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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W12
審判 一部申立て  登録を維持 W12
審判 一部申立て  登録を維持 W12
審判 一部申立て  登録を維持 W12
管理番号 1362565 
異議申立番号 異議2019-900335 
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-11-19 
確定日 2020-05-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第6174961号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6174961号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6174961号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成31年2月4日に登録出願、第12類「自動車タイヤ専用収納ラック」並びに第3類、第4類、第6類、第7類、第18類、第20類ないし第22類、第24類、第25類及び第27類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、令和元年8月13日に登録査定され、同月30日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4925809号商標(以下「引用商標」という。)は、「ALENZA」の文字を標準文字で表してなり、平成17年7月13日に登録出願、第12類「自動車用タイヤ,チューブ,リム」を指定商品として、同18年2月3日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定商品中、第12類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1項の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第37号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)はじめに
申立人は世界的に著名なタイヤメーカーである。申立人は、商品カタログ(甲3?甲14)に掲載されているように、2006年(平成18年)より引用商標を自動車用タイヤに使用してきた。2017年(平成29年)にはブランドを刷新し、第一弾商品として「ALENZA001」の販売を開始した(甲15)。
ALENZAブランドの自動車用タイヤ(以下「申立人商品」という。)は申立人の製造販売するタイヤの主力商品の一つである。申立人は、申立人商品専用のウェブサイトを立ち上げて宣伝広告に努めている(甲16)。2017年(平成29年)にウェブサイトの制作や雑誌広告費用等で約1000万円を投入した。
ALENZAブランドの刷新後の商品の販売本数及び販売金額は、2017年(平成29年)が約6.8万本、約16.5億円、2018年(平成30年)が約6.4万本、約16.4億円、2019年(平成31年、令和元年)(1-10月)が約6.4万本、約16.5億円である。
また、申立人商品はトヨタ自動車社の新型「RAV4」やAudi社初の電気自動車「e-tron SUV」に新車装着された(甲17、甲18)。さらに、申立人は申立人商品を2019年(平成31年)4月16日ないし25日開催の「上海モーターショー2019」に出展した(甲19)。さらにまた、申立人商品は需要者において、概ね好評価を受けている(甲20、甲21)。
以上のように、2006年(平成18年)より自動車用タイヤに使用した結果、引用商標は申立人の出所を表示するものとして周知、著名になっている。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 商標の類似性
(ア)本件商標は、「Alleanza」の「A」をモチーフにしたと思われる図形とその下に「Alleanza」の欧文字を配置した態様からなり、図形部分からは特定の称呼は生じ得ないので、「Alleanza」の部分に即した称呼が生じ、当該称呼をもって商取引されるものと思料する。
「Alleanza」は「アレンザ」の称呼が生じると考える。商標権者は、自社名称の「アレンザ」に対し、「Alleanza」の英語表記を当てて使用しているということが容易に把握できることから、商標権者自身がそのように称して公表しているといえる。(甲22?甲24)。
また、商標権者以外の者も、「Alleanza」を「アレンザ」と把握認識している状況がある(甲25)。特許庁では、商標権者の保有する登録商標「Alleanza Holdings」に対し、「アレンザホールディングス、アレンザ」の称呼を認定した(甲26)。
なお、「Alleanza」について「アレンザ」の称呼は生じないとした異議決定(異議2016-900287。甲27)があるが、上記の証拠より、商標権者自身が「アレンザ(Alleanza)」と称していることは確かな事実である。また、商標権者のウェブサイトで使用されているロゴには、本件商標のすべての構成要素と全く同じものが見られる。かかる状況において、「Alleanza」の語は「アレンザ」以外の称呼が生じるとすることは不自然であって、合理的理由がないものと思料する。
よって、本件商標の「Alleanza」の部分は「アレンザ」の称呼が生じるものと思料する。
(イ)引用商標は「ALENZA」の欧文字からなり、上記のとおり、申立人は商標「ALENZA」を自動車用タイヤに使用し、2006年(平成18年)より製造販売をしており、ALENZAは「アレンザ」の称呼が生じるものとして、取引者需要者間で広く知られている。
(ウ)本件商標と引用商標はともに「アレンザ」の称呼が生じる。また、本件商標の文字部分及び引用商標は特定の観念は生じ得ず、観念については比較することができないものである。さらに、本件商標の文字部分と引用商標は、大文字小文字の差異、中間の「l」「a」の有無の差異はあるものの、「Al・・・nza」の部分は共通しており、外観全体において類似する。
以上より、本件商標と引用商標とは類似する商標であると思料する。
イ 指定商品の類似性
引用商標の指定商品は「自動車タイヤ」であり、本件商標の指定商品中、「自動車タイヤ専用収納ラック」(以下「本件指定商品」ということがある。)は自動車用タイヤを収納する専用のラックであるから、両商品は使用において密接な関連性を有する商品である。両商品ともカー用品店(オンラインショップを含む)で購入することができ(甲28?甲33)、また、カー用品店やタイヤメーカーのウェブサイトでは、タイヤ関連商品としてタイヤラックの情報が掲載されている(甲34、甲35)。
「自動車タイヤ専用収納ラック」は自動車用タイヤを収納するためにこれに適合させた専用の商品であって、「自動車用タイヤ」と同所で販売され、需要者の範囲が一致する関連商品であるゆえ、本件商標が本件指定商品に使用された場合に申立人(引用商標の商標権者)の製造・販売に係る商品と誤認されるおそれが十分にあると思料する。
また、特許庁においても「自動車タイヤ専用収納ラック」と「自動車用タイヤ」の区分を「第12類」及び類似群コードを「12A05」とし(甲36、甲37、甲2)、類似する商品と認定している事実がある。
以上のように、タイヤとタイヤ専用の収納ラックという関係、販売場所、需要者の範囲の共通性、特許庁の運用等を総合的勘案すれば、本件指定商品と引用商標の指定商品は類似するものと思料する。
ウ 小括
以上より、本件商標は引用商標に類似し、その指定商品中、「自動車タイヤ専用収納ラック」は引用商標の指定商品と類似するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記のとおり、引用商標は申立人の出所を表示するものとして周知、著名になっている。
本件指定商品と引用商標の指定商品の主な購入者は車保有者や車に関心の高いユーザーであることに鑑みれば、周知、著名な引用商標と同一・類似の本件商標が本件指定商品に使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれが高いことは明らかである。
商標法制度趣旨である取引秩序の維持及び消費者保護の見地より本件商標の登録は維持されるべきではないと思料する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。
(ア)申立人は、2006年(平成18年)から現在まで継続して、引用商標を自動車用タイヤに使用し、当該自動車用タイヤを販売していることが認められる(甲3?甲16)。
(イ)申立人は、本件商標の登録出願の日後である2019年(平成31年)4月にトヨタ自動車株式会社の自動車「RAV4」の新車装着用タイヤとして、引用商標を使用した自動車用タイヤ(以下「使用商品」という。)の納入を開始したこと(甲17)、及び申立人以外の者が本件商標の登録出願の日前後にウェブページにおいて使用商品をハイパフォーマンスタイヤとして紹介等していること(甲20、甲21)が認められる。
(ウ)また、申立人のグループ会社であるブリヂストン ヨーロッパ エヌヴィー エスエーは2019年(平成31年)1月頃にAudiグループの自動車「e-tron SUV」用に使用商品を納入したこと(甲18)、及び申立人は同年4月開催の「上海モーターショー2019」において使用商品を装着した自動車を展示したこと(甲19)がうかがえる。
(エ)しかしながら、使用商品の売上本数、売上額、シェアなど販売実績は確認できない。
イ 上記アのとおり、使用商品は、平成18年から現在まで継続して販売され、ハイパフォーマンスタイヤとして紹介等されていることから、需要者の間である程度知られているといい得るとしても、同商品の販売実績を確認することはできないから、使用商品が需要者の間で広く認識されているものと認めることはできない。
そうすると、使用商品に使用されている引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
ウ なお、申立人は、2017年(平成29年)の広告費用及び同年ないし2019年(平成31年、令和元年)の使用商品の販売本数、販売金額などを述べ、引用商標は同人の出所を表示するものとして周知、著名になっている旨主張しているが、それら広告費、販売本数及び販売金額を裏付ける証左は見いだせないから、かかる主張は採用できない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標は、別掲のとおり、上段に図形、下段に「Alleanza」の欧文字を表してなるところ、その構成態様などから当該図形部分及び「Alleanza」の欧文字部分がいずれも独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが自然である。
そして、「Alleanza」の文字部分は、その構成文字に相応し「アレアンザ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
イ 引用商標は、上記2のとおり、「ALENZA」の文字を標準文字で表してなり、当該文字に相応し「アレンザ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ そこで、本件商標と引用商標との類否を検討するに、まず、本件商標と引用商標の構成中「Alleanza」の文字部分とを比較すると、両者は外観において、構成文字数の差異、書体の差異、2文字目以降の大文字と小文字の差異により、容易に区別し得るものであり、また、両者のつづりの比較においても、本件商標の文字部分の3文字目(又は2文字目)の「l」と5文字目の「a」の2文字の有無という差異を有し、この差異が8文字と6文字という文字構成からなる両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
次に、本件商標から生じる「アレアンザ」と引用商標から生じる「アレンザ」の称呼とを比較すると、両者は第3音において「ア」の有無という差異を有し、この差異が5音又は4音という短い音構成からなる両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は少なくなく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、両者は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標の構成中「Alleanza」の文字部分とは、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似のものというべきものである。
してみれば、本件商標の構成全体と引用商標とを比較しても、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標ということができる
エ なお、申立人は、本件商標は「アレンザ」の称呼を生じるとし、その証拠(甲22?甲25)を提出するなどし、本件商標と引用商標が類似する旨主張している。
しかしながら、仮に本件商標が「アレンザ」の称呼を生じ引用商標と称呼を共通にするとしても、本件商標の構成全体及び構成中の「Alleanza」の文字部分と引用商標は、上記のとおり外観における差異が大きいことから、上記判断を覆し得ない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)のとおり、本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその登録異議の申立てに係る指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の指定商品中、登録異議の申立てに係る指定商品についての登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲(本件商標 色彩は原本参照。)



異議決定日 2020-04-27 
出願番号 商願2019-20786(T2019-20786) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (W12)
T 1 652・ 262- Y (W12)
T 1 652・ 261- Y (W12)
T 1 652・ 263- Y (W12)
最終処分 維持  
前審関与審査官 浦辺 淑絵 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 大森 友子
平澤 芳行
登録日 2019-08-30 
登録番号 商標登録第6174961号(T6174961) 
権利者 アレンザホールディングス株式会社
商標の称呼 アレンツァ、アレアンザ、アッレアンザ、エイ 
代理人 吉川 まゆみ 
代理人 本多 敬子 
代理人 本多 一郎 
代理人 藤木 博 
代理人 脇田 真希 

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