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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y43
管理番号 1370942 
審判番号 取消2018-300344 
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-05-29 
確定日 2021-01-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第4950924号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4950924号商標の指定役務中、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,菓子又はパンを主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供,飲食物の提供に関する情報の提供,動物の宿泊施設の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,タオルの貸与」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4950924号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成17年10月5日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,菓子又はパンを主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供,飲食物の提供に関する情報の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与」を指定役務として、同18年3月16日に登録査定、同年5月12日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成30年(2018年)6月11日にされたものである。
また、本件審判請求の登録前3年以内の期間である平成27年(2015年)6月11日から同30年(2018年)6月10日までの期間を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判請求書及び審判事件弁駁書において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,菓子又はパンを主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供,飲食物の提供に関する情報の提供,動物の宿泊施設の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,タオルの貸与」(以下「取消請求役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、本件商標をその指定役務中、少なくとも、第43類「菓子又はパンを主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供」について使用していると主張しているが、被請求人が使用を主張する商標(以下「使用商標」という。)は、本件商標と社会通念上同一ではないため、被請求人は本件商標の使用を証明していない。
(1)本件商標の構成について
本件商標は、欧文字「G」と欧文字「a」からなるモノグラムとおぼしき図案(以下「図案化部分」と称する。)と、欧文字「ageha」(以下「文字部分」と称する。)との組合せからなる。そして、これら図案化部分と文字部分は、おおよそ同じ大きさで上下二段に表されている。
ここで、図案化部分は、その構成文字が重ねられ斜めに傾けられているといった外観上の特徴を有し、かつ指定役務との関係で何ら観念を生じさせるものではない。
また、図案化部分は、指定役務「飲食物の提供」等の分野において一般に使用されているものではないことから、自他役務識別力を有する。
(2)使用商標について
乙第1号証ないし乙第37号証に示された使用商標は、「あげは」及び「ageha」等の商標であって、本件商標の文字部分に対応したもののみである。
すなわち、使用商標は、いずれも図案化部分を欠くものであり、図案化部分と文字部分とが組み合わされた商標の使用については証明されていない。
商標の使用において、登録商標と社会通念上同一と認められる商標とは、商標法第50条第1項かっこ書き(審決注:改正前の規定。現在は、同法第38条第5項。)に列挙された商標の他、商標の要部でない付記的な部分が多少変更された商標や、横書きの文字部分が縦書きにされた商標などの範囲内であると解される。
そうすると、使用商標と本件商標とは、図案化部分の有無という点で明らかな構成態様上の差異を有する別異の商標であり、商取引の社会通念上、同一と認められる範囲を著しく逸脱したものといわざるを得ない。すなわち、使用商標は、本件商標と社会通念上同一ではないものである。
したがって、被請求人は、本件商標の使用を証明していない。
(3)審決例について
審決例では、図形部分と文字部分からなる登録商標は、その文字部分のみからなる商標と社会通念上同一ではないと判断されている(甲2?甲5)。これらの事例からしても、被請求人の使用商標は、本件商標と社会通念上同一とはいえない。
(4)まとめ
上述のとおり、使用商標は、本件商標と社会通念上同一ではないため、被請求人は、本件商標の使用を証明していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を平成30年8月27日付け及び令和元年8月28日付け審判事件答弁書において次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第38号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、第43類の指定役務について、平成19年6月1日から同30年に至るまで継続して使用しているものである。
(1)使用の事実について
乙第1号証ないし乙第22号証は、被請求人が営業している、兵庫県神戸市中央区中山手通2丁目4番8号の「あげはトアロード店」の店舗の室外・室内の写真である。
ア 乙第1号証は、上記「あげはトアロード店」の店舗の店頭(軒先)の写真であって、「あげは」の文字が記載されている。この「あげは」は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
イ 乙第2号証は、乙第1号証の店頭の右端部における垂れ幕(日よけ)周辺の拡大写真であって、「ageha」の文字が記載されている。
ウ 乙第3号証は、乙第1号証の店頭の立て看板の写真であって、「あげは」の文字が記載されている。
エ 乙第4号証は、乙第1号証の一部の拡大写真であって、「あげは」の文字が記載されている。
オ 乙第5号証は、店頭の玄関扉周辺の写真であって、左側上部に「ageha」の文字が記載されている。
カ 乙第6号証は、乙第5号証の左側の一部拡大写真であって、「ageha」の文字が記載されている。
キ 乙第7号証は、店内(室内)入口近くに配置したレジ(お会計)台の写真であって、「ageha」の文字が記載されている。
ク 乙第8号証は、卓上ライトの写真であって、「ageha」の文字が記載されている。
ケ 乙第9号証は、箸を収納した箸入れの写真であって、「あげは」の文字が記載されている。
コ 乙第10号証は、乙第9号証の箸入れの拡大写真であって、「あげは」の文字が記載されている。
サ 乙第11号証は、乙第9号証の箸入れの裏側の拡大写真であって、「ageha」の文字が記載されている。
シ 乙第12号証は、メニューファイルであって、「ageha」の文字が記載されている。
ス 乙第13号証ないし乙第15号証は、乙第12号証に綴じられているメニューであって、「ageha」の文字が記載されている。
セ 乙第16号証は、立て看板の写真であって、「ageha」の文字が記載されている。
ソ 乙第17号証は、宣伝広告用名刺であって、「あげは」及び「ageha」の文字が記載されている。
タ 乙第18号証は、紙ナプキンであって、「あげは」の文字が記載されている。
チ 乙第19号証は、おしぼり収納袋であって、「あげは」の文字が記載されている。
ツ 乙第20号証は、領収書であって、「ageha」の文字が記載されている。
テ 乙第21号証は、ネット広告であって、「ageha」の文字が記載されている。
ト 乙第22号証の1ないし5は、ネット広告であって、「あげは」の文字が記載されている。
ナ 乙第23号証は、ネット広告であって、「あげは」の文字が記載されている。同号証は、埼玉県さいたま市大宮区桜木町2-3丸井大宮店3階で営業していた「あげは さいたま大宮店」のものである。この大宮店は、平成19年3月27日から営業していたが、平成30年3月31日に閉店した。
ニ 上記アないしナの証拠により、本件商標が少なくとも、菓子又はパンを主とする飲食物の提供、その他の飲食物の提供の役務に使用されていることは明確である。
また、乙第24号証ないし乙第31号証は、請求書(写)、乙第32号証ないし乙第37号証は、納品書(写)である。さらに、証拠方法に関連する宣誓供述書を提出する。
(2)乙各号証が商標法第2条第3項第何号に該当するかについて
ア 乙第1号証ないし乙第8号証は、商標法第2条第3項第8号に該当する。
イ 乙第9号証ないし乙第11号証は、同項第1号、同項第3号ないし同第5項及び同第8号に該当する。
ウ 乙第12号証ないし乙第15号証は、同項第5号及び同項第8号に該当する。
エ 乙第16号証及び乙第17号証は、同項第8号に該当する。
オ 乙第18号証及び乙第19号証は、同項第3号ないし同項第6号及び同項第8号に該当する。
カ 乙第20号証は、同項第8号に該当する。
キ 乙第21号証ないし乙第23号証は、同項第7号に該当する。
ク 乙第24号証ないし乙第37号証は、同項第8号に該当する。
(3)被請求人と兵庫県神戸市の「あげは トアロード店」及び埼玉県さいたま市の「あげは さいたま大宮店」との関係について
兵庫県神戸市の「あげはトアロード店」と埼玉県さいたま市の「あげは さいたま大宮店」は、被請求人の直営店である。
前者の店舗に対する「営業許可通知書」(乙38の1)、「営業許可済証」(乙38の2)を新たに提出する。要証期間内のものが取得できていないが、更新の都度に旧書面は保健所に返却するものと記憶している。
2 以上のとおり、被請求人は、平成19年6月11日から現在に至るまで継続して、本件商標を取消請求役務について使用しているものである。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出した乙各号証によれば、次のとおりである。
(1)写真とされる画像について
ア 「あげはトアロード店」について
(ア)「あげはトアロード店」の店舗の写真とされる画像には、ひさし上部の壁、立て看板に「あげは」(審決注:「げ」の文字の濁音符部分は、蝶とおぼしき図柄になっている。以下同じ。)の文字が表示されている(乙1、乙3、乙4)。また、垂れ幕(日よけ)、ガラス扉に「ageha」の文字が表示されている(乙2、乙5、乙6)。
(イ)「あげはトアロード店」の店内(室内)の写真とされる画像には、レジ(会計)台に何らかの文字が表示されていることがうかがえるものの、これらの文字を判読することはできない(乙7)。
また、卓上ライトには、その側面に欧文字が多数表示されていることはうかがえるものの、「ageha」の一連の文字が表示されていることを把握することはできない(乙8)。
イ 箸入れについて
箸入れとされる写真の画像には、「あげは」の文字が表示され(乙9、乙10)、また、箸入れの裏側の写真とされる画像には、「ageha」の文字が表示されている(乙11)。
ウ メニューファイルについて
メニューファイルとされる写真の画像には、右下に「ageha」の文字が表示され(乙12)、当該メニューファイルに綴じられているメニューの写真とされる画像には、「あげは」及び「ageha」の文字が確認できる(乙13?乙15)。
エ 立て看板について
立て看板とされる写真の画像には、「あげは」及び「ageha」の文字が表示されている(乙16)。
オ 写真の撮影日について
被請求人の知的財産担当者作成の平成30年8月24日付け「宣誓供述書」によれば、上記アないしエに係る写真(乙1?乙12及び乙16)は、平成30年8月10日に撮影されたものとのことであるが、その撮影日は、要証期間経過後のものである。
(2)宣伝広告用名刺、紙ナプキン、おしぼり収納袋について
ア 宣伝広告用名刺とされる画像には、「あげは」及び「ageha」の文字が表示されているが、当該名刺の作成日、作成者、頒布先、頒布数等は不明である(乙17)。
イ 紙ナプキンとされる画像には、「あげは」の文字が表示されているが、当該紙ナプキンの作成日、飲食店における使用状況等は不明である(乙18)。
ウ おしぼり収納袋とされる画像には、「あげは」の文字が表示されているが、当該おしぼり収納袋の作成日、飲食店における使用状況等は不明である(乙19)。
(3)ネット広告について
「あげはトアロード店」のネット広告とされる画像には、「ageha」又は「あげは」の文字が表示されているが、当該広告の掲載日、掲載者等は不明である(乙21、乙22の1?乙22の5)。
また、「あげは さいたま大宮店」のネット広告とされる画像には、「あげは」の文字が確認できるが、当該広告の掲載日、掲載者等は不明である(乙23)。
(4)レシート、請求書、納品書について
ア 乙第20号証は、「ageha」、「住所 神戸市中央区中山手通・・・」、「2018-08-22」、「ドリンク」、「現金 ¥561」等と記載されたレシートの写しであるところ、「ageha」の文字が確認できるが、当該レシートは、要証期間経過後(2018年8月22日付け)のものである。
イ 乙第24号証ないし乙第31号証は、「めいらくグループ」、「伊丹食鳥株式会社」、「山本佐太郎商店」、「カネキ酒販株式会社」及び「キーコーヒー株式会社」が作成したとされる請求書の写しであるところ、それら宛先の欄には、「〒650-0004 コウベシ チュウオウク ナカヤマテドオリ2-4-8 アゲハ」、「あげは トアロード店」「あげは。トアロード」、「〒650-0004 神戸市中央区中山手通2丁目4-8 あげは」又は「株式会社ハットトリック 経理部 お気軽健康Cafeあげはトアロード店」、「あげは」のように記載されていることが確認できる。
しかし、乙第28号証の請求書には、商品名、数量、金額等の記載がなく、空欄になっているばかりか、これらの請求書は、いずれも、「あげは トアロード店」等宛てのものであり、当該請求書において、「あげは トアロード店」等は、「飲食物の提供」の役務の出所表示としてではなく、商品等の購入者として記載されているにすぎない。
また、これらのうち、乙第24号証ないし乙第27号証、乙第29号証ないし乙第31号証の請求書の日付は、平成22年10月から同24年5月にかけてのものであり、これらの請求書は、要証期間前のものである。
ウ 乙第32号証ないし乙第37号証は、「株式会社大阪めいらく」及び「カネキ酒販株式会社」作成の納品書であるところ、宛先の欄には、「アゲハ。」、「あげは」、「あげは様 〒650-0004 神戸市中央区中山手通2丁目4-8」のように記載されていることが確認される。
しかし、これらの納品書は、いずれも、「あげは」等宛てのものであり、当該納品書において、「あげは」等は、「飲食物の提供」の役務の出所表示としてではなく、商品等の購入者として記載されているにすぎない。
また、これらのうち、乙第32号証、乙第34号証ないし乙第36号証の納品書の日付は、平成22年10月から同24年4月にかけてのものであり、これらの納品書は、要証期間前のものである。
(5)被請求人の業務に係る営業許可証について
ア 乙第38号証の1は、「営業許可通知書」の写しであり、「営業許可通知書」のタイトルの下、「住所」として「神戸市兵庫区西柳原町10-6」、「氏名」として「株式会社 ハット・トリック」及び「代表取締役」の氏名、「営業の種類」として「飲食店営業」、「営業許可の年月日」として「令和元年 5月28日」、「営業所所在地」として「神戸市中央区山手通2丁目4-8」、「営業所の名称、屋号又は商号」として「あげは」、「この許可の効力は 令和元年 6月 1日 から 令和 7年 5月31日 までとする。」の記載と共に、神戸市保健所長の記名、押印がある。
イ 乙38号証の2は、「営業許可済書」の写しであり、「営業許可済証」のタイトルの下、「営業の種類」として「飲食店営業」、「営業所所在地」として「神戸市中央区山手通2丁目4-8」、「名称、屋号又は商号」として「あげは」、「営業者の氏名」として「株式会社 ハット・トリック」、「有効期間」として「令和元年 6月 1日 から 令和 7年 5月31日 まで」の記載と共に、「令和元年 5月28日」付けで神戸市保健所長の記名、押印がある。
ウ ア及びイに係る営業許可の有効期限である令和元年6月1日ないし同7年5月31日は、要証期間外である。
2 上記1の認定によれば、次のように判断できる。
(1)本件商標と同一又は社会通念上同一の商標の使用について
本件商標は、別掲に示したとおり、斜線を組み合わせてなる2つの菱形状の図形を、その一部が左右に重なるように配置した幾何学的図形(以下「図形部分」という。)を上部に配し、その下部には、当該図形部分とほぼ同じ高さ、ほぼ5倍の横幅で「ageha」の欧文字を横書きした構成からなる結合商標であるところ、その構成に照らしてみれば、当該図形部分は、単に付記的なものということはできない。
一方、被請求人は、上記1のとおり、「あげは」又は「ageha」の文字からなる使用商標を、店舗の看板、メニュー、ネット広告等に表示していることがうかがえるものの、本件商標の図形部分を伴わない「あげは」又は「ageha」のみの使用は、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標の使用とは、いい得ないものである。
そして、被請求人提出の全証拠をみても、本件商標と同一といえる構成からなる商標の使用は確認できず、使用商標の態様は、すべて「あげは」又は「ageha」の文字のみからなるものであって、本件商標を構成する図形部分については、一切表示されていない。
したがって、被請求人の提出した証拠によって、被請求人が、我が国において、本件商標を使用していたとは認められないものである。
(2)要証期間内における取消請求役務の提供について
被請求人は、要証期間内に兵庫県神戸市において「あげは」の店名で飲食店を営業していた旨主張しているものの、「あげはトアロード店」の写真とされる画像は、上記1(1)オのとおり、すべて要証期間経過後のものであり、また、領収書、請求書、納品書についても、上記1(4)アないしウのとおり、ほとんどが要証期間外のものであるばかりか、「あげは トアロード店」宛ての請求書や納品書は、「あげは トアロード店」が他社から商品を購入したということができるとしても、被請求人が取消請求役務を実際に顧客に提供したことを直接示すものとはいえないものである。
さらに、被請求人は、「飲食店営業」について、「神戸市中央区山手通2丁目」において「あげは」の名称で、営業許可を得ていることがうかがえるものの、上記1(5)ウのとおり、その有効期間は、要証期間外である。
してみれば、要証期間内における店舗の営業状況を客観的な証拠に基づいて確認することはできず、被請求人の店舗において、要証期間内に、「菓子又はパンを主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供」を始めとする取消請求役務が実際に提供されていたことを把握することはできない。
(3)商標法第2条第3項各号該当性について
被請求人は、前記第3の2(2)のとおり、乙各号証は、商標法第2条第3項第1号、同第3号ないし同第8号の使用に該当する旨主張しているが、同第1号は商品についての商標の使用を規定するものであり、役務についての商標の使用が問題となる本件には該当しないものである。また、同第3号ないし同第8号については、上記1(1)ないし(5)の乙各号証の事実認定に照らして、同各号に規定する具体的な使用行為があったことを認め得る具体的な説明や、それらを裏付ける客観的事実を見いだすことはできないから、被請求人が主張する同各号に該当する使用行為があったと認めることはできない。
(4)小括
以上からすれば、被請求人の使用商標は、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標とはいえず、また、要証期間内に「菓子又はパンを主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供」を始めとする取消請求役務が実際に提供されていたということもできない上、提出した証拠に基づいて商標法第2条第3項各号に該当する使用行為があったということもできないから、被請求人が、要証期間内に、日本国内において、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を使用して、本件商標の指定役務中、「菓子又はパンを主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供」その他取消請求役務を提供したと認めることはできない。
その他、要証期間において、取消請求役務のいずれかについて、本件商標に係る商標権者又は使用権者が本件商標の使用をしたことを認めるに足りる証拠の提出はない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、取消請求役務について本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、結論掲記の役務について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲 本件商標


審理終結日 2020-11-12 
結審通知日 2020-11-17 
審決日 2020-12-03 
出願番号 商願2005-93157(T2005-93157) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y43)
最終処分 成立  
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 冨澤 美加
鈴木 雅也
登録日 2006-05-12 
登録番号 商標登録第4950924号(T4950924) 
商標の称呼 ジイエイ、エイジイ、アゲハ 
代理人 玉利 冨二郎 
代理人 松田 朋浩 
代理人 西木 信夫 

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