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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 042
管理番号 1365124 
審判番号 取消2018-300582 
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-07-31 
確定日 2020-07-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第3192796号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3192796号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3192796号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成4年9月30日に登録出願、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与」を指定役務として、同8年8月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年8月9日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成27年8月9日から同30年8月8日までを、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び弁駁書において、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)使用標章について
被請求人は、本件商標の使用証拠として、代表取締役及び統括プログラマーの名刺の表面の写し(乙2、乙3)と、講演会で配布された冊子の写し(乙4)を提出しているが、そこに印刷された標章(以下「使用標章」という。)はいずれも、「UnICORn」の文字部分が上段、一角獣の図形部分が下段に構成されており、文字部分が下段、図形部分が上段に構成された本件商標とは、構成が相違する。
よって、使用標章と本件商標とは、社会通念上同一の商標に該当しない。
なお、とりあえず、使用標章を本件商標と社会通念上同一の商標であると仮定し、乙第1号証ないし乙第4号証によって、この使用標章が要証期間内に使用されていることを証明できないことを説明する。
(2)乙第1号証について
乙第1号証は、「請求書」とのことであるが、会社印や角印などの印鑑が捺印されておらず、実際に「エフピーネット株式会社」(以下「エフピーネット社」という。)に対し、「GMO決済機能(トークン決済)修正に伴うシステム改造費」として発行された請求書かどうか疑わしい。
また、答弁書によれば、「なお、同請求書中には商標の記載がないが、その理由は、請求書はワード文書にて作成され、メール添付の形で発注者に送付されるため」とあり、ワード文書のままメール添付された請求書を発注者に送付していると思われるが、ワード文書のまま送った場合、受け取った側が自由に改変可能であることから、この被請求人の主張は客観的にみてもおかしい。
さらに、被請求人は「受領した請求書は電子的に処理されるため、請求事項にとって不必要なロゴマーク等の記載は絶対に避けて欲しい旨の要求があり」と主張しているが、電子的に処理される際に、なぜロゴマークが入っていてはいけないかの合理的な説明がなく、この主張に関しても客観的にみておかしい。
以上のように、乙第1号証は、実際に発行された請求書かどうか疑わしいものであり、そもそも、この請求書には本件商標が印字・印刷されていないことから、本件商標が使用されていることの証拠にはなり得ない。
(3)乙第2号証及び乙第3号証について
いずれの名刺も、いつ印刷されたものかは不明であり、その上、これら名刺が請求書の対象役務である「GMO決済機能(トークン決済)修正に伴うシステム改造」の際にエフピーネット社に配布されたかは不明である。
さらに、これらから商標権者が提供する役務を特定することはできないし、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与」(以下「取消請求役務」という。)のどの役務に使用されているのかも不明である。
以上より、これらの名刺が本件商標の使用証拠にはなり得ない。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は、2016年(平成28年)5月11日に名古屋において行われた中小企業経営者等が集まる勉強会での講演を基本とし、2016年(平成28年)7月に作成、その後配布を開始した冊子「必要なソフトウェアを手にいれるためには」とのことであり、最終頁に、使用標章と、被請求人の連絡先が記載されている。
しかしながら、この冊子の表紙には「2018年7月(第3版)」との記載があることから、この冊子は2018年7月より前に配布されていないことは明らかである。
これより、仮にこの冊子の記載によって本件商標の使用が確認できたとしても、審判請求(2018年8月9日)前3月以内の使用行為、すなわち、「駆け込み使用」であり、商標法第50条第3項ただし書の「正当な理由」も存在しない。
さらに、被請求人は、「商標権者との関連性は、事例紹介としての『当社が実際の現場で企画・提案し、設計し、プログラムを作って』という記載で充分であり」と主張しているが、この記載だけで、被請求人が取消請求役務に使用標章を使用している客観的な証拠にはなり得ない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
1 乙第1号証ないし乙第3号証について
商標権者(被請求人)は、請求書(乙1)に記載されているとおり、2017年(平成29年)12月22日までの期間に、エフピーネット社から「GMO決済機能修正に伴うシステム改造」の発注を受け、プログラムの改造作業を行い、納入を行っている。
なお、同請求書中には商標の記載がないが、その理由は、請求書はワード文書にて作成され、メール添付の形で発注者に送付されるため、システム資源を消費するロゴマーク等が忌避される傾向にあるためである。かつて、エフピーネット社以外からではあるが、受領した請求書は電子的に処理されるため、請求事項にとって不必要なロゴマーク等の記載は絶対に避けて欲しい旨の要求があり、それ以来、全ての請求書に関して商標の記載を止めたものである。
この場合において、商標権者が提供する指定役務(プログラムの設計、作成)と商標の結び付けは、代表者及び従業員の名刺にて行っており(乙2、乙3)、顧客においては明確に認識されている。
2 乙第4号証について
商標権者は、営業活動において、問題解決型ソフトウェア会社を標榜しており、指定役務は商標権者が提供する役務のうちの一部であるという説明を行っている。また、商標権者は広く一般に知られるよりも、狭い領域、業界でしか知られていないが、その部分においては商標権者を認知していないことがマイナスとなるような存在を目指している。
そのような営業戦略と合致させるために、一般向けのウェブサイトは設置しておらず、また一般向けの会社案内も作成していない。特別な紹介等を受け、特性を理解していただいた上での商取引が期待できる顧客候補に対してのみ、商標権者が考えるソフトウェアというものの解説を中心とした、特別な冊子を配布し、会社案内の代わりとしている(乙4)。
この冊子「必要なソフトウェアを手にいれるためには」(以下「小冊子」という。)は、2016年(平成28年)5月11日に名古屋でおいて行われた中小企業経営者等が集まる勉強会での講演を基本とし、同年7月に作成し、配布を開始したものである。内容はソフトウェア開発に関わる話が中心となっていて、商標権者の作成したソフトウェアを前面に押し出したものではないが、この構成は問題解決型というコンセプトに合致するものである。
商標権者との関連性は、事例紹介としての「当社が実際の現場で企画・提案し、設計し、プログラムを作って」という記載で充分であり、講演の参加者や小冊子の配布者からは、商標権者が作成したシステムという認識の下での事例問合せがあった。
最後の頁には、連絡先と合わせて商標が記載されている。一般的に配布している名刺にはメールアドレスの記載がないため、特別な人に対してのみ渡す宣伝材料として認識され、充分な効果を発揮している。
3 乙第5号証について
小冊子の第1版(乙5)は、商標法第2条第3項第8号に規定される「役務に関する広告」に該当する。
この小冊子の内容は、ビジネス現場で使用されるソフトウェアの重要ポイントの解説が中心であり、一見すると商標権者が提供する役務(プログラムの設計、作成)の広告ではないかのように思える。しかし、商標権者は単なるプログラムの作成ではなく、顧客が抱える問題の総合的な解決を自らの事業領域と考え、それに資する役務の提供こそが中心であるとしてきた。このような役務を広告するためには、過去の実績の単なる羅列などではなくて、小冊子記載のようなソフトウェア利用のための哲学を説くことが非常に重要である。
そして、商標権者は、自らの事業領域はコンサルテーションなどではなく、実際にプログラムの設計、作成を行うことであると、事例紹介に関連して、「当社が実際の現場で企画・提案し、設計し、プログラムを作って」という記載により表現している。必要な能力が不足し、かつ、顧客の利益を尊重しないような開発企業による各種トラブルに泣かされてきたユーザー企業にとっては、小冊子記載のような知見を持つ開発企業は安心感を与える。小冊子は、この点からの信頼獲得に大きく貢献し、広告としての役割を果たしている。
小冊子第1版は商標権者の社内で保管されていたものではなく、小冊子を作成するきっかけとなった平成28年5月11日の名古屋での勉強会「暁の会」において事務局長を務めていたU氏所有のものを複写したものである。
U氏所有の小冊子は、当時、商標権者が取引関係を構築したいと考えていた株式会社オクトに対して、商標権者の紹介資料としてU氏から渡して欲しいと考えていたものであり、平成29年1月29日に託したものである。この詳しい経緯については、令和元年7月26日付けのU氏の陳述書(乙6)に記載のとおりである。
小冊子の第2版及び第3版に関しては、商標権者の元に電子元版たるファイルがあるため、必要に応じて何部でも作成が可能である。しかし、第1版に関しては、平成29年5月に、総務・管理的業務に使用していたパソコンのディスク装置(SSD)が壊れてしまい、バックアップデータに関しても各種トラブルが重なったため、電子データを消失してしまっている。そのため、商標権者の手元には、紙媒体、電子データ両方の元版が存在せず、商標権者単独では小冊子第1版を確保できなかった。
4 名刺に印刷されている標章(以下「名刺標章」という。)と本件商標の構成の差異について
請求人指摘のとおり、名刺標章は「UnICORn」の文字部分が上段、一角獣の図形部分が下段という構成であり、文字部分が下段、図形部分が上段の構成である本件商標とは異なる。
当該名刺は、本件商標が登録出願された平成4年9月30日前後に、富山県高岡市内の印刷会社にて印刷されたものである。その後、印刷会社を変えながらも、当初のものを原版として全く同一のもの(名刺標章も含む。)を作成し、使用してきた。今回、なぜ文字部分と図案部分の構成が逆になったのか調査したところ、明確な理由は判明しなかったが、実際の使用にあたっては、両者とも、一角獣の図形部分と特徴的な文字部分が含まれており、商号たるユニコーンを伝播するためには必要十分なものであった。
5 小冊子第1版(乙5)中の標章(以下「第1版標章」という)と小冊子第2版(乙7)中の標章(以下「第2版標章」という)、小冊子第3版(乙4)中の標章(以下「第3版標章」という)との差異について
商標権者の本社は東京都国立市にあり、創業時から平成4年の名刺作成の頃までは、ソフト開発作業などの一切を本社にて行っていた。その後、平成7年春頃より、東中野に開発分室を構え、ソフト開発などの一部作業を行うようになった。これは、多くの顧客が都心に存在するため、サポート等の関係で顧客に近い場所に人員を配置することが必要となったためであり、その後、開発分室の比重が高まり、総務分野を含むほとんど全ての作業を開発分室で行うようになった。
小冊子第1版は、平成28年5月の名古屋での勉強会での講演をベースに修正等を加え、同年7月に完成した。この際、第1版標章には、本件商標を使用した。当時、本件商標の更新を間近に控えており、開発分室に本件商標に関する資料を準備していた。そのため、新たに小冊子を作成するに当たり、本件商標をスキャナーで読込、記載した。それからしばらくの間、必要に応じて小冊子第1版を印刷し、配布した。今回、U氏より複写を入手した小冊子第1版も、そのような中で印刷、配布されたものである。
小冊子第2版は、平成29年5月に、総務・管理的業務に使用していたパソコンのディスク装置が突然壊れるという事態の下で、急遽再作成した。幸いなことに小冊子本文については、マイクロソフトワードにて文書を仕上げる前の段階のテキストファイルが存在していたので、それを元に再構築し、そこに名刺標章を記載したものである。
この時、本件商標の更新手続きは完了していたため、関係する各種資料は本社に送付、収納してしまっていた。その状況下で、急遽小冊子を配布する必要が生じたのであるが、本社まで出向き、本件商標を準備する余裕はなかった。そのため、手元にあった名刺をスキャナーで取込み、第2版標章としたのであり、本件商標と名刺標章との間に大きな違いはないと認識していた。
その後、平成30年7月に、小冊子第3版を作成したが、これは小冊子第2版を元に一部分を改訂したものであるので、第3版標章も名刺標章となっている。
6 弁駁に対する意見
請求人は、過日商標権者が提出した、代表取締役及び統括プログラマーの名刺(乙2、乙3)に印刷されている標章及び第3版標章に関して、本件商標とは社会通念上同一の商標に該当しないと主張している。一方、商標権者は、両者は社会通念上同一の商標に該当すると考えるが、仮に両者が異なるものであった場合をも想定して、上記の説明を行った。
また、請求人の乙第4号証に対する主張のうち、「この冊子は2018年7月より前に配布されていないことは明らかである。」という部分に対して、小冊子第1版を提出し、要証期間内での本件商標の使用を主張する。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠について
(1)乙第1号証は、被請求人が、エフピーネット社から「GMO決済機能修正に伴うシステム改造」の発注を受け、プログラムの改造作業を行い、納入を行った際の商標権者の請求書と主張するものである。
乙第1号証の右上には、「平成29年12月22日」の日付が表示されており、「請求書」の文字の左下には、「エフピーネット株式会社 御中」「下記のとおりご請求申し上げます。」の記載があり、右下には、郵便番号、住所、代表取締役名と共に「株式会社ユニコーン」の表示がある。そして、さらにその下にある表には、「件名」として「GMO決済機能(トークン決済)修正に伴うシステム改造費」の表示、「ご請求金額」として「¥1,080,000」の表示がある。
なお、会社印や角印などの押印はなく、本件商標の表示も見当たらない。
(2)乙第2号証は、被請求人が、商標権者の代表取締役の名刺と主張するものであり、乙第3号証は、被請求人が、商標権者の統括プログラマーの名刺と主張するものである。
そして、乙第2号証及び乙第3号証には、いずれも、左上部に本件商標と図形部分と文字部分の構成が入れ替わった標章が表示され、中央に大きくそれぞれの氏名が表示されており、氏名の上部には、小さめの文字でそれぞれの役職が表示され、氏名の下には、「株式会社ユニコーン」の表示と共に、郵便番号、住所、電話及びFAX番号が小さく表示されている。
なお、乙第2号証及び乙第3号証に係る名刺の作成時期、作成部数等の作成事実、配布時期、配布先等の配布事実を客観的に裏付ける資料は提出されていない。
(3)乙第4号証は、被請求人が、商標権者が顧客に対し配布した小冊子と主張するものであり、表紙の上部には、「必要なソフトウェアを手にいれるためには」の表示があり、下部には「2018年7月」「(第3版)」の表示がある。
そして、12頁には、「当社連絡先」として「株式会社ユニコーン」の表示があり、電話番号、メールアドレスが表示され、その右には、本件商標とは図形部分と文字部分の構成が入れ替わった標章が表示されている。
また、下部には、「UnICORnは株式会社ユニコーンの登録商標です。」、「エクセルなどは、各社の登録商標です。」及び「第3版 2018年7月」の表示がある。
なお、乙第4号証に係る小冊子の作成部数や配布先、配布時期、配布部数等の配布事実を客観的に裏付ける資料は提出されていない。
(4)乙第5号証は、被請求人が、U氏が所有していた小冊子の写しと主張するものであり、表紙の上部には、「必要なソフトウェアを手にいれるためには」の表示があり、下部には「2016年7月」「(第1版)」の表示がある。
そして、12頁には、「当社連絡先」として「株式会社ユニコーン」の表示があり、電話番号、メールアドレスが表示され、その右には、本件商標と同一の標章が表示されている。
また、下部には、「UnICORnは株式会社ユニコーンの登録商標です。」、「エクセルなどは、各社の登録商標です。」及び「第1版 2016年7月」の表示がある。
なお、乙第5号証に係る小冊子の作成部数や配布先、配布時期、配布部数等の配布事実を客観的に裏付ける資料は提出されていない。
(5)乙第6号証は、被請求人が、平成28年5月11日に名古屋で開催された勉強会「暁の会」において事務局長を務めていたU氏の陳述書であると主張するものである。
これには、平成29年1月29日に、商標権者が、取引関係を構築したいと考えていた株式会社オクトに対して、商標権者の紹介資料として渡してくれるように、U氏に乙第5号証に係る小冊子を預けた旨の記載がある(4頁?5頁)。
なお、同陳述書には、U氏が当該小冊子を株式会社オクトに渡したのかどうかについては、記載されていない。
(6)乙第7号証は、被請求人が、商標権者が平成29年5月に再作成した小冊子であると主張するものであり、表紙の上部には、「必要なソフトウェアを手にいれるためには」の表示があり、下部には「2017年5月」「(第2版)」の表示がある。
そして、12頁には、「当社連絡先」として「株式会社ユニコーン」の表示があり、電話番号、メールアドレスが表示され、その右には、本件商標とは図形部分と文字部分の構成が入れ替わった標章が表示されている。
また、下部には、「UnICORnは株式会社ユニコーンの登録商標です。」、「エクセルなどは、各社の登録商標です。」及び「第2版 2017年5月」の表示がある。
なお、乙第7号証に係る小冊子の作成部数や配布先、配布時期、配布部数等の配布事実を客観的に裏付ける資料は提出されていない。
2 判断
(1)乙第1号証ないし乙第3号証について
乙第1号証は、被請求人が、エフピーネット社から「GMO決済機能修正に伴うシステム改造」の発注を受け、プログラムの改造作業を行い、納入を行った際の商標権者の請求書と主張するものであるが、当該請求書には、商標権者の名称である「株式会社ユニコーン」の文字は表示されているものの、本件商標は表示されていない。
一方、被請求人が名刺と主張する乙第2号証及び乙第3号証に表示された標章は、本件商標とは図形部分と文字部分の構成が入れ替わったにすぎないものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標といい得るとしても、当該名刺には、標章のほか、「代表取締役」及び「統括プログラマー」という役職名、それぞれの氏名、商標権者名である「株式会社ユニコーン」の文字、郵便番号、住所、電話及びFAX番号が記載されているのみで、名刺に表示された者がいかなる役務を提供しているのかを把握することができない。
被請求人は、商標権者が提供するプログラムの設計、作成と商標の結び付けは代表者及び従業員の名刺にて行っており、顧客においては明確に認識されている旨主張しているが、乙第2号証及び乙第3号証に係る名刺が「GMO決済機能修正に伴うシステム改造」の際にエフピーネット社に配布された事実を認めるに足りる証拠はないから、乙第1号証ないし乙第3号証を併せて考慮しても、商標権者が、取消請求役務のいずれかについて、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたとみることはできない。
(2)乙第4号証ないし乙第7号証について
被請求人(商標権者)は、一般向けのウェブサイトは設置しておらず、また一般向けの会社案内も作成していないとし、特別な紹介等を受け、商取引が期待できる顧客候補に対してのみ、商標権者が考えるソフトウェアというものの解説を中心とした、特別な冊子を配布し、会社案内の代わりとしている旨主張し、小冊子の第1版(乙5)、第2版(乙7)及び第3版(乙4)を提出している。
しかしながら、被請求人は、いずれも小冊子であるとしているが、乙第4号証及び乙第7号証は、単なる文書データの出力物のように見受けられ、いずれも、冊子としての体裁が整っているものとはいい難く、乙第5号証は、被請求人自身が、小冊子の複写物と主張しているものである。
また、被請求人は、当該小冊子における「当社が実際の現場で企画・提案し、設計し、プログラムを作って」という記載内容から、商標権者が取消請求役務に係るプログラムの設計、作成を行っていることがわかると主張すると共に、講演の参加者や冊子の配布者からは、商標権者が作成したシステムという認識の下での事例問合せがあった旨主張している。
しかしながら、「当社が実際の現場で企画・提案し、設計し、プログラムを作って」の一文が記載されていることのみをもって、被請求人が取消請求役務を提供していた事実を認めることはできないし、被請求人が主張している「講演の参加者や冊子の配布者からの問合せ」があった事実については立証されていない。
そして、何より、これらの小冊子を、いつ、いかなる顧客に対して配布したのかは、乙第6号証に係る陳述書の記載を考慮しても、客観的に把握することができず、当該小冊子の配布事実は、証明されていないといわざるを得ない。
してみれば、当該小冊子は、上述のとおり、冊子としての体裁が整っているものとはいい難いものである上、これらの小冊子の作成部数や配布先、配布時期、配布部数等の配布事実は、証明されていないといわざるを得ないことに加え、商標権者が、プログラムの設計、作成という役務を提供したという事実を認めるに足りる証拠も見いだせないことからすれば、当該小冊子に表示された標章が、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標であるとしても、商標権者が、要証期間内に、自らが提供する役務(プログラムの設計、作成)について、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用していたと認めることはできない。
(3)被請求人の主張について
被請求人は、乙第1号証に係る請求書に商標の記載がない理由について、「請求書はワード文書にて作成され、メール添付の形で発注者に送付されるため、システム資源を消費するロゴマーク等が忌避される傾向にある。かつて、エフピーネット社以外からではあるが、受領した請求書は電子的に処理されるため、請求事項にとって不必要なロゴマーク等の記載は絶対に避けて欲しい旨の要求があり、それ以来、全ての請求書に関して商標の記載を止めたものである。」旨主張している。
しかしながら、請求書にロゴマークが入っていてはいけないことについての合理的な説明がないことから、顧客の要望により、請求書に商標を記載しないようにしていたのだとしても、そのことが、本件商標を使用していないことについての正当な理由であるということはできない。
(4)小括
以上からすれば、商標権者が、要証期間内に、日本国内において、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)使用していたと認めることはできない。
その他、要証期間において、本件商標に係る商標権者又は使用権者が、取消請求役務のいずれかについて、本件商標の使用をしたことを認めるに足りる証拠の提出はない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消請求役務について本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
【別掲】
本件商標


審理終結日 2020-04-30 
結審通知日 2020-05-11 
審決日 2020-06-17 
出願番号 商願平4-279138 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (042)
最終処分 成立 
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 冨澤 美加
鈴木 雅也
登録日 1996-08-30 
登録番号 商標登録第3192796号(T3192796) 
商標の称呼 ユニコーン 
代理人 茅原 裕二 
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