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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
管理番号 1370273 
異議申立番号 異議2020-900084 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-03-19 
確定日 2021-01-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6211763号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6211763号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6211763号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、平成30年9月10日に登録出願、第29類「かきを原料とする醤油を加味してなる味付のり,かきを原料とする醤油を加味してなる味付のりを使用したふりかけ」を指定商品として、令和元年12月12日に登録査定、同月27日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は、以下の1ないし3である。
また、申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する商標は、以下の1ないし4であり、これらは、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第4577775号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2に示すとおりの構成よりなり、平成13年8月7日に登録出願、第29類「干しのり」を指定商品として、同14年6月21日に設定登録されたものである。
2 登録第5284561号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3に示すとおりの構成よりなり、平成21年5月1日に登録出願、第29類「かきを原料としてなる醤油を使用した加工卵,かきを原料としてなる醤油を加味した肉製品,かきを原料としてなる醤油を加味した加工水産物,かきを原料としてなる醤油を加味したかつお節,かきを原料としてなる醤油を加味した寒天,かきを原料としてなる醤油を加味した削り節,かきを原料としてなる醤油を加味した食用魚粉,かきを原料としてなる醤油を加味したとろろ昆布,かきを原料としてなる醤油を加味した干しのり,かきを原料としてなる醤油を加味した干しひじき,かきを原料としてなる醤油を加味した干しわかめ,かきを原料としてなる醤油を加味した焼きのり,かきを原料としてなる醤油入り油揚げ,かきを原料としてなる醤油入り凍り豆腐,かきを原料としてなる醤油を含有するこんにゃく,かきを原料としてなる醤油を加味した豆乳,かきを原料としてなる醤油を加味した豆腐,かきを原料としてなる醤油の小袋を添付した納豆」及び第30類に属する商標登録原簿に記載の商品並びに第35類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定商品及び指定役務として、同年12月4日に設定登録されたものである。
3 登録第5779953号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲4に示すとおりの構成よりなり、平成27年1月22日に登録出願、第29類「味付けのり」を指定商品として、同年7月17日に設定登録されたものである。
4 登録第4385707号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲5に示すとおりの構成よりなり、平成11年2月18日登録出願、第30類「かき(牡蠣)を原材料に用いてなる醤油」を指定商品として、同12年5月26日に設定登録されたものである。
なお、以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめていう場合は、11号引用商標といい、11号引用商標と引用商標4をまとめていう場合は、引用商標という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は、中央に縦書きで「かき醤油」の文字、その左横に「味付のり」の文字、右下に鳥居と、左に牡蠣と左下に紅葉、背景に雲と島の図形からなり、これより「カキショウユ」、「アジツケノリ」の称呼を生じ、図形部分から広島県に由来していると観念されることが明らかである。
他方、引用商標1は、中央に縦書きで「かき醤油」の文字、その左横に「のり」の文字、右下に鳥居と、右上から中央に紅葉の図形からなり、「カキショウユ」、「ノリ」の称呼を生じ、図形部分から広島県に由来していると観念されるものである。
引用商標2は,中央に縦書きの2行で「かき醤油」の文字,右下に鳥居と,左上に紅葉,背景に島の図形からなり,「カキショウユ」の称呼を生じ,図の部分から広島県に由来していると観念されるものである。
引用商標3は、中央に縦書きの2行で「かき醤油」の文字、その左横に「味付のり」の文字、左下に鳥居と、左上に紅葉、背景に島の図形からなり、「カキショウユ」、「アジツケノリ」の称呼を生じ、図形部分から広島県に由来していると観念されるものである。
(2)甲第6号証の参考図1には、申立人において調査した「かきを使用した醤油で味付けされた海苔」として販売されている商品の一覧、参考図2には「かきを使用した醤油」の一覧を示す。
このうち、参考図1におけるアサムラサキによる表示は引用商標2、引用商標3を使用した味付けのりの表示であり、参考図2におけるアサムラサキによる表示は引用商標4を使用したかきだし醤油の表示である。
(3)市場における「かきを使用した醤油」の表示について参考図2を説明すると、「かき醤油」をよどみなく一体とした表記はアサムラサキと盛田による表記のみである。
そして、ひらがなの「かき」と漢字による「醤油」を表した外観を有する表示もアサムラサキと盛田のもののみである。ヒガシマルの表記によれば、「牡蠣」は漢字であり、「だし醤油」の文字とは大きさが違っており一連の称呼とはなっていない。キッコーマンの表記も同様である。その他、「宮島かきのしょうゆ」、「牡蠣しょうゆ」、「かきだし醤油」、「牡蠣だし醤油」と様々な表記がされているだけである。
なお、盛田による「かき醤油」は存在しているが、「しょうゆ」、「だししょうゆ」に関する甲第15号証の1ないし甲第15号証の3のPOS分析ABCランキングに現れていない。このように「かき醤油」をよどみなく一体とした表記は、「だししょうゆ」市場においては特徴的である。
また、広島を象徴する鳥居と紅葉の図柄を背景とする表示も川中醤油に見られるが、甲第15号証の1ないし甲第15号証の3のPOS分析ABCランキングに現れていない。そして、広島を象徴する鳥居と紅葉の図柄を背景とし、「かき」と漢字による「醤油」を大きく表した文字の表示は、アサムラサキの他に例を見ない。
次に、市場における「かきを使用した醤油で味付けされた海苔」について参考図1を説明すると、上欄の広島海苔、アサムラサキ、丸徳海苔、やま磯、マルヒガシ海苔が広島に関係し、下欄の大森屋(大阪)、有明海苔(佐賀)は広島以外である。
広島に関係して「かき醤油」を大きく表示しているのは広島海苔とアサムラサキのみである。その他は「広島かき」、「かきの醤油」(「の」は小さい。)、「かき味」であり、「かき醤油」を表示しているものは見当たらない。
そもそも商品との関係において、「かき醤油」は、味付海苔の一原料を表示しているにすぎない。また、「かきを使用した醤油」の市場においてすら「かき醤油」をよどみなく一体とした表記とするのは特徴的であるにもかかわらず、その一原料にしかすぎない「かき醤油」の文字を味付けのりに大きく表示することは通常ありえない。
さらに、広島発を表す鳥居と紅葉の図形を組み合わせた表記は、決してありふれたものではない。
してみれば、本件商標と11号引用商標は、ともに「かき醤油」の文字と、鳥居と紅葉の図形が共通し、「カキショウユ」の称呼、「広島県由来」の観念を生じ、類似の商標である。
そして、本件商標と11号引用商標の指定商品は、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人の「かき醤油」の文字と、鳥居と紅葉の図形の組み合わせからなる商標の周知・著名性について
申立人は、明治43年に創業し、昭和24年に「藤国醤油株式会社」として設立され、同51年に「株式会社アサムラサキ」に変更され、平成17年に持株会社「株式会社アサムラサキホールディングス」に移行し、子会社として新たに設立し、製造、販売を担う「株式会社アサムラサキ」を傘下に置いている。
甲第7号証の1に「株式会社アサムラサキ」の会社概要、甲第7号証の2に会社沿革、甲第8号証の1に商品「かき醤油」、甲第8号証の2に商品「かき醤油味付けのりセット」が示されている。
甲第9号証は株式会社アサムラサキの「かき醤油」の紹介記事である。
広島をアピールするこれまでにない商品を作ろうと、広島が養殖全国一位の牡蠣を原材料に用いた牡蠣の出汁入り醤油の開発に取り組んだこと。牡蠣の出汁入り醤油を「かき醤油」と称して販売したこと、世に存在しなかった牡蠣の出汁入り醤油は、奇怪な調味料であり、味の想像がつかず用途不明であり全く売れなかったこと、牡蠣を食べるための醤油だと勘違いされたこと、「かき醤油」の認知度を高めることが社の課題であったこと、1995年から売上が伸び、現在は大手メーカー、小売がコラボ商品に採用するヒット商品となったこと等が示されている。
株式会社アカムラサキの「かき醤油」は、1992年に発売開始された。
甲第10号証の1は、1994年の第12回アジア競技大会広島1994に向けて「かき醤油」を紹介したチラシである。甲第10号証の2は、日本テレビ系「発明将軍ダウンタウン(1993年?1996年)にTV登場したY氏を写したチラシである。発売開始当時から「広島」を表す紅葉と鳥居の図柄を背景にして毛筆に書体の平仮名による「かき」と漢字による「醤油」からなる「かき醤油」の文字を同一の大きさで一体的に大きく表しており、引用商標4に示すラベルが付されている。甲第10号証の3は、1997年に「かき醤油」を写した写真である。この頃には、牡蠣の図柄も加えられている。
甲第11号証は、株式会社アサムラサキの「かき醤油」の電波広告出稿実績表で、甲第12号証は株式会社アサムラサキの「かき醤油」テレビCM素材資料である。HTV広島テレビ(広島県)、TBSテレビ新広島(広島県)、UHT広島ホームテレビ(広島県)、RSK山陽放送(岡山県、香川県)、RCC中国放送ラジオ(広島県)により、多数県にわたり継続的に宣伝広告している。
甲第13号証の1は、株式会社アサムラサキの「かき醤油」、「味付海苔」について、図書、雑誌、新聞に掲載された記事の一覧表である。
甲第13号証の2ないし甲第13号証の11は、上記記事の中から抜粋したものである。
甲第14号証の1ないし甲第14号証の6は、他社とのコラボ商品で、他社の商品に株式会社アサムラサキの「かき醤油」が使用されており、商品の包装にアサムラサキかき醤油の商標が付されている。
甲第14号証の1はローソン、甲第14号証の2はカルビー、甲第14号証の3は新庄味噌、甲第14号証の4は弁当、甲第14号証の5は備後漬物、甲第14号証の6はエースコックとのコラボ商品が示されている。これらは、先方の会社からオファーされて、コラボ商品の開発に到ったものである。これらの会社の商品の味付けに関して、株式会社アサムラサキの「かき醤油」を明示することで、需要が喚起されると認められていることを示している。
甲第15号証の1ないし甲第15号証の7は、POS分析ABCランキングである。
甲第15号証の1は、分類「だし入りしょうゆ」、地域「近畿」、甲第15号証の2は分類「だし入りしょうゆ」、地域「首都圏」、甲第15号証の3は分類「だし入りしょうゆ」、地域「全国」、甲第15号証の4は分類「しょうゆ」、地域「中国」、甲第15号証の5は分類「しょうゆ」、地域「近畿」、甲第15号証の6は分類「しょうゆ」、地域「首都圏」、甲第15号証の7は分類「しょうゆ」、地域「全国」である。
甲第15号証の4によれば、中国地方では「しょうゆ」の分類一般のランキングであり、だし入りしょうゆに限っていないにもかかわらず、600mリットル入りが第1位に、1リットル入りが第9位にランキングされている。
また、甲第15号証の3によれば、全国「だし入りしょうゆ」の分類では上位にランキングされている。
なお、甲第15号証の3は、「牡蠣」の出汁に限らず、昆布だし、かつおだし等の「だし入りしょうゆ」を含んでいる。
甲第16号証は、株式会社アサムラサキのモンドコレクション受賞紹介サイトで、甲第17号証は、株式会社アサムラサキの「かき醤油」のモンドコレクション受賞の販促用資材である。
株式会社アサムラサキは、1992年より、商品「かきを使用したしょうゆ」について、「かき醤油」の文字と、鳥居と紅葉の図形の組み合わせからなる商標を広く使用し今日に至っており、商品「かき醤油」の中国地方における市場占有率も極めて大きく、全国的に広く一般に知られている。
イ 申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれについて
株式会社アサムラサキは、「かき醤油」で味付した海苔に引用商標4を付して販売しており(甲9の2)、商品「しょうゆ」と商品「味付のり」は密接に関連している。
商品「しょうゆ」と商品「味付のり」は、非類似の商品であるが、「味付のり」の味付けについて、株式会社アサムラサキの「かき醤油」を表示することにより、需要を喚起することは、甲第14号証の1ないし甲第14号証の6における他社のコラボ商品の例に明らかである。
また、広島の土産として商品「しょうゆ」と商品「味付のり」は、同じ売り場に近接して状態で扱われている。
甲第18号証は、瀬戸内・広島駅で買えるおみやげガイドのサイトで、株式会社アサムラサキの「かき醤油」と広島海苔株式会社(以下「広島海苔社」という。)の「かき醤油味付のり」が並列され紹介されており、店頭で並べられて販売されている様子がわかる。販売者を確認しなければ、同じ会社により販売されていると認識される可能性があり、製造元が違うことを確認できても、株式会社アサムラサキと広島海苔社は何らかの関係があり、株式会社アサムラサキの「かき醤油」を使用して広島海苔社が「かき醤油味付のり」を製造販売していると混同を生じさせる。
甲第19号証及び甲第20号証の1は、小売店(アバンセ(広島駅ビルekie内)、天満屋(広島空港内))の売り場を撮影したものである。これらは、広島の鉄道と空の玄関口に位置する土産店である。
甲第20号証の2は、小売店天満屋において購入したセット商品とレシートの写真である。広島海苔社の「かき醤油味付のり」と株式会社アサムラサキの「かき醤油」をセットにして販売されており、株式会社アサムラサキと広島海苔社は何らかの関係があり、株式会社アサムラサキの「かき醤油」を使用して広島海苔社が「かき醤油味付のり」を製造販売していると需要者に混同させるに等しい行為を第三者が実行しているのである。
甲第21号証は、広島海苔社の商品一覧である。このなかには、かきを使用した醤油に対応する商品が無い。「かき醤油」に対応する商品揃えをしていないにもかかわらず、広島海苔社の味付のりに「かき醤油」が極めて大きく表示されている。
「かきを使用した醤油」市場において、中国地方で高い認知度を誇る「かき醤油」は、株式会社アサムラサキの「かき醤油」しか存在していない。
広島を象徴する鳥居と紅葉の図形を背景とし、「かき醤油」の文字を大きく表示することは、株式会社アサムラサキの「かき醤油」との関連を連想させている。
したがって、「かき醤油」の文字と、鳥居と紅葉の図形の組み合わせからなる本件商標が、本件商標の指定商品について使用された場合には、これに接する取引者・需要者は、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
ア 日本国内で全国的に知られている商標と同一又は類似の商標であること
申立人の「かき醤油」の文字と、鳥居と紅葉の図形の組み合わせからなる商標の周知・著名性については、上記(2)アのとおりである。
イ 本件商標の登録出願は、出所表示機能を希釈化させたり、その名声等を毀損させる目的をもってなされたものであること
(ア)広島海苔社は、かつて株式会社アサムラサキが製造販売する牡蠣の出汁入り醤油(以下「かき醤油」と称する。)を使用した「かき醤油味付のり」を製造販売していた。同社は、株式会社アサムラサキに対して「かき醤油」を原材料として使用することの承諾を求め、株式会社アサムラサキの承諾を得て、「かき醤油」を原料として使用した「かき醤油味付のり」を、2002年頃まで製造販売していた。
甲第22号証は、2001年(平成13年)に株式会社アサムラサキが広島海苔社と締結したプロダクトライセンス契約である。プロダクトライセンス契約では、株式会社アサムラサキから「かき醤油」の買い取りを条件として(同第5条1項)、株式会社アサムラサキによるデザインを使用することを許諾している。
プロダクトライセンス契約に示されるように、広島海苔は、かつて株式会社アサムラサキから「かき醤油」を購入し、これを使用した「かき醤油味付のり」を製造販売していた。
(イ)広島海苔社は、株式会社アサムラサキの「かき醤油」を使用していないのにもかかわらず、「かき醤油」の文字、紅葉と鳥居の図柄のラベルのまま「かき醤油味付のり」を製造販売した。
甲第23号証は、2003年頃の広島海苔社の味付のりのラベルである。このラベルは、本家商標と同一の商標であり、広島海苔社が株式会社アサムラサキから購入した「かき醤油」を原料とした「かき醤油味付のり」を製造販売するにあたり、広島海苔社が作成したものである。
プロダクトライセンス契約により広島海苔社のラベルは株式会社アサムラサキによるデザインに変更されるはずであったが、広島海苔社が履行しなかったため、2002年末に契約解除になった。
なお、甲第24号証は、株式会社アサムラサキが用意したデザインであり、株式会社アサムラサキの「かき醤油」に付されたラベル(引用商標4)のデザインに統一することにより、広島発「かき醤油」のブランド価値を高めるものであった。
株式会社アサムラサキは、プロダクトライセンス契約を解除した後、広島海苔社に対して「かき醤油」の販売を停止した。広島海苔社は、株式会社アサムラサキによる「かき醤油」を原料として使用していないのにもかかわらず、「かき醤油」の文字、紅葉と鳥居の図柄のラベルをそのまま「かき醤油味付のり」に使用し続け、株式会社アサムラサキの広島発「かき醤油」のブランド価値を毀損し続けている。
(ウ)広島海苔社の出願は、日本国内で全国的に知られている商標と同一又は類似の商標について、出所表示機能を希釈化させたり、その名声等を毀損させる目的をもってなされたものである。
株式会社アサムラサキは、1992年から2002年にかけて、テレビコマーシャルに1億8000万円、1993年から2001年にかけて、サンブル配布に1億3000万円を費やし、販売宣伝を行った。
プロダクトライセンス契約の解除当時の株式会社アサムラサキによる「かき醤油」販売実績は、1999年度が3億4355万円、2000年度が4億1816万円、2001年度が5億3654万円である。
この宣伝効果及び商品自体の味・品質の良さにより、「かき醤油」は全国各生協等で好評を得ており、「かき醤油」の文字、紅葉と鳥居の図柄の表示は、特に広島、岡山、山陰地区では株式会社アサムラサキの商品の表示として認知度が高い状態であった。
また、食品商社・量販店バイヤーの聞では「かき醤油」の文字単独の表示であっても、牡蠣の出汁入り醤油についての株式会社アサムラサキの商品表示として、味・高品質・高価格の全てが、すでにその当時において認識されていた。
プロダクトライセンス契約の解除後も、「かき醤油」の文字、紅葉と鳥居の図柄を表示した広島海苔社の「かき醤油味付のり」に使用し続けることにより、株式会社アサムラサキはプロダクトライセンス契約を締結する他の契約企業からクレームを受けたり、その契約の維持について対応に苦慮させられ続けている。
甲第19号証の1及び甲第20号証において示したように、広島海苔社の「かき醤油味付のり」と株式会社アサムラサキの「かき醤油」をセットにして販売する小売店も出現している。セット品の表示は、「かき醤油」関連商品であることを示す「かき醤油/味付けのりセット」、「かき醤油/のりセット」である。これらの小売店は、何の認識も無くこのような行為を行っており、出所表示機能を希釈化させたり、その信用、名声、顧客吸引力等を毀損させる現象が、本来善意の第三者であるはずの小売店の手により行われつつある状況である。
また、甲第21号証に示したように、広島海苔社の商品一覧には、かきを使用した醤油に対応する商品が無い。どのような品質のものか確認するにも、一般消費者は、入手不可能である。それにもかかわらず、広島海苔社の味付けのりには「かき醤油」が大きく表示されているのである。申立人は、プロダクトライセンス契約の解除後も、広島を象徴する紅葉と鳥居の図柄を背景に「かき醤油」のブランドを継続して築きあげてきている。
現時点においては、広島を象徴する紅葉と鳥居の図柄を背景とした「かき醤油」といえば申立人を指すほど日本国内で全国的に知られている。
広島海苔社が使用する出所不明の「かき醤油」に対して、申立人はその商品品質の保証ができない。申立人の「かき醤油」ブランドにただ乗りしているといわざるを得ない。
このように、広島海苔社の登録出願は、株式会社アサムラサキの牡蠣の出汁入り醤油についての周知商標である「かき醤油」の文字、紅葉と鳥居の図柄の表示と同一又は類似の商標について、出所表示機能を希釈化させたり、その信用、名声、顧客吸引力等を毀損することを権利として固定化させる目的をもってなされたものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
ア 申立人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、明治43年に創業し、昭和24年に「藤国醤油株式会社」として設立され、子会社として、株式会社アサムラサキを傘下に置いている(申立人の主張)。
そして、本社を広島県福山市におく株式会社アサムラサキは、「醤油・つゆ類・たれ類・ドレッシング・その他調味料」のメーカーであり(甲7の1)、「かき醤油」(甲8の1)及び商品「かき醤油味付けのりセット」(甲8の2)の販売も行っている。
(イ)株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油」には、引用商標4と同様の商標が商品ラベルに使用されている(甲9、甲10)。
(ウ)株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油」は、2009年4月から2010年3月まで、2013年4月から2020年3月までの間に、HTV広島テレビ、UHT広島ホームテレビ、TBSテレビ新広島、RSK山陽放送、RCC中国放送ラジオにおいて、複数回、継続的に宣伝広告されている(甲11)。
(エ)株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油」は、「醤油手帖」(河出書房新社発行)、「福山のオンリーワン ナンバーワン」(福山市発行)、「日本食糧新聞」(2019年12月11日 日本食糧新聞社発行)、「dancyu1月号」(2005年1月1日 プレジデント社発行)、「3分クッキング10月号」(2005年10月1日 日本テレビ放送網株式会社発行)、「バイヤー厳選の人気調味料&スーパーフード手帖」(主婦の友社発行)、「食品新聞」(2012年4月16日 食品新聞社発行)、「中国新聞」(2010年6月23日 中国新聞備後本社発行)、「ロイヤル・グルメ」(2005年11月15日 成美堂出版発行)の書籍、雑誌記事、新聞広告等で紹介されていることがうかがえる(甲13)。
(オ)株式会社ローソンと株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油」とのコラボ商品が、2019年7月9日から中国・四国地方のローソンで販売されたこと(甲14の1)やカルビー株式会社と株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油」とのコラボ商品「ポテトチップス かき醤油味」が、2011年9月12日より中国地区限定で発売されたこと(甲14の2)がうかがえる。
(カ)2019年3月から2020年2月の期間の「業態:日経収集店舗・全スーパー」の「地域:近畿」の「分類:115005だし入りしょうゆ」の「レポート名称:POS分析_ABCランキング」によると、株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油 600ML」が第7位にランクされ(甲15の1)、同時期・同業態の「地域:首都圏」の「分類:115005だし入りしょうゆ」の「レポート名称:POS分析_ABCランキング」によると、株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油 600ML」が第16位にランクされ(甲15の2)、同時期・同業態の「地域:全国」の「分類:115005だし入りしょうゆ」の「レポート名称:POS分析_ABCランキング」によると株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油 600ML」が第4位にランクされ(甲15の3)、同時期の「地域:中国」の「分類:115005だし入りしょうゆ」の「レポート名称:POS分析_ABCランキング」によると株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油 600ML」が第1位にランクされ(甲15の4)ていることがうかがえる。
また、同時期・同業態の「地域:近畿」の「分類:115しょうゆ」の「レポート名称:POS分析_ABCランキング」によると、株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油 600ML」が第21位にランクされ(甲15の5)、同時期・同業態の「地域:全国」の「分類:115しょうゆ」の「レポート名称:POS分析_ABCランキング」によると、株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油 600ML」が第26位にランクされ(甲15の7)ていることがうかがえる。
(キ)株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油」は、2008年からモンドセレクションの最高金賞に10年連続で受賞した(甲16、甲17)。
(ク)瀬戸内・広島おみやげガイドの広島県おみやげランキング食品編において、株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油」が第1位にランキングされていることがうかがえる(甲18)。
イ 上記アによれば、申立人の子会社「株式会社アサムラサキ」は、調味料のメーカーで、同社が製造した「かき醤油」の商品ラベルには、引用商標4と類似の図柄が付され、全国的に販売されていること、当該商品の宣伝広告は中国地域のTV、ラジオを中心に行われていること、当該商品は、2019年3月から2020年2月の間の「だし入りしょうゆ」の販売ランキングにおいて、中国地域のみならず、全国においても上位にランクされていること、当該商品は、2008年からモンドセレクションの最高金賞に10年連続で受賞しており、広島県のおみやげランキング食品編において、当該商品が第1位であることなどは確認することができる。
しかしながら、申立人により提出された全証拠を参照しても、株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油」の全国的な販売数量や売上実績、市場占有率(販売シェア)等を客観的に把握し得る証拠の提出はなく、この点について申立人は主張していない。
また、当該商品は、中国地方のTVやラジオを中心に宣伝広告を行っているものであり、地域が限定されていること、また、書籍、雑誌及び新聞による広告も掲載期間等が限定的であることに加え、広告宣伝費に関する主張や立証もない。
そうすると、株式会社アサムラサキが製造した「かき醤油」の商品ラベルに引用商標4と同様の図柄が付され、当該商品が販売されているとしても、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標4を含む引用商標が申立人の子会社である株式会社アサムラサキの製造に係る商品「かき醤油」を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認めることはできない。
2 本件商標と引用商標の類否について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1に示すとおり、薄いオレンジ色と島影をモチーフとした図形を配した四角形内の左側中央に牡蠣の図形とその下に赤色で6枚の大きさの異なる落葉と思しき図形,右下に赤色で施された鳥居の図形を配し(以下「本件図形部分」という場合がある。)、中央に大きく「かき醤油」の文字を筆書き風書体で表し、その左に小さく「味付のり」の文字を二列に表した構成よりなるところ、本件商標の構成中の文字部分と本件図形部分は、それぞれ独立して観察されるものである。
そして、本件商標は、その構成中の「かき醤油」の文字及び「味付のり」の文字より「カキショウユアジツケノリ」の称呼を生じ得るものの、「かき醤油」の文字は、「牡蠣を使用してなる醤油」の意味を有する語として、また、「味付のり」の文字は、「味付された海苔」の意味を有する語として取引者、需要者に認識されるものと認められ、「かき醤油」の文字及び「味付のり」の文字は、全体として「牡蠣を使用してなる醤油で味付けされた海苔」の意味合いを生じるものと無理なく理解できることから、当該文字部分は、本件商標の指定商品の品質、原材料を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部とは判断できないものである。
また、本件商標の本件図形部分の組み合わせは、本件商標の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとする特段の事情はないものであり、本件図形部分の組み合わせが、既成の具体的な事物、事象を表したものや、親しまれているものというべき事情は認められないため、これらは特定の称呼及び観念を生じないものである。
そうすると、本件商標は、本件図形部分の組み合わせが、需要者に強く支配的な印象を与えるものであって、当該部分が、自他識別標識としての機能を有する要部として認識されるものである。
したがって、本件商標は、その構成中の「かき醤油」及び「味付のり」の文字部分から「カキショウユアジツケノリ」の称呼を生じ得るものの、当該文字部分は、本件商標の要部とは認識されないことから、本件商標は、特定の称呼及び観念は生じないものである。
(2)引用商標について
ア 11号引用商標について
(ア)引用商標1は、別掲2に示すとおり、上部に枝先から散っていく木の葉の図形と下部に鳥居の図形を配し、図形部分にかぶせたように白抜きで縁取りされた「かき醤油」及び「のり」の文字を二列に表したものであるところ、その構成中の「かき醤油」の文字及び「のり」の文字より「カキショウユノリ」の称呼を生じ得るものの、上記(1)のとおり、「かき醤油」の文字は、「牡蠣を使用してなる醤油」の意味を有する語として、「のり」の文字は、「海苔」に通じ、「海苔」は、「アサクサノリなどを漉きかわかした乾海苔(ほしのり)。火にあぶって食べる。」を意味する語であるから、「かき醤油」の文字及び「のり」の文字は、「牡蠣を使用してなる醤油を使用した海苔」の意味合いを生じるものと無理なく理解できることから、当該文字部分は、引用商標1の指定商品の品質、原材料を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部とは判断できないものである。
また、引用商標1の構成中の図形は、引用商標1の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとする特段の事情はないものであり、また、当該図形は、既成の具体的な事物、事象を表したものや、親しまれているものというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念を生じないものである。
そうすると、引用商標1は、その構成中の図形が、取引者、需要者に強く支配的な印象を与えるものであって、これが、自他識別標識としての機能を有する要部として認識されるものである。
したがって、引用商標1は、その構成中の「かき醤油」及び「のり」の文字部分から「カキショウユノリ」の称呼を生じ得るものの、当該文字部分は、引用商標1の要部とは認識されないことから、引用商標1は、特定の称呼及び観念は生じないものである。
(イ)引用商標2は、別掲3に示すとおり、上部に枝先の図形と下部に島影と鳥居の図形を配し,中央に「かき」及び「醤油」の文字を二列に表したもの表したものであるところ、その構成中の「かき」及び「醤油」の文字より「カキショウユ」の称呼を生じ得るものの、上記(1)のとおり、「かき」及び「醤油」の文字を結合した「かき醤油」の文字は、「牡蠣を使用してなる醤油」の意味合いを生じるものと無理なく理解できることから、引用商標2の指定商品との関係において、商品の品質、原材料を表示するにすぎず、「かき」及び「醤油」の文字が、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部とは判断できないものである。
また、引用商標2の構成中の図形は、引用商標2の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとする特段の事情はないものであり、また、当該図形は、既成の具体的な事物、事象を表したものや、親しまれているものというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念を生じないものである。
そうすると、引用商標2は、その構成中の図形が、取引者、需要者に強く支配的な印象を与えるものであって、これが、自他識別標識としての機能を有する要部として認識されるものである。
したがって、引用商標2は、その構成中の「かき」及び「醤油」の文字部分から「カキショウユ」の称呼を生じ得るものの、当該文字部分は、引用商標2の要部とは認識されないことから、引用商標2は、特定の称呼及び観念は生じないものである。
(ウ)引用商標3は、別掲4に示すとおり、上部に枝先の図形と下部に島影と鳥居の図形を配し,中央に、右から「かき」、「醤油」及び「味付のり」の文字を三列に表した構成よりなるものであるところ、その構成中の「かき」、「醤油」及び「味付のり」の文字より「カキショウユアジツケノリ」の称呼を生じ得るものの、上記(1)のとおり、「かき」及び「醤油」の文字を結合した「かき醤油」の文字は、「牡蠣を使用してなる醤油」の意味合いを生じるものと無理なく理解でき、また、「味付のり」の文字は、「味付された海苔」の意味を有する語として取引者、需要者に認識されるものと認められることから、「かき」及び「醤油」の文字は、引用商標3の指定商品「味付のり」との関係において、商品の品質、原材料を表示するにすぎず、また、構成中の「味付のり」の文字は、引用商標3の指定商品を表示するものであるから、「かき」、「醤油」及び「味付のり」の文字が、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部とは判断できないものである。
また、引用商標3の構成中の図形は、引用商標3の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとする特段の事情はないものであり、また、当該図形は、既成の具体的な事物、事象を表したものや、親しまれているものというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念を生じないものである。
そうすると、引用商標3は、その構成中の図形が、取引者、需要者に強く支配的な印象を与えるものであって、これが、自他識別標識としての機能を有する要部として認識されるものである。
したがって、引用商標3は、その構成中の「かき」、「醤油」及び「味付のり」の文字部分から「カキショウユアジツケノリ」の称呼を生じ得るものの、当該文字部分は、引用商標3の要部とは認識されないことから、引用商標3は、特定の称呼及び観念は生じないものである。
(エ)引用商標4は、別掲5に示すとおり、上部に枝先の図形と下部に島影と鳥居の図形を配し,中央に「かき」及び「醤油」の文字を二列に表したもの表したものであるところ、その構成中の「かき」及び「醤油」の文字より「カキショウユ」の称呼を生じ得るものの、上記(1)のとおり、「かき」及び「醤油」の文字を結合した「かき醤油」の文字は、「牡蠣を使用してなる醤油」の意味合いを生じるものと無理なく理解でき、引用商標4の指定商品「かき(牡蠣)を原材料に用いてなる醤油」との関係において、引用商標4の指定商品を表示するものであるから、「かき」及び「醤油」の文字が、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部とは判断できないものである。
また、引用商標4の構成中の図形は、引用商標4の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとする特段の事情はないものであり、また、当該図形は、既成の具体的な事物、事象を表したものや、親しまれているものというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念を生じないものである。
そうすると、引用商標4は、その構成中の図形が、取引者、需要者に強く支配的な印象を与えるものであって、これが、自他識別標識としての機能を有する要部として認識されるものである。
したがって、引用商標4は、その構成中の「かき」及び「醤油」の文字部分から「カキショウユ」の称呼を生じ得るものの、当該文字部分は、引用商標4の要部とは認識されないことから、引用商標4は、特定の称呼及び観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標と11号引用商標の類否について
本件商標の本件図形部分と11号引用商標の要部である図形部分を比較するに、本件商標は、前記(1)のとおり、薄いオレンジ色と赤色の色彩を含め、牡蠣、島影、落葉、鳥居をモチーフとした図形として看取されるものであり、引用商標1は、枝先から散っていく木の葉、鳥居をモチーフとした図形として、引用商標2及び引用商標3は、枝先から散っていく木の葉、島影、鳥居をモチーフとした図形としてそれぞれ看取されるものであるから、これらは、商標全体としての構成態様において相違するものであり、かつ、構成全体としてそれぞれから受ける印象が大きく異なり、これらを対比観察した場合はもとより、時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上、十分に区別し得るものであり、互いに紛れるおそれはないというべきである。
また、これらは、特定の称呼及び観念は生じないものであって,称呼及び観念において比較することはできないものであり、類似すると認められる点を有しない。
以上によれば、本件商標と11号引用商標は、外観において顕著に相違し、かつ、称呼及び観念においても類似しないから、これらを全体的に考察すれば、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、本件商標と11号引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。
イ 本件商標と引用商標4の類否について
本件商標の本件図形部分と引用商標4の要部である図形部分を比較するに、本件商標は、前記(1)のとおり、薄いオレンジ色と赤色の色彩を含め、牡蠣、島影、落葉、鳥居をモチーフとした図形として看取されるものであり、引用商標4は、枝先から散っていく木の葉、島影、鳥居をモチーフとした図形としてそれぞれ看取されるものであるから、これらは、商標全体としての構成態様において相違するものであり、かつ、構成全体としてそれぞれから受ける印象が大きく異なり、これらを対比観察した場合はもとより、時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上、十分に区別し得るものであり、互いに紛れるおそれはないというべきである。
また、これらは、特定の称呼及び観念は生じないものであって,称呼及び観念において比較することはできないものであり、類似すると認められる点を有しない。
以上によれば、本件商標と引用商標4は、外観において顕著に相違し、かつ、称呼及び観念においても類似しないから、これらを全体的に考察すれば、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標4とが類似するというべき事情は見いだせない。
ウ まとめ
上記ア及びイのとおり,本件商標と引用商標とは,外観において,これらは容易に区別できるものであり,称呼及び観念においては,これらが紛れるおそれはないから,これらの点を総合的に考慮すれば,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であり別異の商標といわざるを得ない。
3 商標法第4条第1項第11号該当性について
上記2(3)アのとおり、本件商標と11号引用商標は、非類似の商標である。
したがって、本件商標の指定商品と11号引用商標の指定商品とは、同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知性について
上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めることができない。
(2)引用商標の独創性について
引用商標の構成中の「かき」、「醤油」、「かき醤油」及び「味付のり」の文字は、引用商標の指定商品を表示するもの又は引用商標の指定商品の品質、原材料を表示するものであるから、文字部分の独創性が高いとはいえない。
また、引用商標の構成中の枝先から散っていく木の葉、島影、鳥居をモチーフとした図形のそれぞれは、ありふれたデザインであるとしても、これらを組み合わせた図形部分は、ありふれたデザインである等の事情は見受けられないことから,引用商標の構成中の図形部分については独創性を有するものといえる。
(3)本件商標と引用商標との類似性について
上記2のとおり、本件商標と引用商標とは外観及び称呼において互いに紛れるおそれのない非類似の商標であり、全体として異なる視覚的印象や記憶を与え、看者に全く別異の商標として認識されるものであって、類似性の程度は高いとはいえないものである。
(4)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性について
本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品は、いずれも、食品に該当する商品であり、これらは、製造者、販売場所及び需要者等を共通にするものである。
したがって、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品は、密接な関連性を有している。
(5)出所の混同のおそれについて
本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品は、製造者、販売場所及び需要者等を共通にするものであり、かつ,引用商標の構成中の図形部分は、独創性を有するとしても、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示する商標として周知、著名とはいえず、また、上記(3)のとおり、引用商標は、本件商標とは、別異の商標であるとすると、本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標又は申立人を連想又は想起するとは考え難い。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、その取引者、需要者をして、当該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認めることはできない。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記1のとおり、引用商標は、我が国おいて広く知られていたものとは認められないものであり、かつ、本件商標と引用商標とは類似しないものである。
そして、申立人の主張及び申立人の提出に係る証拠によれば、本件商標権者と申立人との間で、平成13年(2001年)11月15日にプロダクトライセンス契約書が締結され、同14年(2002年)末に同契約が解除されたことをもって、直ちに本件商標権者による本件商標の使用が、引用商標に蓄積された名声や信用にフリーライドし、それらを毀損させるものというべき事実は見出し難いものである。
また、他に、本件商標が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって使用するものであることを具体的に示す証拠はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 申立人の主張について
11号引用商標は、広島を象徴する鳥居と紅葉の図柄を背景とし、「かき」と漢字による「醤油」を大きく表した文字からなるもので、このような表示は、申立人の他に例を見ないものであり、広島発を表す鳥居と紅葉の図形を組み合わせた表記は、決してありふれたものではないから、本件商標と11号引用商標は、共に「かき醤油」の文字と、鳥居と紅葉の図形が共通し、「カキショウユ」の称呼、「広島県由来」の観念を生じるため、これらは類似の商標である旨を主張している。
しかしながら、本件商標の構成中の「かき醤油」及び「味付のり」の文字は、本件商標の指定商品との関係において、本件商標の指定商品の品質、原材料を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部とは判断できないものであり、11号引用商標の構成中の「かき」、「醤油」、「のり」、「かき醤油」及び「味付のり」の文字も、11号引用商標の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部とは判断できないものであるから、本件商標及び11号引用商標は、いずれも出所識別標識としての「カキショウユ」の称呼は生じないものである。
また、確かに、本件商標と11号引用商標は、鳥居と紅葉の図形が共通しているとしても、本件商標は、薄いオレンジ色と赤色の色彩を含め、牡蠣、島影、落葉、鳥居をモチーフとした図形として看取されるものであり、引用商標1は、枝先から散っていく木の葉、鳥居をモチーフとした図形として,引用商標2及び引用商標3は、枝先から散っていく木の葉、島影、鳥居をモチーフとした図形としてそれぞれ看取されるものであるから、商標全体としての構成態様において相違するものであり、かつ、構成全体としてそれぞれから受ける印象が大きく異なり、これらを対比観察した場合はもとより、時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上、十分に区別し得るものであり、互いに紛れるおそれはないというべきである。
さらに、鳥居と紅葉の図形が、直ちに、「広島県由来」の観念を生じるとは認められないものである。
したがって、申立人の上記主張は採用することができない。
7 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(本件商標)(色彩は原本を参照されたい。)


別掲2(引用商標1)


別掲3(引用商標2)


別掲4(引用商標3)


別掲5(引用商標4)





異議決定日 2020-12-25 
出願番号 商願2018-113310(T2018-113310) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W29)
T 1 651・ 262- Y (W29)
T 1 651・ 271- Y (W29)
T 1 651・ 263- Y (W29)
T 1 651・ 261- Y (W29)
最終処分 維持 
前審関与審査官 上山 達也馬場 秀敏 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 小俣 克巳
豊田 純一
登録日 2019-12-27 
登録番号 商標登録第6211763号(T6211763) 
権利者 広島海苔株式会社
商標の称呼 カキショーユアジツケノリ、カキショーユ 
代理人 井関 勝守 
代理人 忰熊 嗣久 
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