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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W20
審判 全部申立て  登録を維持 W20
審判 全部申立て  登録を維持 W20
管理番号 1363325 
異議申立番号 異議2019-900295 
総通号数 247 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-11 
確定日 2020-06-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第6163093号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6163093号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6163093号商標(以下「本件商標」という。)は、「Inlagom」の欧文字を標準文字で表してなり、令和元年5月13日に登録出願、第20類「海泡石,美容院用椅子,プラスチック製バルブ(機械要素に当たるものを除く。),貯蔵槽類(金属製又は石製のものを除く。),カーテン金具,クッション,木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器,家具,ハンガーボード」を指定商品として、同年7月3日に登録査定、同月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する欧州登録第17923858号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2018年6月26日に登録出願、第20類「クッション,枕」等を指定商品とし、同年10月23日に登録されたものである(甲47、申立人の主張)。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第58号証を提出した。
(1)引用商標の周知性・著名性について
申立人は、事務用家具、台所用品を製造・販売する会社であり、「深訓市恒通卓越屯子科技有限公司」に対してTiopeseyの店舗名のもと、2018年6月24日より引用商標の使用、及びAmazonにおけるInlagom商品の販売を許可しており(甲40)、「深訓市恒通卓越屯子科技有限公司」をピンイン読みした「Shenzhen Hengtongzhuoyue dianzikeji youxiangongsi」がAmazonで商品を出品している(甲50)。
Amazon Japan G.K.からの広告費請求書(2018年10月から2019年5月)には、販売を許可したTiopeseyが含まれている(甲1)。
2017年10月から2019年5月のAmazonにおけるInlagom商品の売上量を示す(甲2、48)。
また、Tiopeseyが出品したInlagom商品の注文内容の詳細、カスタマーレビュー(甲3?25)、及び製品唯一の識別番号ASINの一覧(甲41)から、本件商標の登録出願日前にTiopeseyがInlagomブランドを使用していることがわかる。
なお、Inlagom商品が高い評価を得ていることは、カスタマーレビュー、Amazonの評価管理ページにおいても確認できる(甲57、58)。
また、Inlagom商品のホームページが存在し(甲56)、その所有者が申立人であることが、WHOISデータベースの検索結果ページ(甲46)で確認できる。
以上より、本件商標の登録出願日以前より、引用商標は、Tiopeseyの商標として需要者の間に広く知られていた。
(2)商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用商標は、「Inlagom」の欧文字からなり、両商標は、「インラゴム」の称呼を同一にし、かつ、外観において類似し、観念を共通にする類似のものである。
そして、引用商標は、申立人の商標として日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されており、本件商標は不正の目的をもって使用されるものである。
(3)商標法第4条第1項第10号について
引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されており、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、その商品又はこれらに類似する商品について使用をするものである。
(4)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、周知・著名な商標である引用商標と類似であり、本件商標の商標権者は、引用商標が本件商標の指定商品について、我が国において商標登録されていないことを奇貨として、先取り的に登録出願し、商標権を取得したものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標権者が本件商標を登録出願し、商標権を取得した行為は、公正な商取引の秩序を乱すおそれがあり、ひいては公の秩序を害するおそれがあるものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人から「深訓市恒通卓越屯子科技有限公司」に対し、店舗名を「Tiopesey」として、引用商標の使用及びAmazonにおける商品の販売を2018年6月24日から許可しているとされるが(甲40)、当該書面に許可に係る具体的な商品の記載は見あたらない。なお、上記書面の訳文(日本語)は提出されていない。
また、「深訓市恒通卓越屯子科技有限公司」をピンイン読みした「Shenzhen Hengtongzhuoyue dianzikeji youxiangongsi」がAmazonで商品を出品しているとされるもの(甲50)は、具体的な商品の記載がない上に、上記名称の者と店舗名「Tiopesey」との関係が確認できない。
(イ)「Amazon Japan G.K.」からの広告費請求書(甲1)に係る広告内容には、販売を許可した「Tiopesey」が含まれているとされるが、この請求書が誰に宛てたものであるか確認できない上に、商標「Inlagom」を使用する商品に関する広告費を直ちに把握することはできない。
(ウ)「Inlagom商品」の売上量を示すとされる一覧(甲2、48)について、一部不鮮明である上に、申立人は、「Tiopesey」の店舗名の下、2018年6月24日から引用商標を使用する商品の販売を許可したとするが、上記売上量一覧には、当該許可前に当たる2017年10月からの売上量が示されており、当該売上量とされるものがどの程度の期間内に販売されたものなのかも明らかでない。そうすると、上記売上量一覧から、商標「Inlagom」を使用する商品の販売数を直ちに把握することはできない。
(エ)例えば、「Tiopesey」が出品した「Inlagom バスピロー お風呂まくら」が「出荷日 2018年9月11日」とされ、「ASIN:B07FQJK3WG」の記載及び「16件のカスタマーレビュー」の掲載があり(甲3)、該ASIN番号の所有者が「Tiopesey.jp」であること(甲41)も認められるから、「Tiopesey」が本件商標の登録出願前に「Inlagom」に係る商品を販売していたとはいえる。
イ 上記アからすれば、「Tiopesey」とする店舗名の下、「Inlagom」に係る商品が、本件商標の登録出願前に販売されていたことは認められる。
しかしながら、申立人又は「Tiopesey」の取り扱いに係る引用商標を使用した商品について、我が国又は外国における市場シェア、広告宣伝の規模等の事実を裏付ける具体的な証拠の提出はなく、それらの詳細が確認できない。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間に、引用商標が申立人又は「Tiopesey」の商品を表示するものとして、広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
引用商標は、別掲のとおり、ややデザイン化された「Inlagom」の欧文字からなるところ、本件商標は、引用商標と同一のつづりである「Inlagom」の欧文字からなるため、外観において近似し、かつ、両商標は、「インラゴム」の称呼を同一にするものであるから、類似する商標というべきである。
しかしながら、引用商標は、上記(1)のとおり、申立人又は「Tiopesey」の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ないから、同号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間で、申立人又は「Tiopesey」の業務に係る商品を表示するものとして、広く認識されていた商標とは認められないものである。
また、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標権者が不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、引用商標が周知・著名な商標であり、本件商標権者が我が国で先取り的に本件商標を登録出願し商標権を取得したもので、その行為は、公正な商取引の秩序を乱すおそれがあり、ひいては公の秩序を害するおそれがあると主張しているが、上記(1)のとおり、引用商標の周知性は認めることができず、申立人が提出した甲各号証を総合してみても、本件商標が不正の利益を得る目的、申立人の事業活動を阻害する目的その他の不正の目的をもって使用をするものであったり、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあるなどと認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。
また、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激又は他人に不快な印象を与えるようなものでないこと明らかであり、その他、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるというべき証左も見あたらない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号のいずれにも該当するものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲

別掲(引用商標)



異議決定日 2020-06-12 
出願番号 商願2019-68099(T2019-68099) 
審決分類 T 1 651・ 255- Y (W20)
T 1 651・ 22- Y (W20)
T 1 651・ 222- Y (W20)
最終処分 維持  
前審関与審査官 福田 洋子 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 板谷 玲子
木村 一弘
登録日 2019-07-19 
登録番号 商標登録第6163093号(T6163093) 
権利者 塚▲崎▼ 隆一
商標の称呼 インラゴム 
代理人 安達 友和 

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