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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1362559 
異議申立番号 異議2019-900166 
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-06-07 
確定日 2020-03-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第6130121号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6130121号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6130121号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲1に示したとおりの構成からなり、平成30年4月11日に登録出願、第30類「コーヒー,茶,ココア,砂糖,パン,ビスケット,洋菓子,ペストリー生地,はちみつ,朝食用穀物食品(シリアル),めん類,パスタ,粗びきえん麦,脱穀済みのえん麦,オートミール,オーツ麦を主原料とした食品,スパゲッティのめん,パスタソース,菓子,調味料,穀物の加工品」を指定商品として、同31年2月4日に登録査定、同年3月15日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する国際登録第680710号商標(以下、「引用商標」という。)は、別掲2に示したとおりの構成からなり、2002年3月4日に国際商標登録出願(事後指定)、第29類「Meat,fish,poultry and game; meat extracts; preserved,dried and cooked fruit and vegetables; jellies,jams,compotes; eggs,milk and dairy products; edible oils and fats.」及び第30類「Coffee,tea,cocoa,sugar,rice,tapioca,sago,artificial coffee; flour and preparations made from cereals,bread,pastry and confectionery,edible ice; honey,treacle; yeast,baking powder; mustard; vinegar,sauces (condiments); spices; ice for refreshment.」を指定商品として、平成15年4月18日に日本国において設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第49号証を提出した。
1 理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その文字部分から「ヴィヴェラ」、「ヴィヴェッラ」の称呼を、引用商標は、その文字部分から「ディヴェラ」、「ディヴェッラ」の称呼を生じる。よって、本件商標と引用商標とは称呼が類似する。外観においても「vivella」と「DIVELLA」は類似する。また、指定商品も互いに抵触するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、引用商標権者であるエフ.ディヴェラ・エス.ピー.エイ.(以下、「ディヴェラ社」という。)が、イタリア製のパスタやイタリア製の食品を示すものとして使用し、我が国の取引者、需要者において広く知られている引用商標と類似するものであるから、本件商標の使用は、引用商標権者の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、黒塗りの木の葉状の図形を表し、その図形内に白抜きで「vivella」の欧文字(構成中の「i」の文字の上部の「・」は、灰色で表されている。以下同じ。)を横書きした構成からなるところ、本件商標は、その構成中の「vivella」の文字部分に相応して、「ヴィヴェッラ」、「ヴィヴェラ」の称呼を生じ、また、「vivella」の文字は、一般的な辞書等に掲載されている語ではないことから、特定の語義を有しない一種の造語として理解されるとみるのが相当であり、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、家屋を配した海岸風景及び小麦と思しき植物の穂の図形とその下に白く縁取られた赤色の横長長方形図形を配し、該図形内に白抜きで「DIVELLA」の欧文字を横書きした構成からなるところ、引用商標は、その構成中の「DIVELLA」の文字部分に相応し、「ディヴェッラ」及び「ディヴェラ」の称呼を生じ、また、「DIVELLA」の文字は、一般的な辞書等に掲載されている語ではないことから、特定の語義を有しない一種の造語として理解されるとみるのが相当であり、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否
ア 外観について
本件商標及び引用商標は、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、両商標の全体の構成の比較においては、図形や色彩の相違等において顕著な差異を有するものであるから、両商標は、外観上、判然と区別できるものである。
また、両商標の構成中の「vivella」及び「DIVELLA」の文字部分との比較においては、両者は、語頭の「v」と「D」、文字の太さ、書体、大文字と小文字、色彩の相違等において明らかな差異を有するものであるから、両者は、外観上、明確に区別できるものである。
イ 称呼について
本件商標の構成中の「vivella」の文字部分から生じる「ヴィヴェッラ」及び「ヴィヴェラ」の称呼と引用商標の構成中の「DIVELLA」の文字部分から生じる「ディヴェッラ」及び「ディヴェラ」の称呼とを比較するに、両称呼は、語頭における「ヴィ」と「ディ」の音に差異を有するところ、当該「ヴィ」と「ディ」の音は、その音質を明らかに異にするばかりでなく、称呼における識別上重要な要素を占める語頭に位置することも相まって、該差異が、比較的短い音構成からなる両称呼に及ぼす影響は小さいものとはいえず、それぞれを称呼するときには、全体の語調、語感が著しく相違し、十分に聴別することができるものである。
ウ 観念について
本件商標の構成中の「vivella」の文字部分と引用商標の構成中の「DIVELLA」の文字部分とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両商標は、観念上、比較することができない。
エ 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観において明らかに異なるものであり、両商標の構成中の文字部分についても、観念において比較することができず、外観及び称呼において、明らかに異なるものであるから、外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等により総合的に判断すると、両商標は、それぞれ、商品の出所について混同を生ずるおそれのない非類似の商標であると判断するのが相当である。
その他に、本件商標と引用商標が類似の商標と判断すべき事情は見いだせない。
(4)小活
以上によれば、本件商標は、引用商標とは非類似の商標というべきであるから、本件商標の指定商品が、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知性について
申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、次のとおりである。
ア 申立人製品の販売状況について
(ア)ディヴェラ社(以下、「申立人」という。)は、1890年に設立されたイタリアの食品製造会社であって、小麦粉を原料とするパスタや菓子、パン、その他オリーブオイル、トマトソース、トマトの缶詰などを製造販売し、それらの製品(以下、「申立人商品」という。)は30ケ国において販売されている(甲3、甲4)。
(イ)申立人商品の年間総売上高は、2015年(平成27年)30.96億ユーロ、2016年(平成28年)29.01億ユーロ、2017年(平成29年)27.84億ユーロ(甲5)であって、日本においては、総合商社兼松株式会社が2012年(平成24年)から2019年にかけて少なくとも総計約17万6000ユーロ超相当の申立人の製造するパスタやバルサミコ酢を、大阪の株式会社メモスが2010年(平成22年)から2018年(平成30年)までに少なくとも総計約10万7600ユーロ相当のパスタ、パスタソースを輸入している(甲6?甲18)。
(ウ)インターネットショッピングサイト楽天市場の食品カテゴリーにおいて「DIVELLA」、「ディヴェラ」、「ディヴェッラ」の語を検索した結果、それぞれ156件、65件、114件の商品がヒットし(甲19?甲21)、申立人の製造するパスタ、トマトの缶詰、ビスケットは株式会社メモスが運営するウェブサイトでも販売されている(甲22)。
(エ)申立人が日本市場に向けて特に作成されたと主張する「パスタ及びトマトの缶詰のラベルのデザイン図には、「イタリア産」、「ディヴェッラ」、「創業1890年」などの文字とともに、商品説明や成分表などが日本語で記載されている(甲26?甲29)。
(オ)2019年6月18日付でスーパーマーケット、もとまちユニオン新宿店で撮影したとされる店舗写真に、「DIVELLA」の文字を付したポップアップと共に引用商標を付した申立人商品であるスパゲッティが陳列されていることがうかがえるが、申立人主張の引用商標が付されていることは確認できない(甲30?甲33)。なお、申立人が引用商標を付したとする甲第30号証及び甲第31号証の商品が上記(エ)のラベルのデザインからなる商品であるとすれば、当該ラベルに表された標章(以下「使用標章」という。)は別掲3のとおりであって、引用商標を構成する白く縁取られた赤色の横長長方形図形の両端に上から緑、白、赤の台形状(上から下に向けて細く描かれている)の図形及び中央に存する小麦と思しき植物の穂の数に相違があることから、引用商標とは相違するものである。
(カ)2018年(平成30年)9月9日から9月23日まで両国国技館で行われた大相撲2018年(平成30年)9月場所では、広報活動の一環として株式会社メモスは横綱稀勢の里に取組に対して懸賞をかけており、2018年(平成30年)9月場所で掲揚されたとする懸賞旗には、使用標章、引用商標と同一のフォントの「DIVELLA」の文字、「イタリアのパスタ」の文字が記されている(甲34)。
そして、同場所における稀勢の里の取組前の懸賞旗掲揚の様子(甲35、甲36)が示され、また、この様子を紹介する株式会社メモスのフェイスブックでの投稿がある(甲37、甲38)。
(キ)株式会社メモスは、2019年6月2日に在日本イタリア大使館で行われたとするイタリア共和国記念日を祝したナショナルデーレセプションにおいて申立人商品を紹介するブースを出展した(甲39、甲40)。
(ク)株式会社メモスは、2018年(平成30年)7月21日から22日において、イタリア商工会議所及びイタリア文化会館が名古屋で開催したイタリア紹介イベント、イタリア・アモーレ・ミオ!in名古屋に出展し、ブース内に申立人商品と共に、上記(ア)で示した大相撲懸賞旗を展示した(甲41?甲43)。
(ケ)2017年(平成29年)10月13日から10月17日にかけて開催された伊日友好ラリー・ラ フェスタ ミッレミリア2017・20周年記念大会において、東京原宿明治神宮から長野県軽井沢の往復を完走したとされる申立人のロゴを付したクラシックカーの写真が掲載されている(甲44、甲45)。
イ 判断
上記アによれば、申立人は、申立人商品中の「パスタ、トマトの缶詰」(以下「使用商品」という。)に使用標章を使用していることはうかがえるが、申立人商品に引用商標を使用している事実は見いだせない。
そして、使用標章についても、申立人提出の証拠からは、その使用を開始した時期、使用期間等をうかがい知ることができず、また、使用商品が、我が国の店舗やウェブサイト上で販売されている事実は認められるものの、使用商品の我が国及び外国での売上高や市場シェアなどの販売実績等は不明である。
さらに、使用商品の宣伝広告として、大相撲の取組に関し懸賞を懸けていることは認められるものの、1取組に対する1本の懸賞にすぎず、イタリア共和国記念日を祝したナショナルデーレセプション、イタリア紹介イベントや伊日友好ラリーにしても、その参加人数、規模等の詳細は不明であって、その他、宣伝広告の具体的な費用、範囲、回数、期間等は明らかではない。
加えて、申立人商品の年間総売上高や日本における総合商社等の輸入額については、その数値を裏付ける客観的な証拠の提出はない。
してみると、引用商標及び使用標章は、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。
(2)本件商標と引用商標及び使用標章の類似性の程度
本件商標と引用商標とは、上記1(3)のとおり、非類似の商標であり、その類似性の程度は低いというべきである。
また、使用標章は、上記(オ)のとおり、引用商標を構成する白く縁取られた赤色の横長長方形図形の両端に上から緑、白、赤の台形状(上から下に向けて細く描かれている)の図形及び中央に存する小麦と思しき植物の穂の数に相違があるものの、引用商標と構成の軌を一にするものであるから、上記1(3)で述べた本件商標と引用商標との類似性の判断と同様に、本件商標と使用標章とは、非類似の商標であり、その類似性の程度は低いというべきである。
(3)出所の混同のおそれ
上記2(1)のとおり、引用商標及び使用標章は、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず、また、上記2(2)のとおり、本件商標と引用商標及び使用標章との類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用したとしても、これに接する取引者、需要者に引用商標又は使用標章を連想又は想起させることはなく、当該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれもないというべきである。
その他、本件商標が商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1
本件商標(登録第6130121号)



別掲2
引用商標(国際登録第680710号)(色彩については、原本参照)



別掲3 使用標章(色彩については、原本参照)




異議決定日 2020-02-25 
出願番号 商願2018-45399(T2018-45399) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W30)
T 1 651・ 261- Y (W30)
T 1 651・ 262- Y (W30)
T 1 651・ 271- Y (W30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 椎名 実 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 小田 昌子
岩崎 安子
登録日 2019-03-15 
登録番号 商標登録第6130121号(T6130121) 
権利者 ホンコン・アンド・シャンハイ・エナジー・リソーシズ・カンパニー・リミテッド
商標の称呼 ビベッラ、ビベラ 
代理人 特許業務法人川口國際特許事務所 

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