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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W1625
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W1625
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W1625
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W1625
管理番号 1366321 
異議申立番号 異議2019-900293 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-10-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-10 
確定日 2020-08-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第6162970号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6162970号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第6162970号商標(以下「本件商標」という。)は、「肩にちっちゃいジープのせてんのかい」の文字を表してなり、平成30年6月27日に登録出願、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙類,文房具類,印刷物」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、令和元年6月13日に登録査定、同年7月19日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第2434659号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:JEEP
登録出願日:昭和49年6月7日
設定登録日:平成4年7月31日
指定商品:第12類「全輪駆動小型自動車」
2 登録第2511982号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:ジープ
登録出願日:昭和59年5月29日
設定登録日:平成5年3月31日
指定商品:「自動車並びにその部品及び附属品」を含む第6類、第9類、第12類、第13類及び第20類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
3 登録第2278847号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:JEEP
登録出願日:昭和62年10月27日
設定登録日:平成2年10月31日
指定商品:「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」を含む第9類、第21類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
4 登録第2281689号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:JEEP
登録出願日:昭和62年11月12日
設定登録日:平成2年11月30日
指定商品:「腕止め」を含む第6類、第8類、第14類、第18類、第21類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
5 登録第2362275号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:JEEP
登録出願日:昭和62年11月24日
設定登録日:平成3年12月25日
指定商品:「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類」を含む第18類、第21類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
6 登録第2362279号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:JEEP
登録出願日:昭和63年2月27日
設定登録日:平成3年12月25日
指定商品:「のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。)」を含む第1類、第4類、第9類及び第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
7 登録第2362284号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:JEEP
登録出願日:昭和63年2月27日
設定登録日:平成3年12月25日
指定商品:「金属製飛び込み台,金属製あぶみ,拍車,水中ナイフ,水中ナイフ保持具,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴,運動用具」を含む第6類、第8類、第9類、第20類、第21類、第22類、第24類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
8 登録第2617469号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:ジープ
登録出願日:平成3年6月27日
設定登録日:平成6年1月31日
指定商品:「ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,運動用具」を含む第9類、第20類、第21類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
9 登録第2629036号商標(以下「引用商標9」という。)
商標の構成:ジープ
登録出願日:平成3年6月27日
設定登録日:平成6年2月28日
指定商品:「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」を含む第9類、第20類、第21類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
以下、引用商標1及び2並びに「Jeep」の文字からなる商標を合わせて「申立人商標」といい、引用商標3ないし9を合わせて「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第59号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
1 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人商標の周知、著名性について
例えば、世界大百科事典(甲12)、日本大百科全書(甲13)、ウィキペディアのジープの欄(甲14)及びJEEP STYLE BOOK(2016年夏版)(甲15)には、「Jeep/ジープ」は第2次世界大戦中にアメリカ陸軍が採用した四輪駆動小型自動車に付けられた愛称であって、戦後は各国において軍関係でなく、民間でもレジャー用を含めあらゆる分野で広く使用されていることや「ジープ」の名称の由来などが紹介されている。
「JEEP」は、特許情報プラットフォーム「日本国周知・著名商標」に申立人「エフシーエー ユーエス エルエルシ一」の登録商標として掲載されている(甲16)。
広辞苑・第5版によれば、「四輪駆動の小型自動車。アメリカで軍用に開発、商標名。」と紹介されている(甲18)。
「Jeep/ジープ」は、申立人の四輪駆動車として、今まで多くの雑誌、新聞、カタログ、動画に紹介されている(甲19ないし甲39)。
申立人の日本における正規販売ネットワークは、2018年末の段階で全78拠点に及ぶ(甲40)。
日本における「Jeep/ジープ」の近年の宣伝広告費用は、2012年が6億3千万円、2013年が6億9千万円、2014年が12億9千万円、2015年が9億7千万円、2016年が11億6千万円、2017年が14億2千万円である(甲43)。
日本国における販売台数は、2011年は3,184台、2012年が5,055台、2013年は5,097台、2014年が6,843台、2015年は7,130台、2016年は9,382台、2017年は9,884台である(甲44)。
「Jeep/ジープ」の新規登録台数は、この8年間、常に全体の上位を保っており、特に近年、他の著名ブランドの自動車と共にベストテンに入っている。
2019年上半期の日本における「JEEP」の売上げは、約7,560万円にも上る。
以上の事実からも、商標「JEEP」、「Jeep」及び「ジープ」は、本件商標の登録出願時前及び登録査定時において、既に米国その他の国はもとより、日本国内においても特別な四輪駆動車(全輪駆動小型車)についての商標として、一般に広く知られ、現在に至るまで周知、著名なものとなっている。
(2)出所の混同について
本件商標は、申立人に係る周知商標「ジープ」を含んでおり、その商標が17文字から構成されるため全体として冗長であるがゆえに分離観察されること、そしてその一部に極めて周知、著名性の高い「ジープ」という部分が含まれることから、該部分を要部とし、分離して観察及び称呼される。
したがって、本件商標と引用商標1は「ジープ」の部分で共通しており、すなわち、要部が同一であり、称呼及び観念を同一とし、全体として類似する商標である。そして、本件商標と引用商標2は、「ジープ」という片仮名のつづりを同じくし、称呼及び観念のみならず、外観も同一とし、全体として類似する商標である。
申立人においては、日本全国に店舗を展開する株式会社ユニクロ(以下「ユニクロ」という。)が「Jeep」とコラボレーションをしたTシャツを販売する等、様々な層をターゲットにして、被服の分野において商標の使用をしている(甲57)。
また、日本国内においては、インターネット上で「Jeepオフィシャルストア」を開設し、様々な「Jeep」のグッズを販売している(甲58)。
本件商標には全輪駆動小型車のーつとして著名な申立人の商標である「JEEP」(引用商標1)の称呼である「ジープ」、「JEEP」の日本語表記である片仮名「ジープ」(引用商標2)の部分を含んでおり、その全17文字と冗長なる構成からして商標が分離して看取される可能性は極めて高く、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する需要者及び取引者は、その商品が申立人又は同人と何らかの関係を有する者若しくは申立人の承諾を受けた者の業務に係る商品であるかのように感受すると考えられる。
したがって、本件商標の指定商品への使用は、その商品の出所について混同を生ずるおそれが高く、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、米国で周知、著名な申立人の商標と類似の商標であり、出所の混同を生ぜしめ、又は申立人の周知、著名な商標についての出所表示機能を希釈化させる可能性があるものである。
さらに、申立人の商標は永年に渡って世界で使用され、そして、これは造語である。
このような状況から、本件商標は不正の目的をもって出願されたことが推認されるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標3ないし7とは、全体として観察したときに構成において異なるところはあるものの、時と場所を異にする取引場面においては、称呼及び観念の共通性から商品の出所を混同するおそれがあり、また外観によって、その称呼及び観念の共通性を覆すほどの特徴はないものである。
また、本件商標と引用商標8及び9とは、時と場所を異にする取引場面においては、称呼、観念及び外観の共通性から商品の出所を混同するおそれがある。
したがって、本件商標と引用商標とは全体として、相紛れるおそれがあり、類似するものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 商標法第4条第1項第7号について
周知又は著名性の有る「JEEP」や「ジープ」の標章が商標の中の他と区別できる一部の存在として、商標的使用態様で使用される場合、仮に、出所の混同が生じないような使用状況であったとしても、使用者は当該商標(「JEEP」や「ジープ」)の名声に便乗することになるものと考えられる。
この「JEEP」や「ジープ」の商標が有する名声によって、取引者、需要者に対する注意喚起がなされ、さらには顧客吸引力が発揮される。これは、引用商標の所有者である申立人の長年に渡る使用努力の結果、当該商標に化体した価値をその意に沿わない形で無断利用するものに他ならない。このような周知、著名な商標を一部に含めて使用する行為は、いわゆる引用商標の顧客吸引力にただ乗りする商標使用行為であり、この行為を合法的に行うための本件商標の登録は、公の秩序、善良な風俗に反するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審における取消理由
当審において、商標権者に対して、「本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し、その登録は、同項の規定に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号に該当する。」旨の取消理由を令和2年4月28日付けで通知した。

第5 商標権者の意見
前記第4の取消理由の通知に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。

第6 当審の判断
1 申立人商標の周知著名性について
(1)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 「ジープ」及び「Jeep」の語は、平凡社発行「世界大百科事典12」、小学館発行「日本大百科全書11」、「ウィキペディア」及び岩波書店発行「広辞苑第5版」に掲載されており、これらにおいて、第2次世界大戦中にアメリカ陸軍が採用した四輪駆動小型自動車に付けられた愛称又は商標名であり、戦後は各国において軍関係だけでなく、民間でもレジャー用を含めあらゆる分野で広く使用されており、この種の四輪駆動車の代名詞となっている旨説明されている(甲12ないし甲14及び甲18)。
イ 特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」における「日本国周知・著名商標検索」において、申立人が所有する引用商標1が掲載されている(甲16)。
ウ 平成27年7月9日から平成28年6月29日までに発行された各種の雑誌において、申立人商標に係る自動車(以下「申立人商品」という。)が申立人商標とともに紹介されている(甲15及び甲19ないし甲24)。
エ 平成27年3月7日から平成28年5月13日までに発行された各種の新聞において、申立人商品が申立人商標とともに広告されている(甲30ないし甲38)。
オ 2011年度(平成23年度)から2018年度(平成30年度)における車名別輸入車新規登録台数において、申立人商品の台数、シェア及び他社商品との比較は、2011年度(平成23年度)は3,721台、1.26%、60車中12位、2012年度(平成24年度)は4,956台、1.54%、60車中12位、2013年度(平成25年度)は5,596台、1.55%、59車中12位、2014年度(平成26年度)は6,802台、2.10%、59車中9位、2015年度(平成27年度)は7,279台、2.23%、57車中9位、2016年度(平成28年度)は9,745台、2.81%、56車中9位、2017年度(平成29年度)は10,446台、2.97%、56車中9位、2018年(平成30年度)は11,098台、3.05%、57車中10位である(甲47)。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、申立人商標は、申立人が所有する商標として特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」における「日本国周知・著名商標検索」において掲載されるとともに、各種の辞典において四輪駆動小型自動車に付けられた愛称又は商標名として紹介されており、また、各種の雑誌及び新聞において申立人商品が申立人商標とともに紹介又は広告されており、さらに、平成23年度から平成30年度における車名別輸入車新規登録台数において、申立人商品の台数及びシェアは、常に全体の上位を保っていることが認められる。
そうすると、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「自動車」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているというのが相当である。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「肩にちっちゃいジープのせてんのかい」の文字からなるものであり、全体として冗長であって、その構成中、中間部分の平仮名の間に「ジープ」の片仮名を配してなるものである。
そして、「ジープ」の文字は、前記1(2)のとおり、申立人の業務に係る「自動車」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものである。
そうすると、本件商標は、その構成中の「ジープ」の文字部分が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。
してみると、本件商標は、その構成中「ジープ」の文字部分を抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
そして、本件商標は、その構成中「ジープ」の文字部分から「ジープ」の称呼を生じるものであり、また、前記1(2)のとおり、「ジープ」の文字は申立人の業務に係る「自動車」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているから、「申立人の自動車のブランド」としての観念を生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標3ないし7は、前記第2の3ないし7のとおり、「JEEP」の欧文字を表してなるものであり、また、引用商標8及び9は、前記第2の8及び9のとおり、「ジープ」の片仮名を表してなるものであるから、それぞれの構成文字に相応して、「ジープ」の称呼を生じるものである。
また、前記1(2)のとおり、「JEEP」又は「ジープ」の文字は、申立人の業務に係る「自動車」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているから、引用商標からは、「申立人の自動車のブランド」としての観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標3ないし7との類否について
本件商標の構成中「ジープ」の文字部分と引用商標3ないし7とを比較すると、両商標の構成文字が異なるため、外観においては区別できるものである。
また、称呼及び観念においては、両商標は、いずれも「ジープ」の称呼及び「申立人の自動車のブランド」としての観念を生じるものであるから、称呼及び観念を共通にするものである。
そうすると、本件商標と引用商標3ないし7との外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、たとえ外観において区別できるとしても、称呼及び観念を共通にする両商標は、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似する商標というべきである。
(4)本件商標と引用商標8及び9との類否について
本件商標の構成中「ジープ」の文字部分と引用商標8及び9とを比較すると、両商標はいずれも「ジープ」の文字からなり、「ジープ」の称呼及び「申立人の自動車のブランド」としての観念を生じるものであるから、外観において相紛らわしく、称呼及び観念を共通にするものである。
そうすると、本件商標と引用商標8及び9とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛らわしい類似する商標というべきである。
(5)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定商品中、第25類「被服」には、引用商標3及び9の指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」が含まれている。
また、本件商標の指定商品中、第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」は、引用商標4の指定商品中「腕止め」と類似する商品であり、本件商標の指定商品中、第25類「履物」には、引用商標5の指定商品中「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類」が含まれている。
さらに、本件商標の指定商品中、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤」は、引用商標6の指定商品中「のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。)」と類似する商品であり、本件商標の指定商品中、第25類「仮装用衣服」は、引用商標7の指定商品中に含まれており、本件商標の指定商品中、第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」は、引用商標7の指定商品中「金属製飛び込み台,金属製あぶみ,拍車,水中ナイフ,水中ナイフ保持具,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴,運動用具」及び引用商標8の指定商品中「ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,運動用具」と同一又は類似する商品である。
(6)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、その指定商品中、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤」及び第25類「全指定商品」は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品である。
したがって、本件商標は、その指定商品中、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤」及び第25類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と申立人商標との類似性の程度について
前記2(3)及び(4)のとおり、本件商標と引用商標とは類似するものであるから、同様に、本件商標と申立人商標とは類似するものというべきである。
したがって、本件商標と申立人商標との類似性の程度は高いといえる。
(2)申立人商標の周知著名性及び独創性の程度について
前記1(2)のとおり、申立人商標は、申立人の業務に係る「自動車」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものである。
したがって、申立人商標の周知著名性の程度は高いといえる。
また、申立人商標を構成する「JEEP」、「Jeep」又は「ジープ」の文字(語)は、前記1(1)アのとおり、第2次世界大戦中にアメリカ陸軍が採用した四輪駆動小型自動車に付けられた愛称又は商標名であって、他に意味を有する又は認識させる語とは認められないから、独創性の程度は高いといえる。
(3)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性の程度並びに取引者及び需要者の共通性について
ア 本件商標の指定商品は、前記第1のとおり、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙類,文房具類,印刷物」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」であるから、申立人の業務に係る商品である「自動車」とは、関連性の程度は低く、取引者及び需要者は異にするといえる。
イ 申立人の提出に係る証拠(甲57及び甲58)並びに同人の主張によれば、申立人は、ユニクロとコラボレーションをし、申立人商標を付したTシャツをユニクロにより販売していること、また、申立人は、インターネット上に「Jeepオフィシャルストア」を開設し、申立人商標を付した手袋、ジャケット、ゴルフボールなどを販売していることが認められる。
そうすると、申立人の業務に係るコラボレーションの商品や「Jeepオフィシャルストア」による商品と本件商標の指定商品とは、関連性があり、取引者及び需要者を共通にする場合があるといえる。
(4)混同を生ずるおそれについて
前記(1)ないし(3)によれば、本件商標と申立人商標との類似性の程度は高く、申立人商標の周知著名性及び独創性の程度は高いといえ、また、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性の程度は低く、取引者及び需要者を異にするものの、申立人の業務に係るコラボレーションの商品や「Jeepオフィシャルストア」による商品との比較では、関連性があり、取引者及び需要者を共通にする場合があるといえる。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用をされた場合、これに接する取引者、需要者が、申立人商標を想起、連想し、当該商品が申立人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものであるというべき事情は見いだせない。
そうすると、たとえ申立人商標が申立人の業務に係る「自動車」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであって、本件商標と申立人商標とが同一又は類似の商標であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するというべき事情は見いだせず、また、本件商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあるというべき事情も見いだせない。
他に、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
6 まとめ
以上よりすると、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号には該当しないものの、その指定商品中、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤」及び第25類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第11号に該当し、仮に同号に該当しないとしても、同項第15号に該当する。
また、本件商標は、前記商品以外の指定商品について、商標法第4条第1項第15号に該当する。
そうすると、本件商標の登録は、商標法第4条第1項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲

異議決定日 2020-07-08 
出願番号 商願2018-88934(T2018-88934) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (W1625)
T 1 651・ 263- Z (W1625)
T 1 651・ 262- Z (W1625)
T 1 651・ 261- Z (W1625)
最終処分 取消  
前審関与審査官 和田 恵美 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 板谷 玲子
山田 啓之
登録日 2019-07-19 
登録番号 商標登録第6162970号(T6162970) 
権利者 平塚 洸樹
商標の称呼 カタニチッチャイジープノセテンノカイ、ジープ 
代理人 江藤 聡明 

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