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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1363304 
異議申立番号 異議2019-900183 
総通号数 247 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-06-26 
確定日 2020-06-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6135665号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6135665号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6135665号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲に示すとおりの構成よりなり,平成30年6月2日に登録出願,第35類「販売促進のための企画及び実行の代理,商品・役務の買い手及び売り手のためのオンライン市場の提供,広告,商取引の媒介・取次ぎ又は代理,商業及び販売促進のための展示会及び見本市の運営,取引相手先の商業及び事業に関する情報の提供,市場分析,事業の管理及び組織に関する指導及び助言,マーケティング,商品の売買に関する契約の交渉の代行」を指定役務として,同31年3月6日に登録査定,同年4月5日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立てに引用する商標は,以下の(1)ないし(3)であり,(1)及び(2)は,現に有効に存続しているものである(以下,これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。)。
(1)登録第6108700号商標(以下「引用商標1」という。)は,「UNLEASH THE BEAST!」の文字を標準文字で表してなり,2018年(平成30年)3月14日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,平成30年9月10日に登録出願,第35類「印刷された販売促進材料・音声的販売促進材料及び視覚的販売促進材料の配布を通じて行うスポーツ・モータースポーツ・エレクトロニックスポーツ及び音楽の産業における商品及び役務の販売促進・提供促進のための企画及びその実行の代理,他人のためのスポーツ・エレクトロニックスポーツ及び音楽のイベント・実演・演奏及び競技に関する役務の提供促進のための企画及びその実行の代理,商品の販売促進又は役務の提供促進のためのイベントの企画・運営又は開催」及び第41類「スポーツのイベント及び競技,エレクトロニックスポーツのイベント及び競技,並びに音楽の演奏及びイベントの性質を帯びた娯楽の提供,その他の娯楽の提供,娯楽情報の提供(ウェブサイトによる娯楽情報の提供を含む。)」を指定役務として,同年12月21日に設定登録されたものである。
(2)登録第5941189号商標(以下「引用商標2」という。)は,「UNLEASH THE ULTRA BEAST!」の欧文字を横書きしてなり,平成28年10月19日に登録出願,第5類「栄養補給剤,その他の薬剤,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び第32類「アルコール分を含有しない飲料,ビール,ビール製造用ホップエキス」を指定商品として,同29年4月21日に設定登録されたものである。
(3)申立人がその業務に係る商品「エナジードリンク」に使用していると主張する「REHAB THE BEAST!」,「PUMP UP THE BEAST!」,「HYDRATE THE BEAST!」,「UNLEASH THE NITRO BEAST!」,「UNLEASH THE SALTY BEAST!」,「UNLEASH THE CAFFEINE FREE BEAST!」など,その構成中に「BEAST」の語を含むセンテンスから構成された様々なスローガン商標(以下「『BEAST』スローガン商標」という。)

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第7号及び同第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第418号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 引用商標の周知性
申立人は,2002年(国内は2012年)から現在に至るまで継続して,製品名に「MONSTER」の文字を用いた「MONSTER」ブランドのエナジードリンク製品シリーズ(以下「『MONSTER』エナジードリンク」という。)を日本を含む世界130か国以上で製造,販売しており,モータースポーツ,エクストリームスポーツ等を含むスポーツ競技会,ロックミュージックフェスティバルなどの音楽祭,eスポーツ(コンピュータゲーム)競技会などの娯楽イベントの開催及びスポンサー提供を通じて行う大規模な販売促進活動を全世界的に展開しており,遅くとも本件商標の登録出願時までには,この「MONSTER」エナジードリンクは国内のエナジードリンクの取引者のみならず,当該商品の最終的な需要者である一般消費者の間においても広く認識されていた(甲2?甲418)。
申立人は,2002年の「MONSTER」ブランド創設時に「MONSTER」エナジードリンクのためのスローガン商標として「UNLEASH THE BEAST!」を採択して使用を開始した。
申立人が「MONSTER」エナジードリンクのためのスローガン商標として最初に採択した「UNLEASH THE BEAST!」は,「野獣を解き放て!」との衝撃的意味を表すフレーズとして経済界の注目を浴び,このような斬新なスローガン商標「UNLEASH THE BEAST!」を導入して展開された申立人のマーケティング戦略に焦点を当てた多数の記事が有名経済誌に掲載された(甲51?甲57)。
そして,2002年以降,現在に至るまで,「MONSTER」エナジードリンクは,「UNLEASH THE BEAST!」をはじめとする,「UNLEASH THE ULTRA BEAST!」,「REHAB THE BEAST!」,「PUMP UP THE BEAST!」,「HYDRATE THE BEAST!」,「UNLEASH THE NITRO BEAST!」,「UNLEASH THE SALTY BEAST!」,「UNLEASH THE CAFFEINE FREE BEAST!」など,その構成中に「BEAST」の語を含むセンテンスから構成された様々な「BEAST」スローガン商標を缶の裏面,並びに製品情報その他の広告物等に表示して,販売及び広告宣伝活動が実施されている(甲353?甲358,甲30,甲359?甲399)。
また,「BEAST」スローガン商標は,国内で引用商標1及び引用商標2として商標登録され,世界各国でも商標登録されている(甲408?甲418)。
したがって,これらを総合すれば,本件商標の登録出願時及び登録査定時には,申立人の使用に係る「BEAST」スローガン商標及びこれらに共通して用いられている「BEAST」の文字は,申立人の「MONSTER」エナジードリンクの出所識別標識として,取引者,需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標は,2本の角を有する獣の頭部様の図形の中に白抜きで「NOISY」の欧文字と「BEAST」の欧文字を上下二段に表示してなり,「NOISY」と「BEAST」は物理的に上下二段に分断されていることに加えて,当該文字全体が辞書等に掲載されている成語に該当するものでもないから,上記の図形並びに「NOISY」及び「BEAST」の各文字のそれぞれが独立の出所識別標識として機能し得る。
本件商標は,「BEAST」の文字を顕著に包含するものであるから,申立人の使用に係る「BEAST」及び「BEAST」スローガン商標と外観が類似する。
また,本件商標からは,「BEAST」の文字部分に基づき「ビースト」の称呼及び「獣」の観念が生じるから,申立人の使用に係る「BEAST」と称呼及び観念が同一であり,「BEAST」スローガン商標とも類似性を有する。
さらに,上記の獣の頭部様の図形からも「獣」の観念が連想されるから,この点でも,本件商標は,申立人の使用に係る「BEAST」及び「BEAST」スローガン商標と観念上の類似性を有する。
加えて,本件商標の文字部分は,「BEAST」に「NOISY」を結合させたものであるから,申立人の使用に係る「BEAST」スローガン商標と同一の構造を有し,「BEAST」スローガン商標と極めて似通った印象,記憶,連想を取引者,需要者に与える。
したがって,本件商標は,申立人の使用に係る「BEAST」及び「BEAST」スローガン商標と類似性の程度が高いものであることが明らかである。
ウ 指定役務の関連性
本件商標が使用される指定役務(以下「本件指定役務」という。)は,引用商標1に係る指定役務と同一又は類似のものであり,また,申立人が「MONSTER」ブランドの下で提供しているスポーツ・音楽・eスポーツ(コンピュータゲーム)等の娯楽イベントの企画・運営に係るスポンサー活動と同一又は類似のもの,あるいは,これらと関連する。
エ 出所の混同を生ずるおそれ
したがって,本件商標が本件指定役務に使用された場合,これに接した取引者,需要者は,「BEAST」スローガン商標を用いて販売,広告宣伝されて広く認識されている申立人の「MONSTER」エナジードリンク及び申立人会社を想起連想し,当該役務が申立人又は申立人と組織的又は経済的な関連を有する者の取扱いに係るものであると誤信し,その出所について混同を生ずるおそれがある。
また,本件商標が本件指定役務に使用された場合は,申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されるに至った「BEAST」スローガン商標の出所表示力が希釈化されるおそれが高く,本件商標の使用は,申立人の「MONSTER」エナジードリンクの信用力,「MONSTER」ブランドの顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標の指定役務についての使用は,申立人による継続的使用と営業努力によって「MONSTER」エナジードリンクをはじめとする申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「BEAST」スローガン商標の出所表示力を希釈化させるおそれが高いものであり,申立人の「MONSTER」エナジードリンクの信用力,「MONSTER」ブランドの顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ず,申立人に経済的及び精神的損害を与える。
したがって,本件商標は,社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであるから,公序良俗を害するおそれがある。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性
申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(ア)右下に「2013」と記載された申立人の日本向けホームページのプリントアウトには,申立人が「MONSTER」エナジードリンクと称する「エナジードリンク」(以下「申立人商品」という。)について,「MONSTER ENERGY」(「MONSTER」の文字は,やや図案化した欧文字で表され,かつ,「O」の文字部分には,それを貫く縦線が描かれている。)の表示と共に,「Unleash」と「the Beast!」のデザイン化された欧文字の二段表記及び「ひと口飲めば,世界中のアスリートやミュージシャン,そして世界中のMonsterファンが熱狂するワケを実感できるはず! Unleash the Beast!」の文字の記載(甲353)があり,申立人の日本向けホームページの申立人商品の製品情報の記事中には,「Unleash the Beast!」又は「Unleash The Beast」の欧文字の記載(甲366?甲369)及び「Unleash The Ultra Beast」の記載(甲370)がある。
(イ)申立人の米国ウェブサイトと主張する申立人商品の製品情報の記事中には,「Unleash the Beast!」の欧文字(甲355?甲357)及び「Unleash The Beast!」の欧文字の表示(甲371,甲384?甲388)がある。
また,申立人の米国ウェブサイトと主張する申立人商品の製品情報の記事中には,「Unleash The Ultra Beast!」の欧文字の表示(甲376?甲382)及び「Unleash the Salty Beast!」の欧文字の表示(甲383)がある。
なお,これらの申立人商品の製品情報の掲載日や出力日は不明であるばかりでなく,その表示や記載の内容はいずれも外国語(英語)によるものである。
(ウ)申立人は,列車に「Unleash the Beast!」の文字が表示された写真(甲354)を提出しているが,その撮影日,撮影場所が不明であるばかりでなく,その写真に写された内容をみるに,日本国内で撮影されたとはいい難いものである。
また,申立人商品の容器(缶)の裏面に「Unleash the Ultra Beast!」の文字が表示された写真(甲362),申立人商品の広告に「Unleash the Beast!」又は「UNLEASH THE BEAST!」の欧文字が表示された広告(甲364)を提出しているが,写真の撮影日,撮影場所,広告が行われた時期,ウェブサイトの掲載日や出力日等が不明であるばかりでなく,これらの容器(缶)や広告文に表示されている内容は,いずれも外国語(英語)によるものである。
(エ)「BeverageWorld」誌(2004年6月発行)の記事(甲51),「BusinessWeek online」(2005年6月6日配信)の記事(甲52),「FORTUNE」誌(2005年9月5日発行)の記事(甲53)及び「Newsweek」誌(2006年3月20日発行)の記事(甲57)中には,申立人商品の(販売)スローガンとして,「Unleash the Beast」,「Unleash the beast」,「Unleash the beast!」の欧文字の記載があるが,これらは,いずれも外国語(英語)による記事中のものである。
(オ)申立人の米国ウェブサイトに掲載された申立人商品と主張する「MUSCLE MONSTER Energy Shake Vanilla」の写真及び製品情報の記事(甲30),「MUSCLE MONSTER ENERGY SHAKE CHOCOLATE」の製品情報の記事(甲358),「MUSCLE MONSTER ENERGY SHAKE STRAWBERRY」の製品情報の記事(甲359)中には,申立人商品の(販売)スローガンとして,「Pump Up the Beast!」の欧文字の記載がある。
なお,これらの写真の撮影日や撮影場所,申立人商品の製品情報の掲載日や出力日は不明であるばかりでなく,その表示や記載の内容はいずれも外国語(英語)によるものである。
(カ)申立人の米国ウェブサイトに掲載された申立人商品と主張する「MONSTER ENERGY UNLEADED」の製品情報の記事中に,「UNLEASH THE CAFFEINE FREE BEAST!」の記載(甲360),「MONSTER REHAB」の容器(缶)の裏面に「REHAB THE BEAST!」の記載(甲361),「MONSTER ENERGY ZERO ULTRA」の容器(缶)の裏面に「UNNLEASHE THE ULTRA BEAST!」の記載(甲362),「MUSCLE MONSTER」の容器(缶)の裏面に「PUMP UP THE BEAST!」の記載(甲363)が,同じく申立人商品と主張する「MONSTER MAXX/MAXIMUM STRENGTH/SUPER DRY」の製品情報,「MONSTER MAXX/MAXIMUM STRENGTH/ECLIPSE」の製品情報及び「MONSTER MAXX/MAXIMUM STRENGTH/SOLARIS」の製品情報の記事中に,「UNLEASH THE NITRO BEAST!」の記載(甲398?甲399)がある。
なお,これらの製品情報の掲載日や出力日は不明であるばかりでなく,その記載の内容はいずれも外国語(英語)によるものである。
(キ)2012年頃からスポーツ競技会やロックミュージックフェスティバル等において申立人商品の広告宣伝が行われ,その場で申立人商品のサンプルが配布されていたことがうかがわれるものの(甲58等),イベントの規模や参加人数等を示す客観的な証拠や,配布された申立人商品の個数等を裏付ける客観的な証拠の提出はない。
また,申立人の提供する「スポーツ・音楽・eスポーツ(コンピュータゲーム)等の娯楽イベントの企画・運営に係るスポンサー活動」等の役務について引用商標が使用されていたことを裏付ける資料の提出はない。
(ク)上記(ア)ないし(キ)によれば,申立人商品は,2013年頃に,申立人の日本向けホームページに掲載され,また,引用商標1と同じ「UNLEASH THE BEAST!」及び「Unleash The Beast!」の欧文字,引用商標2と同じ「Unleash The Ultra Beast!」の欧文字及び申立人が「BEAST」スローガン商標と称する「BEAST」の語を含む構成の様々なスローガン商標は,申立人の日本向けホームページ及び米国ウェブサイトにおける製品情報や写真,外国の雑誌の記事中において,表示又は記載されていることがうかがえる。
しかしながら,製品情報の掲載日,ウェブサイトの出力日,写真の掲載日等が不明であるばかりでなく.外国語(英語)の広告や記事については,我が国の取引者・需要者を対象としたものとはいい難いものであり,我が国において引用商標が申立人商品について表示されているのは,申立人の日本向けホームページのみである(甲353,甲366等)。
また,2012年頃からスポーツ競技会やロックミュージックフェスティバル等において申立人商品の広告宣伝が行われたことはうかがえるものの,イベントの規模や参加人数等,それらの宣伝広告を通じて引用商標がどれぐらいの需要者の目に触れたかを客観的に示す証拠や,配布された申立人商品の個数を裏付ける客観的な証拠の提出はない。
そして,その他に引用商標が我が国において使用されていたことを裏付ける証拠は見いだせず,また,我が国において引用商標が使用された申立人商品の販売開始時期,販売期間,販売地域,販売数量や広告宣伝の方法,期間及び規模等,引用商標の周知性を裏付ける客観的な証拠は提出されていない。
加えて,スポーツ競技会やロックミュージックフェスティバル等において申立人商品の広告に引用商標が使用されたことはうかがえるものの,申立人の業務に係る「スポーツ・音楽・eスポーツ(コンピュータゲーム)等の娯楽イベントの企画・運営」について引用商標が使用されていたことを裏付ける証拠も見いだせない。
してみれば,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして我が国の取引者,需要者の間に広く認識されているものということはできない。
なお,申立人は,世界各国で「BEAST」スローガン商標が商標登録されている旨主張しているが,諸外国における商標の登録例は,「BEAST」スローガン商標の周知・著名性を直接的に裏付けるものではなく,「BEAST」スローガン商標を含む引用商標の周知・著名性については,上記のとおり,その使用状況に基づき客観的に判断されるべきものであるから,かかる主張を採用することはできない。
また,申立人は,引用商標に含まれる「BEAST」の文字が申立人商品の出所識別標識として,取引者,需要者に広く認識されていた旨主張しているが,上述のとおり,引用商標の周知・著名性は認められないものであって,「BEAST」の文字が単独で申立人商品に使用されていた証拠の提出もないことからすれば,「BEAST」の文字のみが申立人商品の出所識別標識として,取引者,需要者に広く認識されていたと認めることはできず,かかる主張を採用することはできない。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度
(ア)本件商標
本件商標は,別掲のとおり,黒色で塗りつぶされた頭部とおぼしき図形の左右に灰色の角を配した図形(以下「図形部分」という。)の中にまとまりよく,白抜き文字で「NOISY」及び「BEAST」の欧文字を上下二段に配した構成からなるものである。
そして,本件商標は,その構成中「NOISY」及び「BEAST」の文字が図形部分の中にまとまりよく表されていることから,「BEAST」の文字のみが分離されることはなく,一体不可分のものとみるのが相当である。
そうすると,本件商標は,全体の構成文字に相応して「ノイジービースト」の称呼のみを生ずるものである。
(イ)引用商標
引用商標1及び引用商標2は,それぞれ,「UNLEASH THE BEAST!」,「UNLEASH THE ULTRA BEAST!」の欧文字を一連一体に横書きしてなるものであることから,「BEAST」の文字のみを分離することなく,一体不可分のものとみるのが相当であり,その構成文字に相応して「アンリーシュザビースト」,「アンリーシュザウルトラビースト」の称呼を生ずるものである。
また,「BEAST」スローガン商標は,「REHAB THE BEAST!」,「PUMP UP THE BEAST!」,「HYDRATE THE BEAST!」,「UNLEASH THE NITRO BEAST!」,「UNLEASH THE SALTY BEAST!」,「UNLEASH THE CAFFEINE FREE BEAST!」など,その構成中に「BEAST」の語を含むとしても,これらはキャッチフレーズとして語尾に位置する「BEAST」の文字のみが強く印象付けられるものではなく,一連一体のものと認識されるものとみるのが自然であり,「BEAST」の文字部分のみが独立して出所識別標識として認識されることはないというのが相当であるから,それぞれの構成文字に応じた一連一体の文字列の外観を有し,またその構成文字に相応して「リハブザビースト」,「パンプアップザビースト」等の一連の称呼を生ずるものである。
(ウ)本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標との類似性の程度について検討するに,本件商標及び引用商標は,それぞれ上記のとおりの構成よりなるものであるから,図形部分の有無,構成文字の相違及び二段書きか否か等の顕著な差異があり,外観において,明らかに異なるものである。
また,本件商標から生じる「ノイジービースト」の称呼と,引用商標から生じる「アンリーシュザビースト」,「アンリーシュザウルトラビースト」,「リハブザビースト」,「パンプアップザビースト」等の称呼は,その音構成及び構成音数等において明らかに異なるものであるから,それぞれを一連に称呼しても,明瞭に聴別できるものである。
してみれば,本件商標と引用商標とは,外観において相違し,かつ,称呼においても明確に区別できるものであるから,「獣」を意味する「BEAST」の文字を含む点において共通するとしても,本件商標と引用商標との類似性の程度が高いものということはできない。
ウ 商品及び役務との関連性並びに取引者及び需要者の共通性
本件指定役務は,上記1のとおり,「販売促進のための企画及び実行の代理,商品・役務の買い手及び売り手のためのオンライン市場の提供,広告」といった販売促進,マーケティング等に関する役務である。
一方,申立人は,「『MONSTER』ブランドの下で提供しているスポーツ・音楽・eスポーツ(コンピュータゲーム)等の娯楽イベントの企画・運営に係るスポンサー活動」を行っている旨主張しているが,上記アのとおり,申立人が提出した証拠によって引用商標が使用されていることを認め得るのは,申立人商品「エナジードリンク」であって,引用商標が「スポーツ・音楽・eスポーツ(コンピュータゲーム)等の娯楽イベントの企画・運営」に使用されたことを認め得る証拠は見いだせないことから,本件指定役務との関係で,商品及び役務との関連性並びに取引者及び需要者の共通性を検討すべき対象は,引用商標が使用されている「エナジードリンク」というべきである。
そうすると,「エナジードリンク」と本件指定役務は,商品の生産者,販売者,用途及び役務の提供者,提供手段,目的,提供に関連する物品等が全く異なる別異の商品及び役務であり,一般に同一事業者によって行われるものではなく,また,これら商品及び役務の用途や販売(提供)場所も異なるものであるから,本件指定役務と,引用商標の使用されている商品との間に密接な関連性があるものとはいい難く,また,取引者,需要者が共通するともいえないものである。
混同を生ずるおそれについて
上記アないしウを総合して判断するに,引用商標は,上記アのとおり,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていた商標ということはできないものであり,また,上記イのとおり,本件商標と引用商標とは,類似性の程度が高いものでもなく,さらに,本件指定役務と引用商標が使用されている商品の間に何ら関連性もなく,取引者,需要者も共通しないことを考慮すれば,本件商標に接する取引者,需要者が,引用商標を連想又は想起することはないというべきであり,本件商標は,これを本件指定役務について使用しても,その取引者,需要者に,当該役務が他人(申立人)又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように,役務の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は,別掲のとおりの構成よりなるものであるから,その構成が,きょう激,卑わい,差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような図形及び文字よりなるものということはできない。
また,「BEAST」スローガン商標を含む引用商標は,上記(1)アのとおり,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていた商標ということはできないものであり,上記(1)イのとおり,本件商標と引用商標は,類似性の程度が高いものでもないことから,本件商標が,引用商標の顧客吸引力にフリーライドするものであるとか,引用商標を剽窃したものであるということはできず,また,「BEAST」スローガン商標の出所表示力を希釈化させるものであるということもできないことから,本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くと認めるべき事情があるものと認めることはできない。
さらに,申立人は,「本件商標は,社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものである」旨主張しているが,本件商標が外国において公的な規制により権原なくその使用が禁止されている標章であるといった事実等,申立人の上記主張を裏付ける客観的な証拠はなく,本件商標をその指定役務に使用することが社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するものということはできず,その使用が他の法律によって禁止されているもの,外国の権威や尊厳を損なうおそれがあって,国際信義に反するものということもできない。
その他,本件商標が,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」とみるべき理由があると認めるに足りる証拠の提出はない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号及び同第15号に該当するものでなく,その登録は同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標)


異議決定日 2020-05-28 
出願番号 商願2018-73387(T2018-73387) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W35)
T 1 651・ 271- Y (W35)
最終処分 維持 
前審関与審査官 柿本 涼馬池田 光治 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 冨澤 美加
鈴木 雅也
登録日 2019-04-05 
登録番号 商標登録第6135665号(T6135665) 
権利者 ヘルス アンド ハピネス (エイチ アンド エイチ) ホンコン リミテッド
商標の称呼 ノイジービースト、ノイジー、ビースト 
代理人 柳田 征史 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
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