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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W0621
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W0621
管理番号 1367150 
審判番号 不服2019-14662 
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-01 
確定日 2020-10-05 
事件の表示 商願2018-71378拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「SUS」の文字を標準文字で表してなり,第6類及び第21類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として,平成30年5月29日に登録出願されたものである。
その後,指定商品については,原審における平成31年2月28日付け手続補正書により,別掲1のとおりに補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は,「本願商標は,『SUS』の文字を標準文字で表してなるところ,これは,『ステンレス鋼』(『Stainless Used Steel』の略)を意味する語(『図解機械用語辞典 第4版』日刊工業新聞社発行)である。そうすると,本願商標をその指定商品中の第6類『金属製貯蔵槽類,金属製包装用容器,金属製道路標識(発光式又は機械式のものを除く。),金属製航路標識(発光式のものを除く。),金属製輸送用コンテナ,金網,金属製のネームプレート及び標札,金属製手持ち式旗ざお,金属製植物の茎支持具,金属製のきゃたつ及びはしご,金属製帽子掛けかぎ,金属製家庭用水槽,金属製工具箱,金属製のタオル用ディスペンサー,金属製屋外用ブラインド,金属製立て看板,金属製の墓標及び墓碑用銘板,金属製靴合わせくぎ,金属製靴くぎ,金属製靴びょう,金属製靴保護金具,金属製彫刻』等,及び第21類『真空二重断熱ステンレス製カップ・マグカップ・タンブラー,真空二重断熱ステンレス製ボトル,ステンレス製携帯用酒ボトル,携帯用魔法瓶,真空二重断熱保冷・保温容器,飲料を缶・瓶ごと収納する真空二重断熱構造のクーラー,ステンレス製携帯用酒ボトル,ステンレス製ボウル,保温・保冷機能付き弁当箱その他の弁当箱,パーティー用片手トレイ,食品取り分け用トレイ,調味料入れ用卓上トレイ,バターケース,コッフェル』等に使用しても,取引者,需要者に『ステンレス鋼製の商品』であることを認識させるにとどまるものであり,自他商品識別標識としての機能を有さないものであって,商品の品質(原材料)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといわざるを得ない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,上記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における審尋
当審において,令和2年3月12日付けで通知した審尋により,別掲2及び別掲3に示すとおりの「SUS」の文字の辞書類における掲載状況及び本願の指定商品に関する業界における「SUS」の文字の使用状況の事実を新たに示した上で,本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の見解を示し,請求人に意見を求めた。

第4 審尋に対する請求人の意見(要旨)
1 本願商標の「SUS」という英語は,「ステンレス鋼」(「Stainless Used Steel」の略)又は「ステンレス鋼」を表すJIS規格記号の意味を有する語であることは請求人も認めるところであるが,「ステンレス」の英語表記は「Stain Less Steal」であり,それぞれの頭文字を取ると「SLS」となることからして,「SUS」の文字が「ステンレス鋼」を意味するものと一般人が知るはずがなく,「SUS」の文字の意味を知る業者は,「ステンレス鋼」などを扱う特別な取引者(業者)のみであって,一般人(取引者,一般需要者)の誰もが直ちにその意味を知り得るものではないから,本願商標が識別力を有しないと断定することは妥当ではない。
2 「SUS」の文字からなる商標や当該文字を含む商標及びその他の商標の登録事例からすれば,本願商標も登録されるべきである。

第5 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
(1)商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号が,「その商品の産地,販売地,品質,原材料,効能,用途,形状(包装の形状を含む。),生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴,数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは,このような商標は,指定商品との関係で,その商品の産地,販売地,品質,形状その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠くものであることによるものと解される。そうすると,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには,審決の時点において,本願商標が,その指定商品との関係で,その商品の産地,販売地,品質,形状その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,本願商標の指定商品の取引者及び需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に,将来を含め,商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号,平成27年10月21日判決参照)。
(2)本願商標について
本願商標は,「SUS」の文字を標準文字で表してなるところ,当該「SUS」の文字は,「広辞苑」を含む辞書,書籍及びインターネット上の用語集における掲載状況(別掲2)を総合すれば,「ステンレス鋼」又は「ステンレス鋼を表すJIS規格記号」の意味合いを理解させるものである。
(3)本願の指定商品に関する業界における「SUS」の文字の使用状況について
別掲3のとおり,全国紙を含む新聞記事情報及びインターネット記事情報によれば,本願の指定商品に関する業界(金属製品,金属素材及び金属加工に関する業界)においては,例えば,商品「タンク」について「ステンレス鋼材(SUS)製」,「ステンレス素材を利用したタンク構造」について「『SUS444』というステンレス鋼」,「金属加工メーカー」の手掛ける金属加工素材について「ステンレス鋼(SUS)」,商品「ステンレス製カップ」について「SUSCUP」,商品「ステンレス製タンブラー」について「SUSタンブラー」,商品「ステンレス製看板」について「SUS ステンレス切り文字看板」,商品「ネームプレート」について「SUS製ネームプレート」,商品「ステンレス製タンク」について「大型SUSタンク」,商品「ステンレス製コンテナ」について「『SUS標準コンテナー』,『SUS粉体用コンテナー』,『SUS特殊コンテナー』」,商品「ステンレス製棚柱」について「SUS棚柱/■ステンレス(SUS430・SUS304)」,商品「鍋,フライパン」について「SUS単層鍋」及び「板金」でよく使われ,「代表的なステンレス鋼として最も広く使用」されるステンレスの「JIS記号」として「SUS304」,「オーステナイト系ステンレスの代表的な鋼種」について「SUS304」,「最もよく使われるステンレス」であって「多くの工業分野で目にする材料の一つ」について「SUS304」のように,「SUS」の文字が,商品の原材料を表す「ステンレス鋼」又は「ステンレス鋼を表すJIS規格記号」の意味合いで使用されている。
(4)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
上記(3)及び(4)のとおり,本願商標は,その構成文字である「SUS」の文字の辞書類における掲載状況及び本願の指定商品に関する業界(金属製品,金属素材及び金属加工に関する業界)における使用状況を勘案すれば,本願の指定商品に関する業界の取引者及び需要者によって,「ステンレス鋼」又は「ステンレス鋼を表すJIS規格記号」程の意味合いを表す語として認識されるものであると認められる。
そうすると,本願商標は,その指定商品中の第6類「焼酎専用金属製収納容器,焼酎専用金属製収納タンク,焼酎専用金属製貯蔵容器,焼酎専用金属製貯蔵タンク,金属製貯蔵槽類,金属製包装用容器,キー,コッタ,金属製道路標識(発光式又は機械式のものを除く。),金属製航路標識(発光式のものを除く。),金属製輸送用コンテナ,金網,金属製のネームプレート及び標札,金属製植物の茎支持具,金属製のきゃたつ及びはしご,金属製帽子掛けかぎ,金属製家庭用水槽,金属製工具箱,金属製のタオル用ディスペンサー,金属製屋外用ブラインド,金属製立て看板,金属製彫刻」及び第21類「真空二重断熱ステンレス製カップ・マグカップ・タンブラー,その他の食器類,保温・保冷機能付き弁当箱その他の弁当箱,パーティー用片手トレイ,真空二重断熱ステンレス製ボトル,その他の水筒,携帯用魔法瓶,その他の魔法瓶,真空二重断熱保冷・保温容器,飲料を缶・瓶ごと収納する真空二重断熱構造のクーラー,ステンレス製携帯用酒ボトル,アイスボックス,氷冷蔵庫,米びつ,家庭用ビールサーバー,酒かん器,鍋類,コーヒー沸かし(電気式のものを除く。),やかん,ろうそく消し,ろうそく立て,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,花瓶,水盤,家庭用燃え殻ふるい,五徳,石炭入れ,火消しつぼ,寝室用簡易便器,貯金箱,化学物質を充てんした保温保冷具,紙タオル取り出し用金属製箱,せっけん用ディスペンサー」に使用されたときは,その商品が「ステンレス鋼」を原材料とするものであるという商品の品質(原材料)を表示するものとして,上記商品の取引者,需要者によって一般に認識されるものであって,取引に際し必要適切な表示であるものと認められるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適切でないとともに,自他商品の識別力を欠くものであるというべきである。
そして,上記(2)のとおり,本願商標は,「SUS」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章であることは明らかである。
したがって,本願商標は,本願の指定商品中,上記商品との関係においては,その商品の品質(原材料)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として,商標法第3条第1項第3号に該当する。
また,本願商標は,その指定商品中,上記商品以外の商品,すなわち,第6類「真空二重断熱チタン製酒収納容器,チタン製酒収納容器,冷却装置付き真空二重断熱チタン製酒収納容器,冷却装置付きチタン製酒収納容器,真空二重断熱チタン製酒収納タンク,チタン製酒収納タンク,冷却装置付き真空二重断熱チタン製酒収納タンク,冷却装置付きチタン製酒収納タンク,真空二重断熱チタン製酒貯蔵容器,チタン製酒貯蔵容器,冷却装置付き真空二重断熱チタン製酒貯蔵容器,冷却装置付きチタン製酒貯蔵容器,真空二重断熱チタン製酒貯蔵タンク,チタン製酒貯蔵タンク,冷却装置付き真空二重断熱チタン製酒貯蔵タンク,冷却装置付きチタン製酒貯蔵タンク,真空二重断熱チタン製酒造用容器,チタン製酒造用容器,冷却装置付き真空二重断熱チタン製酒造用容器,冷却装置付きチタン製酒造用容器,真空二重断熱チタン製酒造用タンク,チタン製酒造用タンク,冷却装置付き真空二重断熱チタン製酒造用タンク,冷却装置付きチタン製酒造用タンク,」及び第21類「真空二重断熱チタン製カップ・マグカップ・タンブラー,チタン製カップ・マグカップ・タンブラー,チタン製携帯用酒ボトル,食品保存用ガラス瓶,真空二重断熱チタン製酒用サーバー,チタン製酒用サーバー,鉄瓶」について使用されたときは,これがあたかも「ステンレス鋼」を原材料とする商品であるかのごとく,商品の品質(原材料)の誤認を生ずるおそれがあるといえるものであるから,商標法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は,本願商標の「SUS」という英語は,「ステンレス鋼」(「Stainless Used Steel」の略)又は「ステンレス鋼」を表すJIS規格記号の意味を有する語であることは請求人も認めるところであるが,「ステンレス」の英語表記は「Stain Less Steal」であり,それぞれの頭文字を取ると「SLS」となることからして,「SUS」の文字が「ステンレス鋼」を意味するものと一般人が知るはずがなく,「SUS」の文字の意味を知る業者は,「ステンレス鋼」などを扱う特別な取引者(業者)のみであって,一般人(取引者,一般需要者)の誰もが直ちにその意味を知り得るものではないから,本願商標が識別力を有しないと断定することは妥当ではない旨主張する。
しかしながら,本願商標は,別掲2のとおり,「広辞苑」を含む辞書,書籍及びインターネット上の用語集において,「ステンレス鋼」又は「ステンレス鋼を表すJIS規格記号」を表す語として掲載されており,また,別掲3のとおり,本願の指定商品に関する業界(金属製品,金属素材及び金属加工に関する業界)においても,商品の原材料が「ステンレス鋼」であること,又は「ステンレス鋼を表すJIS規格記号」を表示するために,「SUS」の文字が数多く使用されているということができる。
そうすると,本願商標は,その指定商品中の上記1(4)に記載した商品に使用されたときは,その商品が「ステンレス鋼」を原材料とするものであるという商品の品質(原材料)を表示するものであることを,上記商品の取引者,需要者に明らかに認識させるものということができるから,本願商標は,上記商品の取引者,需要者によって,その商品の品質(原材料)を普通に用いられる方法で表示するものであろうと一般に認識され得るというべきであって,「ステンレス」の英語表記である「Stain Less Steal」の頭文字が「SLS」であるということや,そのことから「SUS」の文字の意味を一般人の誰もが直ちに知り得るものではないといった請求人の上記主張は,本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しないことの理由にはならない。
(2)請求人は,「SUS」の文字からなる商標や当該文字を含む商標及びその他の商標の登録例からすれば,本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるかどうかの判断は,当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて,個別具体的に検討,判断されるべきものであって,請求人主張に係る各商標の登録例が存在するからといって,上記1で説示したとおり,本願商標が同法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当することを否定することはできず,また,本願商標についての同法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の判断が,これらの各商標の登録例によって左右されるものでもない。
(3)したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。


別掲
別掲1 本願の指定商品(補正後)
第6類「真空二重断熱チタン製酒収納容器,チタン製酒収納容器,冷却装置付き真空二重断熱チタン製酒収納容器,冷却装置付きチタン製酒収納容器,焼酎専用金属製収納容器,真空二重断熱チタン製酒収納タンク,チタン製酒収納タンク,冷却装置付き真空二重断熱チタン製酒収納タンク,冷却装置付きチタン製酒収納タンク,焼酎専用金属製収納タンク,真空二重断熱チタン製酒貯蔵容器,チタン製酒貯蔵容器,冷却装置付き真空二重断熱チタン製酒貯蔵容器,冷却装置付きチタン製酒貯蔵容器,焼酎専用金属製貯蔵容器,真空二重断熱チタン製酒貯蔵タンク,チタン製酒貯蔵タンク,冷却装置付き真空二重断熱チタン製酒貯蔵タンク,冷却装置付きチタン製酒貯蔵タンク,焼酎専用金属製貯蔵タンク,真空二重断熱チタン製酒造用容器,チタン製酒造用容器,冷却装置付き真空二重断熱チタン製酒造用容器,冷却装置付きチタン製酒造用容器,真空二重断熱チタン製酒造用タンク,チタン製酒造用タンク,冷却装置付き真空二重断熱チタン製酒造用タンク,冷却装置付きチタン製酒造用タンク,金属製貯蔵槽類,金属製包装用容器,キー,コッタ,金属製道路標識(発光式又は機械式のものを除く。),金属製航路標識(発光式のものを除く。),金属製輸送用コンテナ,金網,金属製のネームプレート及び標札,金属製植物の茎支持具,金属製のきゃたつ及びはしご,金属製帽子掛けかぎ,金属製家庭用水槽,金属製工具箱,金属製のタオル用ディスペンサー,金属製屋外用ブラインド,金属製立て看板,金属製彫刻」
第21類「真空二重断熱チタン製カップ・マグカップ・タンブラー,チタン製カップ・マグカップ・タンブラー,真空二重断熱ステンレス製カップ・マグカップ・タンブラー,その他の食器類,保温・保冷機能付き弁当箱その他の弁当箱,パーティー用片手トレイ,真空二重断熱ステンレス製ボトル,その他の水筒,携帯用魔法瓶,その他の魔法瓶,真空二重断熱保冷・保温容器,飲料を缶・瓶ごと収納する真空二重断熱構造のクーラー,チタン製携帯用酒ボトル,ステンレス製携帯用酒ボトル,アイスボックス,氷冷蔵庫,米びつ,食品保存用ガラス瓶,真空二重断熱チタン製酒用サーバー,チタン製酒用サーバー,家庭用ビールサーバー,酒かん器,鍋類,コーヒー沸かし(電気式のものを除く。),鉄瓶,やかん,ろうそく消し,ろうそく立て,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,花瓶,水盤,家庭用燃え殻ふるい,五徳,石炭入れ,火消しつぼ,寝室用簡易便器,貯金箱,化学物質を充てんした保温保冷具,紙タオル取り出し用金属製箱,せっけん用ディスペンサー」

別掲2 「SUS」の文字の辞書類における掲載状況について
(1)「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店)において,「SUS」の語義として,「[special use stainless steel]特殊用途用ステンレス鋼板」の記載がある。
(2)「工業材料大辞典」(株式会社工業調査会)において,「SUS」の語義として,「ステンレス鋼のJIS規格記号であるが,それを読み下したサスはステンレス鋼の呼称として一般に用いられる。=ステンレス鋼」の記載がある。
(3)「JISハンドブック1 鉄鋼I 2019」(一般財団法人日本規格協会)の目次において,「特殊用途鋼」の「ステンレス鋼・耐熱鋼・超合金」の項に「JIS G 4303:2012 ステンレス鋼棒・・・SUS×××-B」,「JIS G 4304:2012 熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯・・・SUS×××-HP,SUS×××-HS」,「JIS G 4305:2012 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯・・・SUS×××-CP,SUS×××-CS」,「JIS G 4308:2013 ステンレス鋼線材・・・SUS×××-WR」,「JIS G 4309:2013 ステンレス鋼線・・・SUS×××-W,・・・」の記載がある。
(4)「図解入門 よくわかる ステンレスの基本と仕組み」(株式会社秀和システム)の123頁において,ステンレスの種類を表す記号として,「SUSはステンレス鋼材(板,帯,棒,線,管)でSteel Use Stainless の頭文字をとっています。」の記載がある。
(5)「和英建築実務用語集」(有限会社井上書院)の64頁において,慣用的に略字・記号等で表される頻度の高い設計図面用語として,「ステンレス[SUS]stainless」の記載がある。
(6)「コトバンク」のウェブサイトにおいて,「ステンレス」の文字の「リフォーム用語集の解説」(出典 リフォーム ホームプロ)として,「錆にくくするために,クロムやニッケルを含ませた合金鋼の事。日本工業規格(JIS)においてSUSと略されるため,建築業界ではSUSという。耐食性が高い事も特徴である。」の記載がある。
(https://kotobank.jp/word/ステンレス-542495)

別掲3 本願の指定商品に関する業界における「SUS」の文字の使用状況について
(1)新聞記事情報
ア 「化学工業日報」(2019年7月29日付け)において,「危険物保管 全国で高稼働率維持・タンクターミナル(企画記事)」の見出しの下,「タンク素材をステンレスに切り替える(SUS化)動きはいぜん活発で,なかには7割近くをSUSタンクに切り替えたタンクヤードもあり,業界全体でSUS比率が上がっている。・・・最近ではタンクの更新時にメンテナンス性に優れるステンレス鋼材(SUS)製へ切り替えるケースが少なくない。」の記載がある。
イ 「化学工業日報」(2019年4月3日付け)において,「大阪油化,連続蒸留テストサービス開始,枚方工場に設備新設」の見出しの下,「・・・工場内に多品目対応の連続式蒸留設備を新設する。同設備はSUS(ステンレス鋼材)316Lでできており・・・」の記載がある。
ウ「化学工業日報」(2018年11月2日付け)において,「ノリタケカンパニー,マイクロナノバブル発生器,金属加工分野に提案」の見出しの下,「国内でステンレス鋼(SUS),超硬合金,クロムモリブデン鋼(SCM),酸化アルミニウムといった難研削加工を手掛けている金属加工メーカーを軸に採用実績を積み重ねる。」の記載がある。
エ「産経新聞 東京朝刊」(2004年7月4日付け)において,「東芝に発明対価5千万請求」の見出しの下,「訴状によると,男性は・・・水道水を利用しても腐食しない『SUS444』というステンレス鋼を開発。東芝はこの素材を利用したタンク構造についての特許を出願し・・・」の記載がある。
(2)インターネット記事情報
ア 「ASAHI」のウェブサイトにおいて,「HOME > ステンレスカップ > SUSCUP/【日本製】サス2重ロックカップ 250ml【2重構造】【保冷】」の見出しの下,商品「ステンレス製カップ」の画像とともに,「最高級のステンレス『SUS304』を内面まで磨きこむことにより,ビール本来の旨みを引き出します。」の記載がある。
(http://www.asahi-spoon.jp/SHOP/SCW-16.html)
イ 「OZAWA」のウェブサイトにおいて,「SUSタンブラー270」の見出しの下,商品「ステンレス製タンブラー」の画像とともに,「仕様」として「材質/18-8ステンレス」の記載がある。
(https://ozawa-brand.com/distinations/sus%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC270/)
ウ 「株式会社ブリッジワン」のウェブサイトにおいて,「SUS ステンレス切り文字看板」の見出しの下,商品「ステンレス製看板」の画像とともに,「強度に優れたステンレス製文字看板・・・材質:ステンレス」の記載がある。
(https://www.bridge-1.jp/products/officeplate/officeplate-sus/)
エ 「NCネットワーク」のウェブサイトにおいて,「エミダス工場検索」の「株式会社 高須賀製作所」の頁には,「SUS製ネームプレート」の見出しの下,商品「ステンレス製ネームプレート」の画像とともに,「仕様/素材:ステンレス」の記載がある。
(https://www.nc-net.or.jp/company/85926/product/detail/33370/)
オ 「NCネットワーク」のウェブサイトにおいて,「エミダス工場検索」の「株式会社 赤松工業」の頁には,「ステンレス製品-大型SUSタンク-」の見出しの下,商品「ステンレス製タンク」の画像とともに,「仕様/素材:ステンレス」の記載がある。
(https://www.nc-net.or.jp/company/47063/product/detail/34703/)
カ 「ダイライト株式会社」のウェブサイトにおいて,「オールステンレス製コンテナー」の見出しの下,「ステンレス製(SUS304製及びSUS316製)タンクのため耐蝕性が高く長期の使用に耐えます。」の記載があり,「SUS標準コンテナー」,「SUS粉体用コンテナー」,「SUS特殊コンテナー」の各項には,商品「ステンレス製コンテナ」の画像がある。
(http://www.dailite.co.jp/01_products/kon-SUS/index.html)
キ 「SPG」のウェブサイトにおいて,「ステンレス製/SUS棚柱」の見出しの下,商品「ステンレス製棚柱」の画像とともに,「ステンレス製/SUS棚柱/■ステンレス(SUS430・SUS304)」の記載がある。
(http://www.sanuki-spg.com/products/cat02/b_ta0004/)
ク 「NIPPON STEEL」のウェブサイトにおいて,「ステンレス[Stainless steel]」の見出しの下,「Fe/SUS」の項の「特長」の下の表には,「名称」として「SUS単層鍋」の記載があり,「用途例」の下には,商品「鍋,フライパン」の画像がある。
(https://www.nipponsteel.com/product/stainless/list/28.html)
ケ 「精密板金をくわしく解説/BANKIN GUIDE/Powerd by 海内工業株式会社」のウェブサイトにおいて,「ステンレス(SUS・・・Steel Use Stainless,サス)」の見出しの下,「板金で良く使われるのは下記の3点です。同じステンレスと言っても,SUS304とSUS430では,価格で大きな差が生まれます。」の記載があり,その下の「ステンレスの種類」と題する表の「JIS記号」の欄に「SUS304」の記載,「特徴・用途」の欄に「代表的なステンレス鋼として最も広く使用」の記載がある。
(guide.amauchi-industry.com/材料について/素材の用途・特色/ステンレス/)
コ 「METAL ARCHITECT/KIKUKAWA」(金属製建築材料・金属加工等に関する事業者)のウェブサイトにおいて,「KIKUKAWAの金属仕上ラインアップ-ステンレス」の見出しの下,「Stainless Steel-ステンレス(SUS)」の項に,「一般的に国内の建材として,最も多く使用されているのは,オーステナイト系ステンレスの代表的な鋼種であるSUS304です。」の記載がある。
(https://www.kikukawa.com/metal-sample-catalog/stainless/)
サ 「金属加工・切削加工のメタルスピード/METAL SPEED」(金属加工を行う事業者)のウェブサイトにおいて,「金属加工・切削加工/素材と工法の特色」の見出しの下,項名として,「SUS・ステンレスの加工【ステンレスの切削加工】」,「ステンレス(SUS)の種類とそれぞれの用途」,「ステンレス(SUS)表面処理一覧」等の記載がある。
(http://www.metal-speed.com/processing/1282/)
シ 「ステンレス鋼(SUS)専門情報サイト susjis.info」のウェブサイトにおいて,「SUS304とは|ステンレス鋼SUS304の成分,用途,規格,強度,板厚,硬度の一覧」の見出しの下,「SUS304はクロムとニッケルを成分に含むオーステナイト系ステンレスの代表格です。最もよく使われるステンレスです。・・・こうしたことから加工対象になることも多い素材で,多くの工業分野で目にする材料の一つです。」の記載がある。
(https://www.susjis.info/austenitic/sus304.html)


審理終結日 2020-07-29 
結審通知日 2020-07-30 
審決日 2020-08-19 
出願番号 商願2018-71378(T2018-71378) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W0621)
T 1 8・ 272- Z (W0621)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 小俣 克巳
渡邉 あおい
商標の称呼 サス、エスユウエス 
代理人 吉井 剛 
代理人 吉井 雅栄 

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