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審決分類 審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 取り消して登録 W35
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W35
管理番号 1369091 
審判番号 不服2019-12396 
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-18 
確定日 2020-12-09 
事件の表示 商願2018-47792拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「成田屋」の文字を標準文字で表してなり、第16類及び第35類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成30年4月13日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、当審における令和元年9月18日及び同2年8月11日受付の手続補正書により、最終的に第35類「芸能実演家のファンクラブの企画・運営又は管理」(以下「本願役務」ともいう。)と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『成田屋』の文字を標準文字で表示してなるところ、当該文字からなる名称(屋号)が広く用いられている実情がうかがえるから、ありふれた名称普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。また、意見書を見ても、本願商標が使用された結果、何人かの業務に係る商品・役務であることを認識することができるに至っているとはいえない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における手続の経緯
当審において、請求人に対し、「成田屋」の語が店名を表示するものとして使用されている事実を示して、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当し、また、同条第2項の要件を具備しない旨の審尋を発し意見を求めたところ、請求人は、令和2年8月7日受付の回答書を提出するとともに、本願の指定商品及び指定役務を前記1のとおりの役務に補正した。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第4号該当性について
本願商標は、「成田屋」の文字を標準文字で表してなるところ、原審において提示したインターネット記事及び当審において提示した前記3の事実のとおり、「成田屋」の語が店名を表示するものとして多数の者に使用されている。
したがって、本願商標は、ありふれた名称普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというのが相当であるから、商標法第3条第1項第4号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
ア 請求人は、本願商標は、商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである旨主張し、その証拠方法として、原審において資料1ないし資料13、当審において甲1号証ないし甲5号証を提出したところ、上記証拠及び請求人の主張並びに職権調査によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、歌舞伎俳優の十一代目市川海老蔵氏が代表取締役を務める株式会社である。
(イ)江戸歌舞伎を代表する名門である、市川団十郎(以下、「団」の字は「團」の旧字も含める。)、市川海老蔵等の市川宗家の屋号は「成田屋」であり、初代団十郎が成田不動を信仰したことにちなみ、元禄十年(1699年)の「兵根元曽我」の上演から使用されたとされているものであって、三代目歌川豊国の浮世絵に「市川成田屋」(資料7)、東洲斎写楽の浮世絵に「成田屋三傑」(資料8)の文字が使用されており、現在に至るまで継続して日本国内において使用されている。
また、別掲1のとおり、「成田屋」の文字(語)は、広辞苑等の各種辞書、教科書及び新聞(テレビ番組の記事を含む。)などに、市川団十郎、市川海老蔵等の市川宗家の屋号を表す語として、多数掲載されているものである。
(ウ)本願役務を取り扱う業界は、別掲2のとおり、音楽事務所、アーティスト・タレント、及びエンターテイメント分野の企業向けに、ファンクラブを企画・運営又は管理し、顧客獲得につなげるための各種サービスを提供するなどしているものである。
(エ)請求人は、「成田屋 市川團十郎・市川海老蔵 公式Webサイト」を管理し、当該サイトにて「成田屋後援会のご案内」を掲載している(資料4)。
(オ)なお、本願商標と同一の商標である「成田屋」は、第41類「演劇の演出又は上演」等を指定役務として、商標法第3条第2項の要件を具備するものとして商標登録されている(商標登録第6016990号)。
イ 判断
本願役務は「芸能実演家のファンクラブの企画・運営又は管理」であるところ、上記(ウ)によれば、本願役務の主たる取引者、需要者は、アーティストやタレント及び彼らが所属する芸能事務所などエンターテイメントを業とする芸能関係者であるといえる。
そして、「成田屋」の語は、上記(イ)のとおり、1699年から現在に至るまでの約300年間、歌舞伎俳優市川団十郎、市川海老蔵等の市川宗家を指称するものとして使用されており、また、各種辞書、新聞等への掲載や、テレビ番組での紹介もされていることから、本願役務の主たる取引者、需要者である芸能関係者の間に広く知られているものといえる。
また、請求人は、「株式会社成田屋」であって、十一代目市川海老蔵氏が代表取締役を務める株式会社である。
そうすると、本願役務が、エンターテイメント事業と深い関わりのあるものであって、本願役務の取引者、需要者は芸能関係者であることに照らせば、本願商標は、本願役務の取引者、需要者に、本願商標から請求人との関連を認識することができる程度に広く知られていると認められる。
さらに、当審における職権調査によれば、本願役務を取り扱う業界において、「成田屋」の文字を他人が使用している事実は、発見できなかった。
してみれば、本願商標は、請求人により使用をされた結果、その役務の取引者、需要者の間で、何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものと判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものの、同法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1(「成田屋」の各種辞書、教科書、新聞における掲載例)(合議体注:下線は当審の合議体が付したものである。以下、引用箇所において同じ。)
(1)広辞苑第七版(岩波書店)において、「成田屋」の項に、「歌舞伎俳優市川団十郎とその一門の屋号。」の記載がある。
(2)デジタル大辞泉プラス(小学館)において、「成田屋」の項に、「歌舞伎役者の屋号のひとつ。市川団十郎、市川海老蔵などが使用。初代団十郎が成田不動を信仰したことにちなむ。」の記載がある。
(3)大辞林第三版(三省堂)において、「成田屋」の項に、「歌舞伎俳優市川団十郎およびその一門の屋号。」の記載がある。
(4)中学校教科書「音楽のハーモニー2・3年上」(正進社)において、「鑑賞」、「歌舞伎について」として、「待ってました!成田屋っ!!」の記載がある。
(5)「日本経済新聞」(1984年10月29日)「新団十郎襲名で海老蔵『お練り』。」の見出しの下、「来年四月、十二代目市川団十郎を襲名する市川海老蔵(38)が二十八日午後、同家の守り本尊である千葉県成田市、成田山新勝寺(松田照応貫首)で、襲名報告の『お練り』と奉納歌舞伎を行った。」、「二十年ぶりの新団十郎誕生に商店街の人々が五色の花吹雪で歓迎、『成田屋っ』(市川家の屋号)と盛大に掛け声をかけて祝った。」の記載がある。
(6)「日経流通新聞」(1986年12月8日)「!』、女性も団十郎に『成田屋。」の見出しの下、「演劇の世界では歌舞伎の影響が広がり始めている。『(片岡)孝夫さんや(市川)団十郎さんが舞台に出て来ると、近ごろは二十代の若い女性が、“なりたや!”なんて、大向こうから屋号を叫ぶんですよ』と歌舞伎座宣伝部の武中雅人さん。」の記載がある。
(7)「毎日新聞夕刊」(2004年6月22日)「[YOU館]『海老様』人気うなぎ登り 激しさ+格好よさ--襲名披露公演大入り」の見出しの下、「歌舞伎役者、十一代目市川海老蔵さん(26)の襲名披露公演が大盛況を続けている。」、「5月公演のチケットは同月上旬にほぼ完売。そのころ、海老蔵さんがテレビに頻繁に登場し、父の十二代目市川団十郎さんが病気で休演したこともあってさらに注目を集め、6月公演のチケットは5月15日の発売から3日で完売した。」、「成田屋後援会でもチケットを用意できず、新規入会を一時中止しているほどだ。」の記載がある。
(8)「東京読売新聞」(2018年11月11日)「[放送塔から]海老蔵流 伝統の継承」の見出しの下、「歌舞伎役者・市川海老蔵に密着し、10月29日に放送されたNHKのドキュメンタリー『プロフェッショナル 仕事の流儀』には多くの反響が寄せられた。300年以上続く歌舞伎の伝統を継承すべく、心身ともに磨きあげる姿に胸を打たれた視聴者が多かったのだろう。」、「我が身ひとつで『成田屋』の看板を背負い、受け継いでいこうとする決意のあらわれか。」の記載がある。
(9)「日刊スポーツ」(2020年8月23日)「24時間テレビ『募金ラン』土屋太鳳」の見出しの下、「歌舞伎俳優市川海老蔵(42)がメインパーソナリティーのKing&Prince岸優太(24)と一夜限りのスペシャル歌舞伎を生披露した。海老蔵は、歌舞伎十八番の1つ『景清』を基にした6分間の演目を演出、主演した。」、「成田屋、團十郎家だけに継承される伝統的なみえの1つ『にらみ』は、江戸時代から邪気を払うと言われている。さまざまな思いのこもった歌舞伎となった。」の記載がある。
(10)「東京読売新聞」(2020年8月26日)「[疑問解決探偵団]歌舞伎の屋号、いつから?」の見出しの下、「岐阜女子大特任准教授 それは『成田屋』、つまり市川団十郎家から始まったと言われています。初代団十郎は後継ぎの男子に恵まれなかったのですが、信仰していた成田山新勝寺の本尊・不動明王に祈願をしたところ後の二代目を授かりました。そこから『成田屋』と呼ばれるようになったのです。初代が屋号を使った記録は残っていませんが、二代目以降では、間違いなく使っています。」、「助手 いつ頃から、観客は役者に向けたかけ声に屋号を使うようになったのでしょうね。」、「歌舞伎大向(おおむこう)弥生会副会長 いつからとは明確に言えないですが、確実なのは江戸後期の七代目団十郎の頃です。七代目団十郎と当時の三代目菊五郎が一緒に出た舞台で、『成田屋、音羽屋』という歓声があがったという記録が残っています。」の記載がある。

別掲2(本願役務事業者のホームページ情報)(合議体注:「/」は改行を示す。)
(1)「ぴあファンクラブサービス」のウェブサイトにおいて、「ぴあファンクラブサービスはチケット販売、イベント制作ほか、エンタテインメントにおける様々な事業を展開する弊社のノウハウから生まれた会員管理サービスです。」、「アーティストとファンの結びつきがより一層強くなるよう、お手伝いをさせていただきます。」との記載、及び「ファンクラブ運営実績」の見出しの下、「Backstreet Boys」、「千葉雄大」の記載がある。
https://ticket.pia.jp/piasp/fc/pia-fanclubservice.jsp
(2)「SERVICE|ファンクラブ企画運営サービスのデータリーフ」のウェブサイトにおいて、「ファンクラブの企画・運営代行サービス」の見出しの下、「FanCube(ファンキューブ)とは...アーティストとファンをつなぐ場であるファンクラブの運営や会員管理の代行、オンラインのシステムを使用したファンクラブサービスのクオリティアップ、またファンクラブ設立自体のコンサルティング等をお手伝いするサービスです。」、「いきものがかり/1年2組」、「井上芳雄/[YOSHI]2 CLUB」、「織田裕二/Deps」との記載がある。
https://dataleaf.co.jp/service
(3)「ファンクラブ運営・管理システム[アイファン]ファンづくりの最大化に挑戦!」のウェブサイトにおいて、「アイファンとは?」の見出しの下、「アイファンは、エンターテインメント系・スポーツ系など各種ファンクラブを効果的に運用するワンストップ+クラウド型の『こだわり』ファンクラブ運営サービスです。」、「音楽事務所さまサイト、アーティストOFFICIALサイト、大規模ユニットサイト、ECサイト、イベント・キャンペーンサイト、特設サイトなど様々なテーマに応じたWEBサイト構築も可能で、100サイト以上のファンサイト・会員サイト・ECサイトの導入実績がございます。」との記載がある。
https://i-fan.info/
(4)「ファンクラブ運営サービス・顧客マネジメントサービス|ロム・シェアリング【ファンクラブ運営・モバイルファンクラブ運営】」のウェブサイトにおいて、「FAN MANAGEMENT SERVICE/ファンを熟知したプロ集団による顧客マネジメント」の見出しの下、「一般的なアーティスト・タレント様のファンクラブのみならず、多種多様なファンクラブ・会員組織に柔軟に対応する独自のノウハウがあります。」との記載がある。
https://rom-sharing.co.jp/fc/service.html
(5)「エンゲージメントを高めるファンクラブシステムの機能」のウェブサイトにおいて、「テックファームでは、エンタメ分野における豊富な案件実績を踏まえ、ファンビジネスを成功に導く開発を総合的にサポートしています。」、「テックファームでは、サービスの設計、UIデザイン、開発といった全てのエキスパートを揃えたチーム編成を行い、エンタメ分野の企業様を積極的にご支援しています。」との記載がある。
https://www.techfirm.co.jp/blog/fan-club-system-functions


審決日 2020-11-18 
出願番号 商願2018-47792(T2018-47792) 
審決分類 T 1 8・ 17- WY (W35)
T 1 8・ 14- WY (W35)
最終処分 成立 
前審関与審査官 守屋 友宏 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 黒磯 裕子
板谷 玲子
商標の称呼 ナリタヤ、ナリタ 
代理人 森本 聡 
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