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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1369147 
異議申立番号 異議2020-900072 
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-03-09 
確定日 2020-11-30 
異議申立件数
事件の表示 登録第6204427号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6204427号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6204427号商標(以下「本件商標」という。)は,「SAIL GRAND PRIX」の文字を標準文字で表してなり,2018年7月4日にバルバドスにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,平成30年12月17日に登録出願,第41類「セーリングの競技会・デモンストレーションの手配及び運営,セーリングのレースの座席の手配及び運営,ヨットの競技会・レース及びヨット操作のデモンストレーションの運営及び開催,ヨットレースの性質を帯びた娯楽の提供,セーリングの競技会・デモンストレーション・レース及びヨット操作のデモンストレーションのパブリックビューイングの形態の娯楽の提供,テレビ番組及びラジオ番組による娯楽の提供,映画及びドキュメンタリー映画の制作,映画及びテレビ番組の制作,オンラインによる電子出版物の提供,セーリングの分野における動画(ダウンロードできないものに限る。)のウェブサイトによる提供,スポーツ・ボート・セーリングの分野における教室・セミナー・講演会の運営及び開催,スポーツイベントにおけるビデオの撮影,運動競技の計時,運動競技における競技記録の情報の提供,スポーツに関する情報の提供,統計情報を含むスポーツに関する情報の提供,会員制による娯楽の提供,コミュニティスポーツイベント及び文化イベントの運営,スポーツに関する賭け事ゲームの提供,スポーツイベントに関するラジオ番組及びテレビ番組の制作,興行場及びスポーツイベントの座席の予約,娯楽及びスポーツイベント用チケットの予約の代行,写真の撮影,音響及び映像記録物の制作,オンラインによるコンピュータゲーム競技会の運営及び開催,オンラインによるコンピュータゲームの提供」を指定役務として,令和元年10月25日に登録査定,同年12月6日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標及び標章は次のとおりである。
(1)申立人が引用する商標
ア 登録第3110493号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:Formula One Grand Prix
登録出願日:平成4年9月30日
設定登録日:平成7年12月26日
指定役務:第41類「レ?シングカ?による自動車競走の企画・運営又は開催,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作」
イ 登録第5411698号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:JAPANESE GRAND PRIX(標準文字)
登録出願日:平成19年7月2日
設定登録日:平成23年5月13日
指定商品及び指定役務:第41類「知識又は技芸の教授,実地教育,職業訓練,セミナー及び研修会の手配及び運営,ホリディキャンプの企画・運営又は開催,スポーツキャンプの企画・運営又は開催,映画の上映,運動競技会の運営,コンサートの企画又は運営,パーティの企画,教育又は娯楽に関する競技会の運営,文化又は教育のための展示会の運営,娯楽情報の提供,スポーツイベント及び教育又は娯楽に関する競技会に関する放送番組の制作及び映画の制作,演芸の上演,演劇の上演,音楽の演奏,美人コンテストの運営,遊園地の提供,娯楽の提供,テーマパークの提供,ゲームセンターの提供,インターネットによる教育・娯楽及びレクリエーションに関する情報の提供,インターネットによるゲームの提供に関する情報の提供,インターネット及びその他の通信ネットワークによるスポーツの興行及び競技会に関する情報の提供,オンラインによる書籍の制作,書籍及び雑誌の制作,コンピュータネットワークにおけるオンラインによるゲームの提供,当せん金付証票の発売,当せん金付証票の発売の代理,運動競技の計時,ラジオ及びテレビジョンの番組の制作,映画の制作,ビデオテープ・ラジオ及びテレビジョン番組の編集,録音及び録画済み記録媒体の貸与,オンラインによる画像の提供,デジタル画像処理,興行及び運動競技用チケットの予約の取次ぎ,映画上映施設の提供及びこれに関する情報の提供,運動施設の提供及びこれに関する情報の提供,娯楽施設の提供及びこれに関する情報の提供,興行場の座席の手配,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,自動車競走の企画・運営又は開催,録音済み・録画済み記録媒体の貸与」,第3類,第9類,第14類,第16類,第18類,第21類,第25類,第28類,第32類,第33類,第34類,第35類,第36類,第38類,第39類及び第43類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務
ウ 登録第5411699号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:FORMULA 1 JAPANESE GRAND PRIX(標準文字)
登録出願日:平成19年7月2日
設定登録日:平成23年5月13日
指定商品及び指定役務:第41類「知識又は技芸の教授,実地教育,職業訓練,セミナー及び研修会の手配及び運営,ホリディキャンプの企画・運営又は開催,スポーツキャンプの企画・運営又は開催,映画の上映,運動競技会の運営,コンサートの企画又は運営,パーティの企画,教育又は娯楽に関する競技会の運営,文化又は教育のための展示会の運営,娯楽情報の提供,スポーツイベント及び教育又は娯楽に関する競技会に関する放送番組の制作及び映画の制作,演芸の上演,演劇の上演,音楽の演奏,美人コンテストの運営,遊園地の提供,娯楽の提供,テーマパークの提供,ゲームセンターの提供,インターネットによる教育・娯楽及びレクリエーションに関する情報の提供,インターネットによるゲームの提供に関する情報の提供,インターネット及びその他の通信ネットワークによるスポーツの興行及び競技会に関する情報の提供,オンラインによる書籍の制作,書籍及び雑誌の制作,コンピュータネットワークにおけるオンラインによるゲームの提供,当せん金付証票の発売,当せん金付証票の発売の代理,運動競技の計時,ラジオ及びテレビジョンの番組の制作,映画の制作,ビデオテープ・ラジオ及びテレビジョン番組の編集,録音及び録画済み記録媒体の貸与,オンラインによる画像の提供,デジタル画像処理,興行及び運動競技用チケットの予約の取次ぎ,映画上映施設の提供及びこれに関する情報の提供,運動施設の提供及びこれに関する情報の提供,娯楽施設の提供及びこれに関する情報の提供,興行場の座席の手配,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,自動車競走の企画・運営又は開催,録音済み・録画済み記録媒体の貸与」,第3類,第9類,第14類,第16類,第18類,第21類,第25類,第28類,第32類,第33類,第34類,第35類,第36類,第38類,第39類及び第43類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務
また,引用商標1ないし引用商標3をまとめて「引用商標」という。
(2)申立人が引用する標章
申立人が引用する標章は,同人の業務に係る役務「FIAフォーミュラ・ワン世界選手権」を構成する各レースを表す「GRAND PRIX」の文字よりなるものであり(以下「使用標章」という。),需要者の間に広く知られていると主張するものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第55号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人を含むFormula 1グループの使用に係る「GRAND PRIX(グランプリ)」関連商標の周知・著名性について
Formula 1グループの使用又は登録に係る各商標が同グループの運営・提供に係るモーター・レース興行ないしその関連グッズの出所を表示する周知・著名な商標であることは,これまで多数の審決・決定において同商標の周知・著名性を認定してきた事実(甲1?甲8)。また,それら審決等を経て,申立人の使用に係る商標「F1/FORMULA 1」がJ-PlatPat「日本国周知・著名商標検索」において著名商標として掲載されている事実(甲36),さらに,「F1」が広辞苑等の一般の国語辞典や英和辞典,その他事典にFormula 1グループが運営・提供するモーター・レースを意味する言葉として載録されている事実(甲37?甲41)等に照らし,明白である。
また,「FIAフォーミュラ・ワン世界選手権」を構成する各レースは,「GRAND PRIX(グランプリ)」と称されており,「GRAND PRIX(グランプリ)」もFormula 1グループの運営提供に係るモーター・レース興行ないしその関連グッズの出所を表示する周知・著名な商標である。なお,以下,「FIAフォーミュラ・ワン世界選手権」を構成する各レースを,「GRAND PRIX(グランプリ)」と呼ぶこととする。
ア 「GRAND PRIX(グランプリ)」の歴史
「GRAND PRIX(グランプリ)」は,国際的なモーター・レースのシリーズであり,「FIAフォーミュラ・ワン世界選手権」を構成する各レースは「GRAND PRIX(グランプリ)」と称されている。
いい換えれば,モーター・レース関連事業の分野において,「GRAND PRIX(グランプリ)」といえば,Formula 1グループが運営・開催する「FIAフォーミュラ・ワン世界選手権」を意味するものとして広く知られており,「GRAND PRIX=FIAフォーミュラ・ワン世界選手権」という強い連想性が定着している。
イ 「GRAND PRIX(グランプリ)」の魅力と人気
世界中のスポーツ・ファン及び自動車ファンが,最新の科学技術を駆使して変化し続ける「GRAND PRIX(グランプリ)」用のマシンの魅力にひかれ,また,そのマシンに乗って活躍する選手(ドライバー)たちの技術やキャラクターに魅了され,熱狂し続けている。
こうして「GRAND PRIX(グランプリ)」は,オリンピックやFIFAワールドカップと共に「世界三大スポーツイベント」の1つと称されるほど,世界的に人気かつ有名なスポーツとなっている(甲14)。特に,「GRAND PRIX(グランプリ)」は,オリンピックやFIFAワールドカップと違い,毎年しかも年間複数回開催されるものであるから,その分だけ人々がレースの報道や情報に触れる機会も多く,世界で最も有名なかつ世界最大級規模のスポーツイベントと評しても過言ではない。
ウ 日本と「GRAND PRIX(グランプリ)」
日本が「GRAND PRIX(グランプリ)」に初めて登場したのは,1964年に開催された「ドイツグランプリ」に,本田宗一郎率いるホンダ・チームが参戦したときであり,ホンダ・チームは翌65年の「メキシコグランプリ」において,見事に優勝を果たし(甲16),当時このニュースは日本でも大きな話題となった。その後は,周知のとおり,毎年「日本グランプリ」が開催されており,その様子は民放テレビで放送されている。
エ 日本における「GRAND PRIX(グランプリ)」の放送・報道
「GRAND PRIX(グランプリ)」のテレビ放送については,1976ないし77年の間は,TBSが「日本グランプリ」の中継を担当し,その後もTBSが,世界各地の「GRAND PRIX(グランプリ)」の様子を1986年までダイジェスト形式で放送した(甲9・甲14)。1987年以降は,フジテレビジョンが,日本における「GRAND PRIX(グランプリ)」の独占中継権を獲得し,現在に至っている(甲12,甲18?甲31)。
また,「GRAND PRIX(グランプリ)」に特化した専門誌が,申立人の許諾の下に複数提供されているほか(甲15),その他のモーター・スポーツの専門誌でも「GRAND PRIX(グランプリ)」は必ず大きく特集されている(甲32・甲33)。
オ 「GRAND PRIX(グランプリ)」関連商品について
申立人は,これまでスポンサー・パートナー・ライセンシーなどの事業提携者をして,「GRAND PRIX(グランプリ)」に関連する商品を,多数販売している。「GRAND PRIX(グランプリ)」に関連する商品は,多岐にわたり,現在,公式サイトにおいて,帽子・ティーシャツ等の被服類やスピーカー,USBメモリー,スマートフォン用ケース,レーシングカーの模型,傘など,多種多様な商品を幅広く取り扱っている(甲43?甲45)。
カ オンライン媒体における「GRAND PRIX(グランプリ)」の使用
Formula 1グループは,「GRAND PRIX(グランプリ)」に関する公式ウェブサイトを提供している。また,Formula 1グループは,公式アプリ「F1 App」を提供しており,2019年1月ないし6月までの利用者数は330万人以上にのぼる。
Formula 1グループは,Twitter,Facebook,YouTubeなどのソーシャルメディアを利用した宣伝活動も行っており,世界中で数多くのフォロワーをひき付けている。2020年5月現在,Twitterには444万人のフォロワーが,Facebookには910万人のフォロワーが,Instagramには930万人のフォロワーがおり,YouTubeの視聴回数は10億6,000万にものぼっている。
キ 小括
以上のとおり,「GRAND PRIX(グランプリ)」という言葉は,半世紀以上の長きにわたり,Formula 1グループの運営・提供に係るモーター・レース興行と密接に使用されてきたものであって,日本における公衆とりわけモーター・スポーツやF1ファンがその文字や音に接すれば,「FIAフォーミュラ・ワン世界選手権」,「Formula 1(F1)」又は「日本グランプリ」を想起するといっても過言でないほど,申立人の運営・提供に係るモーター・レース興行と「GRAND PRIX(グランプリ)」の間には強い連想性が定着している。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は,その構成中「SAIL」が,その指定役務(セーリングに関連する役務)の内容を表示するものであり,同役務との関係で識別性を欠くものであるから,同構成中「GRAND PRIX」が要部として捉えられるものである。
一方,モーター・レース関連事業の分野において,「GRAND PRIX=FIAフォーミュラ・ワン世界選手権」という強い連想性が定着していることは前述したとおりである。
また,引用商標2は「JAPANESE GRAND PRIX」の文字よりなるものがあるが,申立人は「GRAND PRIX(グランプリ)」を各開催都市名と結合して使用しているところ,引用商標2の「JAPANESE」は,「GRAND PRIX(グランプリ)」の開催地である「日本」を意味するにすぎず,実質的には「GRAND PRIX(グランプリ)」が,出所識別標識として強く支配的な印象を与えることは明らかである。
つまり,本件商標及び引用商標2は共に,「GRAND PRIX(グランプリ)」が,それらの要部であって,外観,称呼,観念すべてにおいて類似するものである。また,本件商標に係る指定役務は,引用商標に係る指定役務と同一又は類似であることが明らかである。
したがって,本件商標がその指定役務について使用された場合には,それら役務に接した取引者,需要者は,申立人の業務に係る役務と誤認する蓋然性があり,「GRAND PRIX=FIAフォーミュラ・ワン世界選手権」という強い連想性が定着している実情のもと,出所混同の可能性はさらに高くなるものといわざるを得ない。
以上のとおり,本件商標は,先願・先登録に係る引用商標と同一又は類似であって,それら商標に係る指定役務と同一又は類似の役務について使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の使用に係る「GRAND PRIX(グランプリ)」関連商標は,Formula 1グループの業務すなわち同グループの運営・提供に係るモーター・レース興行「FIAフォーミュラ・ワン世界選手権」を表示するものとして日本において周知・著名であり,モーター・レース関連事業の分野においては「GRAND PRIX(グランプリ)」といえば申立人の運営・提供に係るモーター・レース興行を指すものという強い連想性が定着している。
一般的に,プロ野球,プロサッカーリーグ,オリンピック,ワールドカップなどのスポーツ興行イベントにおいて,それらの興行事業の一環として,各スポーツイベントのロゴマーク等の商標を貼付したTシャツ,帽子,ユニフォームレプリカ,タオル,キーホルダーなど多種に及ぶ公式グッズが,競技場,各地オフィシャルショップなどにおいて,一般消費者向けに販売されていることは顕著な事実である。
しかして,前記してきたとおり,「GRAND PRIX(グランプリ)」も世界的スポーツイベントのひとつであり,その興行事業の一環として,Formula 1グループによって正規に許諾されているライセンス商品が多種存在している(甲34,甲43?甲45)。
したがって,本件商標がその指定役務について使用された場合には,同役務があたかも「GRAND PRIX(グランプリ)」の公式サービスないしFormula 1グループの業務であるかのごとく誤認されてしまうと評価せざるを得ない。
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に規定される「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当する。

4 当審の判断
(1)使用標章の周知・著名性について
ア 申立人は,申立人及びその関連会社3社から構成されるFormula 1グループによって,「FIAフォーミュラ・ワン世界選手権」を運営・提供しており,当該選手権は,国際自動車連盟(FIA)が認定する世界選手権シリーズのひとつであるモーター・レース興行の名称である。
また,申立人は,「FIAフォーミュラ・ワン世界選手権」を構成する各レースのことを,「GRAND PRIX(グランプリ)」と称し,「GRAND PRIX(グランプリ)」もFormula 1グループの運営に係るモーター・レース興業ないしその関連グッズの出所を表示する周知・著名な商標であると主張しているので,以下検討する。
そこで,申立人の主張及び申立人提出の甲各号証によれば,国際自動車連盟(FIA)が主催する国際的なモーター・レースの一つである「FIAフォーミュラ・ワン世界選手権(以下「F1レース」という。)」は,1950年5月にスタートし,以来毎年開催されていること(甲10?甲17),F1レースは世界の様々な地域で開催される一連のレースにより構成されるものであること(甲9,甲13),F1レースはモーター・レースの中で世界最高峰のレースとされ,「F1」(エフ・ワン)又は「Formula 1」(フォーミュラ・ワン)と称されていること(甲9),F1レースは日本を含む多くの国でテレビ放映されていること(申立人主張),日本では1976年に初めてF1グランプリが富士スピードウェイで開催されテレビ放映されたこと(甲10),フジテレビがF1レースを1987年から1998年までの12年間放映したこと(甲18?甲31),「Amazon」のオンラインショッピングサイトにおいて,2015年から2019年までの5年間,F1を題材としたPlayStation4用又はXboxOne用のゲームソフトが毎年のように販売されていたこと(甲34),F1を観戦するための専用アプリが無料で公開され,ダウンロードすることができること(甲34),F1レース関連グッズが販売されていること(甲43,甲44),F1の2019年の全レースが動画配信サービスのDAZNから配信されていること(甲47),F1レースについては広辞苑始め各種辞典において,「F1」の見出し下に「Formula1」又は「Formula One」として説明されていること(甲37?甲41)等が認められ,自動車レース事業の分野においてF1レースが広く知られていることはうかがえる。
しかしながら,上記主張及びその証拠からは,F1レースについて,「F1」(エフ・ワン),「Formula 1」(フォーミュラ・ワン),「フォーミュラ1」又は「F-1GRAND PRIX」(F1グランプリ)として紹介,説明されているものの,「FIAフォーミュラ・ワン選手権」を構成する各レースを「GRAND PRIX」と称されるものとして広く知られていることを示す事実を見出すことはできない。また,「GRAND PRIX」の文字(語)が単独で使用されている事実も見当たらない。
さらに,使用標章を構成する「GRAND PRIX」の文字(語)は,スポーツ,芸術などの催しで与えられ大賞,最高賞を意味するフランス語に由来する外来語であり,自動車レースのみならず種々の大会等で使用されている一般的な語として知られ,その独創性の程度は低いものというべきである。
イ 上記アの事実からすると,「F1」(エフ・ワン),「Formula 1」(フォーミュラ・ワン,フォーミュラ1)の標章が本件商標の登録出願時に,モータースポーツファンを中心に,当該分野においてF1レースを示すものとして広く認識されていたものといえるとしても,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,使用標章を構成する「GRAND PRIX」の文字(語)が申立人の業務に係る役務を表示するものとして使用され認識されているものとは認めがたいものであって,その他,我が国の需要者に広く認識されていたものと認めるに足る証拠も見いだせないから,これらが我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,「SAIL GRAND PRIX」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,同じ書体,同じ大きさでまとまりよく書されているものであって,その構成も格別冗長なものとはいえないものであり,また,その構成文字全体より生じる「セールグランプリ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして,その構成中の「SAIL」の文字部分が,「帆,回航,航行する」程の意味を有する英語であるとしても,本件商標の指定役務との関係において,役務の質を表すものではないから,当該文字部分が自他役務識別標識としての機能を有しないとはいえない。
また,その構成中の「GRAND PRIX」の文字部分は,フランス語に由来する外来語であり,「大賞,最高賞」等の意味を有する語として,我が国においても一般に知られている。
そうすると,本件商標を「SAIL」の文字部分と「GRAND PRIX」の文字部分とに分離する特段の事情はなく,その構成中「GRAND PRIX」の文字部分が取引者,需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの,又はそれ以外の部分から出所識別標識としての称呼及び観念が生じないと認めることはできない。
してみれば,本件商標は,その構成文字全体を一体不可分のものとして捉え,その構成中の「GRAND PRIX」の文字部分のみ抽出して,これを他の商標と比較し,商標自体の類否を判断することは許されないと判断するのが相当である。
したがって,本件商標は,その構成文字に相応して,「セールグランプリ」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標1は,「Formula One Grand Prix」の文字を,引用商標2は,「JAPANESE GRAND PRIX」の文字を,引用商標3は,「FORMULA 1 JAPANESE GRAND PRIX」の文字をそれぞれ書してなるものであるところ,これらは,同じ書体,同じ大きさでまとまりよく書されたものであって,その構成中の「GRAND PRIX(Grand Prix)」の文字部分を要部とみるべき特段の事情は見いだせないから,その構成全体をもって称呼及び観念され,その構成中の「GRAND PRIX(Grand Prix)」の文字部分のみ独立して把握,認識されるものではない。
そうすると,引用商標1は,「フォーミュラワングランプリ」の称呼を生じ,「フォーミュラ・ワンの最高賞」の観念を生じるものといえる。
また,引用商標2は,「ジャパニーズグランプリ」の称呼を生じ,「日本の最高賞」の観念を生じるものといえる。
さらに,引用商標3は,「フォーミュラワンジャパニーズグランプリ」の称呼を生じ,「フォーミュラ・ワンの日本の最高賞」の観念を生じるものといえる。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標との類否について検討するに,両商標はそれぞれ上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ,外観においては,本件商標及び引用商標の構成中の「GRAND PRIX(Grand Prix)」の文字部分を共通にするところがあるとしても,その構成態様に照らし,外観上,判然と区別し得る差異を有するものである。
次に,称呼においては,本件商標から生じる「セールグランプリ」の称呼と引用商標からそれぞれ生じる「フォーミュラワングランプリ」,「ジャパニーズグランプリ」及び「フォーミュラワンジャパニーズグランプリ」の称呼とは,それぞれの構成音及び音数に明らかな差異があるから,本件商標と引用商標とは,称呼上,明瞭に聴別できるものである。
さらに,観念においては,本件商標は特定の観念を生じないのに対し,引用商標は,それぞれ「フォーミュラ・ワンの最高賞」,「日本の最高賞」,「フォーミュラ・ワンの日本の最高賞」の観念を生じるから,観念上,紛れるおそれはないものである。
以上からすると,本件商標と引用商標は,外観,称呼及び観念において相紛れるおそれはなく,互いに別異のものとして認識し,把握されるものであるから,非類似の商標というべきものである。
したがって,本件商標は,引用商標の指定役務と同一又は類似の役務であるとしても,引用商標とは非類似の商標であるから,商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と使用標章との類否
本件商標は,上記(2)アのとおりであり,使用標章は,上記2(2)のとおり,「GRAND PRIX」の文字からなり,その構成文字に相応して,「グランプリ」の称呼及び「大賞,最高賞」の観念を生じることから,本件商標と使用標章とは,その外観,称呼及び観念において紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
イ 出所の混同について
上記(1)イ及び(3)アのとおり,使用標章を構成する「GRAND PRIX」の文字(語)は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,我が国の需要者に広く認識されていたとはいえないものであり,その周知・著名性は何ら認められない。また,本件商標は,使用標章とは別異のものとして認識,把握されるものであって,使用標章との類似性の程度は極めて低いといわざるを得ないことから,本件商標をその指定役務に使用した場合,これに接する取引者,需要者が使用標章ないしは申立人を連想,想起するようなことはないというべきであり,当該役務が申立人又は申立人と経済的,組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当である。
また,他に本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではなく,その登録は同条第1項の規定に違反してなされたものとはいえないものであり,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2020-11-18 
出願番号 商願2018-154116(T2018-154116) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W41)
T 1 651・ 262- Y (W41)
T 1 651・ 263- Y (W41)
T 1 651・ 261- Y (W41)
最終処分 維持 
前審関与審査官 佐藤 純也杉本 克治 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 豊田 純一
齋藤 貴博
登録日 2019-12-06 
登録番号 商標登録第6204427号(T6204427) 
権利者 エフ50 リーグ エルエルシー
商標の称呼 セールグランプリ 
代理人 高岡 亮一 
代理人 中村 稔 
代理人 三好 玲奈 
代理人 苫米地 正啓 
代理人 松尾 和子 
代理人 藤倉 大作 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 小田 直 
代理人 角谷 健郎 
代理人 會田 悠介 
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