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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2017890011 審決 商標
無効2017890071 審決 商標
異議2016900226 審決 商標
異議2017900051 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1363296 
異議申立番号 異議2019-900240 
総通号数 247 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-08-26 
確定日 2020-06-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第6148139号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6148139号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6148139号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲に示すとおりの構成よりなり,平成30年6月29日に登録出願,第41類「体育の教授,コーチング(訓練),知識の教授,運動競技会の企画・運営,教育又は娯楽に関する競技会の企画・運営,オンラインによる電子出版物の提供(ダウンロードできないものに限る。),娯楽の提供,運動施設の提供,会員制による教育・娯楽の提供,スポーツキャンプの企画・運営又は開催」を指定役務として,同31年4月15日に登録査定,令和元年5月31日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てにおいて引用する商標は,以下の5件であり,いずれも,現に有効に存続しているものである(以下,これら5件の商標をまとめて「引用商標」という。)。
(1)登録第5415351号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「WORLD SERIES」
登録出願日:平成16年10月28日
設定登録日:平成23年6月3日
指定商品及び指定役務:第41類「教育情報の提供,娯楽情報の提供,野球の興行の企画・運営又は開催,テレビ及びラジオなどの放送媒体・インターネット又はその他のオンラインを介して提供される野球の試合・競技会及び展示会に関する放送番組の配給,スポーツの興行に関する情報の提供,コンピュータネットワークを介してのゲームの提供,インターネットのホームページ及び電子掲示板を介してのスポーツの興行に関する情報の提供」並びに第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)登録第2300695号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「WORLDSERIES」の欧文字と「ワールドシリーズ」の片仮名の二段併記
登録出願日:昭和53年8月7日
設定登録日:平成3年1月31日
書換登録日:平成15年1月22日
指定商品:第22類,第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
最新更新登録日:平成23年2月8日
(3)登録第1888544号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「WORLDSERIES」の欧文字と「ワールドシリーズ」の片仮名の二段併記
登録出願日:昭和53年8月21日
設定登録日:昭和61年9月29日
書換登録日:平成20年3月26日
指定商品:第18類,第21類,第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
最新更新登録日:平成28年4月26日
(4)登録第2077580号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:「WORLD SERIES」
登録出願日:昭和59年8月20日
設定登録日:昭和63年9月30日
書換登録日:平成21年2月18日
指定商品:第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
最新更新登録日:平成30年7月3日
(5)登録第5409040号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:「WORLD SERIES」
登録出願日:平成19年7月2日
設定登録日:平成23年4月28日
指定役務:第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同第11号,同第15号及び同第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第77号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標の周知著名性について
申立人は,米国メジャーリーグベースボールの商標権その他の権利を管理する法人であり,引用商標に係る「WORLD SERIES」商標は,米国メジャーリーグベースボールの周知著名な「米国のプロ野球選手権試合」を示すものである。メジャーリーグベースボールの歴史は,1876年にナショナル・リーグが発足したことから始まり,1900年に「クラシックエイト」と言われる8球団が確定した。
我が国においても,特に第二次世界大戦後,アメリカ文化の流入と共に人気が高まり,老若男女を問わず多くのファンが存在する。特に,2004年から電通がメジャーリーグベースボールの試合の日本向け放送権を獲得し,NHK,TBS,フジテレビジョン及びSKYPerfectTVで放映するようになったことから,メジャーリーグベースボール所属のチーム名やメジャーリーグの頂点を決める「WORLD SERIES」(ワールドシリーズ)は以前にも増して,日本の視聴者の間に浸透することになった(甲8)。
その後,日本人選手が米国に渡ってメジャーリーグで活躍するようになり,このことが日本におけるメジャーリーグベースボールの人気を不動のものとした(甲8)。現在では,大谷祥平,田中将大,菊池雄星,ダルビッシュ有,田沢純一,前田健太,平野桂寿,牧田和久の8人がメジャーリーグに在籍しており,1995年の野茂英雄以降,実に70人以上の選手が活躍してきた(甲9,甲10)。彼らのメジャーリーグベースボールでの活躍は,我が国のテレビや新聞等のメディアを通して日々報道されている(甲8)。2019年の「WORLD SERIES」(ワールドシリーズ)は,日本人選手としてヤンキースの田中将大投手とドジャースの前田健太投手が戦うということで注目され,視聴する方法や「WORLD SERIES」(ワールドシリーズ)の結果に関する番組や記事が,NHKや読者層の多い日刊スポーツ等,多数存在する(甲13?甲17)。
このように,年間を通じてメジャーリーグベースボールの試合が放送され,日本人選手の活躍や,各試合の結果が報道され,また,メジャーリーグに関連する商品の販売等を通して,メジャーリーグベースボールについてだけでなく,その頂点を決める「WORLD SERIES」(ワールドシリーズ)は,メジャーリーグベースボールが開催するプロ野球選手権試合として我が国においても広く認識されていることから,本件商標の登録出願時はもちろんのこと,登録査定時においても,「WORLD SERIES」の欧文字は,申立人の業務に係る「米国のプロ野球選手権試合」に使用される商標として,極めて広く知られるに至っていることは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標においては,「WORLD SERIES」部分が要部となり,申立人の所有する引用商標1と外観,称呼及び観念において類似する。また,本件商標に係る指定役務は,引用商標1に係る指定役務と類似する。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は,その登録出願時及び登録査定時において,日本国内の需要者の間で全国的に広く認識され,申立人が所有し管理する高度の著名性を有する引用商標と同一又は類似する「WORLD SERIES」の文字部分を要部とする商標であり,その指定役務は,引用商標が周知著名性を獲得した役務との関連性が極めて高いものであって,需要者の範囲も一致すること等から,本件商標をその指定役務について使用するときは,これに接する取引者・需要者は,引用商標に係る商品及び役務を想起・連想し,あたかも申立人が取り扱う業務に係る役務であるかのごとく認識して取引に当たると考えられるため,その出所について混同を生ずるおそれが高いものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は,申立人が野球の興行等に使用して著名性を獲得した引用商標「WORLD SERIES」に類似するものであり,引用商標に化体した高い名声・信用・評判にフリーライドする目的で登録出願した商標というべきであり,引用商標の出所表示機能を稀釈化し,その名声を毀損させる商標というべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は,申立人が野球の興行等に使用して「米国のプロ野球の選手権試合」を意味するものとして著名であり,かつ引用商標と類似商標であって,本件商標の登録出願は,この著名な引用商標に化体した高い名声・信用及び評判にフリーライドし,不正な利益を得るために使用する目的でなされたものである。
また,本件商標を「WORLD SERIES」の主催者と何ら関係を有さない者が商標として登録し使用することは,引用商標に化体した顧客吸引力を無償で利用する結果を招来し,客観的に公正な取引秩序を維持するという商標法の法目的に合致しないと同時に,国際信義に反するものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
ア 申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば,以下のとおりである。
(ア)申立人は,米国メジャーリーグベースボール(以下「米国メジャーリーグ」という。)の商標権その他の権利を管理する法人である。
(イ)引用商標に係る「WORLD SERIES」の文字は,米国メジャーリーグの「プロ野球選手権試合」(各リーグの優勝チームの優勝決定戦)を示すものである。
(ウ)日本では,2004年から電通が米国メジャーリーグの試合の日本向け放送権を獲得し,テレビ放送では,NHK(日本放送協会),TBS,フジテレビジョン及びSKYPerfectTVで放映されるようになったとのことである。
(エ)1995年の野茂英雄選手以降,70人以上の日本人選手が米国メジャーリーグで活躍するようになり,「WORLD SERIES」にも13名の日本人選手が出場している(甲9,甲10)。
(オ)「WORLD SERIES」に関連した帽子,トレーニングウェア,ソックス,ボール,ポロシャツ,バット,DVD,メガネ,Tシャツ等の商品に,「WORLD SERIES」の文字が表示され,販売されていることがうかがえる。
しかしながら,これらの商品の販売実績や宣伝広告等に係る証拠は,提出されていない。
(カ)また,「WORLD SERIES」と申立人の業務に係る役務との関係を具体的に示す証拠は見いだせない。
イ 上記アからすれば,「WORLD SERIES」の文字は,申立人が商標権その他の権利を管理する米国メジャーリーグの「プロ野球選手権試合」(各リーグの優勝チームの優勝決定戦)の大会の名称を表すものであり,我が国のプロ野球選手も渡米して米国メジャーリーグに入団し,「WORLD SERIES」に出場した選手もおり,かつ,我が国においても「WORLD SERIES」がTV放送されていることがうかがえる。
一方で,証拠として提出された資料(甲8?甲18)は,外国語で作成されたものが多く,それらの翻訳文の提出もないことから,その内容が明確でないことに加え,我が国及び米国における引用商標を使用した帽子,トレーニングウェア,ソックス,ボール,ポロシャツ,バット,DVD,メガネ,Tシャツ等の商品の販売数量,売上高等の販売実績,宣伝広告の回数や広告費の額等の広告実績に関する証拠は何ら提出されていない。
また,TV放映(放送)についても,2019ポストシーズンにNHKオンデマンド(甲17)においてワールドシリーズの第1戦から第7戦が放送予定とされているとしても,このことをもって直ちに引用商標が申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたということはできない。
さらに,申立人は,世界中において,商標「WORLD SERIES」を商標登録している旨主張しているが,たとえ引用商標が世界中で商標登録されているとしても,そのことをもって,直ちに我が国又は外国において,引用商標が申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたということはできない。
そうすると,申立人の提出した証拠からは,「WORLD SERIES」の文字は,野球の分野においては,米国メジャーリーグの「プロ野球選手権試合」の大会の名称を表すものとして,米国内はもとより,我が国を含む外国において,ある程度知られているといい得るものである。
しかしながら,「WORLD SERIES」の文字が,申立人の取扱いに係る「興行の企画・運営」等の役務を表すものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠は提出されていない。
また,その他に,引用商標が,我が国又は外国において,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,取引者,需要者の間に広く認識されていたという事実を認めるに足りる客観的な証拠も見いだせない。
したがって,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,我が国又は外国の需要者の間に広く認識され,周知著名性を獲得していたということはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は,別掲1のとおり,一種の幾何図形(以下「本件図形」という。)の右側に「AR WORLD SERIES」の欧文字を横書きしてなるものである。
そして,本件商標は,その構成全体をもって,特定の意味合いを有するものとして認識されているというような事情も見いだせない上,本件図形と文字部分とは,視覚上,分離して看取されるばかりでなく,本件図形と「AR WORLD SERIES」の文字との間に観念上のつながりがあるともいえないものであるから,両部分は,それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものということはできない。
そうすると,本件商標に接する取引者,需要者は,本件図形と文字部分のそれぞれを出所識別標識としての機能を有する要部として認識,理解するというのが相当であるから,本件商標から「AR WORLD SERIES」の文字部分を要部として抽出し,引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというのが相当である。
そこで,本件商標の文字部分についてみるに,その構成文字は「AR」と「WORLD SERIES」の間にやや間隔を有しているとしても,同書,同大でまとまりよく一体的に表され,また,これより生じる「エーアールワールドシリーズ」の称呼も,よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして,本件商標は,その構成中の「AR」又は「WORLD SERIES」の文字のいずれかが,取引者,需要者に対し,役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべき事情も見いだせない。
そうすると,本件商標の文字部分は,その構成全体をもって一体不可分のものと把握されるというのが相当であるから,その構成文字に相応して,「エーアールワールドシリーズ」の称呼を生じるものである。また,「AR WORLD SERIES」の文字は,辞書等に載録されている語ではなく,特定の意味合いをもって認識され,把握されているという事情も見いだせないことから,本件商標の文字部分からは,特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標1について
引用商標1は,「WORLD SERIES」の欧文字を横書きしてなるところ,「WORLD」と「SERIES」の間に間隔があるとしても,同じ書体で外観上まとまりよく一体的に表されており,また,その構成文字全体から生じる「ワールドシリーズ」の称呼も,無理なく一連に称呼し得るものである。
そして,「WORLD SERIES」の文字は,「米国のメジャーリーグで,ナショナルリーグとアメリカンリーグの各優勝チームが7回戦制で行う選手権試合。」(小学館「デジタル大辞泉」)として辞書等に掲載され,前述のとおり,野球の分野においては,米国メジャーリーグの「プロ野球選手権試合」の大会の名称を表すものとして,ある程度知られているといい得ることからすれば,「米国メジャーリーグの『プロ野球選手権試合』」の観念が生じるものというべきである。
ウ 本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1との類否について検討するに,両商標はそれぞれ上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ,全体の外観においては,図形の有無及び「AR」の文字の有無という顕著な差異を有するから,明確に区別し得るものであり,本件商標の文字部分と引用商標1との比較においても,「AR」の文字の有無という差異を有することから,明確に区別し得るものである。
次に,称呼についてみるに,本件商標から生じる「エーアールワールドシリーズ」の称呼と引用商標1から生じる「ワールドシリーズ」の称呼とは,「エーアール」の音の有無及び構成音数の差異等から,明瞭に聴別し得るものである。
また,本件商標からは,特定の観念が生じないものであるから,引用商標1から「米国メジャーリーグの『プロ野球選手権試合』」の観念が生じるとしても,観念において紛れるおそれはない。
してみれば,本件商標と引用商標1とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他,本件商標と引用商標1が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり,本件商標と引用商標1は非類似の商標であるから,本件商標の指定役務が引用商標1の指定役務と同一又は類似するとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知著名性について
引用商標は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたということはできないものである。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度について
本件商標及び引用商標は,それぞれ前記1及び2のとおりの構成よりなるところ,いずれもその構成中に「WORLD SERIES」又は「WORLDSERIES」の文字を有する点において,ある程度の類似性は認められるものである。
ウ 商品・役務の関連性及び需要者の共通性について
申立人が周知著名性を主張する引用商標は,「米国メジャーリーグの『プロ野球選手権試合』の名称」であることからすれば,「運動競技会の企画・運営」の役務との関係において,当該役務の対象となる「運動競技会」の名称とみることができ,この観点からすれば,両者に関連する需要者が共通する場合があるといい得る。
エ 申立人の多角経営の可能性について
申立人は,米国メジャーリーグの商標権その他の権利を管理する法人と認められるところ,野球に関連する業務以外の業務を行っている事実は見いだせず,野球以外の分野に事業活動を拡大していく蓋然性は想定し難いものであるから,申立人の多角経営の可能性は低いといわざるを得ない。
オ 小括
上記アないしエを総合的に判断すれば,本件商標と引用商標がある程度の類似性を有するものであり,需要者が共通する場合があるとしても,引用商標は,上記アのとおり,何より本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであり,かつ,申立人の多角経営の可能性も低いものである。
そうすると,本件商標権者が,本件商標をその指定役務について使用しても,取引者,需要者が,申立人若しくは引用商標を連想又は想起することはなく,その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他,本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は,「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて,不正の目的(不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
引用商標は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたとは認められないものである。
また,本件商標は,上記(2)のとおり,引用商標1とは非類似の商標であるから,引用商標1と同一の構成からなる引用商標4及び引用商標5は,本件商標と引用商標1の類否判断と同様に,本件商標とは非類似の商標である。
さらに,引用商標2及び引用商標3は,その構成文字に相応して,引用商標1と同様に,「ワールドシリーズ」の称呼及び「米国メジャーリーグの『プロ野球選手権試合』」の観念が生じるものであることからすれば,引用商標1と本件商標の類否判断と同様に,本件商標とは非類似の商標である。
そうすると,本件商標は,いずれの引用商標とも,非類似の商標であり,申立人が提出した証拠からは,本件商標権者が,不正の利益を得る目的,他人(申立人)に損害を加える目的,その他の不正の目的をもって本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足りる具体的事実を見いだすこともできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は,本件商標権者が本件商標を登録出願した行為は,引用商標に化体した名声・信用・評判を借用して不正な利益を得るために使用する目的でなされたものであり,本件商標を「WORLD SERIES」の主催者と関係のない者が商標として登録し使用することは,引用商標に化体した顧客吸引力を無償で利用する結果を招来し,公正な取引秩序を維持するという商標法の法目的に合致しないと同時に,国際信義に反するものである旨主張している。
しかしながら,引用商標は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,我が国又は外国における需要者の間で広く認識されていたものと認められないものであるから,本件商標は引用商標の周知著名性に基づく顧客吸引力(名声・信用・評判)にフリーライドするものではなく,本件商標をその指定役務に使用することが社会一般の道徳観念に反し,公正な取引秩序を乱すものとはいえない。
また,米国が,国をあげて引用商標を保護しているというような事情も見いだせないから,国際信義に反するものということもできない。
さらに,申立人の提出した証拠からは,具体的に本件商標権者が申立人の事業を妨害している等,不正の目的があることを裏付ける事実を見いだすことはできないし,本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠く等の事情も見いだせない。
また,本件商標は,他の法律によりその使用等が禁止されているものではなく,その構成自体が,非道徳的,きょう激,卑わい,差別的又は他人に不快な印象を与えるようなものではない。
その他,本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標であると認めるに足りる証拠の提出もない。
してみると,本件商標は,その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反し,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標」に該当するということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(6)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同第11号,同第15号及び同第19号のいずれにも該当するものではなく,その登録は,同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲 【別掲】
本件商標





異議決定日 2020-05-21 
出願番号 商願2018-85575(T2018-85575) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W41)
T 1 651・ 261- Y (W41)
T 1 651・ 262- Y (W41)
T 1 651・ 222- Y (W41)
T 1 651・ 263- Y (W41)
T 1 651・ 271- Y (W41)
最終処分 維持 
前審関与審査官 加藤 優紀白鳥 幹周 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 鈴木 雅也
冨澤 美加
登録日 2019-05-31 
登録番号 商標登録第6148139号(T6148139) 
権利者 深▲せん▼无尽探索体育用品有限公司
商標の称呼 エイアアルワールドシリーズ、エイアアルワールド、ワールドシリーズ 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 小林 奈央 
代理人 廣中 健 
代理人 池田 万美 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
代理人 宮川 美津子 
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