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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W25
審判 査定不服 観念類似 登録しない W25
審判 査定不服 外観類似 登録しない W25
管理番号 1370143 
審判番号 不服2020-4106 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-06 
確定日 2020-12-16 
事件の表示 商願2018-88482拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第25類「ネクタイ」を指定商品として、平成30年7月6日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
(1)原査定は、「本願商標は、次の(2)の登録商標(以下、これらをまとめていうときは『引用商標』という。)と類似の商標であって同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(2)引用商標
引用商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
ア 登録第502137号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 別掲2
指定商品 「エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い」を含む第25類並びに第24類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 昭和31年7月21日
設定登録日 昭和32年5月18日
なお、指定商品は、平成19年11月7日に指定商品の書換登録がされ、その後、平成30年12月13日に、指定商品中、第25類「布製幼児用おしめ」を取り消す旨の商標権一部取消し審判の審決の確定登録がされた結果、上記のとおりとなった。
イ 登録第4327964号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 別掲3
指定商品 「被服」を含む第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成8年3月5日
設定登録日 平成11年10月22日
なお、指定商品は、令和元年7月24日に、指定商品中、第25類「布製幼児用おしめ」を取り消す旨の商標権一部取消し審判の審決の確定登録がされた結果、上記のとおりとなった。

3 当審の判断
(1)分離観察の可否について
「複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについては,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められないときには,その構成部分の一部を抽出し,当該部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許される場合があり,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などには,商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。」(知的財産高等裁判所平成30年(行ケ)第10121号判決(判決言渡 平成31年3月12日)参照)
上記の観点から、本願商標を構成する「AIR」、「エアー」の部分を要部として抽出することができるかどうかについて検討する。
(2)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、「AIR NECKTIE」の欧文字と、「エアーネクタイ」の片仮名とを、上下二段に横書きしてなるところ、下段の片仮名は、上段の欧文字の読みを一連に表したものと容易に理解されるものである。
そして、本願商標を構成する「AIR」と「NECKTIE」の間にはスペースがあり、また、構成中後半の「NECKTIE」及び「ネクタイ」の文字部分は、「洋服で、首または襟のまわりに巻いて前で結ぶ帯状の装飾布。」(「広辞苑第七版」岩波書店)の意味を有する広く親しまれた語であり、前半の「AIR」及び「エアー」の文字部分は、「空気。」(「広辞苑第七版」岩波書店)の意味を有する広く親しまれた語であって、「AIR NECKTIE」及び「エアーネクタイ」の語は全体として特段の意味を有しない造語であることからすると、本願商標は、「AIR」と「NECKTIE」とを結合した結合商標と理解することができるものである。
また、上記のように「NECKTIE」及び「ネクタイ」が、本願指定商品である「ネクタイ」の普通名称であることからすると、本願商標の構成中、「NECKTIE」及び「ネクタイ」の文字部分は、本願指定商品そのものを意味するものと捉えられ、その識別力は低いものといえる。
他方で、上記のような意味を有する「AIR」及び「エアー」の文字は、本願指定商品との関係で、「NECKTIE」及び「ネクタイ」よりも識別力が高く、取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与えるというべきである。
以上によれば、本願商標は、これを構成する「AIR」及び「エアー」の文字部分と「NECKTIE」及び「ネクタイ」の文字部分とが、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められないものであって、その構成中、「NECKTIE」及び「ネクタイ」の文字部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められ、「AIR」及び「エアー」の文字部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
そうすると、本願商標は、「AIR」及び「エアー」の文字部分を要部として観察し、当該部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、本願商標は、要部である「AIR」及び「エアー」の文字部分に相応して、「エアー」の称呼及び「空気」の観念を生じるものである。
(3)引用商標について
ア 引用商標1
引用商標1は、前記2(2)アのとおり、「AIR」の欧文字と、当該文字の読みを特定したものと理解される「エアー」の片仮名とを、上下二段に横書きしてなるものであるから、これに相応して「エアー」の称呼を生じ、前記(2)と同様の理由により、「空気」の観念を生じるものである。
イ 引用商標2
引用商標2は、前記2(2)イのとおり、上段に曲線状の図形を配し、下段に「AIR」の欧文字を横書きした構成よりなる、図形と文字との結合商標であるところ、当該図形部分と当該文字部分とは、いずれも重なること無く間隔を空けて配置されているから、視覚上、分離して看取、把握され得るものであり、引用商標2の、図形部分と文字部分は、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものであるから、文字部分が独立して自他商品の出所識別標識として機能し得るものである。
そうすると、引用商標2は、構成中の「AIR」の文字部分に相応して、上記アと同様の理由により、「エアー」の称呼及び「空気」の観念を生じるものである。
(4)本願商標と引用商標の類否
本願商標の要部と引用商標1とを比較すると、いずれも「AIR」及び「エアー」の文字からなるものであるから、外観を共通にするものである。次に、本願商標の要部と引用商標2の要部とを比較すると、片仮名の有無に相違があるとしても、いずれも「AIR」の文字からなるものであるから、外観上、共通の印象を与えるものである。
そして、称呼及び観念においては、本願商標の要部と引用商標(引用商標2についてはその要部)は、「エアー」の称呼及び「空気」の観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標の要部と引用商標(引用商標2についてはその要部)は、称呼及び観念を同一にするものであって、外観も共通するか、共通の印象を与えるものであるから、これらを総合的に勘案すると、両商標は、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(5)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否
本願商標の指定商品である第25類「ネクタイ」は、引用商標1の指定商品中「エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い」並びに引用商標2の指定商品中「被服」と、同一又は類似の商品である。
(6)請求人の主張に対して
ア 請求人は、「AIR」と「NECKTIE」との間にスペースを取っていることを以ってして、「AIR」だけを分離して観察する合理的理由はない旨、主張している。
しかしながら、本願商標においては、「NECKTIE」(及び「ネクタイ」)の文字部分は、本願指定商品との関係においては、商品の普通名称を表す語であって、出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる部分であり、「AIR」(及び「エアー」)の文字部分を要部として抽出し、これを引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されることは、前記(2)のとおりである。
イ 請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標は一体不可分の造語の商標として認識されることが相当である旨、主張する。
しかしながら、上記登録例と本願商標とは、その構成又は指定商品を異にするものであり、もとより、登録出願に係る具体的事案の判断においては、過去の登録例等に拘束されることなく、該出願についての査定時又は審決時において、個別に判断されるべきものであるから、他の登録例の存在によって、本願商標の商標法第4条第1項第11号該当性の判断が左右されるものではない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1(本願商標)


別掲2(引用商標1)


別掲3(引用商標2)



審理終結日 2020-09-23 
結審通知日 2020-10-02 
審決日 2020-10-19 
出願番号 商願2018-88482(T2018-88482) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W25)
T 1 8・ 261- Z (W25)
T 1 8・ 262- Z (W25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 恵美 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 黒磯 裕子
板谷 玲子
商標の称呼 エアーネクタイ、エアー、エイアイアアル 
代理人 佐々木 實 

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