
管理番号 1371026 
異議申立番号 異議2020-900181 
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-03-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-07-27 
確定日 2021-01-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第6248889号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6248889号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6248889号商標(以下「本件商標」という。)は、「みんな家族割」の文字を標準文字で表してなり、平成29年8月30日に登録出願、第38類「電気通信(「放送」を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,移動体電話・テレックス・電子計算機端末・電報・電話・ファクシミリによる通信,プロパイダーによるインターネットへの接続の提供,インターネットへの接続用回線の提供,通信ネットワークへの接続の提供及びこれに関する情報の提供,データ通信」を指定役務として、令和2年3月17日に登録審決、同年4月30日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4669575号商標(以下「引用商標」という。)は、「家族割」の文字を標準文字で表してなり、平成13年11月12日に登録出願、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,ビデオテックス通信,衛星による通信,音声・映像伝送通信,通信機能を有する映像機器による通信,総合デジタル通信,総合デジタルデータ通信,電子メールによる通信,テレビ会議通信,インターネットを含む電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供,電気通信に関する助言,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,有線ラジオ放送,電気通信端末による報道をする者に対するニュースの供給その他の報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,電話回線自動選択装置の利用契約の取次を含む市外電話・国際電話への加入契約の取次若しくは代理又は募集の代理,小型携帯無線呼出機・自動車電話・携帯電話その他の通信機器による通信への加入契約の取次・媒介又は代理,電子計算機端末による通信(インターネット・その他の通信ネットワークを利用した電子計算機端末による通信を含む。)の加入契約の取次・媒介又は代理,有線テレビジョンその他のテレビジョン放送・有線ラジオ放送その他のラジオ放送・衛星放送に関する契約の代理・媒介又は取次,電話加入権の貸与,通信に関する情報の提供,放送に関する情報の提供,電話帳記載情報の提供」を指定役務として、同15年5月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標の先後願及び指定役務
本件商標は、平成29年8月30日に出願され、令和2年4月30日に設定登録されており(甲1)、引用商標は、平成13年11月12日に出願され、同15年5月9日に設定登録となり現在も有効に存続しているものである。したがって、引用商標は、本件商標に対して先願先登録の商標である(甲2)。
そして、本件商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似するものである。
(2)本件商標と引用商標の構成について
本件商標は、平仮名及び漢字で「みんな家族割」と書されている(甲1)のに対し、引用商標は、漢字で「家族割」と書してなるものである(甲2)。
(3)引用商標の周知性について
ア 引用商標の構成及び態様
引用商標は、上記(2)のとおりである。
イ 引用商標の使用態様、使用数量(生産数、販売数等)、使用期間及び使用地域
引用商標の商標権者である申立人は、東京証券取引所一部上場の大手電気通信業者であり、「au」の商標にて「移動体電話による通信」、いわゆる携帯電話による通信サービスを日本全国で提供しており、一般社団法人電気通信事業者協会のウェブサイトにおいて公表されている「携帯電話・PHS契約数/事業者別契約者数」によれば、平成29年6月時点での契約回線数は、約4, 911万回線である(甲4)。
申立人は、平成13年(2001年)1月に、「家族割」という商標にて携帯電話の通信料金に関する家族割引サービスを開始し、現在も継続して全国で当該サービスの提供を行っている(甲5)。「家族割」サービスに関する契約回線数は、2003年の約830万回線から2016年時点の約2, 590万回線のように推移している(甲6)。
ウ 広告宣伝の方法、期間、地域及び規模
申立人は、「家族割」について、新聞・雑誌・店頭・テレビ・ウェブサイトを通じて積極的な宣伝広告を行っている。
(ア)新聞広告
商標「家族割」に関する新聞広告の内容・新聞名・掲載日のリストを提出する(甲7)。
なお、当該広告において、商標「家族割」と共に「料金の割引」を示す語あるいは他の割引を表す語と共に使用されているケースがあるが、これは、「家族割」の文字だけではこの商標が意味することを、需要者において直ちに理解できない可能性があると判断したためであり、これらの広告において申立人が「家族割」を商標として、すなわち自他役務識別標識として使用していることは明白である。そのような説明と共に使用したからといって、「家族割」が自他役務識別標識として使用されなかった訳ではない。
(イ)雑誌広告
商標「家族割」に関する雑誌広告の内容・雑誌名・掲載日のリストを提出する(甲8)。
(ウ)チラシ広告
商標「家族割」に関するチラシ広告の内容・配布年月のリストを提出する(甲9)。これらのチラシ広告は、申立人が運営する携帯電話販売店「auショップ」(全国に約2, 500店舗)の他、携帯電話販売店・家電量販店等で配布されたものである。
(エ)役務カタログ
商標「家族割」に関する役務カタログの配布部数及び力夕口グ内容に関するリストを提出する(甲10の1)。これらのカタログは、チラシ広告同様に「auショップ」等で配布されたものであり、2001年から2016年までの累計発行部数は約4.6億部(年平均約3,833万部)である。
さらに、申立人は、引用商標(決定注:「本件商標」の誤記と思われる。)の登録出願日以降も継続して、携帯電話事業に関するカタログの配布を行っている。2017年10月から2018年7月の配布部数・カタログ内容に関する資料を提出する(甲10の2)。当該期間の累計発行部数は、約757.1万部である。
(オ)テレビ広告
商標「家族割」に関するテレビ広告の出稿量(放送開始日・作品名・放送回数・GRP換算値)と実際のCM画面のリストを提出する(甲11)。リスト中の「GRP」(Gross Rating Point)とは、テレビコマーシャルの視聴者への浸透度を示す基準である(甲12)。広告業界において一般的に用いられている指標で、例えば、テレビ番組の視聴率が10%の時間帯に10回テレビコマーシャルを放映すると、「100GRP」となる。2001年5月25日に放送を開始したテレビCM「家族割:花嫁の父」の累計GRP換算値「3,268GRP」とは、例えば、テレビ番組の視聴率がおよそ16%の時間帯に204回のテレビコマーシャルを放映することを意味する。ちなみに「GRP単価」は、在京キー局で放送する場合15万円程度であり、関東地区で3,268GRPを獲得するには、およそ4.9億円の費用を要することになる。
(カ)自社ウェブサイト
申立人は、自社ウェブサイトにて「家族割」のサービス内容を紹介しているが、当該ページのアクセス数に関するリストを提出する(甲13の1)。2014年9月から2017年9月までの累計アクセス数は、約186万アクセスに上る。
なお、申立人は、引用商標(決定注:「本件商標」の誤記と思われる。)の登録出願日以降も継続して、自社ウェブサイトにて「家族割」のサービス内容を紹介しており、当該ページとページビュー数(PV数)は2017年10月1日から2018年8月15日まで累計41.2万に上る(甲13の2)。
さらに、2018年6月1日から8月30日は、「家族ナツ得」と称した「家族割」に関するキャンペーンを行っており、当該ページとPV数に関する表を提出する(甲13の3)。2018年6月1日から2018年8月15日までの累計PV数は、約149万に上る。
エ 引用商標権者以外の者による引用商標と同一又は類似する標章の使用の有無及び使用状況
(ア)新聞記事
申立人が提供する「家族割」に関する記事が、2001年9月から2018年8月の新聞紙上に掲載されている(甲14)。これらの記事は、インターネット上のポータルサイト「@nifty」を通じて「株式会社ジー・サーチ」が提供している「新聞・雑誌記事横断検索」で検索したものである。(イ)インターネット上の記事
携帯電話に関する情報を提供するインターネット上のウェブサイトにおいても、2004年9月から2015年7月に申立人が提供する「家族割」に関する記事が多く掲載されている(甲15)。
オ 商品又は役務の性質その他の取引の実情
(ア)同業者の使用状況
携帯電話に関する通信を提供する大手通信事業者は、家族、あるいは近親者同士で同じ携帯電話会社(キャリア)を利用している場合に、適用可能な割引サービスを提供しており、一般的に「家族割引サービス」と呼ばれている(甲16の1)。
通信事業者は、このようなサービスについて各社独自の名称を付して提供しており、申立人は、「家族割」という名称を用いている(甲5)。他者の使用名称は、「株式会社NTTドコモ」が「ファミリー割引」、「ソフトバンク株式会社」が「家族おトク割」、「家族データシェア」、「ホワイト家族24」、ソフトバンク社による別の携帯電話サービス事業「Y!mobile」が「家族割引サービス」、「株式会社ケイ・オプティコム」の「mineo」が「家族割引」である(甲16の2?甲16の5)。
なお、「UQコミュニケーションズ株式会社」(以下「UQ社」という。)は「UQ家族割」という名称にて家族割引サービスを提供しているが、この使用に関しては申立人がUQ社に対し、引用商標「家族割」の使用許諾を与えている(甲16の6、甲16の7)。
このように、本件商標の指定役務の分野では、「家族割」という表記は申立人及びその許諾を受けた者のみしか使用していない。
一般の消費者が引用商標をどのように認識しているかは定かではないが、少なくとも携帯電話通信業界においては、「家族割」は、特定の業務を営む者から提供された役務を指称するものとして認識されているといえる。
(イ)新聞・雑誌における、携帯電話に関する家族割引サービスの表記
携帯電話に関する「家族割引(サービス)」について、2011年5月から2015年11月に発行された新聞や雑誌においても「家族割引」という表現が用いられている(甲17)。
(ウ)申立人が行っている普通名称化防止のための対応策
「移動体電話による通信」に関して引用商標「家族割」が普通名称化してしまう状況を防ぐべく、申立人は、携帯電話に関する情報を提供するウェブサイトにおいて「家族割引サービス」を意味する言葉として「家族割」を使用しているウェブメディアや事業者に対し、「家族割」ではなく「家族割引」を使用してもらうよう申し入れを行っている。実際、多くのウェブメディアや事業者が申立人の要望を聞き入れている(甲18)。
(エ)特許庁の審査例
特許庁は、別件の商標登録出願(商願2017-16941号)に対する拒絶理由通知書において、「商標『家族割』がスマートフォンや携帯電話を取り扱う業界における契約形態の一つとして、一般に広く知られている語である旨」述べているが(甲19)、上述のように「家族割」は申立人の登録商標として有効に存在しているものであり、携帯電話における「家族割引サービス」において、申立人及び使用許諾を受けた者以外の第三者によって「家族割」が使用されている事実は存在しない。「家族割」は「家族で購入、利用すると割引される」程の意味合いを容易に理解させる語ではないし、「スマートフォンや携帯電話を取り扱う業界における契約形態の一つとして一般に広く知られている語」でも断じてない。
我が国の商標法には、商標の普通名称化に対する有効な手立てが規定されておらず、普通名称化を防ぐには、第三者が「家族割」を普通名称として使用していないかどうか逐次監視し、普通名称として使用している場合には「家族割」が登録商標であることを説明し、「家族割」ではなく「家族割引」との表現を用いてもらうようお願いするしかない。そのような状況において、商標登録を尊重すべきであるはずの特許庁がこのような審査を行うことは、申立人の普通名称化対策を無為にするものである。個別の審査におけるそのような判断に対し、商標権者に反論する術はなく、その出願人が反論しなかったならばそれが既成事実化してしまいかねない。登録商標とは何ら関係のない審査において、その登録商標の自他役務識別力の有無を判断することは、商標権者に対し不測の不利益を与えるものであり、断じて許されるべきではない。現に、本件商標の商標権者は本件の拒絶査定不服審判において上記の拒絶理由通知を証拠として提出している。そもそも、上記拒絶理由通知は、「『家族割』が『家族で購入、利用すると割引される』程の意味合いを容易に理解させる語」であることを示す根拠を何ら示しておらず、その点からも上記拒絶理由通知における判断は断じて許されるものではない。
(オ)その他
公正取引委員会/競争政策研究センターが公表したレポート「広告表示等に対する消費者行動の分析-携帯電話の通話料金プラン選択等における購買意思決定-」(甲20)においても、申立人が新聞紙上に掲載した全面広告に関し、「家族割」が非常に高い割合で認識されていることがうかがえる。
カ 引用商標の周知性のまとめ
このように、「家族割」の契約者数や積極的な宣伝広告、あるいは新聞・ウェブサイト等における記事等の事実を総合的に勘案すれば、商標「家族割」は、2001年6月にサービスの提供を開始して以降、申立人によって継続して移動体電話による通信に使用され宣伝広告された結果、本件商標の登録出願時において、その需要者の間に広く認識され周知な商標となっていたことは明らかである。
(4)「みんな家族割」と「家族割」の類否
結合商標類否判断に係る最高裁判決(甲21)に沿って、以下検討する。
引用商標は、「家族割」の構成文字から「カゾクワリ」の称呼が生ずるものである。そして、上記(3)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時には周知な商標となっている。
一方、本件商標は、「みんな家族割」の文字からなるところ、「みんな」が平仮名表記の砕けた表現である一方、「家族割」が漢字表記の熟語であることからすると、本件商標は「みんな」と「家族割」の両語を結合してなるものと容易に看取されるものである。国語辞典によれば、「みんな」は「〔名〕全部。すべてのもの。〔副〕残らず。すべて。ことごとく。」などの意味を有するところ(甲22)、指定役務「移動体電話による通信」との関係においては、「すべてのひとのための、全ての人のために供される」といった意味を表し、「みんな」という言葉はそれほど識別力の強いものではない。一方、語尾の「家族割」は、周知商標である「家族割」と一致しており、移動体電話による通信、及びこれに類似する通信役務との関係においては、強い出所表示機能を発揮し、強力な顧客吸引力を有する。
そして、「携帯電話による通信」は若年層から老年層まで年齢・性別問わず幅広く普及しており、需要者みんなが専門的知識を有しているとは限らないことからすると、「携帯電話による通信」における需要者が通常有する注意力は決して高いものではない。これらを併せ考えると、本件商標に接する取引者・需要者が、その構成中の「家族割」の文字に着目し、その役務の出所につき、「家族割」商標を連想・想起して取引に資する場合も決して少なくなく、本件商標における「家族割」部分は、取引者、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。
してみれば、本件商標は、その指定役務中「移動体電話による通信」又はこれに類似する役務との関係においては、その構成文字全体に相応する「ミンナカゾクワリ」の称呼の他、その構成中の「家族割」の文字部分に相応する「カゾクワリ」の称呼も生じ得るものである。
これらを総合勘案すれば、本件商標と引用商標とは、「カゾクワリ」という称呼において共通するものであり、本件商標を「移動体電話による通信」又はこれに類似する役務に使用した場合、引用商標を使用した役務との間において、互いに相紛れる可能性が非常に大きく、本件商標が引用商標に類似するものであることは明らかである。
(5)小括
本件商標と引用商標は、その称呼において類似するものであるから、互いに類似する商標であり、また、指定役務も互いに類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
上記1(3)のとおり、引用商標が「移動体電話による通信」に関し周知・著名な商標であることは明らかであるから、本件商標は、本号に係る商標審査基準(甲23)にいう「他人の著名な商標と他の文字とが結合した商標」に該当する。
そうすると、本件商標に接した取引者・需要者は、引用商標を連想・想起し、本件商標が付された役務が引用商標の商標権者の取り扱う役務であると誤信するか又は引用商標の商標権者との間に密接な関係を有する者の業務に係る役務であると誤信することで、その役務の出所について広義の混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
(1)申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、申立人は、平成13年1月から携帯電話の通信料金に関する、いわゆる「家族割引サービス」の提供(以下「使用役務」という。)を開始し、当初から当該サービスについて「家族割」の文字を使用し、現在まで継続して使用していること(甲14の3、ほか)が認められ、申立人は、使用役務に係るカタログやチラシを相当数作成し、平成13年頃から現在まで継続して同人の「auショップ」などにおいて配布したこと(甲9、甲10の1)、申立人は使用役務について、平成13年から現在まで継続して新聞、雑誌、テレビ等で相当程度広告していること(甲7、甲8、甲11)、申立人は自己のウェブサイトにおいて遅くとも2014年(平成26年)頃から使用役務の内容を紹介していること(甲13)がうかがえる。
また、申立人が、使用役務に使用する「家族割」の文字の態様には、三つの四角形内にそれぞれ「家」「族」「割」の各文字を配した態様のものと、普通に用いられる書体で表したものがあること(甲7、甲8)、及び、新聞・雑誌等の記事においては、申立人の使用役務は「家族割」と表記されていること(甲7、甲8、甲11)が認められる。
しかしながら、申立人の使用役務の利用者数(契約回線者数)、取引額など取引の実績を裏付ける証左は見いだせない。
(2)上記(1)からすれば、申立人は、平成13年から現在まで継続して、使用役務を提供し、当該役務について「家族割」の文字を使用すると共に、使用役務の広告を新聞、雑誌、テレビ等で相当程度を行っていることからすれば、引用商標「家族割」は、申立人の業務に係る役務(使用役務)を表示するものとして需要者の間に一定程度認識されているものといえる。
しかしながら、申立人が使用する普通の書体で表された「家族割」の文字は、これを「家族割引(サービス)」と同義のものと理解、認識する取引者、需要者が少なくないと推認できること(甲18)、及び何より申立人の使用役務の取引の実績を裏付ける証左は見いだせないことから、「家族割」の文字を標準文字で表してなる引用商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「みんな家族割」の文字よりなるところ、当該文字に相応して「ミンナカゾクワリ」の称呼を生じるものである。 そして、学生であることによる割引を「学割」、シニアであることによる割引を「シニア割」と称している例に徴すれば、「家族割」の文字からは、容易に「家族であることによる割引」の意味合いを理解し、本願商標の「みんな家族割」の文字からは、「みんなが家族であることによる割引」程の意味合いを理解させるものといえる。
してみれば、本件商標は、「みんなが家族であることによる割引」の観念を生じるというのが相当である。
(2)引用商標
引用商標は、上記第2のとおり、「家族割」の文字よりなるところ、当該文字に相応して「カゾクワリ」の称呼を生じ、「家族であることによる割引」の意味合いを理解させるものといえるから、「家族であることによる割引」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、本件商標の構成文字「みんな家族割」と引用商標の構成文字「家族割」の比較において、両者は語頭における「みんな」の文字の有無という差異を有し、この差異が両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。
次に、称呼についてみるに、本件商標から生じる「ミンナカゾクワリ」の称呼と引用商標から生じる「カゾクワリ」の称呼とは、語頭における「ミンナ」の音の有無という差異により明瞭に聴別できるものである。
さらに、本件商標から生じる「みんなが家族であることによる割引」の観念と、引用商標から生じる「家族であることによる割引」の観念は、似通った印象を与える場合があるといえるとしても、互いに紛れるおそれがあるとまではいえない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の周知著名性について
引用商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
(2)本件商標と引用商標の類似性の程度について
本件商標と引用商標は、上記2のとおり、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標と引用商標の類似性の程度は低いものである。
(3)本件商標の指定役務と引用商標の指定役務との関連性及び需要者の共通性について
本件商標の指定役務と引用商標の指定役務は、同一又は類似の役務であるから、役務の関連性を有し、需要者が共通するものといえる。
(4)引用商標の独創性の程度について
引用商標は、上記2のとおり、一般に親しまれた語である「家族」と各種割引に使われる「割」の語を組み合わせたにすぎないものであるから、独創性の程度は、さほど高いものとはいえない。
(5)引用商標がハウスマークであるか否かについて
引用商標は、申立人のハウスマークではない。
(6)小括
上記(1)ないし(5)のとおり、本件商標の指定役務と引用商標の指定役務が関連性を有し、その需要者を共通にする場合があるとしても、引用商標は、需要者の間に広く認識されているものと認められないものであることに加え、本件商標と引用商標の類似性の程度は低く、引用商標の独創性の程度は、さほど高くないものであり、申立人のハウスマークでもない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 申立人の主張について
申立人は、本件商標は文字種の違いなどから「みんな」と「家族割」の両語を結合してなるものと容易に看取される、「移動体電話による通信」との関係において、「みんな」は「すべてのひとのための」などと言った意味を表し、それほど識別力の強いものではない、「家族割」は周知商標である「家族割」と一致しており強力な顧客吸引力を有する、「移動体電話による通信」における需要者が通常有する注意力は決して高いものではないなどとして、本件商標は、その構成中「家族割」の部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、当該文字に相応し「カゾクワリ」の称呼が生じる旨主張している。
しかしながら、本件商標は「みんな」と「家族割」の文字種が異なるものの、同書同大等間隔で一体に表され、当該文字から生じる「ミンナカゾクワリ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものであり、また、引用商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとは認められないものである。
さらに、本件商標は、その構成中「家族割」の文字部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、又は、それ以外の「みんな」の文字部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認めるに足りる事情は見いだせない。
してみれば、本件商標は、その構成中「家族割」の文字部分を分離抽出し、他の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されないものであって、その構成文字全体をもって一体不可分のものとして認識されるといわなければならない。
したがって、本件商標からは「ミンナカゾクワリ」の称呼のみを生じるものというべきであるから、申立人のかかる主張は採用できない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
異議決定日 2021-01-13 
出願番号 商願2017-114782(T2017-114782) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W38)
T 1 651・ 261- Y (W38)
T 1 651・ 271- Y (W38)
T 1 651・ 263- Y (W38)
最終処分 維持 
前審関与審査官 大島 康浩 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 青野 紀子
小田 昌子
登録日 2020-04-30 
登録番号 商標登録第6248889号(T6248889) 
権利者 ソフトバンク株式会社
商標の称呼 ミンナカゾクワリ、ミンナ、カゾクワリ 
代理人 片山 礼介 
代理人 青木 博通 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 
代理人 中田 和博 
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