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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z25
管理番号 1368263 
審判番号 取消2019-300125 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-02-18 
確定日 2020-10-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第4871727号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4871727号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成13年(2001年)2月2日に登録出願、第25類「被服,仮装用衣服」を含む第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同17年(2005年)6月17日に設定登録されたものであり、その後、指定商品は、同27年(2015年)6月9日の存続期間の更新登録で、第25類のみとなっている。 そして、本件審判請求の登録は、平成31年(2019年)3月4日にされたものであり、この登録前3年以内の期間を以下「本件要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、平成31年(2019年)4月22日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する令和1年(2019年)5月29日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁1」という。)、同月31日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁2」という。)及び同年6月6日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁3」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証(枝番を含む。枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)(以下、証拠を表示する際は、「甲1」等と表記する。)を提出した。
1 請求の要旨
本件商標は、商標権者により、少なくとも過去3年以内に日本国内でその指定商品には使用されていないから、本件商標は取り消されるべきものである。
2 弁駁1の要旨
(1)本件審判請求人と過去の「取消2017-300505」の請求人は別法人であり、本件審判請求とは関係がない。
(2)被請求人の「本件商標」についての「使用証拠」を提出できないとのことであり、直ちに「本件商標」の取消をされたい。理由も不明瞭で被請求人の「使用証拠」不提出の正当性がない。請求人の関係の米国「ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」(以下「米国財団」という。)では「知的財産権」と「著作権」と「パブリシティの権利」を世界的に所有している。そのため、日本国内でその「知的財産権」を侵害し「スマイル商品」を無断で製造している業者に対して「刑事、民事」の法的責任を追及することを決定している。被請求人はそれを回避するために、被請求人があえて請求人の「知的財産権」を侵害して「スマイル商品」を製造させている下請企業又は特別関係先の「使用証拠」の提出を拒んでいるにすぎない。請求人は真剣に別件の「3年間不使用審判請求事件」について丁寧に審議を進めてもらうために、被請求人の下請企業又は特別関係先に協力を要請したにすぎない。そのため、被請求人のそれらの「使用証拠不提出」の申し入れは受け入れられない。
(3)被請求人の使用証拠の例として提出された品番「BWG040G」の商品は、活字体文字や手書体文字が沢山書かれており、その中に小さくほとんど見分けがつかないような形で「本件商標」をデザインとして使用するだけで、到底「本件商標」を使用したとはいえない。
(4)被請求人の「本件商標」の関連会社「株式会社トランス・ファー」(以下「トランス・ファー社」という。)」が3年前から使用しているとの主張は信頼性がない。実際、それがどのような小売店で販売されたかも判明せず、被請求人の「使用実績」作りをするために2ないし3点、商品を製作しただけ等の噂もある。
(5)被請求人は、トランス・ファー社との「商標使用許諾契約書」を提出しているが、「使用契約」と実際にその商標を使用したかは必ずしも一致するとはいえない。
(6)トランス・ファー社は、「本件商標」を使用した事実を証明している。しかし、「本件商標」は、請求人関係の米国財団が、1963年末米国マサチューセッツ州ウスター市で「スマイリー・フェイス」(略称スマイル)を創作、著作した「故ハーベイ・ボール」の権利を承継している。その「知的財産権」(著作権及びパブリシティ権利等)を侵害して「スマイル商標」を使用したことがうかがえる。そのため、米国財団は、トランス・ファー社等の行為は上記「知的財産権」侵害に当たるとして、日本国内の刑事、民事の法律的な責任追及を行うことを決めている。その他、別途アメリカ本国でも「権利侵害」としてトランス・ファー社に対して懲罰的な意味から天文学的「賠償金」の支払いを求める訴訟を行い、その判決の執行を日本国内で求める手続きを行う決意であることを聞いている。
(7)請求人が代理人をつとめる米国財団の創始者「故ハーベイ・ボール」が1963年末米国マサチューセッツ州ウスター市で創作、著作した「スマイリー・フェイス」(略称スマイル)が、1970年、当時の文具メーカー「リリック」の商品企画部長によって訪問先の米国での上記関係の「スマイル」の大流行を真似て、無断で剽窃して、日本に導入された結果、日本で「ニコニコ・マーク」や「ラブ・ピース」として流行があった。その当時から日本ではお年寄りから子供まで知らない人がいない程有名になっている。
(8)被請求人は平成元年(1989年)前後に剽窃し、「自社の社員がデザインした」と強弁して、日本の商標法の「早い者勝ち」、「先願主義」を利用して、当時数千円の印紙代を支払うだけで、「本件商標」の商標登録をしたものである。明らかにそれは他人の創作権、著作権、商標の維持の努力、宣伝行為等を利用して、自己の利益を目的としたものである。被請求人程の「大企業」であり、「上場企業」であれば、「社会正義を追究」し「弱者救済」を目指すべきである。
(9)有名な日本の名称「富士山」、「青森りんご」、「神戸牛」、「松阪牛」等のあらゆる有名名称を中国の商標法に定められている「早い者勝ち」、「先願主義」によって登録され、中国産の商品にそれらが使用されている。それと同様に、例え「商標法」で合法だったとしても「著作権」、「パブリシティの権利」等の侵害行為として「反社会的」な不法行為とも考えられる。
(10)通常使用権者と称するトランス・ファー社についてもファッション関係者では全く知られておらず、「本件商標」を使用して真面目に製造、販売する業者とは思えず、被請求人の下請け業者か特別関係先であり、被請求人のための「商標使用実績」作りに協力したとしか思えない。
(11)請求人は日本国内での多少の事情は理解するとしても米国財団関係者や多くのアメリカ人達は日本政府(特許庁)に対しての不信感が強く、ほとんど被請求人の行為は犯罪としか思えず大変心配している。
(12)「スマイル」が全アメリカ人の「癒し」であれば、全アメリカ人の「誇り」である「POLO」(ラルフ・ローレン)についても被請求人は同様の手法で他人の「登録商標」をわざわざ借り入れ、米国の「POLO」便乗商品の製造販売をしている。このような「反社会的」な行為を行う被請求人の「答弁書」に書かれていることが真実とは思えない。
(13)被請求人は、自ら「本件商標」を本格的に使用する訳でもなく、下請け企業又は特別関係先に「使用実績」を作らせ、「登録商標」の権利期間の延長を目的としているもので、大変不真面目で悪質な行為といわざるを得ない。
(14)本件審判については、日本国(特許庁)も真剣に考えるべきである。
(15)請求人等は20年間円満解決や共通の利益を目指す方法等について話し合いを求めたが、被請求人は「聞く耳を持たない」態度で大企業らしからぬ対応に請求人や米国民は失望している。
3 弁駁2の要旨
(1)「提出証拠」への疑問
ア 「乙5の2」の場合
使用されたのは、あくまでもデザイン(意匠)の1つとしてあり、多くの図形の中に目立たなく、それこそ「ワンポイント」として使われたにすぎず、とても「使用証拠」とはいえない。
イ 「乙12」の場合
使用商標は、「スマイル・マーク」図形と英語の「LOVE EARTH」(ラブ・アース)である。一般的にその図形を見ると100%の人がそれを「スマイルである」と答える。それをあえて「LOVE EARTH」と表示されたものを「商標使用権者」(トランス・ファー社)が使用を依頼したとは思えない。おそらく、被請求人の他の関係があることから企業に強く要求されて「使用証拠作り」に協力させたとしか思えない。そもそも、その商品が一般売り場にて売られていたことも知らない。また、その商品をあえて買う消費者がいるとは思えない。一流デパート等が、一般に「スマイル」と発想できない(観念できない)「商標マーク」を使用した商品を販売するとは思えない。どう考えても、トランス・ファー社の動機が理解できない。以上から、「提出証拠」は、被請求人の審判事件用のねつ造された証拠としか思えない。
(2)「提出証拠」のずさんさ
「乙14の1ないし3」を見ると内容の大部分が黒塗りで消されており、全く証拠能力がない。何も問題なければ全部公開できるはずである。
(3)アメリカ国民の強い要請に応えるべき
被請求人は日本を代表する繊維メーカーであり、大企業であり、上場企業であり、明治創業の有名企業である。その実力と実績から考えて、既に多くの自社ブランド(商標)を所有しているはずであるが、「本件商標」を自ら積極的に使用する考えはなく、これまで20数回の他社(請求人も含めての)からの不使用による「取消審判請求」に対して毎回ほとんど無名の被請求人の特別関係先又は下請けの立場の企業に「商品デザイン」を提出させ、それを「使用証拠」だと強弁しているが、そのことは大企業にふさわしくない振る舞いである。現在、アメリカでは「アメリカ第一主義」に共感する国民が多く、「黄金のアメリカの70年代」の復活を目指す運動から「スマイル」の愛着は強く、全国民運動となっている。その最初、1963年に創作、著作された商標が「第25類」で正式に日本で使用できない不満は米国内で大変大きなものとなっている。そのため、請求人と関係を有する米国財団の会長名で20数回にわたり被請求人会社の社長、役員等に直接交渉を求め続けたが、被請求人は、返事をすることも無く、放置されている。その交渉内容は、ア 商標権の譲渡、イ 共同使用、ウ 協定書の締結、であり条件は「被請求人の要求するもので良い」に対しても返事をしないまま20年間が経過し、アメリカ側では大変侮辱を受けたと思っている。それは大企業としての責任感や正義感が無いと多くのアメリカ国民の怒りが拡大しているのが実情である。
4 弁駁3の要旨
(1)請求人は、日本国内で「スマイル・ブランド」(商標)のライセンス契約による「商品化」を国内メーカーに許諾している会社である。この度、国内契約企業のファッションメーカー多数に「スマイル商標」の商品の製造販売を許可している。それぞれのメーカーは現在、中国国内での下請け制作を行っており3ヶ月以内での輸入販売を企画している。「スマイル」類似商標を所有している被請求人と請求人関係の米国財団との紛争が生じ、その結果、被請求人が所有する登録商標の「スマイル」類似商標に基づく販売差止等の対抗手段に出る可能性がある。
(2)日本では商標法の「早い者勝ち」(先願主義)を利用して数々の人達が勝手に「商標登録」を行い、「スマイルは自分達の権利である」と名乗り「スマイル商品」を製造したメーカーや販売業者から多額の手数料を脅し取る行為が続出していた。
(3)一方、米国では2000年に入ってからアメリカ国内で1960年代、70年代の「黄金のアメリカ」を懐かしむ風潮が拡大し、「スマイル」が脚光を浴び1970年代のアメリカを代表するイメージとして国民投票で選出され大きな話題となった。その社会の変化により、米国財団は、アメリカの地元「ウスター市」や「マサチューセッツ州」から「認定」や「公認」をされ、「故ハーベイ・ボール」も脚光を浴びるようになり、その後、米国財団では全米各地で「社会貢献活動」、「ボランティア活動」を積極的に行うようになった。中でも20年間継続している「ワールド・スマイル・デー」イベントは全世界で1億人の支持者がおり、「スマイルを世界平和の礎にする」目的で活動している。そのイベントの20年間の実施のために、1回数千万円の費用が投入され、その費用の大部分は請求人関係の日本での「スマイル商品化事業」の収益金が当てられた。これまでの資金の投入は数億円に達する(甲6)。その一環として日本でも慈善活動を行っている。
(4)1963年に「故ハーベイ・ボール」によって創作、著作された「スマイル」の最初のスマイル「基本マーク」が、日本を代表する繊維メーカーである被請求人によって商標登録され「スマイル・マーク」の権利があると主張しているため、米国財団の日本での慈善活動が制限されており、米国財団本部や一般のアメリカ人の大きな不満となっている。
(5)米国財団では被請求人に対して、20年間数十回の社長、役員に対しての交渉や呼びかけを行ったが、全く「聞く耳を持たない」の態度で「商標登録をしたのだから何をしても良い」とのほとんど「商標ブローカー」的考えで、それに応えようとしていない(甲7ないし甲10)。
(6)日本のファッション業界最大の業界紙「繊研新聞」(発行部数20万)で日本での「スマイル」のイメージアップと価値を高めるため、直近1年半で1億円の広告費を投入して小売店やメーカーの理解を得て、日本での「スマイル」の価値を高めている(甲11)。その結果、日本の若い世代から「ニコちゃん」、「ニコ」と愛称され絶対的人気を得ている。しかし、被請求人の目的はそれらの米国財団関係の努力を横取りして、自己のビジネスの利益を得るとの考えから「スマイル商標」の保有に固執していると思われる。
(7)被請求人は、最近の「知的財産権」については「登録商標」が全てと考え、アメリカのデザイナーの象徴である「ラルフ・ローレン」の「POLO」商品の「偽物商品」を販売し大きな利益を得ていることもアメリカ人の反感を買う大きな要因となっている(甲12)。
(8)被請求人は、自ら「スマイル」を使用する訳でもなく、米国財団関係を含めて20数回の「取消審判請求」等に対しても、自己の下請け企業や特別関係先(ほとんど名前が知られていない企業)に「商品デザイン」や簡単な「伝票」等を提出させ「使用証明」として対応し、それに対して特許庁は無条件に認め、被請求人の「登録商標」の権利を取り消すことも、「無効」(5年経過)も不可能となっている(甲13)。
(9)「本件事件」で提供された「使用証明」の資料に疑問があるため、米国財団では会長自身が、それぞれの提供人にその疑問について問い合わせたが、一切回答することなく放置されている(甲14)。
(10)米国財団では、これまで20年間「スマイル商標」(最初の創作マーク)を商標出願したが全て被請求人の「スマイル」登録商標を引用され「拒絶査定」となっている。以上の経緯から、米国財団側は、「登録商標権」の権利主張を諦めて「著作権」主張に重点を置いているようである。
(11)アメリカ人が主張するには、被請求人程の大企業であれば「コンプライアンスの遵守」、「社会正義の実行」、「弱者救済」等の対応をもって経営するのが世界的な流れであるのに、その様な「商標ブローカー」的行為に固執することについて理解できないと大きな怒りとなっている。
(12)アメリカでは商標登録においては「使用実績」が重視され、日本の「早い者勝ち」(先願主義)については理解することができず、「日本政府」(特許庁)が故意に「アメリカの知的財産権を尊重しない」とさえ主張する声が大きく広がっている。
(13)日本の特許庁は、「大企業優先」、「被請求人保護」の確固たる決まりができており、アメリカ人は「合法的な方法を以ってしてでも自分達の権利を回復することは不可能」と考え始め、もはや「社会問題化」、「政治問題化」としマスコミを味方に被請求人の考えを変えるしかないとの考えに至っているようである。請求人はそれに対し、全力を挙げて説得し、そのような行動を慎むようにと努力しているが、アメリカ人にとって、日本は対等の関係とは考えず、「アメリカの考えが世界共通の考えである」との強い信念を持っており、到底アメリカ人の考えを日本人の理解する範囲に止めることは不可能と考えている。そのため、米国財団や関係者の意志は強固で、現状のままでは変えることができず、同封のカタログや印刷物(甲15)をアメリカが直接、日本の小売店や各方面に送付し、日本の喚起を求めることを現在計画中である。また、米国財団関係者が来日して記者会見やテレビ出演等も現在計画中である。
(14)既に、米国財団本部は、日本を代表する主要小売店等の代表者に手紙を送っており、これから国内主要代理店500社や新聞、雑誌、テレビ、マスコミ各社への本格的な接触が始まりそうである。そうすれば、日本の小売業界やマスコミで大騒ぎになり「社会問題化」するのは必至であり、やがて「政治問題化」へ発展する危険性がある。それを阻止して円満な解決をする必要がある(甲16)。
(15)被請求人の「スマイルは自分達のもの」の主張にアメリカ人達の怒りは収まらず被請求人商品の「不買運動」が世界的に計画されている(甲17)。
(16)日本国特許庁に対する不満もある(甲18)。
(17)以上の説明のとおり、被請求人は自ら「本件商標」を使用する意思はなく、数十回の全ての「取消審判」、「無効審判」等には自社の下請け企業等に商標権の延命のためのずさんな「使用証明」を提出しているに過ぎない。「本件商標」の取消や無効は被請求人にとって全く損害がないのであるから、取消や無効にすべきである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書おいて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙15(枝番を含む。)(枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)を提出した。
1 別件不使用取消審判1について
本件審判の請求の趣旨は、米国財団が平成29年(2017年)7月7日付け本件商標に対して請求した不使用取消審判(取消20017-300505)(以下「別件不使用取消審判1」という。)の請求の趣旨と同内容であり、本件審判請求は、紛争の蒸し返しを図るための不当な請求といわざるを得ない。本件審判の請求人は、米国財団におけるスマイル商品化事業を担当する日本法人である(乙1及び乙2)。
また、本件審判請求及び別件不使用取消審判1の他、米国財団の知的財産権を管理、運営するために設立された日本法人である有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド(当該法人の代表者は、請求人の代表者でもある[乙3]。)が、平成31年(2019年)1月7日付けで、本件商標に対して、本件審判の請求の趣旨と同内容の不使用取消審判(取消2019-300021)(以下「別件不使用取消審判2」という。)を請求している(乙4の1)が、合理的な理由もなく同一の審判請求を繰り返す請求人の行為は、被請求人に対する嫌がらせ行為であると評価せざるを得ない。
2 本件商標の構成及び指定商品
本件商標は、円図形内の上部に、目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、この2つの黒塗りの縦長楕円形の下に口と思しき両端上がりの弧線を描いた図形(以下「スマイルマークの図形」という。)を表してなる商標であり(別掲1)、指定商品は第25類「被服,仮装用衣服」である。
3 本件審判請求が別件不使用取消審判1の蒸し返しにすぎないこと
請求人と実質的に同視できる米国財団は、別件不使用取消審判1を請求している。別件不使用取消審判1に関しては、平成30年(2018年)5月17日に口頭審理が行われている。
本件審判の請求の趣旨の内容は、別件不使用取消審判1の請求の趣旨と全く同じ内容であるが、別件不使用取消審判1において、被請求人が提出した使用証拠は、いずれも本件審判請求の登録前3年の間の使用に関するものであり、本件審判においても使用証拠となり得るものである。
そのため、本件審判の結論は、別件不使用取消審判1と同様の内容にならざるを得ないものであり、本件審判に関し、別件不使用取消審判1と別個に新たな審理を行う必要はない。
4 被請求人自身による本件商標の使用
(1)被請求人の商品における使用態様
被請求人は、本件商標と社会通念上同一の構成からなる標章(以下「本件使用標章1」という。)を、被請求人が製造する「下着」に対して、販売している。被請求人が製造、販売している品番「BWG040G」の下着(以下「対象商品1」という。)(別掲2)に付された本件使用標章1と本件商標は、共に、円図形内の上部に、目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、この2つの黒塗りの縦長楕円形の下に口と思しき両端上がりの弧線を描いたスマイルマークの図形からなるものであり、本件使用標章1は、本件商標と社会通念上同一の商標にあたる。
したがって、対象商品1(別掲2)の表面には本件商標と社会通念上同一の構成からなる本件使用標章1が表されているといえる(乙5の2)。
なお、乙5は、「アパレルカンパニー【カタログネット】広告・宣伝内容確認依頼申請表」(乙5の1)及びその添付文書(乙5の1の1頁の左下に添付されている「BODYWILD 父の日商材WEB説明文」との表題のPDF文書[乙5の2])であるが、これらの書類は、被請求人の公式通販サイトにおける対象商品1(別掲2)の販売画面(乙5の2の2頁)を社内で最終確認した際の資料であり、この資料をもとに各部署の責任者の承認を得た上でインターネットへの公開が行われたものである。
(2)対象商品1(別掲2)の販売時期
被請求人は、対象商品1(別掲2)を被請求人の公式通販サイトにおいて平成29年(2017年)5月24日からインターネット販売していたほか(乙5、乙6の1及び乙6の2)、日本全国の小売店に対しても、同年6月初旬から対象商品1(別掲2)を販売している(乙7)。
ア 被請求人の公式通販サイトにおける対象商品1(別掲2)の販売
「アパレルカンパニー【カタログネット】広告・宣伝内容確認依頼申請表」(乙5の1)の1頁には、当該販売画面の内容に関し、平成29年(2017年)5月に各担当部署の責任者及び担当者が承認している旨の記載がある。また、当該販売画面のインターネットへの公開時期に関しては、乙5の1の1頁の「掲載・実施時期」の欄に「5月25日?」との記載があり、当該販売画面が平成29年(2017年)5月25日の前後の時期に公開されたものであることが分かる(実際には公開が1日早まり、同月24日に公開がなされている)。
なお、対象商品1(別掲2)は、父の日(平成29年[2017年]6月19日)用の商材である(乙5の1の1頁の「目的及びキャンペーン名」の欄に「父の日専用商材の販売 商品説明文」との記載があること、乙5の2の2頁に「お父さんへのプレゼントにぴったりのユニークなボクサーパンツ」との記載あることからも分かる。)が、このことからも乙5の2のウェブサイトが、平成29年(2017年)6月19日よりも前の時期に公開されたことが分かる。
また、乙6の1は、「被請求人の社内管理システムで、被請求人の公式通販サイトにおける対象商品1(別掲2)の販売の実績を検索した画面の画面印刷物」であるが、当該画面には、品番の欄に対象商品1(別掲2)の品番(BWG040G)が記載されており、顧客への納品日は「納品日」の欄に掲載されているが、これらの日付を見ると、平成29年(2017年)5月25日から同年7月11日までの間(平成30年[2018年]度も5月12日から販売を開始している。)、対象商品1(別掲2)が納品された事実が分かる。
さらに、乙6の2は、「被請求人の社内管理システムで、平成29年[2017年]5月24日付けの注文に関する受注伝票の詳細を検索した画面の画面印刷物」であるが、これを見ると、対象商品1(別掲2)に関し、平成29年(2017年)5月24日に顧客からの注文が入り、同月25日に発送が完了し、翌26日に顧客への配達が完了していることが分かる。
以上のとおり、被請求人は、対象商品1(別掲2)を平成29年(2017年)5月24日から販売しており、被請求人の当該行為は、商標法2条3項1号又は2号の使用行為にあたる。また、ウェブサイトに対象商品1(別掲2)を掲載してインターネットに公開する行為、は商標法2条3項2号又は8号の使用行為にあたる。
そのため、被請求人は、平成29年(2017年)5月24日以降、本件使用標章1を使用していたといえる。
なお、対象商品1(別掲2)は、「Amazon」 の通販サイトにおいても販売されており(乙8)、「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日」の欄に「2017/5/29」との記載があるが、当該事実からも対象商品1(別掲2)が遅くとも平成29年(2017年)5月29日には市場に流通していたことが分かる。
イ 小売店の実店舗における対象商品1(別掲2)の販売に関する広告
被請求人は、日本全国の小売店に対しても、対象商品1(別掲2)を販売しており、小売店の店舗においても、平成29年(2017年)6月初旬から対象商品1(別掲2)の販売を開始しており、かかる行為も商標法2条3項1号又は2号の使用行為にあたる。
対象商品1(別掲2)が、平成29年(2017年)6月初旬から、小売店の実店舗において販売されていたことは、被請求人の公式サイトにおいて、対照表品1(別掲2)の販売開始の告知がなされていることから分かるが(乙7)、かかるウェブサイトへの告知は、商標法2条3項8号の使用行為にあたる。また、当該告知内容は、平成29年(2017年)6月9日付けの日本経済新聞にも掲載されている(乙9)。
(3)小括
以上のとおり、被請求人は、対象商品1(別掲2)に、本件商標と社会通念上同一の商標を付し、本件審判請求の登録前3年の間に販売しているほか、当該商品の宣伝広告もしており、かかる事実は、被請求人が提出した証拠によって十分に立証されている。
5 通常使用権者による本件商標の使用
通常使用権の許諾
被請求人は、トランス・ファー社(住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目8番7号)に対し、平成28年(2016年)9月1日付けで、商標登録第4805259号(別掲3)に係る通常使用権の許諾をしている(乙10)。
乙10の商標使用許諾契約書は、平成28年(2016年)9月1日に締結され、有効期間を平成29年(2017年)3月31日までとする契約であるが、双方から変更、解約の申し入れがない場合には、更に1年間自動更新されることとなっており(契約書第6条但書)、本契約は現在も効力を有している。
なお、乙10の契約書における被請求人の住所は、本件商標権の登録上の住所と相違しているが、乙10に記載の住所は、被請求人の大阪本社の住所であり、このことは、乙11として提出の「四半期報告書(第122期第3四半期)」の冒頭の頁に「(大阪本社)大阪市北区梅田二丁目5番25号(ハービスOSAKAオフィスタワー)」との記載があることから明らかである。
イ 登録第4805259号商標(別掲3)の使用許諾契約が本件商標の使用許諾を含むものであること
乙10の商標使用許諾契約書は、「LOVE EARTH」の文字とスマイルマークの図形の結合からなる登録第4805259号商標(別掲3)を対象とした契約であるが、当該登録商標を使用すると必然的に登録第4805259号商標(別掲3)の図形標章(以下「本件使用標章2」という。)も使用することとなることはその構成上明らかである。
なお、商標使用許諾契約書(乙10)を上記のように解さないと、トランス・ファー社が、登録第4805259号商標(別掲3)を付した商品を製造、販売する行為が、本件商標の商標権侵害にあたることになるが、そのような帰結が両当事者の意思に合致しないことは明らかである。
そのため、登録第4805259号商標(別掲3)に関する上記の使用許諾は、本件商標の使用許諾を含むものであるというべきであり、トランス・ファー社は、登録第4805259号商標(別掲3)の通常使用権者であると同時に、本件使用標章2の通常使用権者にもあたるものである。
通常使用権者の商品における使用態様
トランス・ファー社は、商標使用許諾契約書(乙10)に基づき、登録第4805259号商標(別掲3)を「被服」に付し、これを販売している。 トランス・ファー社が製造、販売している「品番CC-62021」のセーター(以下「対象商品2」という。)(別掲4)に付された本件使用標章2と本件商標は、共に、円図形内の上部に、目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、この2つの黒塗りの縦長楕円形の下に口と思しき両端上がりの弧線を描いたスマイルマークの図形からなるものであり、本件使用標章2は、本件商標と社会通念上同一の商標にあたる。
乙12は、トランス・ファー社が平成28年(2016年)の前半頃に作成した平成28年(2016年)の秋・冬の商品のオーダーシート(表紙中央の「Ladies/2016 fall&Winter collection」との記載参照。)であるが、対象商品2(別掲4)は、乙12の3頁に、21番の商品として掲載されている(表の最上段の「21/CCー602021」との記載参照)。
なお、乙12のオーダーシートは、トランス・ファー社が開催する展示会に来る顧客に対して、事前に郵送する方法と展示会当日に手渡す方法で配布しており、展示会の来場者は、当該オーダーシートと実物を見ながら商品購入を検討することになり、購入商品を記載したオーダーシートをトランス・ファー社に提出した時点で注文がなされたことになる。
エ 対象商品2(別掲4)の販売時期
トランス・ファー社は、対象商品2(別掲4)を本件審判請求の登録日である平成31年(2019年)1月24日(審決注:3月4日の誤記と思われる。)の前3年の間に販売しているが、かかる事実は、乙13の電子メール、乙14の1の「合計請求書」、並びに乙14の2及び3の「納品書」によって明確に立証できる。
乙13の電子メールは、平成28年(2016年)9月26日付けで、ファッションリンク社の担当者からトランス・ファー社の担当者宛に送信された電子メールであるが、当該電子メールの本文、及び添付ファイルを見ると、品番「CC-62021」の商品について、グレー1着、チャコール1着の発注があったことが分かる(なお、サイズの記載はないが、これは当該商品のサイズバリエーションが1サイズのみであるためである。)。
また、乙14の1の「合計請求書」、並びに乙14の2及び3の「納品書」は、対象商品2(別掲4)の取引の際にトランス・ファー社からファッションリンク社に提供されたものであり、これらの書類には品番、品名の欄に「CC-6201 LOVEアーススマイルPO」との記載があり、平成28年(2016年)10月1日及び同月5日に対象商品2(別掲4)が納品されたことが分かる。乙14の2の「納品書」は、乙13の電子メールでの発注に基づき行われた納品に係るものである。これらの書類には捺印はなされていないものの、乙14の1の「合計請求書」の右上にトランス・ファー社の社判と担当者の印鑑が押されていることから、実際に交付された書面であるといえる。さらに、乙14の1の「合計請求書」、並びに乙14の2及び3の「納品書」には、商品のサイズや色彩に関する表記がないが、これは、ファッションリンク社が効率化を図るため、納品伝票には、品番、数量管理のみでサイズ、色の明記はしないこととしているためである(乙15)。
オ 小括
以上のとおり、被請求人の通常使用権者であるトランス・ファー社は、対象商品2(別掲4)に、本件商標と社会通念上同一の商標を付し、本件審判請求の登録前3年の間に販売しており、かかる事実は、被請求人が提出の証拠によって十分に立証されている。
6 結論
以上のとおり、本件審判は、「別件不使用取消審判1」の蒸し返しに過ぎず、本件審判請求は訴訟上の信義則に基づき、直ちに棄却すべきである。また、実体的な審理を行うとしても、被請求人及び被請求人の通常使用権者であるトランス・ファー社は、本件請求に係る指定商品第25類「被服」について、本件商標と社会通念上同一の商標を本件要証期間に使用しており、かかる事実は、被請求人が提出の証拠によって十分に立証されている。

第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、(1)本件要証期間に、(2)日本国内において、(3)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、(4)本件商品のいずれかについての、(5)本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人の提出した乙1ないし乙15(枝番を含む。)の証拠から以下の事実が認められる。
(1)乙1ないし乙4について
乙1は、別件不使用取消審判1に係る審判請求書の写しであり、「2.請求人」の項目の「名称」の欄に米国財団の記載がある。
乙2は、米国財団のウェブサイトの写しであり、乙2の中央下に「【商品化問い合わせ先】ジャス・インターナショナル株式会社」の記載がある。
乙3は、【リクナビNEXT】に掲載された請求人の求人情報の写しであり、2頁の代表者の欄に「T氏」の記載がある。
乙4の1は、別件不使用取消審判2に係る審判請求書の写しであり、「2.請求人」の項目の「名称」の欄に「有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド」の記載、代表者の欄に「T氏」の記載がある。
乙4の2は、別件不使用取消審判1において、請求人である米国財団が提出した平成30年4月16日付け口頭審理陳述要領書であり、「3.代理人」の項目の「名称」の欄に「有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド」の記載、代表者の欄に「Y氏」及び「T氏」の記載がある。
乙1ないし乙4から、別件不使用取消審判1の請求人である米国財団の代理人は、別件不使用取消審判2の請求人である「有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド」であり、「有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド」の代表者と、本件審判の請求人である「ジャス・インターナショナル株式会社」の代表者は、同一の者であると認められるため、米国財団、「有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド」及び「ジャス・インターナショナル株式会社」は、何らかの関係を有する者であると推認できるが、別件不使用取消審判1、別件不使用取消審判2及び本件審判の請求が、訴訟上の信義則に反するとまではいえない。
(2)乙5及び乙7について
乙5の1は、「アパレルカンパニー【カタログネット】広告・宣伝内容確認依頼申請表」であり、「受付No:1962」の記載、「作成日:2017/05/08」の記載、「審査部門責任者」の項目の下に「2017/05/24」及び「承認」の記載、「知的財産室長」の項目の下に、「2017/05/24」及び「承認」の記載、「審査希望期限」の欄に「2017/05/23」の記載、「申請内容」の欄に「7.その他」の記載、「目的及びキャンペーン名」の欄に「父の日専用商材の販売 商品説明文」の記載、「対象商品」の欄に「BODYWILD 父の日専用商材」の記載、「媒体」の欄に「8.ホームページ,14.その他」の記載、「媒体名」の欄に「グンゼストア・楽天・yahoo」の記載及び「掲載実施時期」の欄に「5月25日?」の記載がある。
乙5の2は、被請求人の公式通販のウェブサイトの写しであり、対象商品1(別掲2)とは異なる「ボクサーブリーフ」の画像とその画像の上に、「BODY WILD(ボディワイルド)」及び「ボクサーブリーフ(前とじ)(紳士)」が二段に書され、商品画像の右側に「本体1,300円+税(104円)」の記載、「お父さんへのプレゼントにぴったりのユニークなボクサーパンツ(前閉じ)」の記載、「お父さんをイメージしたアイコンを、モザイク調にデザイン。さわやかなブルーがメインのカラーリングデ、穿きやすい配色です。いつもがんばるお父さんへ、プレゼントしてみませんか? 吸汗速乾性があり、よく伸びる生地なのでお父さんも気に入ってくれるはず☆」の記載及び「商品番号:31BWG041G-0005900000002」の記載がある。
また、乙5の2の2頁には、対象商品1(別掲2)の画像とその画像の上に、「BODY WILD(ボディワイルド)」及び「ボクサーブリーフ(前とじ)(紳士)」が二段に書され、画像の右側に「本体1,300円+税(104円)」の記載、「お父さんへのプレゼントにぴったりのユニークなボクサーパンツ(前閉じ)」の記載、「クールな色合いの星柄に、感謝や賞賛のメッセージがぎっしり詰まったプリントデザイン。普段はなかなか言えない言葉をこのパンツに託してみて♪ 吸汗速乾性があり、よく伸びる生地なのでお父さんも気に入ってくれるはず☆」の記載及び「商品番号:31BWG040G-0000300000002」の記載がある。
乙7は、被請求人の公式通販のウェブサイトの写しであり、乙7の1頁の左上に「ニュースリリース」の記載、右上に「2017年06月09日」及び「グンゼ株式会社」の記載があり、中心に、タイトルとして「『BODY WILD(ボディワイルド)』」及び「“父の日限定ボクサーパンツ”新発売」が二段に書され、その下の左側に対象商品1(別掲2)の画像が掲載され、その下の「商品ラインアップ」の項目の下にも対象商品1(別掲2)の画像が掲載され、その右の表の「品名」の右横に「ボクサーブリーフ(前とじ)」の記載、「品番」の右横に「BWG040G」の記載がある。
以上からすると、乙5の2の2頁には、情報の掲載日が記載されていないが、乙5の1から、乙5の2の2頁の対象商品1(別掲2)の販売を目的とする情報は、被請求人の公式通販のウェブサイトに、平成29年(2017年)5月25日に掲載されていたことが認められる。
また、乙5の2の2頁、乙7及び乙9から、平成29年(2017年)5月25日以降、被請求人の公式通販のウェブサイトを通じて広く、不特定多数の需要者に対して、対象商品1(別掲2)の広告が行われていたことが認められる。
そうすると、本件使用標章1が付された、販売(譲渡)を目的とした対象商品1(別掲2)が、遅くとも、本件要証期間である平成29年(2017年)5月25日に存在していたこと、平成29年(2017年)5月25日に被請求人の公式通販のウェブサイトにおいて、本件使用標章1が付された対象商品1(別掲2)の電磁的媒体による広告が行われたことが認められる。
3 上記2で認定した事実によれば、以下のとおりである。
(1)本件商標について
本件商標は、円図形内の上部に、目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、この2つの黒塗りの縦長楕円形の下に口と思しき両端上がりの弧線を描いた図形を表してなるものである(別掲1)。
(2)被請求人による本件使用標章1の使用
被請求人であり、本件商標の商標権者である「グンゼ株式会社」は、同社が製造、販売する対象商品1(別掲2)に、本件使用標章1を付している(乙5の2及び乙7)。
(3)対象商品1(別掲2)について
対象商品1(別掲2)は、その品番を「BW040G」とする商品「ボクサーブリーフ」である。
そして、商品「ボクサーブリーフ(ボクサーパンツ)」は、本件商品である「被服」に含まれる商品である。
(4)本件使用標章1を付した対象商品1(別掲2)の使用時期について 乙5及び乙7ないし乙9から、本件使用標章1を付した対象商品1(別掲2)の販売を目的とする情報は、被請求人の公式通販のウェブサイトに、平成29年(2017年)5月25日に掲載され、それ以降、被請求人の公式通販のウェブサイト及び「Amazon.co.jp」のウェブサイトを通じて広く、不特定多数の需要者に対して、対象商品1(別掲2)の広告が行われていた。
そうすると、販売(譲渡)を目的とした本件使用標章1が付された対象商品1(別掲2)は、遅くとも、本件要証期間である平成29年(2017年)5月25日には存在していたこと、かつ、被請求人の公式通販のウェブサイト等において、対象商品1(別掲2)の販売(譲渡)を目的として、電磁的媒体による広告が行われたことは明らかである。
(5)本件商標と本件使用標章1との社会通念上の同一性について
本件商標は、前記(1)のとおり、円輪郭内の上部に目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円を2つ並べ、その中には瞳を思わせる白抜きの点を配し、その下には口と思しき両端上がりの弧線を描いた、人の顔を簡潔に描いてなるものである。
他方、本件使用標章1は、円輪郭内の上部に目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、その下に口と思しき両端上がりの弧線を描いてなるものである。
そうすると、本件商標と本件使用標章1は、これらの構成要素(円輪郭、黒塗りの縦長楕円、及び弧線)を共通にし、また、これらの構成全体として、人の顔を簡潔に描いてなる点において、外観における印象を共通にすることから、これらの表示態様や色彩に多少の差異を有するとしても、これらは、ほぼ同視される図形からなるものである。
よって、本件商標と本件使用標章1は、社会通念上同一である。
(6)小括
上記(1)ないし(5)を総合すると、本件商標の商標権者(被請求人)は、本件要証期間である2017年(平成29年)5月25日には、日本国内において、本件商品「被服」に含まれる商品「ボクサーブリーフ(ボクサーパンツ)」に、販売(譲渡)等を目的として、本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用標章1を付していたこと、及び本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用標章1を付した商品「ボクサーブリーフ(ボクサーパンツ)」を被請求人の公式通販のウェブサイト等で、その販売(譲渡)等を目的として電磁的方法による広告を行っていたことが認められ、これらの行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する。
4 請求人の主張について
請求人は、弁駁1及び弁駁2において、「被請求人は、『本件商標』をデザインとして使用するだけで、到底『本件商標』を使用したとはいえない。」旨主張する。
しかしながら、本件使用標章1の表示態様は、単なるデザインと認識されるだけではなく、商品の出所識別標識としても認識され得る。
そして、平成28年(行ケ)第10086号(知財高裁平成28年9月14日判決)において、「商標法50条の主な趣旨は、登録された商標には、その使用の有無にかかわらず、排他的独占的な権利が発生することから、長期間にわたり全く使用されていない登録商標を存続させることは、当該商標に係る権利者以外の者の商標選択の余地を狭め、国民一般の利益を不当に侵害するという弊害を招くおそれがあるので、一定期間使用されていない登録商標の商標登録を取り消すことについて審判を請求できるというものである。上記趣旨に鑑みれば、商標法50条所定の『使用』は、当該商標がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用(商標法2条3項各号)されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではないというべきである。」と判示されていることから、仮に、本件使用標章1が、対象商品1(別掲2)のデザインとして使用されているとしても、商標法50条所定の使用については、その使用が、商標的な使用態様であるか否かは問題ではない。
したがって、請求人の上記主張は採用することはできない。
5 まとめ
以上のとおり、本件要証期間に日本国内において、商標権者が、本件取消請求に係る指定商品である「被服」に含まれる商品「ボクサーブリーフ(ボクサーパンツ)」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを、被請求人は証明した。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条1項の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1(本件商標)


別掲2(対象商品1)


別掲3(登録第4805259号商標)


別掲4(対象商品2)







審理終結日 2019-08-20 
結審通知日 2019-08-23 
審決日 2020-08-31 
出願番号 商願2001-14411(T2001-14411) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z25)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 榎本 政実 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 庄司 美和
豊田 純一
登録日 2005-06-17 
登録番号 商標登録第4871727号(T4871727) 
代理人 山田 威一郎 
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