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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W3335
審判 一部申立て  登録を維持 W3335
審判 一部申立て  登録を維持 W3335
審判 一部申立て  登録を維持 W3335
管理番号 1366316 
異議申立番号 異議2019-900259 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-10-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-09-10 
確定日 2020-09-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第6159047号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6159047号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6159047号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成31年4月4日に登録出願、第21類「食器類」、第33類「焼酎,日本酒,果実酒」及び第35類「酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、令和元年6月14日に登録査定され、同年7月5日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3248875号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:天
指定商品:第33類「日本酒」
登録出願日:平成5年11月26日
設定登録日:平成9年1月31日
最新更新登録日:平成29年1月31日
(2)登録第5145983号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:天(標準文字)
指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
登録出願日:平成19年12月12日
設定登録日:平成20年6月27日
更新登録日:平成30年4月3日
(3)登録第5145984号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
登録出願日:平成19年12月12日
設定登録日:平成20年6月27日
更新登録日:平成30年4月3日
(4)登録第5402493号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様:別掲3のとおり
指定商品:第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
登録出願日:平成22年8月4日
設定登録日:平成23年4月1日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第33類「全指定商品」及び第35類「全指定役務」(以下「申立商品及び役務」ということがある。)について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第68号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標の周知・著名性について
引用商標は、次のとおり、申立人の100%出資に係る子会社「宝酒造株式会社」(以下「宝酒造」という。)により、商品「清酒」について、2003年9月の販売開始より現在に至るまで、継続して盛大に使用されており、本件商標の登録出願前には、宝酒造の業務に係る商品(清酒)の商標として全国的に周知・著名となっていたものである(甲6?甲66:以下、引用商標が使用されたとするこれらの商品をまとめて「引用商標使用商品」という。)。
ア 引用商標使用商品は、清酒「松竹梅」ブランドの強化の一環として、2003年9月に発売され、それ以降、次々と新商品を市場投入してラインアップを拡充し、シリーズ展開を行っており、具体的には、2014年9月に「糖質70%オフ」、2016年9月に「辛口純米」、2017年9月に「極上プレミアム」、2018年9月に「飲みごたえ辛口」、2019年8月に「香り豊かな糖質ゼロ」を相次いで発売し、2019年9月現在、通常商品の他に複数の商品群(酒質で6種類、容器・容量別で計32タイプ)を擁している(甲6?甲66)。
イ 引用商標使用商品のパッケージは、特徴的なものとなっており、赤色・緑色・黒色・金色・薄黄色地に、書の大家・榊莫山氏(審決注:「榊」は「きへん」に「神」の旧字体。)の作品である「天」の文字を、白抜き等で大きく表したデザインを採用し、店頭でひときわ目立つデザインとなっている(甲6?甲24)。
また、2011年9月に発売したエコパウチの商品は、従来の紙パック商品に比べて約50%のごみ減量化を実現するとともに、飲んだ後の解体・分別が不要など環境への優しさと利便性の点で好評である(甲25?甲27)。
ウ 広告・宣伝面については、発売当初より俳優の渡哲也氏、2014年からは同氏と女優の前田敦子氏を起用して、大々的に広告・宣伝活動を行った他、2016年10月からは同氏と女優の吉永小百合氏を起用したテレビCMを放映し、「YouTube」でも公開している(甲35、甲46?甲49)。
エ 引用商標使用商品の販売数量、販売金額は、例えば、この10年ほどでおよそ15,000ないし17,000kl、標準的な容量の2Lパックに換算して750万ないし850万本、販売金額は年間72億ないし85億円にも上っている(甲43、甲44)。
オ 引用商標使用商品の広告・宣伝費は、例えば、テレビCMや新聞・雑誌広告を中心とするものに2012年で7億円近くを投じ、販促キャンペーン費用に2017年度で4,800万円を支出している(甲45、甲51)。
カ 引用商標使用商品のうち、2Lパックの商品は、「日本酒」の分野において、2007年度下半期ないし2017年度上半期の間、常に上位3位にランキングされ(甲53?甲63)、消費者において、人気・定番の商品となっており、2013年12月2日ないし2014年1月5日の年末年始の購入商品のブランド別シェアでは、実質第4位となっている(甲66)。
キ 引用商標は、メインブランド「松竹梅」のサブブランドとして、しばしば「松竹梅」商標を付して使用されているが、それ自体で商品の出所を識別し、自他商品の区別をするものとしての機能を十分果たしていると認められるものである(参考:知財高裁判決 平成19年(行ケ)第10215号)。
特に、本件商標の指定商品に含まれる酒類をはじめとする食品業界にあっては、ハウスマークやメインブランドの下で複数のサブブランド等の商品がシリーズ展開され、サブブランドの商標に、メインブランド等の商標を付して使用することは広く行われており、それぞれの部分が商品の出所識別標識として機能している実情があることは、周知の事実である。
したがって、たとえ、引用商標が、多くは「松竹梅」商標付きの態様で使用されているとしても、引用商標の周知・著名性が否定されるものではない。
実際に、引用商標が使用される際には、商品パッケージにおいては、中央に「天」の毛筆体文字が著しく大きく表され、その右に「てん」の読み仮名が添えられており、宝酒造のブランドとして「天」の文字が表されたものと直ちに認識される態様であるし、文字として「松竹梅」商標とともに表記される際には、「松竹梅『天』」のように括弧で囲まれ、独立したサブブランドであることを強調した手法で表されている。
また、引用商標使用商品について紹介される際には、サブブランドの「天」のみで表記されることも多い(甲6?甲9、甲34?甲40、甲42、甲47、甲64、甲65)。
これらのことから、引用商標は、それ自体で周知・著名となっていることは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、中央に大きく表された「吟天」の文字が著しく看者の目をひき、独立して出所識別標識としての機能を果たすといえるところ、「吟天」の文字は、既成語ではなく特定の意味合いも見いだせないから、構成全体を常に一体不可分のものとして見なければならない格別の事情は存しない。
そして、当該構成中「吟」の文字は、酒類を取り扱う業界においては、例えば「吟香」、「夏吟」、「吟生」、「春吟」が一般に使用されている(甲67、甲68)ように、清酒の特定名称酒の一つである「吟醸酒」、「吟醸」を想起させ、特に「日本酒」、「清酒」に関する指定商品・指定役務との関係においては、自他商品・役務の識別力を有しないか弱いものといえる。
これに対し、「天」の文字は、上記したとおり、宝酒造の商標として、取引者・需要者において周知・著名なものであって、極めて強い識別力を有するものである。
そうすると、本件商標は、「天」の文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与える商標の要部であるといえるから、「天」の部分を要部抽出した分離観察が妥当である。
したがって、本件商標は、構成中「天」の文字部分から、これに相応した「テン(天)」の称呼及び観念を生じる。
イ 引用商標は、それぞれ「天」の文字よりなるか、「天」の文字が顕著に表された構成よりなるから、構成文字に相応して、「テン(天)」の称呼及び観念を生じる。
ウ してみれば、本件商標は、引用商標と「テン(天)」の称呼及び観念と「天」の構成文字を共通にする、類似の商標といわざるを得ない。
また、引用商標は、上記のとおり、周知・著名なものであるから、「需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする」旨の基準に照らしてみても、本件商標は、引用商標と類似するものといえる。
エ そして、本件商標の指定商品・指定役務は、引用商標の指定商品と抵触するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、上記のとおり、宝酒造の業務に係る商品「清酒」を表示するものとして、本件商標の登録出願前には、取引者・需要者において広く認識されるに至っていたものである。
そして、引用商標使用商品は、単品ではなく複数の商品シリーズを取りそろえて、ラインアップを拡充しながら、ブランド展開を行っている事実があり、これらの商品シリーズの中には、「大吟醸酒」をブレンドした商品「極上プレミアム」もある(甲6、甲36、甲37)。
また、本件商標の構成中「吟」の文字は、上記したとおり、少なくとも「日本酒」、「清酒」に関する指定商品・指定役務との関係においては、自他商品・役務の識別力を有しないか弱いものである。
そうすると、本件商標が、その指定商品・指定役務について使用された場合、これに接する取引者・需要者は、「天」の部分に着目して、周知・著名な清酒ブランドの「天」シリーズの商品を想起し、例えば「吟醸の『天』」、「『天』シリーズの吟醸酒」と認識して、当該商品・役務があたかも宝酒造の業務に係る商品・役務であるかのごとく誤認して取引に当たる蓋然性が極めて高く、商品・役務の出所につき混同を生じるおそれがあるといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知・著名性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。
(ア)申立人の100%出資の子会社である宝酒造は、引用商標使用商品を2003年(平成15年)から現在まで継続して販売しており、当該商品は容器が紙パック、瓶、エコパウチのもの、容量が4L(リットル)ないし180ml(ミリリットル)等の商品がある。
(イ)引用商標使用商品には、引用商標3又は引用商標4とほぼ同一の構成態様の標章がその容器正面に大きく顕著に付され、2003年から現在まで継続して販売されている(甲6?甲24)。
(ウ)引用商標使用商品のうち、2L入り紙パックの商品は、ダイヤモンド・フリードマン社発行の雑誌「ダイヤモンド・チェーンストア」(旧雑誌名:チェーンストアエイジ)の「カテゴリーランキング特集」において、「日本酒」のカテゴリーで2007年度ないし2017年度の各年度下半期(2012年度及び2017年度は上半期)の売上げシェアが我が国において第3位であった(甲53?甲63)。
(エ)引用商標使用商品は販売当初から現在までテレビCM、YouTube、プレゼントキャンペーンなどで広告宣伝されていることがうかがえる(甲35、甲46?甲48)。
(オ)しかしながら、引用商標使用商品の容器に、普通に用いられる書体の「天」の文字が単独で付されていると認め得る証左は見いだせないし、また、ニュースリリースや製品案内、及びインターネット記事において、引用商標使用商品が「松竹梅『天』」、「松竹梅 天」のように表記されていることは認められるものの、「天」の文字のみで表示されている事例は見いだせない。
イ 上記アのとおり、引用商標使用商品は、2003年から現在まで16年以上継続して販売され、テレビCMも放送され、何より2007年度ないし2017年度まで我が国における日本酒の売上げシェア第3位であることからすれば、具体的な売上高は確認できないものの、本件商標の登録出願時及び登録査定時はもとより現在においても我が国の需要者の間に広く認識されているものといえる。
そうすると、引用商標使用商品の容器の正面に顕著に表示されている引用商標3及び引用商標4は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、宝酒造の業務に係る商品(清酒)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
しかしながら、引用商標1及び引用商標2は、格別な特徴を有さない「天」の文字のみからなるところ、宝酒造がその商品「清酒」の容器に使用する商標とは文字の態様が顕著に異なる上、引用商標使用商品の容器に普通に用いられる書体の「天」の文字が単独で付されていることが確認できないこと、及び同商品について「天」の文字が表されているのは「松竹梅『天』」のように「松竹梅」などの文字とともに用いられているものに限られていることからすれば、引用商標1及び引用商標2は本件商標の登録出願時及び登録査定時において、宝酒造の業務に係る商品(清酒)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものいうことはできない。
また、申立人は、引用商標1ないし引用商標4が、周知・著名である旨述べているが、引用商標1及び引用商標2は、上記のとおり、周知・著名であるとはいえないし、引用商標3及び引用商標4は、下記(2)イ(イ)及び(ウ)のとおりの構成からなるものであり、その構成態様にかんがみて普通に用いられる書体の「天」の文字によって知られているものとみることもできないことから、引用商標1ないし引用商標4が、「天」の文字からなる商標として周知・著名であるということはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
(ア)本件商標は、別掲1のとおり、毛筆風の書体で黒色で大きく縦書きされた「吟天」の文字と、その左に小さく黒色及び朱色で表された落款風の図形からなるところ、その構成態様から、顕著に表された「吟天」の文字が、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとみるのが自然であって、当該文字部分が独立して自他商品・役務識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
そして、当該「吟天」の文字は、同書同大で縦書きされ、これから生じる「ギンテン」の称呼はよどみなく一連に称呼し得るものであり、また、我が国における一般的な辞書等に採録もなく、特定の意味合いをもって親しまれた語であるというような事情も見いだせないものであるから、一種の造語と判断するのが相当である。
(イ)申立人は、本件商標の構成中「吟」の文字は「吟醸造」、「吟醸」を想起させ自他商品・役務識別力を有しないか弱いものである、及び「天」の文字が宝酒造の商標として周知・著名であって強い識別力を有するなどとして、本件商標は「天」の文字部分が要部である旨主張している。
しかしながら、酒類を取り扱う業界において「吟香」、「夏吟」、「吟生」などの文字が「清酒」について一般に使用されているとしても、「吟醸」の意を表す際に「吟」と表示することが一般的であるという実情は見いだせないし、上記(1)のとおり、普通に用いられる書体の「天」の文字が宝酒造の業務に係る商品「清酒」を表す商標として需要者の間で広く認識されているということもできないから、本件商標中「天」の文字部分がその要部であるということはできない。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
(ウ)そのほか、本件商標は、その構成中「天」の文字部分が取引者、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると認めるに足りる事情は見いだせない。
(エ)そうすると、本件商標は、その構成中、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得る「吟天」の文字に相応して「ギンテン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
なお、本件商標の構成中、落款風の図形部分は、その大きさ、鮮明さ等を総合的に判断すれば、需要者の注意をひくものとはいえず、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいえないことから、出所識別標識としての称呼及び観念を生じないものである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1及び引用商標2は、上記2(1)及び(2)のとおり、いずれも「天」の文字のみからなるものであり、当該文字に相応して、「テン」の称呼を生じ、また、「天」の文字が「そら」等の意味を有する親しまれた漢字である(広辞苑第七版)ことから、「そら」の観念を生じるものである。
(イ)引用商標3は、別掲2のとおり、赤色の縦長四角形内に、白抜きで丸い膨らみを頂点とし、これに「人」の字形を模した手書き風の太線を上下二段につなげた図形(以下「図形1」という。)及び、その下部に渦巻き状の3つの図形(以下「図形2」という。)を配した構成よりなるところ、上記(1)のとおり、商標全体が引用商標使用商品の容器に表示されてきた結果、宝酒造の業務に係る商品「清酒」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであって、全体の構成態様から「宝酒造の業務に係る清酒のブランド」の観念を生じるものというのが相当である。
また、引用商標3の構成中の図形1及び図形2をそれぞれ単独でみた場合には、我が国で特定の称呼及び観念を有するものとして親しまれているものとはいい難いものであり、当該各図形部分から特定の称呼及び観念を生じるとはいえないものである。
してみれば、引用商標3は、特定の称呼を生じるものではなく、その全体の構成態様から「宝酒造の業務に係る清酒のブランド」の観念を生じるものというのが相当である。
(ウ)引用商標4は、別掲3のとおり、赤色の縦長四角形内に、図形1及び、その下部に図形2を配し、左下部に落款風の図形を小さく白抜きで表すとともに、中央部のやや右側に図形1に一部重なるように黒色で「てん」の文字を手書き風の書体で縦書きし、さらに、当該赤色縦長四角形の上部に「二段酵母仕込」、「コクがあって スッキリ辛口」、当該赤色縦長四角形の下部に「“TEN”」の各文字を白抜きで小さく表してなるものである。
そして、引用商標4は、上記(1)のとおり、商標全体が引用商標使用商品の容器に表示されてきた結果、宝酒造の業務に係る商品「清酒」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであって、全体の構成態様から「宝酒造の業務に係る清酒のブランド」の観念を生じるものというのが相当である。
また、引用商標4の構成中、「二段酵母仕込」、「コクがあって スッキリ辛口」の各文字部分は、商品「日本酒」の品質ないしキャッチフレーズ を表示したと理解されるものであり、出所識別標識としての称呼・観念を生じないものである。加えて、その構成中の「“TEN”」の文字は、手書き風の書体で顕著に表された「てん」の文字を付記的に欧文字表記したにすぎないというべきものであるから、当該「TEN」の文字は、独立して自他商品の出所識別力があるとはいえない。
さらに、引用商標4は、赤色と白色の構成中にあって黒色で明瞭に表された「てん」の文字に着目されやすいものであるが、「てん」と表音する漢字は「天」、「点」、「店」等複数存在し、当該「てん」の文字がこれらのうち特定の意味を認識させる特段の事情は見いだせない上、「てん」の平仮名が特定の意味合いを表すものとして辞書等に載録されていないことからすれば、引用商標4の構成中「てん」の文字は特定の観念を生じるとはいえないものである。
加えて、引用商標4の構成中の図形1及び図形2をそれぞれ単独でみた場合には、我が国で特定の称呼及び観念を有するものとして親しまれているものとはいい難いものであり、当該各図形部分から特定の称呼及び観念を生じるとはいえないものである。
してみれば、引用商標4は、その構成中「てん」の文字に相応し「テン」の称呼を生じ、その全体の構成態様から「宝酒造の業務に係る清酒のブランド」の観念を生じるものというのが相当である。
(エ)申立人は、引用商標3及び引用商標4はその構成中に、有名書家による「天」の書画(甲6)である図形1が含まれており、これより「テン(天)」の称呼及び観念が生じ、「天」の文字からなる商標が表されたものと直ちに認識される旨主張しているが、図形1は独特の形状を有するものであって、これを直ちに「天」の文字とみることはできず、図形1から特定の称呼、観念は生じないというべきであるから、申立人のかかる主張を採用することはできない。
ウ 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標と引用商標1及び引用商標2の類否
本件商標と引用商標1及び引用商標2は、上記ア及びイ(ア)のとおりの構成よりなるところ、外観については、本件商標全体又はその構成中「吟天」の文字部分と引用商標1及び引用商標2を比較した場合のいずれにおいても、構成文字、文字の表示態様が明らかに異なることから判然と区別できるものである。
称呼については、本件商標から生ずる「ギンテン」の称呼と、引用商標1及び引用商標2から生ずる「テン」の称呼とは、構成音数や「ギン」の音の有無の相違を有することから明瞭に聴別できるものである。
観念については、本件商標は特定の観念を有しない一方、引用商標1及び引用商標2は「そら」の観念を有することから、両者は相紛れるおそれはないものである。
してみれば、本件商標と引用商標1及び引用商標2は、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、非類似の商標である。
(イ)本件商標と引用商標3及び引用商標4の類否
本件商標と引用商標3及び引用商標4は、上記ア、イ(イ)及び(ウ)のとおりの構成よりなるところ、外観については、本件商標全体又はその構成中「吟天」の文字部分と引用商標3及び引用商標4を比較した場合のいずれにおいても、構成文字及び図形の構成態様、色彩等が明らかに異なることから判然と区別できるものである。
称呼については、本件商標から生ずる「ギンテン」の称呼と、引用商標4から生ずる「テン」の称呼とは構成音数や「ギン」の音の有無において相違を有することから、明瞭に聴別できるものであり、また、引用商標3は特定の称呼を生じないことから、本件商標と引用商標3は称呼において相紛れるおそれはないものである
観念については、本件商標は特定の観念を有しない一方、引用商標3及び引用商標4は「宝酒造の業務に係る清酒のブランド」の観念を有することから、両者は相紛れるおそれはないものである。
してみれば、本件商標と引用商標3及び引用商標4は、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、非類似の商標である。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務中、申立商品及び役務と引用商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知・著名性
引用商標1及び引用商標2は、上記(1)のとおり、宝酒造の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、引用商標3及び引用商標4は宝酒造の業務に係る商品「清酒」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものである。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標と引用商標は、上記(2)のとおり、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、全く別異の商標であって、その類似性の程度は高くない。
ウ 商品及び役務の関連性並びに需要者の共通性
本件商標の指定商品及び指定役務中、申立商品及び役務と、引用商標の指定商品「日本酒」とは、同一又は類似の商品又は小売等役務とその取扱商品という関係にあることから、密接な関連性があり、需要者の範囲が共通するといえる。
エ ハウスマークか否か
引用商標1及び引用商標2に係る「天」の文字、引用商標3並びに引用商標4が宝酒造のハウスマークといい得る事情は見いだせない。
オ 小括
以上のことからすれば、引用商標3及び引用商標4が需要者の間に広く認識されており、申立商品及び役務と引用商標の指定商品に密接な関連性があり、需要者の範囲が共通する場合があるとしても、引用商標は、宝酒造のハウスマークということはできないものであり、本件商標は引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって全く別異の商標というべきものであるから、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想又は想起することはないものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれを本件申立商品及び役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(宝酒造)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
カ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、申立商品及び役務について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(本件商標)(色彩は原本参照。)


別掲2(引用商標3)(色彩は原本参照。)



別掲3(引用商標4)(色彩は原本参照。)


異議決定日 2020-08-19 
出願番号 商願2019-47821(T2019-47821) 
審決分類 T 1 652・ 262- Y (W3335)
T 1 652・ 271- Y (W3335)
T 1 652・ 261- Y (W3335)
T 1 652・ 263- Y (W3335)
最終処分 維持 
前審関与審査官 堀内 真一 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 鈴木 雅也
冨澤 美加
登録日 2019-07-05 
登録番号 商標登録第6159047号(T6159047) 
権利者 小田切商事株式会社
商標の称呼 ギンテン 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 
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