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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1364219 
異議申立番号 異議2019-900329 
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-11-11 
確定日 2020-07-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第6172179号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6172179号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6172179号商標(以下「本件商標」という。)は,「Superbat」の欧文字を標準文字で表してなり,令和元年6月10日に登録出願,第9類「アンテナ,アンテナ並びにその部品及び附属品,ラジオ受信用アンテナ及びその附属品,ラジオ用アンテナ,小型アンテナ」を指定商品として,同年8月1日に登録査定され,同月16日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は,「Superbat」の欧文字からなり(以下「引用商標」という。),同人が「アンテナ,ラジオ受信用アンテナ等」について使用し,我が国及び中国における需要者,取引者の間に広く認識されているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第10号,同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第57号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
ア 本件商標について
本件商標は,欧文字の「Superbat」の標準文字からなるものであり,その出願過程において,早期審査に関する事情説明書が提出され(甲2),商標の使用の事実を示す書類として,商品を販売するインターネットサイトの「商品ページ」(以下「商品ページ」という。)が提出されている。
イ 申立人について
申立人は,2008年に設立された,アンテナ,ラジオ受信用アンテナ等を製造販売する中国の法人である(甲3)。そして,商標「Superbat」は申立人自体を示すハウスマークとして,申立人が製造販売する全ての商品に使用されているものである(甲3,甲4)。また,商品ページに記載された商品は申立人が製造販売する商品であり,2020年現在は若干デザインが変更されているものの,同商品(自動車用DVB-Tアンテナ)の製造・販売は継続されている(甲5)。商標権者は申立人の商品を単に仕入れ,Amazonサイトにて販売していた1業者にすぎず,申立人としては商標権者に何らの許諾も与えていないし,交渉を行った事実もない。
ウ 申立人の使用する商標と本件商標の類似性について
申立人が使用する商標「Superbat」(引用商標)は,本件商標と文字構成が全く同一であり,互いに類似する商標である。
そして,本件商標の指定商品は,引用商標に係るアンテナ(甲4)と同一又は類似する商品である。
エ 引用商標の周知性について
申立人は日本でも少なくとも本件商標の出願前から,アンテナ等について引用商標の使用を継続していた(甲6,甲7)。
そして,インターネット販売サイト「Amazon.co.jp」においては,2018年1月16日から2020年1月16日までに,54,260個を売り上げ,その売上高は5,700万円を超える(甲7)。本件商標の出願日以前の2018年1月16日から2019年6月10日のわずか1年5か月間に少なくとも3万個以上を売り上げている。このように,引用商標は,本件商標の出願前から,アンテナ等について既に日本で需要者,取引者において広く知られた商標となっていた。
オ むすび
以上のとおり,本件商標は,その出願前から日本で広く知られた引用商標と同一又は類似し,申立人が使用する商品と同一又は類似の指定商品を指定するものであるから,商標法第4条第1項第第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号について
仮に,引用商標が日本国内で周知性を獲得していないことを理由に,商標法第4条第1項第10号に該当しないものである場合であっても,本願は不正な目的で,外国において広く知られた商標を出願したものであることから,商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
なお,本件商標の経緯や,引用商標と本件商標の類似性等については(1)で述べたとおりである。
不正の目的について
上記(1)アで述べたとおり,商標権者は本件商標の審査過程において商品ページを提出しているが(甲2),Amazonサイトにおいて,商品ページ右欄下の「株式会社エメラルドが販売,発送します。」の表示は,商品を製造販売する正規の商標権利者を示すものではなく,単に商品の譲渡申出者・発送する者が表示されるもので,購入者の参考にされるものである。商品ページに記載された商品「Superbat」は,上述のとおり,申立人が製造販売している商品の一つにすぎない(甲2,甲5)。
商標権者は申立人の商品を単に仕入れ,Amazonサイトにて販売していた1業者にすぎない。そして,申立人は商標権者に何らの許諾も与えていないし,交渉を行った事実もない。
すなわち,商品ページに記載された商品は,申立人に係る商品であり,当該商品ページ自体が,商標権者が当該商品を申立人の商品であることを知りながら,本件商標を選択し出願したものであることの証左である。
さらに,商標権者は,本件商標に基づき,正規に申立人のアンテナに係る真正商品(以下「真正商品」という。)を輸入して販売していた業者に対して,本件商標を理由として,2019年11月6日付けでAmazon社を介して偽造品であるとして警告を行い,Amazonサイトにおいて出品ができないようにした(甲8)。
このように,商標権者は,真正商品が申立人に係る商品であり,日本でも本願出願以前から使用されていたことを知っていたにも関わらず,日本で商標登録されていないことを奇貨として,他の業者が真正商品を販売できないようにする不正の目的のため,本件商標の出願を行ったものである。
さらに,申立人としては,上記警告行為により,警告に係る商品をAmazonサイトで販売できず,販売ルートが減少し具体的に既に損害を被っている。また,需要者からすれば,まるで商標権者が真正商品の製造販売者であると誤認するか,又は申立人の独占的代理店(総代理店)であるかのように誤認し,出所の混同を引き起こすものである。このような登録や権利行使を許せば,公正な競争が阻害され,健全な取引秩序が乱されることが明らかである。
以上のとおり,商標権者は,本件商標が本来は申立人に係る商標であることを知りながら,日本で商標登録されていないことを奇貨として,他の正規品の購入業者が真正商品を販売できないようにする不正の目的をもって本件商標の出願を行ったものである。
イ 外国における周知性について
申立人は,中国の法人であるが,2008年の設立後に中国における販売を続け,2010年には,インターネット販売サイトeBay(中国)にて,売上高50位以内の中国販売社に送られる「Power Seller Award」を受賞している(甲9)。さらに,2012年ないし2015年には,中国深セン市における中国阿里巴巴集(アリババ集団)から,上位500位以内の販売実績を上げた会社として評価されている(甲9)。競争の激しい中国においてこれだけの販売実績を挙げることは容易ではなく,引用商標は少なくとも需要者,取引者において広く知られた商標である。
このように,申立人による使用により,引用商標は本件商標の出願前から,アンテナ等について既に中国で広く知られた商標となっている。
なお,申立人は,引用商標を付した商品を,中国のみならず世界各国に販売しており(甲10?甲12),EU及びアメリカ合衆国でも商標登録を得ている(甲13,甲14)。
したがって,引用商標は,日本以外にも世界各国で申立人により使用されており,特に中国において本件商標の出願前から,申立人に係る商標として広く知られた商標である。
ウ むすび
よって,本件商標は,申立人に係る業務に係る商品又は役務を表示するものとして中国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって,不正の目的をもって使用をするものであることから,商標法第4条第1項第19号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第7号について
仮に,引用商標が日本国及び外国において周知性を獲得していないことを理由に商標法第4条第1項第10号又は同項第19号に該当しないものである場合であっても,下記事情により,本件は健全な競争と公正な取引秩序を害するものであることから,商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
なお,下記以外の事情については上記(1)及び(2)で述べたとおりである。
ア 商標権者の他の商標出願と登録について
商標権者は,2020年1月29日時点で本件商標以外にも,21件の商標登録を得ているが,その全ての商標が本件商標と同様に,商標権者以外の者が製造し,インターネットショッピングサイト等で販売されていたものの,日本で商標登録されていないことを奇貨として行われた出願であることが明らかである(甲15?甲56)。
それらの商標には,造語,すなわち商標としての機能以外に意味をもたない独創的商標が数多く含まれている。さらに,図形要素を含むものについてさえ同一であり,偶然に商標の選択内容が一致したと考えることは極めて不自然である。商品についても,他者が製造販売していた商品とほぼ同一の商品を指定しており,商標構成も含め偶然に一致したと考えることは極めて不自然である。
それらの商標権は,その全てが,既に日本で使用され相当の業務上の信用を獲得していたにも関わらず,日本で商標登録されていないことを奇貨として,他の業者が当該商品を販売できないようにする不正の目的のため,商標出願が行われたものである。
このような不正の目的を有する出願の登録を認めれば,必ずしも国内外で周知ではないものの,既に国内外で一定の業務上の信用を得ている商標又は今後周知となりそうな商標につき,当該商標と何ら関係ないものに独占排他的権利を与えることになる。上記(2)で述べたように,商標権者は既に警告を行い真正商品の販売業者を排除しており,現実に損害が発生している。しかも,その出願経緯において,真正商品を購入してAmazonサイトで販売し,その画面を使用証拠として提出しただけで早期の権利付与が認められている。この結果,本来の権利者が使用できなくなるばかりか,健全な競争を阻害して需要者の利益も不当に損ない,公正な取引秩序を破壊し,ひいては国際信義にも反するものである。さらに,このような出願の登録を認めれば,同様の目的と手段をもった出願を誘発する可能性もある。
したがって,本件商標はその経緯及びその目的において著しく社会的妥当性を欠き,かつ商取引の健全な秩序を著しく乱すものであるから,登録を認めるべきものではない。この判断については,知財高裁平成17年(行ケ)第10668号(甲57)も,同旨であると思料する。
イ むすび
よって,本件商標は,その経緯において社会的妥当性を欠き,かつ商取引の健全な秩序を著しく乱すものであるから,商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証,同人の主張及び職権調査(インターネット情報,新聞記事情報など)によれば,申立人は2008年(平成20年)に設立された中国深セン市所在の法人であって,電話用アンテナ,オーディオ用アンテナ等を製造販売していること(甲3),申立人は,遅くとも2016年(平成28年)6月頃から,ややデザイン化した「superbat」の文字(以下「使用商標」という。)を自己のハウスマークとして使用していること(甲3,甲12),我が国においては遅くとも2020年(令和2年)1月頃から,使用商標及び引用商標を使用したアンテナがインターネットの販売サイトにおいて購入できること(甲4,甲5,職権調査),申立人は,2017年(平成29年)2月にアンテナ等を日本(新潟県所在の者)に輸出したこと(甲6)が認められる。
また,申立人が,商標「SUPERBAT」を指定商品,第9類「アンテナ」などについて,米国において商標登録を受けていることがうかがえるものの(甲13),中国及び欧州(OHIM)において,商標登録を受けていることは確認できない。
さらに,引用商標又は使用商標を使用した商品(以下「申立人商品」という。)の我が国及び中国をはじめとする外国における売上高,市場シェアなど販売実績を裏付ける証左は見いだせない。
なお,申立人はAmazonにおける売上数量,売上額を述べ,その証左(甲7,甲8)を提出しているが,かかる証左は,どこの国における,どのような商品についてのものかなどが確認できないから,その数量,金額は採用できない。
イ 上記アからすれば,申立人は平成20年に設立された法人であり,電話用アンテナ,オーディオ用アンテナ等を製造販売し,遅くとも平成28年6月頃から,引用商標及び使用商標を使用していることは認められるものの,申立人商品の我が国又は中国など外国における販売実績を示す証左は見いだせないから,申立人商品は,我が国及び中国をはじめ外国における需要者の間で広く認識されているものと認めることはできない。
そうすると,申立人が使用する引用商標及び使用商標(以下,両者をまとめて「引用商標等」という。)は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,いずれも申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国又は中国をはじめ外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号の該当性について
本件商標は,上記1のとおり「Superbat」の欧文字からなり,第9類「アンテナ,アンテナ並びにその部品及び附属品,ラジオ受信用アンテナ及びその附属品,ラジオ用アンテナ,小型アンテナ」を指定商品とするものである。
引用商標等は,上記2及び上記(1)アのとおり「Superbat」及び「superbat」の欧文字からなり,アンテナなど(申立人商品)に使用されているものである。
してみれば,本件商標と引用商標等が同一又は類似するものであること,及び本件商標の指定商品と申立人商品が同一又は類似するものであること明らかである。
しかしながら,上記(1)のとおり引用商標等は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第19号及び同項第7号の該当性について
不正の目的について
(ア)申立人は,商標権者は本件商標に係る審査過程において商標の使用の事実を示す書類として申立人商品を販売する商品ページを提出している,商標権者は本件商標に基づき申立人商品を輸入して販売していた業者に対して,Amazon社を介して警告を行いAmazonサイトにおいて出品できないようにした,申立人は当該警告に係る商品をAmazonサイトで販売できず既に損害を被っている,及び商標権者が保有する登録商標は,その指定商品及び商標が商標権者以外の者が製造販売する商品及びその商標と同一であり,これらが偶然に一致したと考えることは極めて不自然であるなどとして,商標権者は,本件商標が本来は申立人に係る商標であることを知りながら,日本で商標登録されていないことを奇貨として,他の業者が申立人商品を販売できないようにする不正の目的をもって本件商標の出願を行ったものである旨主張している。
(イ)しかしながら,申立人提出の甲各号証によっては,商標権者が審査過程において提出した商品ページに掲載された商品が申立人商品であること,申立人が損害を被っていること,及び申立人が挙げた商標権者以外の者が製造販売していたとする商品が商標権者以外の者によって製造販売されたものであることが確認できず,また,商標権に基づき警告等すること自体は正当な行為といえるものであるから,本件商標は,他の業者が申立人商品を販売できないようにするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
イ 本各号の該当性について
上記(2)のとおり,本件商標と引用商標等は同一又は類似するものであり,本件商標の指定商品と申立人商品が同一又は類似するものの,上記(1)のとおり引用商標等は申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり,また,上記アのとおり本件商標は不正の目的をもって使用をするものと認められないものである。
さらに,本件商標が,その出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど,公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
してみれば,本件商標は,商標法第4条第1項第19号及び同項第7号のいずれにも該当するものといえない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号,同項第10号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2020-06-23 
出願番号 商願2019-82150(T2019-82150) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W09)
T 1 651・ 222- Y (W09)
T 1 651・ 25- Y (W09)
最終処分 維持 
前審関与審査官 齋藤 健太赤澤 聡美 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 小俣 克巳
小松 里美
登録日 2019-08-16 
登録番号 商標登録第6172179号(T6172179) 
権利者 株式会社エメラルド
商標の称呼 スーパーバット、バット、ビイエイテイ 
代理人 高橋 剛 
代理人 高橋 雅和 
代理人 高橋 友和 
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