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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25
管理番号 1368260 
審判番号 取消2018-300517 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-07-09 
確定日 2020-09-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第2717783号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2717783号商標(以下「本件商標」という。)は、「WILLIAM MORRIS」及び「ウィリアム モリス」の文字を二段に書してなり、平成元年7月6日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同8年11月29日に設定登録されたものであり、その後、同18年10月25日に指定商品を、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」、第20類、第21類、第22類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
なお、本件審判の請求の登録(予告登録)は、同30年7月24日になされたものである(以下、本件審判の請求の登録前3年以内を「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第25類「全指定商品」(以下「請求に係る商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した(以下、証拠は甲1のように表記する。)。
1 請求の理由
本件商標は、その請求に係る商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 平成30年11月15日付け審判事件弁駁書の要旨
(1)被請求人は、本件商標は被請求人の通常使用権者ないし同人より使用許諾を受けた者によって請求に係る商品中、「スカーフ,プルオーバー,スカート,Tシャツ,エプロン」について要証期間内に商標法第2条第3項第2号の使用をしていた旨述べているが、乙1ないし8の4からは、その事実を認めることはできない。
(2)2016年9月ルック株式会社による使用
被請求人は、ルック株式会社は同社のブランドの「KEITH(キース)」とのコラボ企画として、「WILLIAM MORRIS」商標を付した「スカーフ,プルオーバー,スカート」を同社の店舗KEITHで2016年9月7日から販売したと主張し、乙2の1ないし2の5を提出している。
しかしながら、乙2の1は、誰から誰に対する、何についてのロイヤリティなのかが明らかではなく、本件商標の表示もない。乙2の2には、「品名」に「モリスパターンスカーフ」と記載されている他には、「品番」、「サイズ/色番」、「数量」、「納品単価」、「金額」が記載されているのみで、本件商標の記載がない。乙2の3は、「通常使用権者がウィリアム・モリス商標デザイン使用料としてルック株式会社のグループ会社である株式会社ルックモード宛の平成28年8月26日付請求書の写し」とのことであるが、株式会社ルックモードがそれらの商品に本件商標を付して販売した事実を立証するものではない。
乙2の4は、スーツやスカーフ等の陳列状況が写っているが、いずれの写真も著しく不鮮明であり、本件商標が確認できない。また、当該写真の撮影日及び撮影者も明らかではない。
以上のとおり、乙2の1ないし2の5は、いずれも要証期間内における本件商標の「スカーフ,プルオーバー,スカート」についての使用の事実を証明するものではない。
(3)美術館の展覧会における使用
被請求人は、本件商標の通常使用権者である株式会社ブレーントラスト(以下「ブレーントラスト」という。)が、要証期間内に開催された、ウィリアム・モリスに関する展覧会において、「Tシャツ」及び/又は「エプロン」について本件商標を使用したと答弁し、その根拠として、以下のアないしエを提出したが、そのいずれも本件商標の使用を裏付ける証拠たり得ない。
ア 展覧会のパンフレット等
展覧会のパンフレット等によれば、要証期間内に当該展覧会が開催されていたという事実はうかがえる(乙3の1、4の1、6の1、7の1及び8の1)。
イ 請求書・納品書の写し
請求書・納品書の写しにおいて、「商品区分」として記載された「Styling Arts Crafts-William Morris/Morris&Co.」は注文された商品を特定するための情報の一つにすぎないものであり、該納品書・請求書によって、ブレーントラストから各美術館に「Styling Arts Crafts」、「William Morris」又は「Morris&Co.」のいずれか又は全部と何らかの関係のある商品が譲渡されたことはうかがえるものの、ブレーントラストが「Tシャツ」又は「エプロン」に本件商標を付した事実を証するものということはできない。
また、「Styling Arts Crafts-William Morris/Morris&Co.」の記載は、「Styling Arts Crafts」及び「Morris&Co.」の各文字とつなげて横一連に、同書同大に表しており、「WILLIAM MORRIS」を自他商品識別機能を発揮する態様で出所を示す識別標識として使用したとはいえない。
よって、これらの納品書及び請求書は、いずれも、本件商標が「Tシャツ」又は「エプロン」に使用されたことを立証する証拠たり得ない(乙3の2、4の2及び3、6の2及び3,7の2及び3、8の2及び3)。
ウ ラベル
請求に係る商品に添付した状態ではない、本件商標が表示されたラベル(乙5)のみをもって、請求に係る商品についての本件商標の使用の事実が立証されているとは認められない。また、当該ラベルが請求に係る商品にどのように使用されるのかについて、一切言及もなければ立証もない。
よって、当該ラベルは、本件商標が「Tシャツ」又は「エプロン」に使用されたことを立証する証拠たり得ない。
エ 請求に係る商品及びその販売場所の写真
乙3の3について、1枚目の写真の右上に、「2015年9月4日撮影パラミタミュージアム」と手書きされた付箋のようなものが表示されているが、これをもって当該写真の撮影日・撮影場所が客観的に証明されたことにはならならず、当該写真には、パラミタミュージアムで開催された展覧会であることを示す看板等や、写真の場所がパラミタミュージアム内であることを示すものは写っていない。
また、全2枚の写真からは、ハンガーに掛けたTシャツには、本件商標の使用は確認できない。台上に陳列されているものには、白抜きで何らかの文字が書かれた赤い正方形のラベル状のものが付けられているが、著しく不鮮明であり、本件商標が表示されているのか確認できず、当該写真の撮影日及び撮影者も明らかではない。
よって、乙3の3のいずれの写真も、要証期間内に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が「Tシャツ」に使用された事実を立証するものではない。
乙4の4について、いずれの写真も、撮影日が不明である上、被請求人がいう、2017年1月7日?同年2月12日に愛媛県美術館で開催された展覧会であることを示す看板等もなく、また、写真の場所が愛媛県美術館内であることを示すものは写っていない。
よって、要証期間内に本件商標を使用した事実を立証するものではない。
そして、全5枚の写真のうち、3枚目の写真に「エプロン」が写っており、透明のビニール包装の内側に、白抜きで文字が書かれた赤い正方形のラベルが付されているが、当該白抜きの文字は、上から「Styling」「Arts」「Crafts」であるとは読み取れるが、該「Crafts」の下にはいかなる文字ないしは紋様が書かれているのか、不鮮明で判読できない。
また、乙5のラベルは、該「Crafts」の文字の下に「WILLIAM MORRIS」の文字と、横線を挟んで「MORRIS&Co.」の文字を上下二段に併記しているから、被請求人が乙5として提出したラベルとの同一性も認められない。よって、乙4の4のいずれの写真も、要証期間内に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が、「エプロン」に使用された事実を立証するものではない。
乙6の4の写真(1枚目)において、被請求人が乙6の1として提出した本展覧会のパンフレットの表紙と同じデザインの立て看板が写っているが、「ウィリアム・モリス」以外の文字は不鮮明で読みにくく、2017年2月25日?同年3月26日に福井市美術館で開催された展覧会と同一ものであるか判別できない。また、写真の場所が福井市美術館内であることを示すものは写っていない。4枚目の写真において、白抜きで文字が書かれた赤い正方形のラベルが付されているが、当該白抜きの文字は、「Crafts」の下にはいかなる文字ないしは紋様が書かれているのか、不鮮明で判読できない。また、当該ラベルにおける「Crafts」の下の文字ないしは紋様は、一段のみに見えるが、乙5のラベルは、「Crafts」の文字の下に「WILLIAM MORRIS」の文字と、横線を挟んで「MORRIS&Co.」の文字を上下二段に併記している。
よって、被請求人が乙5として提出したラベルとの同一性も認められないず、乙6の4のいずれの写真も、要証期間内に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が、「エプロン」に使用された事実を立証するものではない。
乙7の4について、いずれの写真も、撮影日が不明である上、被請求人がいう、2017年11月14日?2018年1月8日に奥田元宋・小由女美術館で開催された展覧会であることを示す看板等も写っておらず、写真の場所が奥田元宋・小由女美術館内であることを示すものは写っていない。
よって、要証期間内に本件商標を使用した事実を立証するものではない。
また、2枚目の写真において、壁に掛けられたエプロンが写っているが、本件商標が付されたエプロン、又は本件商標がその包装に付されたエプロンは写っておらず、「Tシャツ」の陳列は、写真からは確認できない。よって、乙7の4のいずれの写真も、要証期間内に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が、「エプロン」又は「Tシャツ」に使用された事実を立証するものではない。
乙8の4について、1枚目の写真において、「ウィリアム・モリス」以外の文字は不鮮明で読みにくく、被請求人がいう、2018年2月17日?同年3月25日に豊橋市美術博物館で開催された展覧会と同一ものであるか判別できない。また、写真の場所が豊橋市美術博物館内であることを示すものは写っていない。
さらに、乙8の4の写真において、2、3、4、7枚目の写真には、エプロン及びTシャツが写っているが、本件商標が表示されているか判別がつかず、5、6、8枚目の写真では、Tシャツに本件商標が表示されているか判別がつかない。透明のビニール包装の内側に、白抜きで文字が書かれた赤い正方形のラベルが付されており、当該白抜きの文字の「Crafts」の下にはいかなる文字なしは紋様が書かれているのか、不鮮明で判読できず、乙5のラベルとの同一性も確認できない。
よって、乙8の4のいずれの写真も、要証期間内に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が「エプロン」又は「Tシャツ」に使用された事実を立証するものではない。
(4)被請求人による本件商標の使用態様等
本件商標は、「WILLIAM MORRIS」及び「ウィリアム モリス」を上下二段に書してなるが、乙5のラベルは、赤い正方形内に、白抜きで「Styling」、「Arts」及び「Crafts」の文字を上下三段に表し、該「Crafts」の文字の下に、小さく「WILLIAM MORRIS」の文字と、横線を挟んで「MORRIS&Co.」の文字をさらに上下二段に併記したものであり、構成全体をもって一つの商標と認識されるというべきであるから、当該ラベルの使用は、本件商標と社会通念上同一の商標とはいい難い。
また、仮に当該ラベルから「WILLIAM MORRIS」の文字部分のみが抽出して把握される場合があるとしても、ウィリアム・モリス関連の展覧会で販売されている、ウィリアム・モリスのデザインを使用した商品又はその包装に当該ラベルが付されていれば、これを見た需要者は、当該ラベルに表示された「WILLIAM MORRIS」は、当該商品のデザイナーの名前であると認識すると考えるのが相当であるから、当該ラベルにおいて「WILLIAM MORRIS」の文字は、商品の識別標識としては機能していない。
よって、仮に被請求人が提出した写真に写っているのが乙5のラベルと同一であるとしても、それをもって、本件商標と社会通念上同一の商標を請求商品に使用したということはできない。
(5)過去の審決
被請求人は、過去の商標不使用取消審判の審決の写し等(乙9ないし11)を提出し、「本件審判においても同様の判断がされるべきである。」と述べているが、本件商標とは商標の構成が異なり、本件とは事案を異にするので、参酌すべき理由は全くない。
(6)結語
以上のとおり、被請求人の提出した証拠方法によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が請求に係る商品に使用されたことを何ら立証していない。
3 令和元年7月3日付け審判事件弁駁書の要旨
(1)各美術館(パタミタミュージアム、愛媛県美術館、福井市美術館、奥田元宋・小由女美術館、豊橋市美術博物館)での本件商標が付された商品の販売時期が確認できないこと及び当該商品に使用された本件商標の写真の不鮮明
被請求人が提出した株式会社松山堂書店や各美術館担当者の確認書からは、展覧会開催期間中に添付写真に写った商品を販売したことを確認するのみで、販売商品に本件商標が表示されていたことについては確認していない。
また、株式会社松山堂書店及び各美術館は、通常使用権者であるブレーントラストの取引業者にすぎない。よって、該確認書をもって株式会社松山堂書店及び各美術館が本件商標を付した商品を販売したことが確認されるとしても、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標の使用をしていたことの証左とはならない。
さらに、該確認書は、一私人の陳述にとどまるものであって、これを直接的に裏付ける取引書類等の客観的な書証の提出がない限り、要証期間内に本件商標が請求に係る商品に使用されたことの有効な証左とはなり得ない。
確認書の添付写真からは、各美術館で販売された商品に本件商標が付されていた事実、及び該商品の販売時期を、依然として客観的に確認することはできない。
(2)各取引先からの代金払込書・商品受領書等の取引書類
当座預金取引照合表の写しないしは預金通帳の写しからは、各取引先から金銭の振り込みがあった事実はうかがえる。
しかしながら、ブレーントラストから各取引先への請求書には、品名も、本件商標も記載されていない。よって、各取引先からブレーントラストに振り込まれた金銭が、ブレーントラストから各取引先への本件商標を付した商品の販売に関する金銭であるとは確認できない。そして、これらはいずれも、被請求人側の所有に係る書類ないしは被請求人から発信した書類であり、客観性を欠くものである。
以上のとおり、被請求人の提出した新たな証拠方法をもってしても、各美術館の展覧会において、本件商標が請求に係る商品に使用されたことは依然として立証されていない。
4 令和元年10月28日付け審判事件弁駁書の要旨
被請求人は、乙8の7及び同8の8を提出したが、これらの証拠方法によっても、被請求人が、要証期間内に、豊橋市美術博物館「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」において、本件商標が請求に係る商品に使用されたことは依然として立証されていない。
合議体は、平成31年3月13日起案の審尋において、「乙8の4の写真が不鮮明であるため、商品に付された本件商標を明確に確認できません。」と述べていたが、今回の審尋では、乙8の4(の2枚目以降の)写真の写ったラベルが乙5と同一のものであると推認できるという見解を示したが、何ら根拠が示されておらず、請求人としては到底納得できない。
被請求人は、平成31年4月8日付審尋に対する回答書により、「不鮮明とされた写真のタグ部分を鮮明にした写真と鮮明にした乙8の4の写真を添付した同美術館の担当者の確認書」(乙8の5)を提出したが、依然として不鮮明であり、本件商標の表示が認められるとはいい得ない。乙8の5の7枚目の写真に写ったラベルは、具体的に書かれている文字はおろか、文字数すら判読できないほどに不鮮明であり、これをもって、乙5のラベルとの同一性を正確に判断することはできない。
したがって、本件商標が表示されたラベルを包装に付したTシャツ等の商品が販売された事実は依然として確認できない以上、その余の証拠方法である納品書、請求書、預金通帳等の取引書類をもってしても、要証期間内に、豊橋市美術博物館「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」において、本件商標が請求に係る商品に使用されたことは依然として立証されていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙1ないし11(枝番号を含む。)を提出した。
1 審判事件答弁書の要旨
(1)本件審判請求が成り立たない理由
本件商標と社会通念上同一と認められる「WILLIAM MORRIS」商標は、被請求人の通常使用権者ないし同人より使用許諾を受けた者によって請求に係る指定商品中「スカーフ,プルオーバー,スカート,Tシャツ,エプロン」に要証期間内に商標法第2条第3項第2号の使用がされていた。
(2)使用権者であることの証明
被請求人である本件商標の商標権者は、東京都港区白金四丁目在のブレーントラストに使用許諾をしていた(乙1)。
(3)商標法第2条第3項第2号の使用
ルック株式会社(以下「ルック」という。)は、同社のブランドの「KEITH(キース)」とのコラボ企画として「WILLIAM MORRIS」商標を付した「スカーフ,プルオーバー,スカート」を同社の店舗KEITHで2016年9月7日から販売した。
被請求人は当該事実を証するために、「キース 2016年下記コラボ企画ロイヤリティ 2016/8/18現在」、「ジャパナクラフト株式会社が発行したルック宛の2016年8月17日付仕入伝票の写し」、「通常使用権者がウィリアム・モリス商標デザイン使用料としてルック株式会社のグループ会社である株式会社ルックモード宛の平成28年8月26日付請求書の写し」、「WILLIAM MORRIS商標が使用されたスカーフ、プルオーバー、スカートがKEITHの店舗で陳列されていることを示す写真」を提出する(乙2の1ないし2の4)。
通常使用権者が、ルックのグループ会社である株式会社ルックモード(乙2の5)宛の請求書においてウィリアム・モリス商標デザイン使用料と記述していることから、通常使用権者がルックに再使用許諾をしていたことは明らかであるから、サブライセンシー(通常使用権者)が、2016年9月に、請求に係る商品に「WILLIAM MORRIS」商標を付して譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示していた。
(4)パタミタミュージアムにおいて2015年9月5日?同年10月25日に開催された「イギリス王立植物園の植物画(ボタニカルアート)イングリッシュ・ガーデン-英国に集う花々-」における通常使用権者による使用
本展覧会において、「WILLIAM MORRIS」商標を付した「Tシャツ」が販売された。このTシャツを通常使用権者がパタミタミュージアムに販売した(乙3の1ないし3の4)。
通常使用権者が平成27年にパタミタミュージアム宛に発行した請求書の写し」には、商品名として「Tシャツ」があり、また、同請求書には月日が入っていないが、「但し、『キュー王立植物園所蔵 イングリッシュ・ガーデン 英国に集う花々』展 委託販売商品代金として」との記述があり、「イギリス王立植物園の植物画(ボタニカルアート)に関するウェブサイトの打ち出し」において、その展覧会ではキュー王立植物園所蔵のものを展示する旨が述べられているので、この請求書がその展覧会が開催された平成27年9月5日?10月25日前後に発行されたことが容易に推測できる。
(5)愛媛県美術館において2017年1月7日?同年2月12日まで開催された「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」における通常使用権者による使用
本展覧会において、「WILLIAM MORRIS」商標を付した「エプロン」が販売された。このエプロンを通常使用権者が愛媛県美術館に販売した(乙4の1ないし4の4)。
通常使用権者が、2017年1月5日及び同年2月8日に愛媛県美術館ミュージアムショップ/株式会社松山堂書店宛に発行した納品書の写し」及び「通常使用権者が平成29年3月8日に株式会社松山堂書店宛に発行した請求書の写し」には、商品名として「エプロン」があり、この「エプロン」に「商品区分 Styling Arts Crafts-William Morris/Morris&Co.」の記述がある(乙4の2及び4の3)。
この「Styling Arts Crafts-William Morris/Morris&Co.」のラベル(乙5)には、「WILLIAM MORRIS」商標が表示されている。
上記納品書及び請求書の商品名並びにラベルから、「WILLIAM MORRIS」商標が付された「エプロン」が通常使用権者から愛媛県美術館に譲渡又は引き渡されたことは明らかである。
(6)福井市美術館において2017年2月25日?同年3月26日まで開催された「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」における通常使用権者による使用
本展覧会において、「WILLIAM MORRIS」商標を付した「エプロン」を通常使用権者が福井市美術館に販売した(乙6の1ないし6の4)。
通常使用権者が、2017年2月21日に福井市美術館宛に発行した納品書の写し」及び「通常使用権者が平成29年6月5日に福井市美術館宛に発行した請求書の写し」には、商品名として「エプロン」があり、この「エプロン」に「商品区分 Styling Arts Crafts-William Morris/Morris&Co.」の記述がある(乙6の2及び6の3)。
上記納品書及び請求書の商品名並びに乙5のラベルから、「WILLIAM MORRIS」商標が付された「エプロン」が通常使用権者から福井市美術館に譲渡又は引き渡されたことは明らかである。
(7)奥田元宋・小由女美術館において2017年11月14日?2018年1月8日まで開催された「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」における通常使用権者による使用
本展覧会において、「WILLIAM MORRIS」商標を付した「エプロン」、「Tシャツ」を通常使用権者が奥田元宋・小由女美術館に販売した(乙7の1ないし7の4)。
通常使用権者が2017年11月7日、同年11月17日及び同年12月18日に奥田元宋・小由女美術館宛に発行した納品書の写し」及び「通常使用権者が平成30年2月8日に奥田元宋・小由女美術館宛に発行した請求書の写し」には、商品名として「エプロン」、「Tシャツ」があり、この「エプロン」、「Tシャツ」に「商品区分 Styling Arts Crafts-William Morris/Morris&Co.」の記述がある(乙7の2及び7の3)。
このことから、「WILLIAM MORRIS」商標が付された「エプロン」、「Tシャツ」が通常使用権者から奥田元宋・小由女美術館に譲渡又は引き渡されたことは明らかである。
(8)豊橋市美術博物館において2018年2月17日?同年3月25日まで開催された「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」における通常使用権者による使用
本展覧会において、「WILLIAM MORRIS」商標を付した「エプロン」、「Tシャツ」を、通常使用権者が豊橋市美術博物館に販売した(乙8の1ないし8の4)。
通常使用権者が2018年2月13日、同年2月28日、同年3月6日及び同年3月13日に豊橋市美術博物館宛に発行した納品書の写し」及び「通常使用権者が平成30年4月6日に豊橋市美術博物館宛に発行した請求書の写し」には、商品名として「エプロン」、「Tシャツ」が入って、この「エプロン」、「Tシャツ」に「商品区分 Styling Arts Crafts-William Morris/Morris&Co.」の記述がある(乙8の2及び8の3)。
以上のことから、「エプロン」、「Tシャツ」が通常使用権者から豊橋美術館に譲渡又は引き渡されたことは明らかである。
(9)以上のとおり、「WILLIAM MORRIS」商標が付された商品がサブライセンシーによって譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示していたこと、並びに、通常使用権者から各美術館に譲渡ないしは引き渡しされていたこと(このことは各美術館で当該商品が販売されていること並びに納品書及び請求書の存在から経験則上明らかである。)から、商標法第2第3項第2号の使用がされていたといえる。
被請求人の所有に係る登録商標「Morris&Co.」に対して請求された商標法第50条第1項の規定による取消審判において、ブレーントラストを本件商標の通常使用権者として認め、同社による本件商標のラベルを付しての美術館への販売によって、商標法第2条第3第2号の使用がされていたと判断した(取消2004-31158号審決、取消2012-300760号審決、取消2012-300761号審決(乙9ないし11)。したがって、本件審判においても同様の判断がされるべきである。
(10)まとめ
以上から、本件商標が本件審判の請求に係る商品について要証期間内に通常使用権者によって使用されていたことが客観的に証明された。
2 平成31年4月8日付け回答書の要旨
被請求人は、要証期間内に各美術館の展覧会において、商品「Tシャツ、エプロン」に本件商標を付して販売されたとするところ、これら商品が、本件商標の通常使用権者から上記各美術館に対して譲渡、引き渡し又は販売したことが確認できない旨の合議体からの審尋に対し、被請求人は以下のとおり回答した。
(1)パタミタミュージアムでの展覧会開催時期を証するため、パンフレットの写しを提出した(乙3の4)。また、本件商標の写真が不鮮明であるとの指摘に対し、鮮明にした写真を添付した担当者の確認書を提出した(乙3の5、4の5、6の5、7の5、8の5)。
(2)株式会社松山堂書店、福井市美術館、奥田元栄・小由女美術館、豊橋市美術館それぞれからの送金を証する、ブレーントラストの預金通帳の写し及び請求書の写しを提出した(乙4の6、6の6、7の6、8の6)。
3 令和元年9月25日付け回答書の要旨
(1)豊橋市美術博物館への「Tシャツ」の販売に関して、納品書における納品数と販売物請求明細の納品数が相違しているのは、2018年2月13日付納品書を提出し忘れたためであり、豊橋市美術博物館宛に発行した「Tシャツ」の納品関係の納品書(乙8の7)を合計すると販売物請求明細での「Tシャツ」の納品数と同じになる。
(2)豊橋市美術博物館からの振り込みがされた預金通帳の表紙、表紙の裏、豊橋市美術博物館からの振り込みが記載された頁及び豊橋市美術博物館宛の請求書の写し(乙8の8)において、上記請求書と通帳の口座名義人等が一致していることから、豊橋市美術博物館からの振り込みがされた通帳の名義人が本件商標の通常使用権者であることは明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)被請求人は、平成25年4月1日付で、港区白金所在のブレーントラストとの間で、本件商標につき、使用許諾商品を全指定商品とし、使用許諾期間を商標の登録有効期間と同一とする通常使用権許諾契約を締結した(乙1)。
(2)2018年2月17日から3月25日までの間に豊橋市美術博物館において開催された「ウィリアムモリス 原風景でたどるデザインの軌跡」(乙8の1)のほか、2015年9月から2018年1月の間に4か所の美術館等において、英国のデザイナー「ウイリアム・モリス」に関する展覧会が開催され、そのいずれにも、ブレーントラストが企画協力として参画している(乙3の1、4の1、6の1、7の1のパンフレット)。
(3)豊橋市美術博物館において開催された上記(2)の「ウィリアム・モリス展」において、当該美術館内にTシャツ(以下「使用商品」という。)、トートバッグなどの商品が陳列された(乙8の4)。そして、当該展示会の開催期間中、当該美術館内ミュージアム・ショップにて展示された上記商品について、当該博物館の学芸専門員が販売したことを確認する旨陳述している(乙8の5)。
そして、上記展覧会の展示状況を写した写真(乙8の5)には、「Tシャツ 2,000円」の値札とともに、「Tシャツ(Tシャツの胸部には向かい合わせで2羽のウサギと思われる図及び当該2羽のウサギを囲むように植物が描かれたプリント柄が施されている。)」の包装袋には、背景を赤色にした正方形内に「Styling Arts Crafts」の白抜き文字が三段でやや大きく表され、その下に、「WILLIAM MORRIS」(以下この文字を「使用商標」という。)の文字及び当該文字に下線を引き、その下部に「MORRIS&Co.」の文字が付されているラベルとおぼしきものがあり、このラベルは、乙5のラベルと構成文字、色彩などその構成態様を同じくするものである。
(4)2018年(平成30年)2月13日、2月28日、3月6日及び3月13日付けの納品書によれば、ブレーントラストが、豊橋市美術博物館の担当者あてに、納品書の一覧表に記された商品(使用商品を含む。)を納品した旨記載されている(8の7の納品書)。
そして、2018年2月13日付けの納品書には、商品区分「Styling Arts Crafts-William Moris/Morris&Co.」、分類区分「Tシャツ」商品NO.「Z38」、品名「兄弟うさぎ(S,M,Lサイズ)、納品数「15」と記載されており、2月28日付け、3月6日付け及び3月13日付けの納品書には、商品区分、分類区分、商品NO.及び品名(兄弟うさぎ)を同じくする商品が、それぞれ、15枚、15枚、3枚、6枚納品された記載がある。以上から、「Tシャツ」の納品数は合計39枚であり、これは、ブレーントラストが豊橋市美術博物館あてに作成した、販売物請求書明細(乙8の3)のリストに記載されている「Tシャツ」の総納品数と一致する。
(5)ブレーントラストは,平成30年4月6日付け請求書により、「ウイリアムモリス展」での販売物の代金2,853,404円を、豊橋市美術博物館に請求した(乙8の3の請求書及び明細リスト)。
上記請求書の明細リストには、「分類区分」ごとの内訳が表にまとめられており、「商品区分」、「分類区分」、「商品NO.」、「品名」、「店頭販売価格」、「税種」、「総納品数」などの欄が設けられ、取り扱い商品ごとに、それぞれの欄に必要事項が記載され、商品区分を「Styling Arts Crafts William Morris/Morris&Co.」とし、総納品数を39、売上数29とするTシャツ(商品NO.Z38、品名「兄弟うさぎ」)の記載がある。
(6)ブレーントラストの普通預金通帳には、平成30年4月9日に「トヨハシビジュツハク」及び「2,853,404」の振込みの記載があるが(乙8の6、乙8の8)、この振込金額は、平成30年4月6日付け請求書により、ブレーントラストが豊橋市美術博物館の販売物の代金として請求した金額と一致する。
(7)以上を総合すれば、2018年(平成30年)2月17日から3月25日までの期間に豊橋市美術博物館において開催された「ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡」において、ブレーントラストが豊橋市美術館に納品した使用商標を付した使用商品が当該博物館において展示販売され、ブレーントラストは、その展覧会の会期終了後の平成30年4月6日に、使用商品を含む商品の販売代金を豊橋市美術博物館に請求し、その後、平成30年4月9日に、豊橋市美術博物館がその金額をブレーントラストの代表者の口座に振り込んだことが推認し得る。
そして、その振り込みにより、使用商標を表示した使用商品がブレーントラストから豊橋市美術館に販売(譲渡)されたことが確認できる。
2 判断
前記1(1)のとおり、ブレーントラストは、本件商標の通常使用権者である。
そして、本件商標は、「WILLIAM MORRIS」及び「ウィリアム モリス」と二段書きにしてなるところ、下段の片仮名は上段の欧文字の表音を示すものであり、使用商標は「WILLIAM MORRIS」の欧文字を横書きしてなるものであるが、本件商標の欧文字部分と使用商標とは、その構成文字を共通にし、片仮名の有無の相違はあるものの、称呼及び観念において相違はないことから、両者は社会通念上同一の商標といえる。
また、使用商品「Tシャツ」は、提出された証拠によれば、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品である。
さらに、使用商標を表示したTシャツが、ブレーントラストから豊橋市美術博物館に販売(譲渡)されたのは、要証期間内(平成30年2月13日、2月28日、3月6日及び3月13日)である。
したがって、通常使用権者であるブレーントラストは、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件商標の指定商品について使用したということができる。
そして、通常使用権者による上記行為は、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、・・・する行為」(商標法第2条第3項第2号)に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、乙8の5の写真に写ったラベルからは、文字数すら判別できないほどに不鮮明であり、乙5との同一性を正確に判断することはできないこと、また、「Tシャツ」の包装袋に付されたラベルには、「Styling Arts Crafts」、「WILLIAM MORIS」及び「MORRIS&Co.」の文字が付されていることから、これらは一体のものであり、仮に「WILLIAM MORIS」の文字が認識されるとしても、人名であることから、出所識別機能は有しない旨主張する。
しかしながら、上記乙8の5のラベル内の文字がやや不鮮明な部分があるとしても、当該ラベルは、乙5のラベルと構成文字、色彩などその構成態様を同じくするものであって、被請求人の主張及び提出した証拠を総合的に考慮すれば、「WILLIAM MORIS」の文字がラベルに記載されていることは認め得るものである。また、上記ラベルの「Styling Arts Crafts」、「WILLIAM MORIS」及び「MORRIS&Co.」の文字は、それぞれ、文字の大きさ及び文字種も異なるものであり、これらが外観上一体不可分のものとして表されているとはいえず、また、観念的に一連のものとして理解されるものでもないことから、それぞれの文字部分が独立して出所識別標識としての機能を発揮するというべきであるから、「WILLIAM MORIS」の文字も単独で出所識別機能を果たすものといえる。
そして、「WILLIAM MORIS」の文字が、仮に人名を意味するものであるとしても、そのことによって出所識別標識としての機能を有しないとはいえないことから、いずれも請求人の主張は採用できない。
4 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る指定商品に含まれる使用商品について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用した事実を証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2020-03-25 
結審通知日 2020-03-27 
審決日 2020-05-19 
出願番号 商願平1-75792 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y25)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 木村 一弘
豊田 純一
登録日 1996-11-29 
登録番号 商標登録第2717783号(T2717783) 
商標の称呼 ウイリアムモリス 
代理人 伊東 忠重 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 
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