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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y32 |
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管理番号 | 1365027 |
審判番号 | 取消2019-300287 |
総通号数 | 249 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-09-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2019-04-09 |
確定日 | 2020-07-13 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第954510号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第954510号商標(以下「本件商標」という。)は,「タフボン」の片仮名を横書きしてなり,昭和44年7月2日に登録出願,第29類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,同47年3月21日に設定登録,その後,平成14年4月10日に指定商品を第32類「清涼飲料,果実飲料」とする指定商品の書換登録がされたものである。 そして,本件審判の請求の登録は,平成31年4月23日であり,当該登録前3年以内の期間である同28年4月23日から同31年4月22日までの間を,以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は,商標法第50条第1項により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 請求人は,被請求人の答弁に対し何ら弁駁するところがない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。 1 商標権者が,本件商標の出願前より現在に至るまで,本件商標の指定商品について,使用しており,少なくとも2016年(平成28年)6月17日以降,日本国内において,商標権者が,商品「果実飲料」について本件商標を使用しているものである。 2 2016年(平成28年)6月17日折込による広告チラシについて 広告チラシ(乙1)は,本件商標権者が「Honey Summer Gift(ハニーサマーギフト)」として,2016年(平成28年)6月17日金曜日ないし7月15日金曜日に開催したお中元セール用の折込用及びダイレクトメール用等のものである。 そして,広告チラシ(乙1)には,2016年(平成28年)6月17日金曜日ないし7月15日金曜日のお中元セール期間の広告であることが記載され,また,商品「果実飲料」,詳しくは,青梅をはちみつ漬けにして,飲みやすいドリンクにした,梅ドリンクが掲載されるとともに,その商品「果実飲料」の商標として「タフボン」の商標が付されている。 また,当該果実飲料の包装用箱及び包装用瓶に「タフボン」の商標が付された写真も掲載されている。さらに,当該商品の販売者として及び本広告チラシの発行人として,本件商標権者が記載されている。 そして,広告チラシ(乙1)に直接記載された商標「タフボン」は,本件商標と書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であって,社会通念上同一の商標である。また,当該広告チラシに掲載された,果実飲料の包装用箱に付された商標「タフボン」は本件商標と同一の商標であり,仮に字体が異なっているとしても,本件商標と書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であって,社会通念上同一の商標である。 なお,広告チラシ(乙1)は,本件商標権者が広告会社の東栄広告株式会社(以下「東栄広告」という。)に広告及び印刷を依頼し,東栄広告を介して株式会社朝日オリコミ(以下「朝日オリコミ」という。)に頒布させ,あるいは自社でダイレクトメール等の営業用に使用したものである。 また,商品「果実飲料」のラベル(乙3)は,商品「果実飲料」の包装用瓶に貼付されるラベルであり,折込用及びダイレクトメール用の広告チラシ(乙1)に掲載された商品「果実飲料」の包装用瓶に貼付されて写っているラベルであり,このラベルの表側に付された商標「タフボン」は,本件商標と横書きと縦書きの違いはあっても,字体は本件商標と同一であり,社会通念上同一の商標であり,このラベルの裏側に付された商標「タフボン」は,本件商標と書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であって,社会通念上同一の商標である。 また,広告チラシ(乙1)の見積書に添付された折込先明細書(乙2)には,広告主が本件商標権者であること,新聞への折込日が2016年(平成28年)6月17日であること総発行部数が4万7850枚であること,配布先が,日本国内の埼玉県の鴻巣市,北本市及び加須市であることが記載されている。 したがって,乙第1号証ないし乙第3号証によれば,本件商標権者が,日本国内で,商品「果実飲料」の包装に登録商標「タフボン」を付していること,商品「果実飲料」の包装に登録商標「タフボン」を付して商品「果実飲料」を販売していること,商品「果実飲料」に関する広告としての広告チラシに商標「タフボン」を付して頒布していること,2016年(平成28年)6月17日に当該広告チラシが頒布されていることが明らかである。 3 2018年(平成30年)6月15日折込による広告チラシについて 広告チラシ(乙4)は,本件商標権者が「Honey Summer Sale(ハニーサマーセール)」として,2018年(平成30年)6月15日金曜日ないし7月14日土曜日に開催した夏のセール用の折込用及びダイレクトメール用等のものである。 また,広告チラシ(乙4)には,2018年6月15日金曜日ないし7月14日土曜日のセール期間の広告であることが記載され,さらに,商品「果実飲料」,詳しくは,青梅をはちみつ漬けにして,飲みやすいドリンクにした,梅ドリンクが掲載されるとともに,その商品「果実飲料」の商標として「タフボン」の商標が付されている。また,当該果実飲料の包装用箱及び包装用瓶に「タフボン」の商標が付された写真も掲載されている。 さらに,当該商品の販売者として及び本広告チラシの発行人として,本件商標権者が記載されている。 そして,広告チラシ(乙4)に直接記載された商標「タフボン」は,本件商標と書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であって,社会通念上同一の商標である。また,当該広告チラシに掲載された,果実飲料の包装用箱に付された商標「タフボン」は本件商標と同一の商標であり,仮に字体が異なっているとしても,本件商標と書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であって,社会通念上同一の商標である。 なお,広告チラシ(乙4)は,本件商標権者が広告会社の東栄広告に広告及び印刷を依頼し,東栄広告を介して朝日オリコミに頒布させ,あるいは自社でダイレクトメール等の営業用に使用したものである。 また,折込用及びダイレクトメール用の広告チラシ(乙4)の見積書に添付された折込先明細書(乙5)及び広告チラシ(乙4)の配布明細書(乙6)には,広告主が本件商標権者であること,新聞への折込日が2018年(平成30年)6月15日であること,総発行部数が4万5050枚であること,配布先が,日本国内の埼玉県鴻巣市,北本市及び加須市であることが記載されている。 したがって,乙第4号証ないし乙第6号証によれば,本件商標権者が,日本国内で,商品「果実飲料」の包装に登録商標「タフボン」を付していること,商品「果実飲料」の包装に登録商標「タフボン」を付して商品「果実飲料」を販売していること,商品「果実飲料」に関する広告としての広告チラシに商標「タフボン」を付して頒布していること,2018年(平成30年)6月15日に当該広告チラシが頒布されていることが明らかである。 4 日本ローヤル商事株式会社との取引について 納品書(控)(納品書番号1812,乙7)には,商品名欄に「タフボン 梅ドリンク(はちみつ入り)」と記載され,本件商標権者が,東京都板橋区高島平に存する日本ローヤル商事株式会社に2018年(平成30年)4月19日に「タフボン」の商標を用いて梅ドリンク,即ち果実飲料を販売した事実が記載されている。 さらに,納品書(控)(納品書番号2100,乙8)には,商品名欄に「タフボン 梅ドリンク(はちみつ入り)」と記載され,本件商標権者が,大阪府大阪市中央区瓦屋町に存する株式会社べついん商店に2018年(平成30年)5月24日に「タフボン」の商標を用いて梅ドリンク,即ち果実飲料を販売した事実が記載されている。 上記納品書(控)(乙7,乙8)は,折込用及びダイレクトメール用の広告チラシ(乙1)の「Honey Summer Gift(ハニーサマーギフト)」期間の取引,あるいは折込用及びダイレクトメール用の広告チラシ(乙4)の「Honey Summer Sale(ハニーサマーセール)」期間の取引ではないが,上記納品書(控)(乙7,乙8)の商品名欄に記載された商標及び商品名「タフボン 梅ドリンク」は,広告チラシ(乙1,乙4)に記載された商標及び商品名と一致するものである。 そして,納品書(控)(乙7,乙8)に記載された商標「タフボン」は,本件商標と書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であり,社会通念上同一の商標であり,商品「梅ドリンク」は指定商品「果実飲料」に含まれている。 しがって,乙第1号証,乙第4号証,乙第7号証及び乙第8号証によれば,本件商標権者が,日本国内において,少なくとも2018年(平成30年)4月ないし5月に,商品「果実飲料」,詳しくは梅ドリンクを「タフボン」の登録商標を使用して販売している事実が明らかである。 5 まとめ 上記各証拠により,本件商標が,本件商標者により,商品「果実飲料」詳しくは,青梅をはちみつ漬けにして,飲みやすいドリンクにした「梅ドリンク」に使用されて,少なくとも2016年(平成28年)4月19日以降,本件商標が付された「果実飲料」が日本国内の市場に流通していることは明白であり,本件商標に係る指定商品についての本件商標の使用の事実は明らかである。 第4 当審の判断 1 証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。 (1)「Honey Summer Sale」と題するB4版の広告チラシ(乙4)には,「’18 6/15金?7/14土」「タフボン 梅ドリンク(審決注:ゴシック体風に表してなる。)」「180g×6 1,200円」「青梅をはちみつ漬けにして,飲みやすいドリンクにしました。『果実飲料』」の記載とともに,当該飲料2本と「タフボン/梅ドリンク/はちみつ入り」と表示された段ボールケースの写真が掲載され,商品の注文先及び問い合わせ先として,本件商標権者の名称及び住所並びに電話番号及びFAX番号が記載されている。 したがって,本件商標権者は,平成30年6月頃の広告チラシにおいて,「タフボン」と称する「青梅をはちみつ漬けした果実飲料」を取り扱っていたことが認められる。 (2)東栄広告が本件商標権者に宛てた平成30年6月1日付け見積書(乙5)の1葉目には,「チラシ・平成30年6月15日折込分」「●印刷/B4 4C/4C/※折込用は45,050部」の記載があり,2葉目には,「B4チラシ 平成30年6月15日(金) 折込分」「鴻巣市 朝日 毎日 読売」「北本市 朝日 毎日 読売」「加須市 読売」に各折込数と「合計 45,050」の記載がある。そして,朝日オリコミ作成の配布明細書(乙6)には,広告主「埼玉養蜂様」,折込日「2018年6月15日(金)」,サイズ「B4」,「朝日新聞,毎日新聞,読売新聞」の各配布数,総部数「45,050」,タイトル「お中元」の記載があり,朝日新聞,毎日新聞,読売新聞の各配布数は上記見積書に記載の各折込数と一致する。 朝日オリコミは,日本全国の主要日刊新聞への折込広告を取り扱う会社であり,折込チラシは,新聞販売店を通じ購読世帯へ配布されるものである(職権調査)。 2 上記1の認定事実によれば,以下のとおり判断できる。 (1)使用者について 上記1(1)のとおり,「タフボン(以下「本件使用商標」という。) 梅ドリンク」が掲載された広告チラシの商品の注文先及び問い合わせ先は,本件商標権者であるから,本件使用商標が付された本件広告チラシは,本件商標権者の作成に係るものと認められる。 したがって,本件商標の使用者は,本件商標権者である。 (2)使用時期について 上記1(1)及び(2)のとおり,2018年(平成30年)6月15日ないし同年7月14日を「Honey Summer Sale」期間として本件使用商標が付されたB4版の広告チラシは,東栄広告が遅くとも当該Sale期間の前日である同年6月14日までに印刷し,同月15日に朝日オリコミにより,埼玉県鴻巣市・北本市・加須市の朝日新聞,毎日新聞,読売新聞の新聞購読世帯に頒布されたと認められる。 そして,当該チラシを頒布した平成30年6月15日は,要証期間内である。 (3)使用商品について 使用商品である「青梅をはちみつ漬けした果実飲料」は,本件審判の請求に係る指定商品である第32類「果実飲料」に含まれるものと認められる。 (4)本件商標と本件使用商標の社会通念上の同一性について 本件商標は,上記第1のとおり,「タフボン」の片仮名を明朝体風に横書きしてなるものである。 他方,本件使用商標は,「タフボン」の片仮名をゴシック体風に表してなるものである。 そうすると,本件使用商標と本件商標とは書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから,本件使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。 (5)小括 以上によれば,本件商標権者は,要証期間内である平成30年6月15日に,本件審判の請求に係る指定商品中の「青梅をはちみつ漬けした果実飲料」を掲載した広告チラシについて,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布したものと認められる。 そして,本件商標権者による上記行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当する。 3 まとめ 以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において,本件商標権者が,本件審判の請求に係る指定商品中の第29類「果実飲料」に含まれる商品「青梅をはちみつ漬けした果実飲料」について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したというべきである。 したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により取り消すべきではない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2020-05-18 |
結審通知日 | 2020-05-20 |
審決日 | 2020-06-02 |
出願番号 | 商願昭44-55568 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Y32)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
岩崎 安子 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 大森 友子 |
登録日 | 1972-03-21 |
登録番号 | 商標登録第954510号(T954510) |
商標の称呼 | タフボン |
代理人 | 高橋 三雄 |
代理人 | 高橋 大典 |