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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W15
審判 全部申立て  登録を維持 W15
審判 全部申立て  登録を維持 W15
管理番号 1364222 
異議申立番号 異議2019-900361 
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-12-11 
確定日 2020-06-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第6181317号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6181317号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6181317号商標(以下「本件商標」という。)は,「ENYA」の文字を横書きで表してなり,平成30年9月10日に登録出願,第15類「楽器,楽器用ケース」を指定商品として,令和元年8月19日に登録査定され,同年9月20日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議申立ての理由として引用する商標は,「Enya」の文字からなり(以下「引用商標」という。),申立人の業務に係る商品「楽器,楽器用ケース」(以下「申立人商品」という。)について使用していたとするものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
申立人は,引用商標を申立人商品に使用し世界的に販売していた。甲第2号証に,日本のAMAZON(アマゾンジャパン合同会社のホームページ)における申立人商品を示す。引用商標が申立人のものとして知られていることは明らかである。申立人が申立人商品をAMAZONに出品した平成30年3月以降,申立人商品の売上数量は2627個,売上高は3700万円以上となっている(甲3)。市場規模が必ずしも大きくない楽器において,大きな売上である。また,本件商標の出願日である平成30年9月以前の売上高及び売上数量が特に小さいものではなく,本件商標の出願時において,引用商標が申立人のものとして知られていた。
(2)商標法第4条第1項第19号について
商標権者は,日本在住であり,引用商標について本件商標の出願時には知しつしていたと考えられる。また,「Enya」なる単語は存在せず,申立人と商標権者との商標が偶然に類似したとは考え難い。甲第3号証に示す日本国における売上高及び売上数量によれば,申立人が引用商標に信用を化体させたことは明白であり,本件商標は,申立人が引用商標に化体させた信用にフリーライドする不正の目的をもって使用するものであることは明らかである。商標権者は,申立人の商標が我が国において登録されていないことを奇貨として先取り的に出願したものである。
(3)なお,申立人は,本件異議申立書の「4.申立ての理由」において,「申立人は,証拠を追加し,取り消されるべきである根拠を補強する。後日,手続補正書を提出する。なお,甲第3号証の一部に中国語の表示があるが,その箇所の日本語訳についても手続補正において提出する。」旨を述べているところ,その後,令和2年1月20日付け手続補正書において甲第3号証の日本語訳を提出したものの,取り消されるべきである根拠を補強するための証拠については,何も提出していない。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(ア)申立人は,引用商標が申立人商品を表すものとして需要者の間に広く知られていることは明らかであるとして「amazon.co.jp」のウェブサイトを提出している(甲2)。
しかしながら,当該ウェブサイトには,ウクレレ及びそのケース等の画像とともに「テノールウクレレEnya」,「コンサートウクレレEnya」,「2019/11/17日曜日までにお届け」等の文字が掲載されていることが認められるものの,これらの商品の製造・販売者,具体的な販売日等は明らかではない。
(イ)申立人は,申立人商品のAMAZONにおける売上高及び売上数量を示すために「amazon seller central」と記載されたウェブサイトを提出している(甲3)。
そして,当該ウェブサイトには,「enya musical」の文字,日付の欄に「2018/03/01-2019/11/26」の記載,「売上スナップショット」の見出しの下,「注文商品数 2,627」,「注文商品の売上 JP¥37,686,664」の数値等が記載され,さらに,「売上の比較」の見出しの下,上記期間を横軸,「注文商品数」を縦軸とした折れ線グラフ及び同期間を横軸,「注文商品の売上」を縦軸とした折れ線グラフがそれぞれ左右に並べられている。
しかしながら,これらの数値やグラフからは,申立人による申立人商品に係る情報であることを確認し得る記載はない。
イ 上記アによれば,以下のことがいえる。
上記ア(ア)のとおり,「Enya」の文字が付されたウクレレが,我が国において,「amazon.co.jp」のウェブサイトで販売されていたことは認められる。
しかしながら,申立人の提出に係る証拠からは,申立人商品における引用商標の使用期間,使用地域等は確認できないものであり,また,申立人による申立人商品の販売実績,市場におけるシェア,並びに広告宣伝の実績,規模及び広告費などについては,その事実を量的に把握することができる証拠は何ら提出されていない。
よって,仮に,上記ア(イ)の数値が申立人商品に係る売上高及び売上数量を示すものとしても,申立人商品に係る市場シェアや同業他社の販売実績等を把握し得る証左も見いだせないことから,当該数字の多寡について評価することができない。
その他,引用商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間において周知性を獲得したことを示す具体的な証拠はない。
そうすると,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号の該当性について
ア 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は,「ENYA」の文字を書してなり,引用商標は「Enya」の文字からなるところ,両商標は,語頭の「E」以外の文字について大文字と小文字の違いはあるものの,構成文字のつづりを同一にするものであるから,外観において類似するものといえ,また,両商標からは「エンヤ」の同一の称呼を生じるものであり,観念において異なるところはないというべきである。
そうすると,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのある同一又は類似の商標というべきである。
イ 本件商標の指定商品と申立人商品との類否について
本件商標の指定商品と申立人商品とは,ともに「楽器,楽器用ケース」であるから,同一又は類似の商品である。
ウ 小括
以上によれば,本件商標が引用商標と同一又は類似の商標であって,本件商標の指定商品と申立人商品が同一又は類似の商品であるとしても,引用商標は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものではないから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は,上記(2)のとおり,本件商標と同一又は類似する商標であるとしても,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人商品を表示するものとして,日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
また,不正の目的について,申立人は,本件商標は申立人が引用商標に化体させた信用にフリーライドする不正の目的をもって使用するものであり,商標権者は,引用商標が我が国において登録されていないことを奇貨として先取り的に出願したものである旨主張している。
しかしながら,当該主張についても,これを裏付ける証拠は何ら提出されておらず,他に,本件商標が不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に違反して登録されたものとはいえず,ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものとする。
よって,結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2020-06-15 
出願番号 商願2018-120407(T2018-120407) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W15)
T 1 651・ 25- Y (W15)
T 1 651・ 255- Y (W15)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大井手 正雄 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 浜岸 愛
小松 里美
登録日 2019-09-20 
登録番号 商標登録第6181317号(T6181317) 
権利者 ショウ ズイゴウ
商標の称呼 エンヤ、エニャ 
代理人 金子 宏 

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