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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W33
管理番号 1370108 
審判番号 取消2020-300130 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-02-17 
確定日 2020-12-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第5862287号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5862287号商標の指定商品中,第33類「秋田県産の清酒,秋田県産の焼酎」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5862287号商標(以下「本件商標」という。)は,「あきた白露」の文字を横書きしてなり,平成28年1月8日に登録出願,第33類「秋田県産の清酒,秋田県産の焼酎,秋田県産の洋酒,秋田県産の果実酒,秋田県産の酎ハイ,秋田県産の中国酒,秋田県産の薬味酒」を指定商品として,同年7月1日に設定登録がされ,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,令和2年3月4日であり,その請求の登録前3年とは,平成29年3月4日から令和2年3月3日の期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由として,本件商標は,その指定商品中の第33類「秋田県産の清酒,秋田県産の焼酎」(以下「請求に係る指定商品」という。)について継続して3年以上日本国内において,本件商標権者,専用使用権者又は通常使用権者(以下「本件商標権者等」という場合もある。)のいずれもが使用をしていないものであるから,その登録は商標法第50条の規定により取り消されるべきである旨主張し,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 審判事件弁駁書
請求人は,被請求人の答弁に対して,要旨次のとおり弁駁した。
(1)乙第1号証には「明治十年仙北郡横堀村に出原文四郎が創業。当初酒銘を『白露』とした」等の記載があるが,当該記載は,明治年間あるいは昭和年間に「白露」の銘柄が用いられたことを示すにすぎず,要証期間内に日本国内で本件商標権者等が,請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標を使用していることの事実を証明することにならない。仮に,指定商品との関係で本件商標の識別力を有する部分が「白露」であると認定されたとしても,本件審判請求において本件商標の使用に求められる要件を証明することにはならない。
(2)乙第3号証は,本件商標権者が焼酎等を醸造販売している事実を示すだけであり,本件商標の使用事実の証明にはならない。
(3)被請求人は,「本件商標は,弊社と深く関わりのあった昔のお酒(酒銘:「白露」)の復活を主題に取得したもの」であり,「請求に係る指定商品については特に仕込みや材料にこだわり研究を重ねているところ」であり,「一般に向けた販売が遅れていますが,納得できる商品づくりに鋭意努力しているところ」であり,「販売開始に向け着実に前進して」いる点を強調しているが,かかる主張は,本件商標を使用しないことについての正当な理由にならない。正当な理由とは,登録商標を使用しないことについて商標権者の責めに帰すことが出来ない事情がある場合と解されているが,請求人の主張には,そのような特別な事情はない。
(4)また,被請求人は,「既存柄の焼酎やリキュールとも醸造を区別し,商標権者,専用使用権者あるいは通常使用権者を含む諸関係者間において新商品(発売予定)名の認識で呼称してきた事実がこれまで継続して存在し」と主張するが,仮に主張が事実だとしても,本件商標の商標法第2条第3項に定める行為の使用には該当しない。
(5)以上により,被請求人の答弁は理由がなく,本件商標の使用の事実を立証するものでも,本件商標を使用しないことについて正当な理由があることを証明するものでもない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。
1 審判事件答弁書
(1)本件商標は,本件商標権者と深く関わりのあった昔のお酒(酒銘:「白露」)(乙1,乙2)の復活を主題に取得したものであり,請求に係る指定商品については特に仕込みや材料にこだわり研究開発を重ねているところである。一般に向けた発売が遅れているが,納得できる商品づくりに鋭意努力しているところであり,販売開始に向け着実に前進している。
(2)本件商標権者の既存銘柄の焼酎やリキュール(乙3)とも醸造を区別し,本件商標権者等を含む諸関係者間において新商品(発売予定)名の認識で呼称してきた事実がこれまで継続して存在し,今後も引き続き商標を使用していくものである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠について
(1)乙第1号証は,秋田県酒造組合が昭和63年8月30日に発行した書籍である「秋田県酒造史」の写しであり,そこには,「明治六年 後藤直治(白露)仙北郡高梨村に創業」との記載や「明治十年仙北郡横堀村に出原文四郎が創業。当初酒銘を『白露』としたが,・・・」との記載,「先に『白露』醸造元後藤直治廃業後同工場を譲り受けて同郡酒造業者により大曲市に創立された秋田桜酒造株式会社が解散されるにあたり同社工場を譲受して大曲工場とし,更に刈穂酒造株式会社,合名会社京野酒造店と共に,昭和四十七年共同壜詰実施のため秋田清酒株式会社を設立し・・・」との記載等がある。また,「昭和時代」を見出しとする表中,「銘柄」の項目に「白露」との記載等がある。
(2)乙第3号証は,本件商標権者のホームページの写しであり,そこには,本件商標権者が販売する「焼酎」及び「リキュール」が掲載されている。
(3)上記(1)及び(2)からすれば,酒銘を「白露」とする商品が,明治時代及び昭和時代に製造されており,本件商標権者が,当時その製造に関わったことはうかがえるとしても,要証期間内に当該商品が存在していた事実を確認することはできず,また,本件商標権者が,現在,「焼酎」を販売していることは認め得るとしても,「焼酎」について本件商標(社会通念上同一のものを含む。)が使用されている事実を確認することはできない。ほかに,要証期間内に本件商標権者等が請求に係る指定商品に本件商標(社会通念上同一のものを含む。)を使用していたことを客観的に確認できる証拠は,提出されていない。
また,本件商標が使用されていないことについて,正当な理由を明らかにする証拠も提出されていない。
2 判断
以上によれば,被請求人が提出した証拠からは,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品「秋田県産の清酒,秋田県産の焼酎」について,本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていることを証明したものということはできない。
また,請求に係る指定商品に本件商標を使用していないことについて,正当な理由があることが明らかにされていない。
3 被請求人の主張について
被請求人は,本件商標は,本件商標権者と深く関わりのあった昔のお酒(酒銘:「白露」)の復活を主題に取得したものであり,一般に向けた発売が遅れているが,納得できる商品づくりに鋭意努力しているところであり,販売開始に向け着実に前進している旨,及び,既存銘柄の焼酎やリキュールとも醸造を区別し,関係者間において新商品名の認識で呼称してきた事実がこれまで継続して存在し,今後も引き続き本件商標を使用していくものである旨を述べている。
被請求人の主張は,商標法第50条第2項ただし書の「正当な理由」に該当する旨主張していると解されるところ,ここでいう「正当な理由」とは,例えば,その商標の使用をする予定の商品の生産の準備中に天災地変等によって工場等が損壊した結果その使用ができなかったような場合,時限立法によって一定期間(3年以上)その商標の使用が禁止されたような場合等が考えられる。
しかしながら,被請求人が主張する事情は,上記のような,本件商標権者等の責めに帰すことができない特別な事情とは明らかに相違するものであるから,これをもって,本件商標権者等が本件商標の使用をしていないことについて,正当な理由があるということはできない。
したがって,被請求人の主張は,採用することができない。
4 まとめ
以上のとおりであるから,被請求人は,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を,要証期間内に,請求に係る指定商品について,商標法第2条第3項各号に規定する使用行為を行ったことを証明したものとは認められない。
また,被請求人は,本件審判の請求に係る指定商品に本件商標を使用していないことについて,正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって,本件商標は,商標法第50条の規定により,その指定商品中,第33類「秋田県産の清酒,秋田県産の焼酎」について,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。


別掲

特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2020-10-13 
結審通知日 2020-10-16 
審決日 2020-10-28 
出願番号 商願2016-6779(T2016-6779) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W33)
最終処分 成立  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 大森 友子
藤村 浩二
登録日 2016-07-01 
登録番号 商標登録第5862287号(T5862287) 
商標の称呼 アキタハクロ、アキタシラツユ、ハクロ、シラツユ 
代理人 東 和博 

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