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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W1635 審判 一部申立て 登録を維持 W1635 審判 一部申立て 登録を維持 W1635 |
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管理番号 | 1366310 |
異議申立番号 | 異議2019-900348 |
総通号数 | 250 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-10-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-11-28 |
確定日 | 2020-08-17 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6189581号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6189581号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6189581商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成30年10月10日に登録出願、第16類「印刷物」、第35類「広告,経営の診断又は経営に関する助言,職業のあっせん,求人情報の提供,人材募集」のほか、第38類、第41類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、令和元年8月30日に登録査定、同年10月18日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する商標は、以下の5件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。)。 (1)登録第4523718号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成12年12月15日 設定登録日:平成13年11月22日 指定商品:「印刷物」を含む第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (2)登録第5547768号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 登録出願日:平成24年5月17日 設定登録日:平成25年1月11日 指定商品:「印刷物」を含む第16類、第18類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (3)登録第4590880号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成12年12月15日 設定登録日:平成14年8月2日 指定役務:「広告」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 (4)登録第6187514号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:別掲4のとおり 登録出願日:平成30年7月13日 設定登録日:令和元年10月11日 指定役務:「広告」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 (5)登録第6187516号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の構成:別掲5のとおり 登録出願日:平成30年7月18日 設定登録日:令和元年10月11日 指定役務:「広告」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第16類及び第35類の全ての商品及び役務(以下「申立商品及び役務」という。)について、「本件商標は、申立人が所有する引用商標と類似するものであるから、登録の取消を求める。」旨申し立てた。 4 当審の判断 申立人は、本件登録異議の申立てにおいて、本件商標の登録の取消理由について根拠条文を明示していないが、商標登録異議申立書の申立ての理由の記載内容からすれば、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当することを理由として、同法第43条の2第1号に基づき商標登録の取消を主張しているものと解することができるため、以下検討する。 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、左側にピンク色の丸とその右側にやや間隔をあけて薄紫色の丸を配し、その下に左側の濃いピンク色から右側の青色の間を段階的に変化する色彩をもって太い下向きの円弧状の図形を上記2つの丸の位置より左右に幅を突出させたように配した図形部分と、当該図形部分の下に、「en」の欧文字をピンク色、「sense」の欧文字を薄紫色で「ensense」と一連に横書きした文字部分からなるものである。 そして、本件商標は、図形と文字の結合商標であるところ、図形部分と文字部分とは、視覚上分離して認識されるものであって、図形部分と文字部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえないものであり、両者を常に一体不可分のものとしてみなければならない特段の理由も見当たらないものであるから、それぞれの部分が独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。 そこで、本件商標の図形部分についてみるに、当該図形部分は、我が国において特定の事物を表したもの、又は特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は見いだせないから、特定の称呼及び観念は生じないものである。 また、本件商標の文字部分は、「ensense」の文字よりなるところ、当該文字は、辞書等に載録されているものでなく、特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情も見いだせないことから、特定の観念を生ずるとはいえないものである。 そして、通常、我が国においては、特定の意味合いを有さない欧文字を称呼するときには、英語読み風又はローマ字読み風に称呼するのが一般的であることからすれば、当該文字からは「エンセンス」の称呼が生じるというのが相当である。 そうすると、本件商標からは、「ensense」の文字に相応して「エンセンス」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標について (ア)引用商標1及び引用商標3は、別掲2のとおり、小さい黒塗り縦長楕円形を2つ並べ、その下に両端上がりの弧線を描いてなるものであり、その外観からすれば、簡略化した目と口からなる笑顔を想起させる図形といい得るものである。 そして、当該図形は、我が国において特定の事物を表したもの、又は特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は見いだせないものであり、また、その外観から、簡略化した目と口からなる笑顔を想起させる図形といい得るものの、直ちに特定の観念を生じるとはいい難いことからすれば、引用商標1及び引用商標3は、特定の称呼及び観念を生じないものである。 (イ)引用商標2は、別掲3のとおり、小さい黒塗り丸を2つ並べ、その下に両端上がりの弧線を描いてなるものであり、その外観からすれば、簡略化した目と口からなる笑顔を想起させる図形といい得るものである。 そして、当該図形は、我が国において特定の事物を表したもの、又は特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は見いだせないものであり、また、その外観から、簡略化した目と口からなる笑顔を想起させる図形といい得るものの、直ちに特定の観念を生じるとはいい難いことからすれば、引用商標2は、特定の称呼及び観念を生じないものである。 (ウ)引用商標4及び引用商標5は、別掲4及び別掲5のとおり、引用商標1及び引用商標3と同一の図形の下に「HARVEY BALL」の欧文字を書してなるものである。 なお、引用商標4及び引用商標5は、図形と文字の結合商標であるところ、図形部分と文字部分とは、視覚上分離して認識されるものであって、図形部分と文字部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえないものであり、両者を常に一体不可分のものとしてみなければならない特段の理由も見当たらないものであるから、それぞれの部分が独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。 そして、引用商標4及び引用商標5の図形部分は、引用商標1及び引用商標3と同様に、簡略化した目と口からなる笑顔を想起させる図形といい得るものの、直ちに特定の観念を生じるとはいい難いことからすれば、特定の称呼及び観念を生じないものである。 また、引用商標4及び引用商標5の文字部分は、「HARVEY BALL」の文字よりなるところ、その構成文字に相応して、「ハービーボール」又は「ハーベイボール」の称呼を生じるものの、当該文字は、特段の意味合いを想起させるものでないことから、特定の観念を生じないものである。 そうすると、引用商標4及び引用商標5からは、「HARVEY BALL」の文字に相応して「ハービーボール」又は「ハーベイボール」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標は、上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、その構成全体を比較したときは、色彩の有無の差異、弧状の図形の太さの差異、本件商標における「ensense」の文字及び引用商標4及び引用商標5における「HARVEY BALL」の文字の有無の差異等から、本件商標と引用商標とは、明らかに異なるものである。 また、本件商標の図形部分と引用商標の図形部分とを比較すると、色彩の有無の差異、本件商標の円弧状の図形と引用商標の両端上がりの弧線の太さの差異に加え、簡略化した目と口からなる笑顔を想起させるか否かの点において、その印象が大きく異なるものであるから、外観上判然と区別できるものである。 さらに、本件商標から生じる「エンセンス」の称呼と引用商標4及び引用商標5から生じる「ハービーボール」又は「ハーベイボール」の称呼とは明らかに異なるものであり、引用商標1ないし引用商標3は特定の称呼を生じないものであるから、「エンセンス」の称呼が生じる本件商標とは、称呼において紛れるおそれはない。 加えて、本件商標及び引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。 そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較することはできないとしても、称呼において紛れるおそれはなく、外観において異なるものであるから、これらを総合的に考慮すれば、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品・指定役務が引用商標の指定商品・指定役務と同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)むすび 以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第16類及び第35類の全ての商品及び役務について、商標法第4条第1項第11号に該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
【別掲1】 本件商標(色彩については原本参照。) 【別掲2】 引用商標1及び引用商標3 【別掲3】 引用商標2 【別掲4】 引用商標4 【別掲5】 引用商標5 |
異議決定日 | 2020-08-04 |
出願番号 | 商願2018-132701(T2018-132701) |
審決分類 |
T
1
652・
263-
Y
(W1635)
T 1 652・ 261- Y (W1635) T 1 652・ 262- Y (W1635) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 中尾 真由美 |
特許庁審判長 |
山田 正樹 |
特許庁審判官 |
鈴木 雅也 冨澤 美加 |
登録日 | 2019-10-18 |
登録番号 | 商標登録第6189581号(T6189581) |
権利者 | 株式会社アーティ |
商標の称呼 | エンセンス、センス |