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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W44
管理番号 1370976 
審判番号 取消2020-300090 
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-01-31 
確定日 2021-01-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第5603619号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5603619号商標(以下「本件商標」という。)は、「Luire」の文字を標準文字で表してなり、平成25年2月19日に登録出願、第44類「美容・理容及びこれらに関する指導・助言・情報の提供」を指定役務として、同25年8月2日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年2月19日であり、以下、当該登録前3年以内(平成29年2月19日ないし令和2年2月18日)を「要証期間」という。
なお、本件商標権は、商標登録原簿の記載によれば、令和2年3月10日受付の特定承継による本権の移転の登録がされた結果、商標権者は、設定登録時の商標権者(以下「前商標権者」という。)から、「株式会社Lycka」(以下「現商標権者」という。)になったものと認められる。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、登録第5603619号商標の指定役務についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対して弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第29号証を提出した。
1 現商標権者の事業
現商標権者の代表取締役である前商標権者は、平成19年3月に、東京都墨田区緑に店舗「cottie」を開設した後、同28年3月7日に「株式会社Lycka」を設立し(乙1?乙3)、事業を法人に引き継ぎ、現在まで、東京近郊及び近隣の顧客を対象として美容業を営んでおり、また、同25年8月に、東京都墨田区江東橋に、姉妹店舗「fika」を開設し(乙4)、同30年12月31日に廃止した(乙5)。
2 本件商標の使用許諾契約及び移転登録手続き
前商標権者は、平成28年3月7日に、「株式会社Lycka」との間で、本件商標権の使用許諾契約を締結し(乙6)、令和2年3月10日に、前商標権者から現商標権者である「株式会社Lycka」へ本件商標権の移転登録手続を行った(乙7)。
2 本件商標の使用状況
(1)ストレート美容サービスの概要
本件商標をもって指称するストレート美容サービス「Luire」とは、施術者が、顧客の毛髪や仕上がりの要望によって、適切な施術者専用薬剤を選択し、コースごとに、ブラシ、専用アイロン、専用トリートメントのほか、店舗備え付けの機器によるホットスチームや炭酸入り温水シャワーを併用して、顧客の毛髪に油分や栄養成分などを補い、薬剤の作用時間などを調整しながら施術することで、美しい毛髪の状態を保ちながら、くせ毛を伸ばし、髪の広がりを落ち着かせることを目的とした美容サービスを意味するものである。
(2)前商標権者が開設した店舗での使用状況
前商標権者又は現商標権者は、前商標権者が開設した店舗において掲示した施術価格表に本件商標を表示して使用している(乙8、乙9)。
乙第8号証は、店舗内の待合席付近に掲示した施術価格表を撮影した写真3枚をつづったものであり、1枚目の写真は、待合席付近の全体を撮影したものであり、2枚目の写真の右端の施術価格表において、本件商標「Luire」を表示して使用していることが確認できる。3枚目の写真は、本件商標が表示された施術価格表を撮影したものであり、写真のとおり、施術価格表には、本件商標とともに、ストレート美容サービスの施術内容と料金が掲載されている。
乙第9号証は、乙第8号証の写真の電子データであり、パソコン上で操作すると、写真の撮影日時が、2019年(令和元年)11月7日であることが確認できることに加えて、拡大表示することで、当該施術価格表の内容を、より詳細に視認することができる。
また、前商標権者又は現商標権者は、待合席に掲示した施術価格表以外にも、スタイリングブースにおいて、顧客に掲示する施術価格表に、本件商標を表示して使用している(乙10?乙13)。
乙第10号証は、前商標権者が開設した店舗内のスタイリングブースの鏡面台のテーブルの上で、その店舗における全ての美容サービスの施術価格表をとじた合皮素材のクリアブックを開いた写真であり、本件商標が写真の左側の施術価格表に表示して使用されている。
また、乙第11号証は、乙第10号証の写真データであり、パソコン上で操作すると、撮影日時が、2019年(令和元年)11月7日であることが確認できる。こちらも拡大表示することで、施術価格表の内容を、より詳細に視認することができる。
乙第12号証は、乙第8号証及び乙第10号証で撮影された施術価格表を、画像編集ソフト「イラストレーター」で作成した電子データであり、当該AIファイルをパソコン上で操作すると、編集作業の最終更新日時が、2019年(令和元年)10月28日であることが確認できる。
さらに、読取りソフト「Acrobat Reader」を使用して、当該AIファイルを開くと、これが写真に撮影された施術価格表と同じものであることが確認できる。施術価格表には、左上に、本件商標「Luire」がストレート美容サービスの名称として表示されており、その下には施術内容の詳細が具体的に記述されている。
乙第13号証は、乙第10号証で撮影されたクリアブックであり、6頁目に乙第12号証を印刷した施術価格表がとじられている。当該クリアブック(商品名:キングジムクリアファイル 合皮 レザフェスUA4 20P キャメル1931LUキヤ)は、前商標権者が、通信販売サイト「Amazon Prime」において、2019年(令和元年)9月28日に購入したものである(乙14)。乙第14号証は、「Amazon Prime」の会員ページから、当該クリアブックの領収書と商品ページを印刷してつづったものであり、どちらにも上述の商品名が記載されている。
一方、乙第13号証のクリアブックの片面下部には、「LezaFace:U □KING JIM No.1931LU」と刻印されており、カタカナとアルファベットの違いはあるものの、商品名、型番などの表記が全て同じであることから、当該クリアブックが、上記の「Amazon Prime」からの購入品であり、前商標権者が、施術価格表(乙12)の作成時期と合わせて、これを購入していることが理解できる。
もともと、前商標権者が開設した店舗では、本件商標登録日と同時期である2013年(平成25年)7月25日に、本件商標をその名称として表示したストレート美容サービスの旧施術価格表(以下「本件商標旧施術価格表」という。)を作成し、その他の美容サービスの旧施術価格表とともに、これをファブリック素材のメニューブックにとじて、2019年(令和元年)10月28日頃まで、顧客とのカウンセリング時に使用していた(乙15?乙17)。
乙第15号証は、旧施術価格表をとじたメニューブックであり、中表紙を含めた8頁目に、本件商標旧施術価格表がとじられている。
乙第16号証は、本件商標旧施術価格表を、画像編集ソフト「イラストレーター」で作成した電子データであり、当該AIファイルをパソコン上で操作すると、編集作業の最終更新日時が、2013年(平成25年)7月25日であることが確認できる。さらに、読取りソフト「Acrobat Reader」を使用して、これを開くと、メニューブックの本件商標旧施術価格表と同じものであることが確認できる。
乙第17号証は、日本橋公証役場において作成した確定日付書であり、当該メニューブックの旧施術価格表のうち、10頁目にとじられている、「前商標権者又は現商標権者の使用登録商標『Lily』(商標登録番号5603618)を使用したヘアトリートメント美容の旧施術価格表」(以下「Lily旧施術価格表」という。)を撮影した写真である。写真の「*Lily*Care treatment(カット/スタイリング別)」と記載されている右側の箇所には、ピンク色とオレンジ色で手書きのイラストが描かれており、これを、メニューブック(乙15)の10頁目のLily旧施術価格表と比較すると、確定日付書の写真の被写体が、当該メニューブックのLily旧施術価格表であることが確認できる。
したがって、メニューブックの本件商標旧施術価格表が、少なくとも2013年(平成25年)7月25日の作成日から、確定日付の2018年(平成30年)6月15日に至るまでの期間に、前商標権者が開設した店舗において使用されていることが理解できる。
これらの前商標権者が開設した店舗における一連の使用状況に鑑みると、前商標権者又は現商標権者が、前商標権者が開設した店舗において、本件商標登録日と同時期から現在に至るまでの期間に、本件商標を本件商標旧施術価格表及び施術価格表に表示して継続的に使用していることが推認できる。
(3)前商標権者が開設した店舗のウェブサイトでの使用状況
前商標権者又は現商標権者は、前商標権者が開設した店舗のウェブサイトにおいて、本件商標を表示して使用している(乙18?乙20)。
乙第18号証は、当該ページをスマートフォンタブレットにて動画撮影したものである。動画を再生すると、冒頭の映像は「Yahoo」のトップページであり、画面のページ右下の日付などから、撮影日時が2019年(令和元年)11月20日であることが確認できる。その後、映像では「両国 cottie」で検索した結果が表示され、それらの検索結果の中から、前商標権者が開設した店舗のウェブサイトである「両国の隠れ家美容室cottie*コティエ(URL https://www.cottie.jp)」のタイトルをクリックして、当該ウェブサイトのトップページに移動した後、さらに「メニュー&プライス」のリンクをクリックしてページが切り替わると、映像の再生開始後約1分43秒の時点で、本件商標に関する記載欄が大きく表示されるのが確認できる。
乙第19号証は、乙第18号証の映像で本件商標が表示された箇所のスクリーンショットであり、乙第18号証の映像と同様に、本件商標がストレート美容サービスの名称として表示されていることが確認できる。
乙第20号証は、レンタルサーバやドメインの提供サービスを行っているさくらインターネット株式会社から前商標権者に対する「cottie.jp」ドメイン利用料金の請求書と、これの払込受領書であり、当該ウェブサイトが前商標権者によって管理運営されているものであることが確認できる。
また、前商標権者は、2018年(平成30年)6月20日に、日本橋公証役場において、前商標権者が開設した店舗のウェブサイトにおける本件商標の使用事実を記録するために、事実実験公正証書を作成している(乙21)。事実実験公正証書の謄本には、前商標権者が開設した店舗及び前商標権者が開設した姉妹店舗のウェブサイト(乙22)の情報があわせて記録されている。
乙第22号証は、さくらインターネット株式会社から前商標権者に対する「fika-hair.net」ドメインの利用料金の請求書と、これの払込受領書であり、当該ウェブサイトが前商標権者によって管理運営されているものであることが確認できる。
事実実験公正証書の謄本では、前商標権者が開設したそれぞれの店舗のウェブサイトに、本件商標がストレート美容サービスの名称として使用されていることが詳細に記録されている。
さらに、謄本に記録されている前商標権者が開設した店舗ウェブサイトの「メニュー&プライス」の施術料金表の項目について、乙第18号証の映像と比較すると、本件商標に関する記載内容に一切の変更がないことが確認できる。
これらのことから、前商標権者又は現商標権者が、少なくとも事実実験公正証書の作成日である2018年(平成30年)6月20日から、乙第18号証の動画で示された2019年(令和元年)11月20日に至るまでの期間に、前商標権者が開設した店舗のウェブサイトにおいて、本件商標を、それぞれの証拠で示された表示態様にて、継続的に使用していると解釈するのが適当である。
(4)広告としての使用状況
現商標権者は、地域の情報誌「ぱど」を運営する株式会社ぱどに対して広告掲載を依頼し(乙23、乙24)、ぱど首都圏版(亀戸・大島エリア)2018年(平成29年)7月13日号の誌面6頁中央右上及びぱど首都圏版(錦糸町・両国・押上エリア)2019年(令和元年)12月6日号の誌面5頁左下に、前商標権者が開設した店舗又は前商標権者が開設した姉妹店舗の営業広告が掲載された(乙25、乙26)。
乙第23号証及び乙第24号証の請求書と支払受領書で示されているとおり、当該広告は現商標権者が株式会社ぱどに広告料金を支払い掲載されたものであり、それぞれの証拠に現商標権者の名称と掲載号数が記載されている。
これらぱど首都圏版の前商標権者が開設した店舗の営業広告において、本件商標が、当該店舗において提供されるストレート美容サービスの名称「Luire」として使用されている。
2018年(平成29年)7月13日号の当該広告左側の説明文では、本件商標のサービス内容について「【Luire】は、薬剤を選べる炭酸泉付ストレートコース」と、具体的に記述されている。一方、2019年(令和元年)12月6日号においても、同様に、「【Luire】は髪に優しいストレートコース」との具体的な記述が確認できる。各広告の右側の料金欄には、「Luire・・・12,000円?」との記載があり、現商標権者が当該美容サービスが記載された営業広告をぱどに掲載して、同じ料金設定で継続的に新規集客を行っていることが理解できる。
また、株式会社ぱどが管理運営しているオフィシャルウェブサイト(URL https://www.pado.co.jp/)では、ぱど首都圏版(錦糸町・両国・押上エリア)2019年(令和元年)12月6日号における前商標権者が開設した店舗の営業広告の掲載にあわせて、「ぱどニュース」に、前商標権者が開設した店舗の営業広告が掲載されている(乙27)。
乙第27号証は、各頁右下に記載のとおり、当該頁を2020年(令和2年)年3月13日に印刷したものであり、1頁目には前商標権者が開設した店舗内写真の右上に「2019年12月12日公開」と記載されている。2頁目には前商標権者が開設した店舗のその他の美容サービスの紹介とともに、本件商標がストレート美容サービスとして紹介され、ぱど誌面と同様に「【Luire】は髪に優しいストレートコース」と、具体的に記述されていることが確認できる。
これらのことから、前商標権者又は現商標権者が、少なくとも2019年(令和元年)12月6日から、乙第20号証の印刷日である2020年(令和2年)年3月13日に至るまでの期間に、株式会社ぱどの媒体に本件商標を表示して使用していることが理解できる。
なお、情報誌「ぱど」は、株式会社ぱどによって1987年(昭和62年)10月に創刊され、全国190エリア、約1000万部を発行する地域密着型のフリーペーパーである(乙28、乙29)。誌面には生活情報に加えて、地域の店舗広告などが掲載されている。
3 結論
前商標権者又は現商標権者が、前商標権者が開設した店舗において、本件商標登録日から現在に至るまでの期間に、乙第8号証ないし乙第17号証に示すとおり、本件商標を継続的に使用していることが推認できるほか、乙第18号証ないし乙第22号証に示すとおり、少なくとも2018年(平成30年)6月20日から2019年(令和元年)11月20日に至るまでの期間に、本件商標を前商標権者が開設した店舗のウェブサイトにおいて「メニュー&プライス」のページに表示して使用していることが明らかである。
さらに、乙第23号証ないし乙第27号証に示すとおり、株式会社ぱどの各媒体において、少なくとも2018年(平成30年)7月13日から2020年(令和2年)3月13日に至るまでの期間に、本件商標を表示して使用している。これらは商標法第2条第3項第8号にいう「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものであるから、前商標権者又は現商標権者が、本件審判の請求日前の3年以内に日本国内において、本件商標「Luire」を使用していたことは明白である。
よって、商標法第50条第1項の規定により、本件審判請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及びその提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、令和2年3月16日付け墨田区保健所長による証明書であるところ、「施設の名称」及び「所在地」の欄に、それぞれ「cottie*(コティエ)」、「東京都墨田区緑・・・」の記載があり、また、「確認」の欄には、「根拠法令 美容師法」、「年月日 平成19年3月6日」、「業種 美容所」及び前商標権者の氏名の記載がある。
(2)乙第2号証は、令和2年1月30日付け東京法務局墨田出張所登記官による株式会社Lyckaの履歴事項全部証明書であるところ、「商号」、「本店」欄に、それぞれ「株式会社Lycka」、「東京都墨田区緑・・・」の記載、また、「目的」欄に、「美容室・・・の経営」の記載、さらに、「役員に関する事項」欄に、「東京都墨田区緑・・・代表取締役」として前商標権者の氏名の記載がある。
(3)乙第6号証は、平成28年3月7日付け商標権使用許諾契約書であるところ、前商標権者は、株式会社Lyckaに対し本件商標の使用を許諾する旨の記載及び「使用許諾の期間は商標権の期間とする。」の記載がある。
(4)乙第24号証は、株式会社ぱどが株式会社Lycka宛てに作成した2019年12月6日付け請求書及びその受領書(依頼人控え)であるところ、当該請求書によれば、請求合計金額は22,000円であり、当該請求書の利用明細表には、「日付」の欄に「1206」、「ご請求額」の欄に「22,000」、「ご利用内容」の欄に「タブロイド首都圏直営版 1551号 ジャンル キレイ・いやす(ヘアサロン)4色 TP_1/8P/株式会社Lycka」の記載がある。また、受領書(依頼人控え)の「金額」、「受取人」、「ご依頼人」の欄の記載内容は、上記請求書の記載内容と一致し、受領印欄には、やや不明瞭ではあるが丸印が押されている。
(5)乙第26号証は、株式会社ぱどが発行した2019年(令和元年)12月6日付けの「ぱど」と題する情報誌であるところ、その表紙には、「2019.12.06/No.1551/毎月一回発行」、「錦糸町・両国・押上」の記載があり、また、当該情報誌の5頁の左下には、「ヘアサロン」、「女性スタッフ多数の癒し系隠れ家ヘアサロン♪・・・」の見出の下、「【Luire】は、髪に優しいストレートコース。」、「コティエMENU&初回料金・・・●Luire・・・12,000円?・・・髪の長さやデザインによって追加料金:1,000円?」、「特典・・・◆予約時『ぱど見た』とお伝えください/cottie 2020年1月6日迄」、「cottie/墨田区緑・・・」の記載がある。
2 判断
(1)使用商標について
乙第26号証の情報誌には、「ヘアサロン」の見出しのもと「cottie」店の紹介記事が掲載されており、その中で当該店舗が提供するメニューの名称として「Luire」の文字(以下「使用商標」という。)が使用されているものと認められる。
本件商標は、上記第1のとおり、「Luire」の文字を標準文字により表してなるものであり、使用商標は、本件商標と同一の「Luire」の文字からなるものであるから、その外観、称呼及び観念に異なるところはなく、両者は、社会通念上同一と認められる商標といえる。
(2)使用役務について
使用商標は、美容院「cottie」が提供する美容サービスの1つである「髪に優しいストレートコース」の名称として表示されているものであるから、これは、本件審判の請求に係る指定役務中「美容」の範ちゅうに属する役務である。
(3)使用時期について
2019(令和元年)12月6日発行の情報誌「ぱど」の表紙には、「錦糸町・両国・押上」の記載があり、また5頁の「cottie」店の紹介記事中には、2020年1月16日まで特典がある旨等の記載があることからすると(乙26)、当該情報誌は、遅くとも2020年(令和2年)の1月初旬までには、東京都「錦糸町・両国・押上」地域において頒布されたものと推認でき、当該情報誌の発行日及び頒布時期は要証期間内である。
(4)使用者について
上記2019(令和元年)12月6日発行の情報誌に記事の掲載を依頼した者は株式会社Lyckaである(乙24)。
そして、商標登録原簿の記載に照らしてみれば、株式会社Lyckaが本件商標の商標権について特定承継による移転の登録がされたのは令和2年3月10日であるから、それまでは、本件商標権の商標権者は株式会社Lyckaではない。しかしながら、平成28年3月7日に、前商標権者は株式会社Lyckaと本件商標権の使用許諾契約を締結していたものであり、その使用許諾契約は有効なものとして存続しているものといえる(乙6)。
そうすると、当該契約締結日(平成28年3月7日)から特定承継による移転の登録前まで株式会社Lyckaは、本件商標の通常使用権者であったと認められる。
さらに、2019(令和元年)12月6日発行の情報誌に掲載された「cottie」店の住所(乙26)は、前商標権者が平成19年3月6日より(少なくとも令和2年3月16日まで)運営する「cottie*(コティエ)」と称する美容院(乙1)の住所と一致しているから、当該情報誌に掲載された美容院は前商標権者の運営する美容院と同一の店舗といえ、当該情報誌発行時における本件商標の通常使用権者が、前商標権者の運営する美容院についての広告を情報誌の発行元に依頼したということに何ら不自然な点はない。
そうすると、本件商標の通常使用権者が、上記情報誌の広告中に掲載された使用商標の使用者と認められる。
(5)小括
以上からすれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間内である2019(令和元年)12月6日に発行され、東京都の錦糸町・両国・押上地域において頒布された情報誌に、本件審判の請求に係る指定役務中「美容」の範ちゅうに属する役務についての広告をし、その広告において本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したものと認めることができる。
そして、本件商標の通常使用権者による上記行為は、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、通常使用権者が本件審判の請求に係る指定役務中「美容」の範ちゅうに属する役務について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
審理終結日 2020-11-18 
結審通知日 2020-11-20 
審決日 2020-12-09 
出願番号 商願2013-14624(T2013-14624) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (W44)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 渡邉 あおい
豊田 純一
登録日 2013-08-02 
登録番号 商標登録第5603619号(T5603619) 
商標の称呼 ルイール、リュイール 

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