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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1364227 
異議申立番号 異議2019-900305 
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-21 
確定日 2020-07-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第6165101号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6165101号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6165101号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成からなり,平成30年6月26日に登録出願,第9類「蓄電池,電池用充電器,コネクター(電気用のもの),人工知能搭載のヒューマノイドロボット,工業用の光学検査装置,自然災害用救命カプセル,救命いかだ,盗難警報器」を指定商品として,令和元年7月9日に登録査定,同月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標及び申立人商標
1 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件登録異議の申立ての理由において,本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する登録第4496099号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2に示すとおりの構成からなり,平成12年8月10日に登録出願,第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,ガス漏れ警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防車,消防艇,スプリンクラー消火装置,盗難警報器,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,磁心,自動車用シガーライター,抵抗線,電極,溶接マスク,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,レギュレーター,アーク溶接機,家庭用テレビゲームおもちゃ,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,メトロノーム」を指定商品として,同13年8月3日に設定登録され,その後,同23年7月12日に商標権存続期間の更新登録がされたものであり,現に有効に存続しているものである。
2 申立人商標
申立人が,本件登録異議の申立ての理由において,本件商標が商標法第4条第1項第10号,同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する標章は,別掲3に示した構成からなる標章,「ASIMO」の欧文字及び「アシモ」の片仮名をそれぞれ横書きした構成からなる標章(以下,これら3つの標章をまとめて「申立人商標」という。)であり,申立人の業務に係る商品「ヒューマノイドロボット」(以下「申立人商品」という。)について使用しているというものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,取り消されるべきであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第149号証を提出した。
1 具体的理由(商標登録を取り消すべき理由)
(1)申立人に係る「ASIMO」,「アシモ」の歴史について
申立人による二足歩行ロボットの開発は1986年(昭和61年)に開始され,二足歩行の原理究明から自立人間型ロボット完成に至るまで実に14年の月日をかけ,2000年(平成12年)に最先端技術を結集した世界初となる二足歩行ヒューマノイドロボット「ASIMO(アシモ)」を発表した。この「ASIMO」は人間と共存・協調し,人間の生活空間での活動を想定したことを特徴としており,「ASIMO」の名前の由来となった「Advanced Step in Innovative Mobility(新しい時代へ進化した革新的モビリティー)」は,申立人の上記ビジョンを体現している。
申立人は,発表後においても「ASIMO」の動作範囲拡大,音声機能・姿勢制御機能・動作実行の拡充などの研究開発を推し進め,申立人は,「ASIMO」とともに,現在におけるロボティクス技術開発やAIロボット開発の先駆者として,日本国内のみならず世界に名をはせた(甲3?甲7)。
(2)申立人商標及び引用商標の著名性について
ア 使用態様及び使用地域
申立人商標及び引用商標の具体的な使用態様,使用地域にかかる実績は,以下のとおりである。
(ア)ウェブサイト
申立人ウェブサイト及びその英語版(甲8,甲9)は,インターネットを介するものであるため,これらに表示されている申立人商標及び引用商標の使用地域としては,日本全域にとどまらず,全世界にわたり,申立人商標及び引用商標が日本及び海外の需要者の目に触れる機会は極めて多い。
(イ)ASIMOの展示・実演
A 申立人本社(東京都港区)1階にあるHondaウェルカムプラザ青山の常設ステージに「ASIMO」を展示。「ASIMO」がアクションを披露するデモンストレーションを随時行う(甲10)。
B ツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)におけるASIMOに関するプログラムが,2010年(平成22年)3月20日にファンファンラボからHonda Collection Hallに移設。そして,2014年(平成26年)4月26日以降,Honda Collection Hallにて「ASIMOスーパーライブ」を常時公開(甲11)。
C 2014年(平成26年)6月25日以降,日本科学技術館(東京都江東区)3階の常設展にて「ASIMO」を実演(甲12)。
(ウ)カタログ
カタログ(甲13?甲16)には,申立人商標が付されており,その頒布範囲は,日本全国である。さらに,甲第16号証及び甲第17号証はインターネットで閲覧・オーダー可能で,申立人商標及び引用商標が需要者の目に触れる機会は極めて多い。
イ 広告宣伝広報活動の実績
申立人は,テレビ出演,新聞記事(オンライン含む),インターネット記事,イベント出演などの複数のメディア媒体を通して,日本国内のみならず海外においても申立人商標及び引用商標を使用した積極的かつ大規模な宣伝広告広報活動を展開している(甲18?甲149)。
(ア)テレビ出演
2000年(平成12年)12月31日の第51回紅白歌合戦第2部(視聴率48.4%)のショーコーナーにゲスト出演。人気アニメキャラクター鉄腕アトム及び国民的アイドルグループSMAPと並んで大ヒット曲「夜空ノムコウ」のパフォーマンスを行い,この時の瞬間最高視聴率は60.5%を記録(甲18?甲20)。
(イ)テレビCM
2001年(平成13年)からダンス編(甲21),2002年(平成14年)からケーブルカー編(甲22),2005年(平成17年)からサークル編(甲23)及び2008年(平成20年)からダイナー編(甲24)がオンエア。
(ウ)イベント出演及びそれに対応するメディア露出
A 日本国内イベント(一覧:甲25)
2000年(平成12年)ないし2015年(平成27年)の国内イベント(甲26ないし甲90)。
B 海外イベント(一覧:甲91)
2002年(平成14年)ないし2010年(平成22年)の海外イベント(甲92ないし甲131)。
(エ)動画広告
2006年(平成18年)12月からイギリスにて放映(甲132)。
2010年(平成22年)10月31日から「10th Anniversaryムービー」を放映中(甲133)。
(オ)Youtube
甲第134号証は,Youtubeにて「ASIMO」を検索した際の検索結果3ページ分であり,当該動画は,第三者によるアップロード動画であるが,これは,国内外問わず,需要者の間に「ASIMO」が広く浸透していることを示すものである。
(カ)新聞記事(インターネット含む。)
2000年(平成12年)11月20日ないし2019年(令和元年)10月2日における新聞及びインターネット記事に掲載(甲135?甲147)。
ウ 使用期間
申立人が,申立人商標及び引用商標の使用を開始したのは2000年(平成12年)であり(甲3?甲7),以来約19年の間,現在に至るまで広範囲かつ継続的な使用を行っている。
エ 申立人の事業規模及び業績
申立人商標及び引用商標を使用したヒューマノイドロボット自体は販売の対象ではないため,その流通,販売の規模を示す売上高等はないが,甲第13号証ないし甲第17号証等のカタログ記載に係る申立人商標及び引用商標を使用した「ASIMO」に係るグッズの販売数,売上高を甲第148号証及び甲第149号証に示す。
これによれば,2001年(平成13年)4月から2009年(平成21年)8月までの「ASIMO」グッズの売上高は36億5千万円以上,2012年(平成24年)から2014年(平成26年)の「ASIMO」グッズの売り上げは1億3千8百万円以上にのぼる。
オ 小括
以上のように,日本国内及び海外における申立人商標及び引用商標の使用態様,使用期間,使用地域,申立人の事業規模,申立人による宣伝広告広報活動の実績等(甲8?甲147)に,「ASIMO」グッズ販売高(甲148,甲149)を併せ鑑みれば,本件商標の登録出願時(2018年(平成30年)6月26日)及び登録査定時(2019年(令和元年)7月9日)の両時において,申立人商標及び引用商標が全国的に著名であって,かつ,外国においても複数国で周知である。
2 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は「ASIWO」の文字から構成され,「アシウォ」の称呼を生じ,特定の観念を有しない造語であると認められる。
一方で,申立人商標は「ASIMO」の文字から構成され,「アシモ」の称呼を生じ,その由来を『Advanced Step in Innovative Mobility(新しい時代へ進化した革新的モビリティー)』とするものの,「ASIMO」の文字自体は特定の観念を有しないため,造語であると認められる。
そして,通常の類否判断においては,全5文字中の「W」と「M」の違い又は全3音の音構成中の「ウォ」と「モ」の違いは非類似と判断される傾向がうかがえるものの,全国的,世界的な周知著名性を誇る強力な識別性を有する申立人商標との対比という特別な事情の下においては,「M」を上下反転したにすぎない「W」に係る外観上の差異や,母音を同じくする「ウォ」と「モ」の称呼上の差異は微差にとどまるものであり,混同するほどに類似する商標であると判断されるのが妥当である。
そして,本件商標の指定商品中「人工知能搭載のヒューマノイドロボット」は,申立人商標に係る商品「ヒューマノイドロボット」と同一である。
よって,本件商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって,その商品について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
上述のとおり,申立人は,2000年(平成12年)以来,ヒューマノイドロボットについて,「ASIMO」,「アシモ」という商標を広く継続的に使用し今日に至っている。
1986年(昭和61年)当時,まだヒューマノイドロボットが空想かつ未来のものであったときから他に先駆けて研究開発を開始し,満を持して2000年(平成12年)に世界初の二足歩行ヒューマノイドロボット「ASIMO」が発表された時の驚きと衝撃は日本国内だけでなく世界にも馳せ及んだ。申立人及び「ASIMO」は,ヒューマノイドロボット及び人工知能のパイオニアとして,現在もその存在感は薄れておらず,需要者の記憶,連想に強く印象付けられているものである。
そして,「ASIMO」はロボット業界のみならず,世界的な大企業として多角的な経営を行う申立人の業務のアピールのために時と場所を限定せずに頻繁に登場し,申立人事業全体への貢献に加え,産業界を飛び出して日本及び世界の要人との交流も積極的に行い国際友好にも多大な貢献をしているものである。
そうすると,上述のような著名性及び強力な識別性を有する申立人商標及び引用商標と比較すれば,本件商標は類似の商標であるというべきであり,ヒューマノイドロボットと類似しない本件商標の指定商品との関係においても,商品等の出所の混同のおそれは必至である。
したがって,本件商標が,本件商標の指定商品について使用された場合には,需要者をもって,それが申立人の業務に係る商品であると誤認し出所について混同するおそれが多分にあるのみならず,申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し出所について混同するおそれも大いにあることは明らかであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 商標法第4条第1項第19号について
上述のとおり,申立人商標及び引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されている商標である。
そして,「ASIMO」は,2002年(平成14年)以降,被申立人の住所がある中国にも何度となく訪問し(甲91),その度に現地メディアに大きく取り上げられて人気を博している。
このような状況においては,被申立人が本件商標の出願前に申立人の造語に係る「ASIMO」を知らず,かつ,偶然にも「ASIMO」と類似する「ASIWO」に考え至ったというのは甚だ不自然であり,むしろ,全国的,世界的な周知著名性を誇る強力な識別性を有する申立人商標及び引用商標にフリーライドする不正の目的をもって「ASIWO」を使用する意図が推認できる。
このような本件商標の登録を維持することは,申立人商標及び引用商標の出所表示機能を希釈化させ,また,申立人の名声等を毀損させるものである。
よって,本件商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって,不正の目的をもって使用をするものであるから,商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立人商標及び引用商標の周知著名性について
申立人の提出に係る甲各号証及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(1)申立人による二足歩行ロボットの開発は1986年(昭和61年)に開始され,二足歩行の原理究明から自立人間型ロボット完成に至るまで14年の月日をかけ,2000年(平成12年)に最先端技術を結集した世界初となる二足歩行ヒューマノイドロボット「ASIMO(アシモ)」を発表した(甲3ほか)。
(2)「ASIMO」は人間と共存・協調し,人間の生活空間での活動を想定したことを特徴としており,「ASIMO」の名前の由来となった「Advanced Step in Innovative Mobility(新しい時代へ進化した革新的モビリティー)」は,申立人の上記ビジョンを体現している(甲3ほか,申立人の主張)。
(3)申立人は,発表後においても「ASIMO」の動作範囲拡大,音声機能・姿勢制御機能・動作実行の拡充などの研究開発を推し進め,申立人は,「ASIMO」とともに,現在におけるロボティクス技術開発やAIロボット開発の先駆者として,日本国内のみならず世界に名を馳せた(甲3?甲7,申立人の主張)。
(4)申立人は,テレビ出演,新聞記事(オンライン含む),インターネット記事,イベント出演などの複数のメディア媒体を通して,日本国内のみなら海外においても申立人商標及び引用商標を使用した宣伝広告広報活動を展開している(甲18?甲149)。
(5)申立人が申立人商標及び引用商標の使用を開始したのは2000年(平成12年)であり,以来約19年の間,現在に至るまで継続的な使用を行っている(甲3?甲7,申立人の主張)。
(6)申立人は,申立人商標及び引用商標を使用したヒューマノイドロボット自体は販売の対象ではないため,その流通,販売の規模を示す売上高等はないとしつつ,甲第13号証ないし甲第17号証等のカタログ記載に係る申立人商標及び引用商標を使用した「ASIMO」に係るグッズの販売数,売上高を提出している(甲148,甲149)。
そして,上記証拠(甲148,甲149)によれば,2001年(平成13年)4月から2009年(平成21年)8月までの「ASIMO」グッズの売上高は36億5千万円以上,2012年(平成24年)から2014年(平成26年)の「ASIMO」グッズの売り上げは1億3千8百万円以上であることが確認されるが,グッズ各々の商品の売上高については明らかでない。
(7)上記(1)ないし(6)の事実等からすれば,申立人商標及び引用商標は,本件商標の登録出願時には既に,申立人の「ヒューマノイドロボット」を表示する商標として,日本国又は外国の需要者の間にある程度知られていたと推認することができる。
しかしながら,申立人の「ヒューマノイドロボット」は,商品として販売されているものではなく,限られた場所で展示・実演が行われているにすぎないものである。
また,インターネットのウェブサイトで宣伝広告活動を展開しているとしても,それはアクセスした者しか見ることのできないものであり,一般的な消費者が情報を得る媒体とは必ずしもいうことができないこと,さらに,ここ数年の新聞記事等もそれ程多いとはいえない。
そして,「ASIMO」グッズが販売されているとしても,上記「ASIMOグッズの売上」記録は,販売数,売上高(数値)等をリスト化したものであるところ,当該表は容易に作成できるものであって,かつ,それを裏付ける証左は見いだせないから,かかる販売実績を直ちに採用することはできず,仮に,かかる販売実績が事実であるとしても,当該実績が引用商標及び申立人商標の周知性を基礎付けるほど多数,多額であると認めるに足りる証左は見いだせず,同業他社の売上高等も立証されていないから金額の多寡について評価することはできない。
以上のことを踏まえ総合勘案すれば,「ASIMO」,「アシモ」の表示(商標)は,本件商標の登録出願時及び登録査定時に申立人等の業務に係るもの及び申立人等の業務に係る商品を表示するものとして,日本国又は外国の需要者の間に広く認識されているとまでは認めることができない。
2 本件商標と引用商標の類否について
(1)本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,「ASIWO」の欧文字をややデザイン化した構成からなるところ,これよりは「アシウォ」の称呼が生じ,また,「ASIWO」の文字は,一般的な辞書等に記載された既成の語ではなく,一種の造語として認識されるものと認められるから,特定の観念を生じない。
(2)引用商標及び申立人商標
引用商標は,別掲2のとおり,「ASIMO」の欧文字と「アシモ」の片仮名を上下二段に表してなり,また,申立人商標は,別掲3のとおり,「ASIMO」の欧文字を多少デザイン化した構成からなるもの,又は「ASIMO」の欧文字又は「アシモ」の片仮名からなるものであるところ,いずれも「アシモ」の称呼が生じ,また,「ASIMO」及び「アシモ」の文字は,一般的な辞書等に記載された既成の語ではなく,一種の造語として認識されるものと認められるから,特定の観念を生じない。
(3) 本件商標と引用商標及び申立人商標との比較
本件商標と引用商標及び申立人商標とを比較するに,両者は,それぞれ上記において述べたとおりの構成態様からなるものであるから,外観において,両商標は,文字のデザイン化の程度,欧文字と片仮名の相違,横一連と二段書き等といった構成上の相違を勘案すれば,全体から受ける印象が明らかに相違するものであり,外観上,相紛れるおそれはない。
また,称呼において,本件商標からは,「アシウォ」の称呼を生じるものであるのに対し,引用商標及び申立人商標からは,いずれも「アシモ」の称呼を生じるものであるから,両称呼は,3音という短い音構成において,末尾の「ウォ」と「モ」の差異を有するものであり,この差異が全体に及ぼす影響は大きく,それぞれを一連に称呼するときは全体の音感,音調が明らかに相違し,十分に聴別し得るものであるから,称呼上,聴き誤るおそれはない。
さらに,観念において,本件商標と引用商標及び申立人商標は,共に特定の観念を生じることのない造語と認識されるものであるから,観念上,比較することができない。
してみれば,本件商標と引用商標及び申立人商標とは,観念において比較することができないとしても,外観上紛れるおそれがなく,称呼上聴き誤るおそれがないから,その外観及び称呼を総合勘案すれば,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
引用商標及び申立人商標は,上記1(7)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品「ヒューマノイドロボット」を表示するものとして,その商品の需要者の間に広く認識されていたとまでは認められないものである。
そして,上記2(3)のとおり,本件商標と申立人商標とは,非類似の商標であるから,十分に区別し得る別異の商標というべきものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標及び申立人商標は,上記1(7)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品「ヒューマノイドロボット」を表示するものとして,その商品の需要者の間に広く認識されていたとまでは認められないものである。
そして,本件商標と引用商標及び申立人商標とは,上記2(3)のとおり,非類似の商標であって,その類似性の程度は低いものである。
そうすると,本件商標をその指定商品について使用しても,これに接する需要者に申立人又は申立人の使用に係る引用商標若しくは申立人商標を連想,想起させることはなく,その商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その出所について混同を生じるおそれはないものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記1(7)のとおり,引用商標及び申立人商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたとまでは認められないものであり,上記2(3)のとおり,本件商標と引用商標及び申立人商標とは,非類似の商標であるから,十分に区別し得る別異の商標というべきものである。
また,申立人が提出した証拠からは,商標権者による本件商標の使用が,引用商標及び申立人商標に蓄積された出所表示機能や申立人の名声等にフリーライドし,それらを希釈化,毀損させるものというべき事実は見いだし難いばかりでなく,他に,商標権者が,不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的,その他の不正の目的をもって本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足りる具体的事実を見いだすこともできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものではなく,その登録は,同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえず,ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲
別掲1
本件商標(登録第6165101号)


別掲2
引用商標(登録第4496099号)


別掲3
申立人商標


異議決定日 2020-06-22 
出願番号 商願2018-83620(T2018-83620) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W09)
T 1 651・ 222- Y (W09)
T 1 651・ 25- Y (W09)
最終処分 維持 
前審関与審査官 田中 瑠美豊島 幹太谷村 浩幸 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 小松 里美
薩摩 純一
登録日 2019-07-26 
登録番号 商標登録第6165101号(T6165101) 
権利者 深セン市易聯科電子有限公司
商標の称呼 アシウオ、アシオ 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
代理人 齊藤 誠一 
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