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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W30
管理番号 1368323 
審判番号 不服2019-17494 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-12-25 
確定日 2020-11-02 
事件の表示 商願2018- 88702拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標について
本願商標は,「割煎」の文字を標準文字で表してなり,第30類「米菓」を指定商品として,平成30年7月9日に登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶の理由(要点)
原査定は,「本願商標は,『割煎』の文字を標準文字で表してなるものであるところ,本願の指定商品に係る業界においては,割り口にたれを浸み込ませた割り煎餅(割れ煎餅)や,単に割れてしまった煎餅を,『割りせん』,『わりせん』,『割れせん』,『われせん』のように称している事実がある。そうすると,『割煎』の文字からなる本願商標に接する取引者,需要者は,これをその指定商品『米菓』に使用したときは,本願商標を『割れる』の『割』の漢字と『煎餅』の『煎』の漢字とを組み合わせてなる,『割れた煎餅』ほどの意味合いを表すものと容易に理解し,その商品が割り口にたれを浸み込ませた割り煎餅であること,または単に割れた煎餅であることといった,商品の品質,形状を表示したものと認識するにとどまるというのが相当であるから,本願商標は,単に商品の品質等を普通に用いられる方法で表示するにすぎない標章のみからなるものといわざるを得ない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和2年6月9日付け証拠調べ通知書によって通知し,相当の期間を指定して,これに対する意見を求めた。

4 証拠調べの結果に対する請求人の意見(要旨)
請求人は,上記3の証拠調べ通知書に対し,令和2年7月20日付け意見書において,提示された証拠は請求人の使用及び請求人が主催する「喜作心会」なる組織のメンバーによる使用を含むものであること,他者による使用があるとしても少量を取り扱うにすぎないこと,「割れ煎」の使用は存在するが,当該文字を使用している者は「割れ煎」の文字を「きゅうすけ(久助)」(割れた煎餅やあられのこと)の意味で用いている等,述べている。

5 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は,「割煎」の文字を標準文字で表してなるものであるところ,その構成中「割」の文字は,「割る」「割れる」の意味を表すのに用いられるものであり(株式会社岩波書店 広辞苑第六版),「煎」の文字は,本願の指定商品との関係において「煎餅」の「煎」の漢字と容易に看取させるものである。
そして,別掲における原審及び証拠調べ通知によって示した事実によれば,本願の指定商品に係る業界においては,煎餅を割ってから割り口にたれを浸み込ませた煎餅や,自然に割れてしまった煎餅を,「割煎」,「割り煎(割りせん)」,「割れ煎(割れせん,われせん)」のように称して販売されている事実がある。
そうすると,「割煎」の文字は,本願の指定商品における業界で使用されている「割煎」,「割り煎(割りせん)」,「割れ煎(割れせん,われせん)」の文字と同一又は送り仮名を除いた表記と容易に理解されるとみるのが自然であるから,本願商標を,その指定商品に使用しても,これに接する取引者・需要者に,その商品が,煎餅を割ってから割り口にたれを浸み込ませた煎餅,又は自然に割れた煎餅,すなわち,商品の品質を表示したものと認識させるにとどまるというべきであるから,本願商標は自他商品を識別する機能を果たし得ないと判断するのが相当である。
したがって,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は,提示された証拠は請求人の使用及び請求人が主催する「喜作心会」なる組織のメンバー(以下「請求人等」という。)による使用を含むものであること,及び,他者による使用があるとしても少量を取り扱うにすぎないこと,本願商標は「ワリセン」と称呼されるのが自然であることなどを主張する。
しかしながら,請求人等による使用を除外しても,本願の指定商品に係る業界においては,上記(1)のとおり,割った煎餅(割れ煎餅)や割れた煎餅を,「割煎」,「割り煎(割りせん)」,「割れ煎(割れせん,われせん)」のように称して販売されている事実があることに何ら変わりはないうえに,加えて,請求人等においても「割煎」の文字を,割り口にたれを浸み込ませた割り煎餅を示す文字,すなわち指定商品の品質を表す文字として使用している事実があり,また,仮に請求人が「割煎」の文字を「ワリセン」と称しているとしても,これらの事実からすれば,本願商標が自他商品を識別する機能を果たし得るとみるべき理由にはならず,上記の判断が左右されるわけではない。
したがって,請求人の主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。


別掲

別掲
1 原審において提示した,本願の指定商品に係る業界において,煎餅を割ってから割り口にたれを浸み込ませた煎餅や,自然に割れてしまった煎餅を,「割りせん」「割れせん(われせん)」と称して一般に販売している事実(下線は合議体による。以下同じ)。
(1)「岩塚製菓株式会社」のウェブサイトにおいて,「45g 黒豆割りせん 醤油味」の見出しの下,「黒豆をたっぷり練り込んだおせんべいを,わざと割りました。割ったところにしみ込んだ醤油と黒豆の香ばしいおせんべいです。」との記載がある。
https://www.iwatsukaseika.co.jp/article/tabekiri/article33.shtml(令和2年8月11日最終閲覧)
(2)「もち吉」のウェブサイトにおいて,「濃い味割りせん ゆずみそ味」の見出しの下,「生地をあえて割ることで,断面から甘い味噌だれが染みこんだ味わいある2度付け堅焼き煎餅です。」との記載がある。
https://www.mochikichi.co.jp/products/detail/05222(令和2年8月11日最終閲覧)
(3)「匠屋本店」のウェブサイトにおいて,「お好みわれせん」の見出しの下,「われせんというと割れ・欠けを集めたB級品のイメージがありますが・・・当社の『お好みわれせん』は,秘伝のたれがたくさん染み込むよう,”丸いせんべいを割って作った”こだわりの逸品です!」との記載がある。
https://takumiyahonten.com/SHOP/A-77.html(令和2年8月11日最終閲覧)
(4)「みゆき堂本舗」のウェブサイトにおいて,「国産米100%!ねぎの香り甘辛みそがマッチ!『ねぎみそ煎(割れせん)』」の見出しの下,商品として,割れた煎餅の画像が掲載されている。
http://www.miyukidou.com/shopdetail/000000001291/ct287/page1/price/

2 当審において通知した,本願の指定商品に係る業界において,煎餅を割ってからたれを染み込ませた煎餅や自然に割れてしまった煎餅を,「割煎」と称して一般に販売している事実。
(1)1996年3月7日付け 日経流通新聞 9ページにおいて,「サクラヤ(せんべい・あられ,東京都文京区)島田幸勇さん(元気な商店主)」の見出しの下,「昨年五月から独自商品の『わざとこわし割煎(わりせん)』の販売を始めました。その名の通り,いったん焼き上がったせんべいをわざと割ってから,しょうゆだれに付けて作ります。」の記載がある。
(2)「かつしかFM レポート日誌」のウェブサイトにおいて,「お煎餅からの!何を作っているんでしょうか!? in堀切中央商店街」の見出しの下,「笹本さんご夫妻のオススメは『割煎』 わざと割ってお醤油を染み込みやすくするんだそうです。」との記載がある。
http://kfm789.air-nifty.com/repo/2014/09/in-3790.html(令和2年8月11日最終閲覧)
(3)「浅草仲見世『杵屋』」のウェブサイトにおいて,「わざとこわし割煎 炭火にて焼き上げたお煎餅をあえてこわして,その割れ目に自慢のタレをつけ込みました。当店の大人気商品です。」との記載がある。
http://www.nakamise-kineya.com/products/pg25.html(令和2年8月11日最終閲覧)
(4)「十条菓子舗むさしや」のウェブサイトにおいて,「炭火手焼き煎餅 わざとこわし 割煎 薄焼 胡麻」の見出しの下,「薄焼きの生地に胡麻が練りこんであります。一枚一枚,炭火で手焼きしたお煎餅を『わざとこわし』てから秘伝のタレにつけました。」との記載がある。
http://www.musashiya-kashiten.com/?pid=89453636(令和2年8月11日最終閲覧)
(5)「株式会社カワサ」のウェブサイトにおいて,「大人気商品!ついに発売!」の見出しの下,「大容量・超お得550g≪割煎≫大丸です。スーパーでもすぐに完売してしまう幻の商品です。割煎が集まらないと販売できないので,web販売を悩みましたがありがたいことにお問合せを多数いただきましたのでweb限定販売でお得にご提供させて頂きます!!!」との記載がある。
https://www.e-kawasa.co.jp/news/(令和2年8月11日最終閲覧)

3 当審において通知した,本願の指定商品に係る業界において,煎餅を割ってからたれを染み込ませた煎餅や自然に割れてしまった煎餅を,「割り煎」「割れ煎」と称して一般に販売している事実。
(1)「手づくりせんべい 萬寿屋」のウェブサイトにおいて,「割り煎」の見出しの下,「割り煎は,数多くのお客様方からの強いご要望と,萬寿屋独自の発想から生まれた新商品です。丸い手づくりせんべいを一枚一枚,手作業でわざわざ割り,これに醤油を二度づけいたしました。こうする事により表面だけではなく割れた所からせんべいの中へたれが染みこみ,普通の物より濃い味のおせんべいが出来あがるのです。」との記載がある。
http://www.warabi.ne.jp/~manjuya/warisen.htm(令和2年8月11日最終閲覧)
(2)「漁師に伝わる昔ながらの海鮮せんべいのお店 越前海鮮倶楽部」のウェブサイトにおいて,「割れ煎ミックス」の見出しの下,「割れ煎ミックスとは製造途中でやむなく割れてしまった丸いお煎餅の詰合せです。」との記載がある。
https://www.senbei.biz/products/detail.php?product_id=11(令和2年8月11日最終閲覧)


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審理終結日 2020-08-12 
結審通知日 2020-08-21 
審決日 2020-09-16 
出願番号 商願2018-88702(T2018-88702) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松浦 裕紀子 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 大森 友子
藤村 浩二
商標の称呼 カツセン、カツ、ワリ、サク、ワル、ワリセン 
代理人 中里 浩一 
代理人 川崎 仁 

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