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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W11
管理番号 1366252 
審判番号 不服2019-13214 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-03 
確定日 2020-09-30 
事件の表示 商願2018-28974拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第9類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として,平成30年3月12日に登録出願され,その後,指定商品については,当審における令和元年12月4日付け及び当審における同2年8月12日付けの手続補正書により,第11類「洗浄塔・吸収塔・蒸留塔・冷却塔・脱気塔・脱臭塔・放散塔等の塔内又はこれらと同様の機能を有する装置内に詰め気体と液体を効率よく接触させて気体浄化・廃水浄化・気体の吸収・乾燥・気体又は液体の冷却・集塵・脱気・脱臭・放散等を行うためのポリエチレン・ポリプロピレン・ポリ塩化ビニル・フッ素系樹脂等の合成樹脂製充填物」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は,要旨以下のとおり認定,判断し,本願を拒絶したものである。
(1)本願の指定商品は,その内容及び範囲を把握することができず,政令で定める商品及び役務の区分に従って第9類の商品を指定したものと認めることもできない。
したがって,本願は,商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しない。
(2)本願商標は,中央リングの周囲から外側に向かって放射状に延伸する9個の周辺リングの立体的形状からなるところ,本願商標の指定商品である充填物は,一般に,比表面積や空隙率が大きく,耐食性があって機械的強度の高いこと等が望まれており,かかる事情に鑑み,本願商標の立体的形状をみると,これは,死面(液に濡れない面)を形成せず有効面積が大きいこと,線構造のため空間率も大きく圧力損失が小さいこと等を特徴としていることから,その指定商品である充填物の機能又は美感に資することを目的として採用されたものと認められる。
そうすると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,充填物の形状の一類型を表したものと認識するにとどまるものであるから,本願商標は,商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
また,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものと認めることができない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備するものということはできない。

第3 当審の判断
1 商標法第6条第1項及び第2項について
本願の指定商品は,上記第1のとおりに補正された結果,本願は,商品の内容及び範囲が明確なものとなり,かつ,政令で定める商品及び役務の区分に従ったものになったと認められる。
その結果,本願は,商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備するものとなった。
2 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願の指定商品は,化学工場等の充填塔の内部に,当該充填物を詰めて塔内でのガスの吸収操作等を行うに際し,詰め気体と液体を効率よく接触させて気体浄化・廃水浄化・気体の吸収・集塵・乾燥・気体又は液体の冷却・脱気・脱臭・放散等を行うために用いられる充填物であり,充填物は,一般に,装置内の気体と液体との接触効率(気液接触効率)を向上させることが求められ,死面(液に濡れない面)を形成せず有効面積が大きいこと,空間率が大きく圧力損失が小さいこと等を特徴としつつ,それらの機能を発揮するための様々な形状が選択されているものである(第3号証,第9号証,第80号証)。
そして,本願商標は,中央リングの周囲から外側に向かって放射状に延伸する9個の周辺リングからなり,これらの周辺リングと中央リングとは略直交するように一体化された立体的形状からなるところ,充填物の形状的特徴及び機能的特徴に鑑み,本願商標の立体的形状の構成態様を見ると,これは,死面(液に濡れない面)を形成せず有効面積が大きいこと,線構造のため空間率も大きく圧力損失が小さいことから,空間率が大きく,かつ,他との接触面が大きい接触効率に優れた形状といえる(第2号証,第82号証)。
また,本願商標の立体的形状を採択した充填物を,化学製品製造装置等の装置に使用した場合,これを使用する装置内の気体と液体との接触効率を高めるという機能を有するものといえる。
そうすると,本願商標の立体的形状は,その指定商品の機能又は美感に資することを目的として採用されたものと認められる。
してみれば,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,本願商標の指定商品である充填物の形状の一類型を表したものと認識するにとどまるものであるから,本願商標は,商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
(1)請求人は,本願商標が,商標法第3条第1項第3号に該当するとしても,本願商標の使用を継続してきたことにより識別力を獲得していることから,本願商標は,同条第2項に規定する要件を具備しており,登録されるべき商標である旨を主張し,証拠として,原審において第1号証ないし第85号証(枝番を含む)及び当審において第86号証ないし第112号証(枝番を含む)を提出している。
なお,請求人により提出された全証拠は,以下,甲第1号証ないし甲第112号証(枝番を含む)に読み替えるものとする。
(2)商標法第3条第2項は,商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として同条第1項第3号に該当する商標であっても,使用により自他商品識別力を獲得するに至った場合には,商標登録を受けることができることを規定している。
そして,立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは,当該商標ないし商品の形状,使用開始時期及び使用期間,使用地域,商品の販売数量,広告宣伝のされた期間・地域及び規模,当該形状に類似した他の商品の存否などの事情を総合考慮して判断するのが相当である。
そこで,請求人の主張及び請求人提出の証拠の内容に照らし,本願商標が使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。
ア 請求人商品の使用開始時期及び使用期間,使用地域,販売数量について
(ア)請求人について
請求人は,石油精製,石油化学,ガス,製鉄,その他の各種化学工業用の大気汚染防止装置等の環境改善装置の製造・販売,及び充填物の製造・販売等を目的とする株式会社であり,昭和33年(1958年)4月に株式会社鶴田装置設計事務所として設立し,昭和35年(1960年)7月に八幡化工機株式会社,昭和45年(1970年)6月に日鉄化工機株式会社,平成17年(2005年)4月に月島日鉄化工機株式会社,平成18年(2006年)4月に月島環境エンジニアリング株式会社に,それぞれ商号変更を行った(甲1)。
(イ)請求人商品の使用開始時期及び使用期間について
請求人は,請求人の業務に係る,「テラレット(TELLERET)」の名称の各種形状の充填物のうち,テラレットS-O型(甲19,甲36?甲79ほか。以下「請求人商品」という。)の商品について,昭和39年(1964年)6月に販売を開始し,現在まで約56年間にわたって継続して販売している(請求人の主張,甲81)。
(ウ)請求人商品の使用地域について
請求人商品は,平成12年(2000年)4月から平成31年(2019年)3月にかけて,日本全国にて販売された(甲86の1及び甲86の2)
(エ)請求人商品の販売数量について
請求人は,昭和58年(1983年)4月から平成17年(2005年)12月までの約23年間に,日本国内で3258件の顧客に対して,合計5349立方メートル,個数に換算すると,1億7384万2500個のS-O型商品を販売した。そして,平成18年(2006年)1月から平成30年(2018年)11月末までの約13年間に,日本国内で1282件の顧客に対して,合計2016立方メートル,個数に換算すると,6552万個の請求人商品を販売した(請求人の主張,甲81)。
イ 請求人商品の立体的形状の紹介及び請求人商品の立体的形状の広告宣伝について
請求人商品は,以下の文献,雑誌,展示会,カタログ等によって紹介及び広告宣伝された。
(ア)文献等における請求人商品の立体的形状の紹介
1975年(昭和50年)以降に発行された請求人以外による下記の文献等に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された。
a 佐藤純司・木内将之著「実用公害防止技術集覧〈1〉『ガス吸収装置の現状と今後の動向』」(化学工業社 昭和50年6月1日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲3)。
b 京都水道局「アンモニア除去回収実験報告書」(昭和50年7月発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲4)。
c 硫酸協会編 「硫酸ハンドブック 改訂版」(昭和52年12月15日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲5)。
d 化学工学協会編「改訂四版 化学工学便覧」(丸善 昭和53年10月25日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲6)。
e 恩田格三郎他著「別冊化学工業25-1 化学装置設計・操作シリーズ2 改訂ガス吸収」(化学工業社 昭和56年3月15日改訂版甲1刷発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲7)。
f 東京都下水道局施設管理部施設甲二課「薬品洗浄脱臭設備設計の手引き」(昭和58年9月発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲8)。
g 佐藤純司・木内将之著「新増補 実用公害防止技術集覧 大気編 〈1〉『ガス吸収装置の現状と今後の動向』」(化学工業社 昭和61年7月20日新増補発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲9)。
h 日鐵商事「マンスリー・リポート」(1987年5月発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲10)。
i 化学工学協会編「現代の化学工学II」(朝倉書店 1989年2月20日初版甲1刷発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲11)。
j 日本化学会編「分離精製技術ハンドブック」(丸善 平成5年3月25日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲12)。
k 日本産業機械工業会編「1993 環境装置ガイドブック 最新技術の紹介」(平成5年6月発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲13)。
l 下井洋一・田村善継「分離技術シリーズ2 タワーパッキング『テラレット,メタレットの設計データ』」(分離技術懇話会 平成8年3月31日)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲14)。
m 下井洋一著「硫酸協会甲78回近畿地区委員会」資料(1999年6月18日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲15)。
n 日本産業機械工業会編「環境装置ガイドブック 最新技術の紹介」(平成13年8月発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲16)。
o 小島照博著「甲5回東海地区分離技術講演会『環境保全-排出ガス処理技術』」(分離技術会主催・2003年11月13日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲17)。
p 分離技術会編・発行「分離技術シリーズ2 改訂新版トレイ・パッキング 『ガス吸収技術とテラレット設計データ』」(平成17年3月31日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲18)。
q 分離技術会編「分離技術ハンドブック」甲5節(平成22年2月22日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲85)。
(イ)雑誌における請求人商品の立体的形状の紹介
1964年(昭和39年)以降に発行された請求人以外による下記の雑誌に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された。
a 草野和人・岡田剛著「テラレット・パッキング-接触面の大きいプラスチック製の新充填物」(分離技術1巻8号所収。工学書院 昭和39年11月15日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲19)。
b 下井洋一著「プラスチック製充填物の特性と使用法」(化学工場11巻12号所収。日刊工業新聞社 1967年11月発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲20)。
c 下井洋一・佐藤純司著「ガス吸収および充填物データ集」(化学工場15巻7号所収。日刊工業新聞社 1971年6月発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲21)。
d 下井洋一・木内将之・武田豊著「〈充填物の特徴と応用のポイント〉テラレット(水による酸性ガスの吸収)」(化学工場18巻11号所収。日刊工業新聞社 昭和49年11月発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲22)。
e 下井洋一・秋元保著「プラスチック製充填物の強度と寿命」(化学工場25巻8号所収。日刊工業新聞社 昭和56年8月1日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲23)。
f 下井洋一・鷲頭一徳・渡辺龍三著「テラレット使用によるアンモニア放散塔の設計方法」(化学工場27巻2号所収。日刊工業新聞社 1983年2月発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲24)。
g 下井洋一・田村善継著「トリクロロエチレン等の空気放散における充填物設計データ」(PPM19巻11号所収。日本工業新聞社 昭和63年11月1日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲25)。
h 田熊聡・大津吉彦・下井洋一著「悪臭物質の空気放散」(紙パ技協誌49巻3号所収。紙パルプ技術協会 1995年3月1日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲26)。
i 下井洋一著「充填塔・充填物」(化学装置40巻4号所収。工業調査会 1998年4月1日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲27)。
j 下井洋一著「硫酸製造におけるテラレットの応用について」(硫酸と工業52巻9号所収。硫酸協会 平成11年9月15日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲28)。
k 下井洋一・中島伸亮・中松雅之著「消化ガスのカロリーアップについて-化学工学的手法から見たCO2ガス吸収-」(下水道協会誌39巻481号所収。日本下水道協会 平成14年10月15日発行)に,請求人商品がその立体的形状とともに紹介された(甲29)。
(ウ)雑誌における請求人商品の広告
請求人は,1967年(昭和42年)6月以降,主として化学工業従事者向けの情報誌に,請求人商品の広告をその立体的形状とともに掲載した。
a 1967年(昭和42年)に,「製紙工業」誌(株式会社製紙工業社)に,請求人商品の広告をその立体的形状とともに掲載した(甲36)。
b 1970年(昭和45年)の「化学装置」誌(工業調査会)に,請求人商品の広告をその立体的形状とともに掲載した(甲46)。
c 1971年(昭和46年),1974年(昭和49年),1977年(昭和52年),1981年(昭和56年),1982年(昭和57年),1983年(昭和58年)の「化学工場」誌(日刊工業新聞社)に,請求人商品の広告をその立体的形状とともに掲載した(甲37?甲45)。
d 1972年(昭和47年)3月号の「蒸留技術」誌(蒸留技術懇話会発行)に,請求人商品の広告をその立体的形状とともに掲載した(甲47)。
当該雑誌の発行元である蒸留技術懇話会(現 分離技術会)によると,1972年(昭和47年)3月号の「蒸留技術」誌の発行部数は600部である(甲97)。
e 1992年(平成4年)7月号の「ソーダと塩素」誌(日本ソーダ工業会)に,請求人商品の広告をその立体的形状とともに掲載した(甲48)。
f 1992年(平成4年)8月号の「資源環境対策」誌(公害対策技術同友会発行)に,請求人商品の広告をその立体的形状とともに掲載した(甲49)。
g 2004年(平成16年)11月号の「化学工業」誌(株式会社化学工業社発行)に,請求人商品の広告をその立体的形状とともに掲載した(甲50)。
当該雑誌の発行元である株式会社化学工業社によると,2004年(平成16年)11月号の「化学工業」誌の発行部数は4000部である(甲98)。
h 2005年(平成17年)1月号及び2007年(平成19年)4月号の「分離技術」誌(分離技術会発行)に,請求人商品の広告をその立体的形状とともに掲載した(甲51,甲52)。
当該雑誌の発行元である分離技術会によると,2005年(平成17年)1月号の「分離技術」誌の発行部数は1000部及び2007年(平成19年)4月号の「分離技術」誌の発行部数は1000部である(甲99)。
i 2005年(平成17年)1号(vol.69),2011年(平成23年)9号(vol.75),2013年(平成25年)7号(vol.77),2015年(平成27年)4号(vol.79),2016年(平成28年)5号(vol.80),2017年(平成29年)6号(vol.81)及び2018年(平成30年)11号(vol.82)の「化学工学」誌(化学工学社発行)に,請求人商品の広告をその立体的形状とともに掲載した(甲53?甲59)。
当該雑誌の発行元である化学工学社によると,2005年(平成17年)1号(vol.69)の「化学工学」誌の発行部数は10500部,2011年(平成23年)9号(vol.75)の「化学工学」誌の発行部数は8805部,2013年(平成25年)7号(vol.77)の「化学工学」誌の発行部数は8230部,2015年(平成27年)4号(vol.79)の「化学工学」誌の発行部数は7830部,2016年(平成28年)5号(vol.80)の「化学工学」誌の発行部数は7430部,2017年(平成29年)6号(vol.81)の「化学工学」誌の発行部数は6190部及び2018年(平成30年)11号(vol.82)の「化学工学」誌の発行部数は5743部である(甲100)。
j 1970年(昭和45年)7月号及び2007年(平成19年)1月号の「ケミカルエンジニアリング」誌(化学工業社発行)に,請求人商品の広告をその立体的形状とともに掲載した(甲60,甲61)。
当該雑誌の発行元である化学工業社によると,1970年(昭和45年)7月号の「ケミカルエンジニアリング」誌の発行部数は4000部,2007年(平成19年)1月号の「ケミカルエンジニアリング」誌の発行部数は3000部である(甲101)。
k 1995年(平成7年)3月号の「紙パ技協誌」(紙パルプ技術協会発行)に,請求人商品の広告をその立体的形状とともに掲載した(甲62)
(エ)展示会における請求人商品の広告
請求人は,2005年(平成17年),2007年(平成19年)及び2009年(平成21年)の展示会「INCHEM TOKYO」に,請求人商品の実物サンプルの充填された充填塔の模型や請求人商品の立体的形状を掲載したカタログ,パネル広告を出展した(甲63?甲69)。
(オ)カタログにおける請求人商品の広告
請求人は,請求人が作成し配布した1964年(昭和39年)発行のカタログ(甲2),1970年(昭和45年),1978年(昭和53年),1985年(昭和60年)及び1986年(昭和61年)発行のカタログ「高性能な花形充填物-テラレット」(甲70?甲73),1989年(平成元年)及び1992年(平成4年)発行のカタログ「ユニット装置総合カタログ」(甲74及び甲75),1995年(平成7年)発行のカタログ「プラスチック充填物《テラレット》」(甲76),2004年(平成16年)及び2007年(平成19年)発行のカタログ「総合カタログ」(甲77及び甲78),2011年(平成23年)発行の「充填物カタログ」(甲79)に,請求人商品である「テラレットのS-O型」の商品をその立体的形状とともに掲載した。
請求人商品のカタログの発行部数は,1995年から2016年の21年間に,約24,800部であり,請求人や請求人の代理店を通じて,日本全国に配布している(請求人の主張,甲102?甲106の3)。
(カ)その他
1991年(平成3年)以降に発行された請求人以外による特許公報等に,請求人商品が,当業者(化学工業に従事する者)の間で,不規則充填物の従来技術を用いた商品の一つであることが,その立体的形状とともに紹介された(甲30?甲35)。
ウ 本願指定商品の需要者の特殊性
本願の指定商品の需要者は,大掛かりな充填塔や装置を使用する専門性が高い化学工業界の企業であり,一般の消費者ではないところ,指定商品である合成樹脂製不規則充填物は,専門性が高い特殊な商品であり,市場規模が大きいものとはいえないことから,これらの充填物を販売する会社は,概して規模が小さく非上場会社がほとんどである上,会社の数は6社程度である中,請求人は,この業界のパイオニア的な存在である(請求人の主張)。
エ 請求人商品の不正競争防止法における商品形態の商品等表示性についての判決(東京地裁平成29年6月28日判決・平成27年(ワ)第24688号)
請求人は,本事件において,被告に対し,被告の製造・販売する充填物(以下,「被告商品」という。)が請求人の商品等表示として周知な請求人商品「テラレット」(型式の一つとして「S-O型」が含まれる。)の形態と類似し,誤認混同のおそれがあるとして,不正競争防止法第2条第1項第1号,第3条第1項に基づき,被告商品の製造・販売の差止め,同法第3条第2項に基づき,被告が占有する被告商品の廃棄及び被告商品を製造するために使用した金型の除却,同法第4条,第5条第2項に基づき,5568万2000円及びこれに対する平成27年9月12日(訴状送達の日の翌日)から支払い済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求めた。
判決において,請求人の「テラレット」という名称は,プラスチック充填物の商品名であるとともに,不規則充填物の形状の一つを示す用語として用いられており,請求人は,他社製の不規則充填物とは全く異なる特殊かつ独自な形状を有する商品をこれまで何らの変更を加えず,長期間にわたり継続的かつ独占的に製造・販売しており,そのため,請求人商品(S-O型)は,同種のその他の商品と識別する極めて強い自他商品識別機能及び出所表示機能を有しているものであって,商品等表示性を有する,と認定された。さらに,平成24年頃には日本国内の需要者間で広く認識され,請求人商品であることを示す商品表示として周知となっていた事情が認められるとして,被告商品の製造・販売の差止め,及び損害賠償金の支払いを認めた判決である(請求人の主張)。
(3)小括
上記(2)によれば,請求人は,昭和39年6月に請求人商品の販売を開始して以来,現在まで約56年間にわたって,日本全国において,本願の指定商品に,一貫して本願商標の立体的形状と同一と認められる形状を維持しており,請求人商品は,昭和39年頃から,請求人以外による文献等,雑誌,特許文献等に,従来技術を用いた商品として知られているものであることが,頻繁に掲載されている。その掲載においては,必ずその立体的形状が明瞭に記載され,その立体的形状が需要者の目につきやすく,強い印象を与えるものといえる。
また,昭和39年以降のカタログ,昭和42年以降の雑誌,平成17年以降の展示会への出展等の,長期間にわたる多額の広告費をかけた多数の広告が行われ,それらの広告においては,請求人商品の立体的形状が掲載され,請求人の代表的な商品として,そのデザイン性を強調し,その形状自体を需要者に印象づける広告宣伝が行われてきた。
さらに,請求人は,我が国において,請求人商品に類似した立体的形状の他社の商品に対して,販売の差止めを求める法的措置を採っており,その結果,請求人商品と類似する立体的形状の商品は市場において販売されていないと認められる。
そして,当審においてした職権調査によっては,本願の指定商品について,本願商標のように中央リングの周囲から外側に向かって放射状に延伸する9個の周辺リングからなり,周辺リングと中央リングとが略直交するように一体化された立体的形状を請求人以外の者が使用している事実は発見できなかった。
上記に挙げた点に照らせば,遅くとも審決時までには,請求人商品の立体的形状は,需要者において,他社製品と区別する標識として認識されるに至ったものと認められるから,本願商標に係る立体的形状は自他商品識別力を獲得していると認めるのが相当である。
そうすると,本願商標は,その指定商品について,請求人により約56年間にわたり継続的に使用された結果,形状それ自体によって,需要者が,請求人の業務に係る商品を表示する商標として認識されるに至ったものとみるのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
4 結論
以上によれば,本願が商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しないとして本願を拒絶した原査定の拒絶理由は解消し,また,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものの,同条第2項の要件を具備するものであり,商標登録を受けることができるものであるから,原査定は取消しを免れない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。


別掲

別掲1 本願商標(色彩は原本参照。)



審決日 2020-09-11 
出願番号 商願2018-28974(T2018-28974) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (W11)
最終処分 成立 
前審関与審査官 齋藤 健太赤澤 聡美浦崎 直之 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 山根 まり子
豊田 純一
代理人 村山 靖彦 
代理人 高柴 忠夫 
代理人 安部 聡 
代理人 眞島 竜一郎 
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