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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W14
審判 一部申立て  登録を維持 W14
審判 一部申立て  登録を維持 W14
審判 一部申立て  登録を維持 W14
審判 一部申立て  登録を維持 W14
管理番号 1364217 
異議申立番号 異議2019-900306 
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-21 
確定日 2020-06-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第6165376号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6165376号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6165376号商標(以下「本件商標」という。)は,「MARQ COMMANDER」の欧文字を標準文字により表してなり,平成30年9月26日に登録出願,第9類「テキスト・電子メール・データ及び情報を表示・送信・受信するためのソフトウェア及び表示画面を搭載した腕時計型デジタル式携帯情報端末,テキスト・電子メール・データ又はその他の情報を表示・送信及び/又は受信するための表示画面及び/又はソフトウェアを搭載したリストバンド型又はブレスレット型の着用可能なアクティビティトラッカー,全地球測位装置(GPS),ナビゲーションでの使用あるいは全地球測位装置(GPS)での使用のためのソフトウェアおよびハードウェア,時計を搭載した全地球測位装置(GPS),時計や計時用具を搭載した全地球測位装置(GPS),時計や計時用具・高度測定器・気圧計・コンパス・データやイメージの送信を特徴とする無線通信装置・気温を決定するセンサーを搭載した全地球測位装置(GPS),電気通信機械器具,腕時計型携帯情報端末,スマートフォン,電子応用機械器具及びその部品」及び第14類「全地球測位装置(GPS)を搭載したあるいは全地球測位装置(GPS)機能を搭載した時計,テキスト・電子メール・データ及び情報を表示・送信・受信するためのソフトウェア及び表示画面を搭載した時計,全地球測位装置(GPS)を搭載した時計用具,全地球測位装置(GPS)を搭載した時計,高度測定器・気圧計・コンパス・データやイメージの送信を特徴とする無線通信装置・気温を決定するセンサーおよび電力調節のセンサーを搭載した時計,その他の時計」を指定商品として,令和元年7月10日に登録査定,同月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するとして,登録異議の申立ての理由において引用する商標は,以下の2件の登録商標であり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5765921号商標(以下「引用商標1」という。)は,「MIDO COMMANDER」の欧文字を標準文字により表してなり,平成26年12月16日に登録出願,第14類「時計,時計の部品及び附属品」を指定商品として,同27年5月22日に設定登録されたものである。
(2)登録第5285578号商標(以下「引用商標2」という。)は,「MARC NEW YORK」の欧文字を横書きした構成よりなり,2008年(平成20年)2月12日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,平成20年3月10日に登録出願,第14類「米国でデザインされた時計」を含む,第3類,第8類,第9類,第14類,第16類及び第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同21年12月4日に設定登録されたものである。
上記の引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは,以下「引用商標」という。
2 申立人が,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するとして,登録異議の申立ての理由において引用する商標(以下「申立人商標」という。)は,「COMMANDER」の欧文字を横書きした構成よりなり。申立人の業務に係る商品「時計」に使用しているというものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,その指定商品中,第14類の「全指定商品」(以下「申立商品」という。)について,商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,取り消されるべきであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第37号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)申立人は,引用商標1「MIDO COMMANDER」を所有しており,これが本件商標「MARQ COMMANDER」と類似する。
(2)本件商標「MARQ COMMANDER」の前段部の称呼「マーク」と引用商標2の「MARC NEW YORK」の要部と称呼「マーク」が同一であり,本件商標の商標権者が実際に使用する態様が「MARQ」のみが文字盤に記載されていることから,実質的に商標は「MARQ」にあり称呼同一の引用商標2「MARC NEW YORK」と類似する。
(3)本件商標と引用商標とは,類似の関係にあるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人は,日本を含むアジア及び欧州で指定商品「時計」に関して1959年から60年以上継続して販売してきており,時計に関して「COMMANDER」は,申立人であるミド アクチェンゲゼルシャフト(ミド ソシエテ アノニム)(ミド リミテッド)から販売されているものとして世界的に広く知られているとともに複数国で商標登録されていることから,商品「時計」に「COMMANDER」を含む商標を付した場合には,申立人と何等かの関係のある企業により製造,販売されている商品として認識されるために商品の出所について混同するおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は,上記第1のとおり,「MARQ COMMANDER」の欧文字を横書きした構成よりなるところ,「MARQ」の文字と「COMMANDER」の文字との間に空白があることから,2つの語からなると理解されるものではあるが,全体を構成する各文字が同書,同大にまとまりよく表されており,どちらかの語のみが強く支配的な印象を与えるものではなく,本件商標の構成全体から生ずる「マークコマンダー」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そして,本件商標の構成中前半部の「MARQ」の文字は,一般的な辞書等に記載された既成の語ではなく,造語として認識されるものと認められるものであり,後半部の「COMMANDER」の文字は,「命令者,指揮官」等の意味を有するとしても,その構成文字全体をもって,特定の意味合いを想起させない一連一体の造語として認識,把握されるものと判断するのが相当である。
したがって,本件商標からは,「マークコマンダー」のみの称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
ア 引用商標1は,上記第2の1(1)のとおり,「MIDO COMMANDER」の欧文字を横書きした構成よりなるところ,「MIDO」の文字と「COMMANDER」の文字との間に空白があることから,2つの語からなると理解されるものではあるが,全体を構成する各文字が同書,同大にまとまりよく表されており,どちらかの語のみが強く支配的な印象を与えるものではなく,本件商標の構成全体から生ずる「ミドコマンダー」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そして,本件商標の構成中前半部の「MIDO」の文字は,一般的な辞書等に記載された既成の語ではなく,造語として認識されるものと認められるものであり,後半部の「COMMANDER」の文字は,「命令者,指揮官」等の意味を有するとしても,その構成文字全体をもって,特定の意味合いを想起させない一連一体の造語として認識,把握されるものと判断するのが相当である。
したがって,引用商標1からは,「ミドコマンダー」のみの称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標2は,上記第2の1(2)のとおり,「MARC NEW YORK」の欧文字を横書きした構成よりなるところ,その構成中前半部の「MARC」の文字は,一般的な辞書等に記載された既成の語ではなく,造語として認識されるものであり,構成中後半部の「NEW YORK」の文字部分は,「アメリカ合衆国ニューヨーク州」又は「アメリカ合衆国ニューヨーク市」を表したものと理解され,これをその指定商品について使用した場合には,商品の産地又は販売地を表示する語として,自他商品の識別標識としての機能を有しないものというべきであるから,これに接する需要者は,構成中前半部の「MARC」の文字を,自他商品の識別標識としての機能を果たす要部として認識するというのが相当である。
したがって,引用商標2からは,構成する文字全体を称呼した場合の「マークニューヨーク」の称呼のほか,「MARC」の文字部分より,「マーク」の称呼をも生ずるものであり,特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 外観について
本件商標と引用商標とは,外観において,それぞれ上記したとおり,構成文字に差異を有するものであり,外観上,明らかに区別し得るものである。
イ 称呼について
本件商標より生ずる「マークコマンダー」の称呼と,引用商標1より生ずる「ミドコマンダー」の称呼とは,前半部における「マーク」と「ミド」の音が相違し,それぞれの称呼を全体として称呼した場合,その語調,語感が著しく相違する。
また,本件商標より生ずる「マークコマンダー」の称呼と,引用商標2より生ずる「マーク」又は「マークニューヨーク」の称呼とは,「コマンダー」の音の有無又は後半部における「コマンダー」と「ニューヨーク」の音が相違するという顕著な差異を有するものであるから,その語調,語感が著しく相違する。
してみれば,本件商標と引用商標とは,称呼において,その語調,語感が著しく相違するものであり,称呼上,明瞭に聴別し得るものである。
ウ 観念について
本件商標と引用商標とは,観念において,それぞれ上記したとおり,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,互いに紛れるおそれはないものである。
エ まとめ
以上によれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本件商標の指定商品中の申立商品と引用商標1の指定商品中の第14類「時計,時計の部品及び附属品」及び引用商標2の指定商品中の第14類「米国でデザインされた時計」とは,同一又は類似の商品である。
(5)小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であるから,本件商標の指定商品中の申立商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似するものであるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)申立人商標の周知・著名性について
ア 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(ア)申立人は,1959年(昭和34年)から日本を含む各国で時計の商標として申立人商標を使用している(甲4,申立人の主張)。
(イ)申立人商標は,1967年(昭和42年)にはマレーシア,ブルネイ,シンガポール,アメリカ,オーストラリア,スイス及び中国等で商標出願され,世界各国で商標登録されている(甲5?甲26)。
(ウ)2018年(平成30年)4月13日発行の日経電子版NIKKEI STYLE Men’s Fashion 「Watch Special 2019」(甲32)に申立人の腕時計「コマンダー シェイド スペシャルエディション」の記事が掲載されている。
(エ)申立人商標が付された腕時計が,日本国内で販売されている(甲31,甲32,甲34?甲36)。
AMAZON及び楽天のショッピングサイト(甲34,甲35)で,複数機種の腕時計が販売されており,また,価格.comのウェブサイトで「COMMANDER」及び「mido」のキーワードで検索したところ,5個の腕時計がヒットした(甲36)。
(オ)申立人商標が付された腕時計は,米国のamazon.comにおいて複数機種の腕時計が販売されている(甲37)。
イ 以上の(ア)ないし(オ)よりすれば,申立人商標が,世界各国で商標登録され,実際に腕時計に使用されていることが認められる。
しかしながら,申立人商標が世界各国で商標登録されているとしても,そのことにより直ちに申立人商標の周知・著名性を立証するものではなく,また,証拠のうち外国語で作成されているものについては,訳文の提出がないため,その詳細な内容は明らかでない。
そして,申立人提出の証拠からは,申立人商標についての我が国での使用開始時期や当該商標が使用された商品(腕時計)についての売上高,市場シェアなどの販売実績並びに広告宣伝の費用,方法,回数及び期間など,その事実を具体的,量的に把握することができる証拠は見出せない。
したがって,申立人の提出に係る証拠によっては,申立人商標が,我が国において,本件商標の登録出願時及び登録査定時に,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)申立人商標の独創性
申立人商標は「COMMANDER」の欧文字よりなるところ,当該文字は,「命令者,指揮官」等の意味を有する既存の英単語であるから,その独創性は低いものである。
(3)本件商標と申立人商標との類似性
ア 本件商標
本件商標は,上記1(1)のとおり,「MARQ COMMANDER」の欧文字を横書きした構成よりなるところ,その構成文字全体をもって,特定の意味合いを想起させない一連一体の造語として認識,把握されるものと判断するのが相当であるから,「マークコマンダー」のみの称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 申立人商標
申立人商標は「COMMANDER」の欧文字よりなるところ,当該文字は,「命令者,指揮官」等の意味を有する既存の英単語であるから,「コマンダー」の称呼及び「命令者,指揮官」の観念を生ずるものである。
ウ 本件商標と申立人商標との類否
(ア)外観について
本件商標と申立人商標とは,外観において,それぞれ上記したとおり,構成文字に差異を有するものであり,外観上,明らかに区別し得るものである。
(イ)称呼について
本件商標より生ずる「マークコマンダー」の称呼と,申立人商標より生ずる「コマンダー」の称呼とは,前半部における「マーク」の有無という顕著な差異を有するものであるから,称呼において,その語調,語感が著しく相違するものであり,称呼上,明瞭に聴別し得るものである。
(ウ)観念について
観念において,本件商標からは特定の観念を生じないものであり,申立人商標からは「命令者,指揮官」の観念を生ずるものであるから,観念上,互いに紛れるおそれはないものである。
(エ)まとめ
以上によれば,本件商標と申立人商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきものであり,全体として異なる印象や記憶を与え,これに接する取引者,需要者に全く別異のものとして認識されるものであるから,類似性の程度は低いものである。
(4)出所の混同のおそれについて
申立人商標は,上記(1)のとおり,申立人の業務を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時に,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。
また,申立人商標は,上記(2)のとおり,既成の語であるから,独創性は低いものである。
そして,本件商標は,上記(3)のとおり,申立人商標とは非類似の商標であり,これに接する取引者,需要者に全く別異のものとして認識されるものであるから,両者の類似性の程度は低いものである。
そうすると,申立商品と申立人商標が付された商品(腕時計)とが時計に関連する商品であり,それらの性質,用途又は目的における関連性が高く,取引者,需要者について共通性があるとしても,本件商標を申立商品に付した場合に,これに接する取引者,需要者が,申立人商標ないしは申立人を連想,想起するようなことはなく,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他,本件商標が申立商品について出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
(5)小括
したがって,本件商標は,その指定商品中の申立商品について,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標は,その指定商品中の申立商品について,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく,その登録は,同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえず,ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2020-06-17 
出願番号 商願2018-121285(T2018-121285) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W14)
T 1 652・ 271- Y (W14)
T 1 652・ 263- Y (W14)
T 1 652・ 264- Y (W14)
T 1 652・ 262- Y (W14)
最終処分 維持  
前審関与審査官 飯田 悠太浦崎 直之 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 小俣 克巳
薩摩 純一
登録日 2019-07-26 
登録番号 商標登録第6165376号(T6165376) 
権利者 ガーミン スウィッツァーランド ゲーエムベーハー
商標の称呼 マークコマンダー、マルクコマンダー、エムエイアアルキュウコマンダー、マーク、マルク、エムエイアアルキュウ、コマンダー 
代理人 福田 秀幸 
代理人 山川 政樹 
代理人 山川 茂樹 

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