ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 129 |
---|---|
管理番号 | 1365035 |
審判番号 | 取消2019-300713 |
総通号数 | 249 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-09-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2019-09-24 |
確定日 | 2020-07-13 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1045963号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第1045963号商標(以下「本件商標」という。)は,「もっちり」の平仮名を横書きしてなるものであり,昭和46年6月14日登録出願,第32類「食用水産物,加工食料品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として,同48年12月6日に設定登録され,その後,平成16年3月10日に指定商品を第29類「食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」,第30類「穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」,第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,コプラ,麦芽」及び第32類「飲料用野菜ジュース」とする指定商品の書換登録がされたものである。 そして,本件審判の請求の登録日は,令和元年10月7日である。 なお,本件審判において,商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成28年10月7日ないし令和元年10月6日である(以下「要証期間」という場合がある。)。 第2 請求人の主張 請求人は,本件商標の指定商品中,第29類「食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 本件商標は,その指定商品中,第29類「食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用している事実は認められないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 なお,請求人は,被請求人提出の審判事件答弁書に対して,何ら弁駁していない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 被請求人は,本件取消請求に係る商品について,本件商標を,本件審判請求の予告登録前3年以内に使用している。 2 本件商標を使用している商品 (1) わかめの佃煮(加工水産物)(乙1,乙2) 被請求人は,加工水産物の範ちゅうに属する商品「わかめの佃煮」 について,本件商標と社会通念上同一の商標を使用している。 かかる事実は,被請求人が2018年末から2019年前半にかけて頒布した商品カタログ「フジッコ総合商品カタログ2019 春・夏」(乙1)の第4頁に掲載される商品「佃煮小鉢 味わかめ 2P」の写真から明らかである。 前記商品に「もっちり」を表示する行為は,商品の包装に標章を付する行為(商標法第2条第3項第1号)に該当する。 前記カタログは,兵庫県西宮市所在の株式会社小西印刷所が印刷と製本を行い,本件審判請求の予告登録前3年以内の2019年1月16日に300部が被請求人に納品された(乙2)。 被請求人は当該カタログを全国の食品スーパーの購買担当者などに頒布しているが,かかる行為は,商品に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)に該当する。 (2)こんにゃく(乙3,乙4) 被請求人は,「こんにゃく」について本件商標と社会通念上同一の商標を使用している。 かかる事実は,被請求人の担当者が2019年2月6日に食品スーパーで撮影した写真(乙3,乙4) から明らかである。 上記食品スーパーで撮影した写真のうち1つは,関西スーパー琵琶店の陳列棚撮影写真(乙3の1) から抽出した,商品「こんにゃく」の陳列場所を拡大した画像(乙3の2)であり,もう1つは,関西スーパーセルバ店の陳列棚撮影写真(乙4の1)から抽出した,商品「こんにゃく」の陳列場所を拡大した画像(乙4の2)である。 商品「こんにゃく」に「もっちり」を付する行為は,商品の包装に標章を付する行為(商標法第2条第3項第1号)に該当し,これを食品スーパーにおいて販売の為に陳列する行為は,商品の包装に標章を付したものを譲渡又は引き渡しのために展示する行為(商標法第2条第3項第2号)に該当する。 なお,関西スーパー琵琶店の陳列棚撮影写真(乙3の1)の左上に確認できる「紅しょうが」の賞味期限は2019年5月31日である(乙3の3)。 また,関西スーパーセルバ店の陳列棚撮影写真(乙4の1) の右下に確認できる「きんぴら」の消費期限は2019年3月22日である。その右側の「ひじき煮」の消費期限2019年3月23日である(乙4の3)。 以上のとおり,本件審判請求の予告登録日より前に,被請求人が,商品「こんにゃく」について本件商標を使用していたことは明らかであり,かつ,上記の拡大画像(乙4の3) で賞味期限を明確に確認できる被請求人の商品(「きんぴら」と「ひじき煮」)の賞味期間は製造後60日であることを考慮すれば,本件商標の使用が本件審判の予告登録日前3年以内であったことについて疑いを挟む余地はない。 なお,関西スーパーは,伊丹市所在の株式会社関西スーパーマーケットが関西一円で展開する食品スーパーである(乙5)。 第4 当審の判断 1 被請求人提出の証拠の内容 (1)乙第1号証は,「フジッコ総合商品カタログ」と題する商品カタログであり,表紙には,当該表題とともに「Fujicco General Catalog 2019 Spring & Summer」,「2019 春・夏」の記載がある。また,裏表紙には,該カタログの発効元である「フジッコ株式会社」,住所及びURLの記載がある。 なお,該カタログの発行日についての記載はない。 (2)上記カタログ4頁の「『佃煮小鉢』シリーズ」と題する項に,「もっちり」の平仮名を縦書きで表示した商品パッケージ「味わかめ」の画像とともに,商品名「佃煮 味わかめ 2P」の表示,賞味期間,標準小売価格等の商品情報を表す記載がある。 (3)乙第2号証は,株式会社小西印刷所が平成31年1月16日に,被請求人宛て前記カタログを納品したときの納品書であり,納品書には,品名「2019年春夏総合カタログ」,数量・単位「300部」の記載がある。 2 認定事実 (1)商標権者は,少なくとも2019年(平成31年)1月16日に,株式会社小西印刷所から300部の商品カタログについて,納品を受けたことが認められ,その納品書の記載内容が乙第1号証のカタログの表紙の記載と共通することから,乙第2号証の納品書の納品物は乙第1号証のカタログといえる。 (2)また,乙第1号証のカタログは,商品の写真及び価格等の商品情報により構成されているものであることから,顧客の商品選択のために販売する商品が掲載されたカタログといえ,これが2019年(平成31年)1月16日に商標権者へ300部納品されていることもあわせ考慮すると,当該カタログは,商標権者が顧客に提供するために制作し,遅くとも2019年春頃には,頒布されていたことが推認できる。 さらに,当該カタログに掲載された商品名「佃煮 味わかめ 2P」は,「わかめの佃煮」(以下「使用商品」という。)であって,当該商品には「もっちり」の平仮名を縦書きした文字(以下「使用商標」という。)の使用が認められる。 3 判断 (1)使用商標 本件商標は,前記のとおり,「もっちり」の平仮名を横書きしてなり,使用商標は,「もっちり」の平仮名を縦書きしてなるものであるから,横書きと縦書きとの差異はあるものの,本件商標と使用商標とは,社会通念上同一と認められる商標である。 (2)使用商品 使用商品である「わかめの佃煮」は,本件審判の請求に係る指定商品中の「加工水産物」の範ちゅうに属する商品である。 (3)使用者及び使用時期 使用商標の使用者は,商標権者であり,また,使用商品を掲載した2019春夏用のカタログが,商標権者に平成31年1月16日に納品され,遅くとも2019年春頃には頒布されたことが推認できるから,使用時期は,本件審判の請求の登録前3年以内といえる。 (4)小括 以上によれば,商標権者(被請求人)は,要証期間に,日本国内において本件審判の請求に係る指定商品中の「加工水産物」の範ちゅうに含まれる商品「わかめの佃煮」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した商品をカタログに掲載し,頒布した(商標法第2条第3項第8号に該当。)と認められる。 4 まとめ 以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者がその請求に係る指定商品について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。 したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審理終結日 | 2020-05-08 |
結審通知日 | 2020-05-13 |
審決日 | 2020-06-01 |
出願番号 | 商願昭46-62694 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(129)
|
最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
榎本 政実 |
特許庁審判官 |
齋藤 貴博 小松 里美 |
登録日 | 1973-12-06 |
登録番号 | 商標登録第1045963号(T1045963) |
商標の称呼 | モッチリ |
代理人 | 特許業務法人 有古特許事務所 |
代理人 | 豊崎 玲子 |