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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W12
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W12
管理番号 1362456 
審判番号 不服2019-9846 
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-25 
確定日 2020-04-30 
事件の表示 商願2018-3613拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第12類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として,平成30年1月15日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同年11月16日付け及び当審における令和元年7月25日付けの手続補正書により,第12類「自転車用スタンド,自転車用盗難警報器」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は,「本願商標は,やや図案化されて書されているが,容易に『ketta』の文字を書してなるところ,『ketta』の文字は,名古屋を中心とする東海エリアの方言で『自転車』を意味することが認められる。してみると,本願商標を,その指定商品中,例えば『自転車用スタンド,自転車用盗難警報器』に使用した場合,これに接する需要者等は,商品の品質を理解(例えば『自転車用の商品であること』程の意味合いを理解。)するにとどまることが少なくないと判断するのが相当であって,また,その指定商品中,例えば,『自転車以外の乗物用盗難警報器』に使用した場合,その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲2に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和元年12月11日付け証拠調べ通知書によって通知し,期間を指定してこれに対する意見を求めた。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨
1 「KETTA」又は「Ketta」の欧文字が,「自転車」を指称する語として使用されている事実は,個別事情にすぎず一般的ではないことから,「KETTA」又は「Ketta」の欧文字が「自転車」を指称する語として取引者において一般的に使用されていることを示す事実とは到底いえない。
2 「けった」又は「ケッタ」の文字が,「自転車」を指称する語として使用されている事実については,特に意見はない。
3 請求人は,「k」,「e」,「t」及び「a」の書体として別掲2の3に挙げられた書体があることは認めるが,本願商標の書体の組み合わせの事例があるのか否かについては不知である。
4 本願商標の指定商品は,自転車ではなく「自転車スタンド,自転車用盗難警報器」である。
上記1のとおり,自転車についてすら「KETTA」又は「Ketta」の欧文字が取引者において一般的に使用されているとはいえないのに,より遠い,本願商標の指定商品について「KETTA」又は「Ketta」の欧文字が使用されることは,取引者,需要者が考えもしないことである。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第16号該当性について
本願の指定商品について,前記第1のとおり補正された結果,本願商標は,これをその指定商品について使用しても,商品の品質の誤認を生ずるおそれはなくなった。
したがって,本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は,解消した。
2 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本願商標について
ア 本願商標の構成態様について
本願商標は,別掲1に示すとおりの構成態様からなるところ,これよりは,ややデザイン化しているものの,直ちに欧文字の「k」「e」「t」「t」「a」の各文字を結合した「ketta」の文字を横書きで表してなるものと看取,把握できるものであり,また,当該デザイン化についても,各種のレタリング文字が広く使用され,商品に標章等を付す際に様々なデザイン化が行われている現状にあっては,殊更特殊な態様とはいい得ないものである(別掲2の3)。
そうすると,本願商標は,「ketta」の文字を普通に用いられる方法の域を脱しない程度に表してなるものというのが相当である。
イ 「ketta」の文字について
本願商標は,上記アのとおり,「ketta」の文字を普通に用いられる方法の域を脱しない程度に表してなるものである。
ところで,「ケッタ」の片仮名又は「けった」の平仮名は,例えば別掲2の2の書籍やウェブサイトの各辞典等に記載されているように,名古屋を中心とする東海地方の方言で,「自転車」を指称するものといえる。
また,「ケッタ」又は「けった」の文字を欧文字で表したと認められる「KETTA」又は「Ketta」の文字も,例えば,インターネット情報に,「KETTA(ケッタ)」の見出しの下,「尾張・美濃地方を中心とした東海地方での自転車を指す方言。」の記載,及び,当該ウェブサイトの説明として,「主にKETTA,自転車をテーマとしたTシャツなどを販売してます。」の記載(別掲2の1(1)),「日本から参加したTeam Super KettaはNHKのテレビ番組”超絶 凄ワザ!”の企画で2016年に結成されたチームで,東レ・カーボンマジック株式会社がオートクレーブ成形法の(いわゆる)ドライカーボンで仕立てあげた速度記録挑戦用の自転車”Super Ketta Machine 162“を使用します。」の記載(別掲2の1(2)),「サイクルキャップの持つ独特のスタイルはコーディネートしにくいと感じたことはありませんか。・・・洗濯ができないので自転車では使いにくいと感じたことはありませんか。リンプロジェクトの【KETTA帽】は,慣れ親しんだ野球帽テイストを残しつつ,カスクやヘルメットと組み合わせても使いやすいキャップです。」(別掲2の1(3)),「でらKETTA map制作委員会 名古屋市内(栄エリア)にある駐輪場や修理ができる自転車店を掲載した地図『でら KETTA map』の制作などを通して,自転車の楽しさや車に頼らないまちづくりを提案し,地球温暖化防止を県民にPRする。」の記載(別掲2の1(4)),「『名古屋KETTAフェスティバル2003』(名古屋青年会議所主催)が十八日,中区栄の久屋大通公園で開かれた。イベント名のケッタは,自転車のことで名古屋地方でよく使われる言葉。秋晴れの下,大勢の家族連れが参加し,ニューモデルの自転車の試乗などの体験を楽しんだ。」の記載(別掲2の1(5))等があるように,「自転車」を指称するものとして,自転車用の商品や,自転車に関連したイベントの名称において,使用されている実情が認められる。
ウ 以上よりすれば,本願商標は,これに接する取引者,需要者をして,「自転車」の意味合いを想起させるものであるから,これをその指定商品に使用しても,当該商品が自転車用の商品であること,すなわち,商品の用途,品質を表示したものとして認識させるにとどまり,自他商品の識別標識としては認識し得ないというのが相当である。
したがって,本願商標は,商品の用途,品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「ketta」のローマ字は,自転車そのものではない「自転車スタンド,自転車用盗難警報器」に使用されていないことは勿論のこと,使用されるとは取引者,需要者が思いもしないのに加え,「蹴ったくる」を語源とする「ケッタ」の片仮名文字を「ketta」のローマ字に変換することは一般的でなく特殊かつ奇異なことであるから,「その標章の表示の書体や全体の構成等が,取引者において一般的に使用する範囲にとどまらない特殊なものである場合」に該当する。そのため,本願商標は,「自転車用の商品であること」程の意味合いを理解するとはいい難く,むしろ特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるというべきであり,自他商品識別力を有するから,商標法第3条第1項第3号に該当しないと判断すべきものである旨を主張する。
しかしながら,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには,我が国の取引者,需要者が商品の品質等を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるものであり,実際に商品の品質等を表示するものとして使用されていることまでは必要としないと解されるところ,上記(1)のとおり,「KETTA」又は「Ketta」の欧文字の各文字が,「自転車」を指称するものとして,自転車用の商品や,自転車に関連したイベントの名称において,使用されている実情があることからすれば,本願商標をその指定商品に使用したときには,これに接する需要者,取引者は,「自転車用の商品」という商品の用途,品質を理解するにとどまり,自他商品の識別標識としては認識し得ないと判断するのが相当である。
イ 請求人は,過去の審決例を挙げて,本願商標もそれらと同様に,判断されるべきである旨主張する。
しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は,当該商標登録出願の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と指定商品との関係や,その商品の分野における取引の実情をも踏まえて,個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の挙げた審決例は,商標の構成態様が本願商標とは異なるもの又は本願商標を使用する商品とは異なる商品又は役務である点において,本願とは,事案を異にするものというべきであり,また,過去の審決例が存在することをもって,上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。


別掲
別掲1 本願商標


別掲2 当審における証拠調べ通知で開示した事実
1 「KETTA」又は「Ketta」の欧文字が,「自転車」を指称する語として使用されている事実について(下線は合議体で付与。以下同じ。)
(1)「STORES.jp(ストアーズ・ドット・ジェーピー株式会社)」のウェブサイトに「KETTA(ケッタ)」の見出しの下,「尾張・美濃地方を中心とした東海地方での自転車を指す方言。」の記載,及び,当該ウェブサイトの説明として,「主にKETTA,自転車をテーマとしたTシャツなどを販売してます。」の記載がある。
(https://ketta.stores.jp/about)
(2)「funride.jp」のウェブサイトに,2017年(平成29年)10月7日付けで,「コンピュータープログラマが自転車世界最速チャレンジをサポートしてきた話」の見出しの下,「日本から参加したTeam Super KettaはNHKのテレビ番組”超絶 凄ワザ!”の企画で2016年に結成されたチームで,東レ・カーボンマジック株式会社がオートクレーブ成形法の(いわゆる)ドライカーボンで仕立てあげた速度記録挑戦用の自転車”Super Ketta Machine 162“を使用します。」の記載がある。
(http://funride.jp/report/whpsc_2017/)
(3)「リンプロジェクト ウェブショップ」のウェブサイトに「【KETTA 帽】 カジュアル COOLMAX リップストップ 野球帽 サイクルキャップ 日本製 No.4535」の商品の「詳細」欄において,「サイクルキャップの持つ独特のスタイルはコーディネートしにくいと感じたことはありませんか。・・・洗濯ができないので自転車では使いにくいと感じたことはありませんか。リンプロジェクトの【KETTA帽】は,慣れ親しんだ野球帽テイストを残しつつ,カスクやヘルメットと組み合わせても使いやすいキャップです。」の記載がある。
(https://www.rinprojectshop.com/SHOP/4535.html)
(4)「一般社団法人 環境創造研究センター」の「京都議定書発効2周年記念地球温暖化防止活動交流会」のウェブサイトに,「発表者」及び「活動概要」として,「特定非営利活動法人環境市民」及び「でらKETTA map制作委員会 名古屋市内(栄エリア)にある駐輪場や修理ができる自転車店を掲載した地図『でら KETTA map』の制作などを通して,自転車の楽しさや車に頼らないまちづくりを提案し,地球温暖化防止を県民にPRする。」の記載がある。
(http://www.kankyosoken.or.jp/ondanka/070217koryukaiannai.pdf)
(5)2003年(平成15年)10月19日付け「中部読売新聞朝刊」の27頁に,「ケッタで街の魅力再発見 名古屋・栄でKETTAフェスティバル=愛知」の見出しの下,「『名古屋KETTAフェスティバル2003』(名古屋青年会議所主催)が十八日,中区栄の久屋大通公園で開かれた。イベント名のケッタは,自転車のことで名古屋地方でよく使われる言葉。秋晴れの下,大勢の家族連れが参加し,ニューモデルの自転車の試乗などの体験を楽しんだ。」の記載がある。

2 「けった」又は「ケッタ」の文字が,「自転車」を指称する語として使用されている事実について
(1)「現代用語の基礎知識 2002年版」(株式会社自由国民社)の1270頁において,「けった」の項に,「自転車。」の記載がある。
(2)「日本語俗語辞書」のウェブサイトにおいて,「ケッタ」の項に,「ケッタとは,自転車のこと。」の記載がある。また,同項において,「『ケッタ』の解説」の見出しの下,「ケッタとは名古屋を中心とする東海エリアの方言で,自転車を意味する。愛・地球博,名古屋飯など,名古屋ブームの中でケッタという呼称も普及。ペダルを漕ぐ(踏む・蹴る)ことを『蹴ったくる』とも言うことから,蹴ったくりマシーンと呼ばれるようになり,これがケッタマシーン,ケッタへと変化していったとされる。」の記載がある。
(http://zokugo-dict.com/09ke/ketta.htm)
(3)「名古屋ナビ」のウェブサイトにおいて,「2.名古屋弁辞典」の見出しの下,名古屋弁の欄の「けった」の項の,標準語の欄に「自転車」,使用例として「けったで,学校へ行った」の各記載がある。
(http://www.nagoyanavi.jp/nagoyaben/nagoyaben3.htm)
(4)「基礎屋」のウェブサイトにおいて,「基礎屋的遠州弁講座単語集」の見出しの下,単語の欄の「けった,けったー」の項の,意味(標準語)の欄に「自転車(けったくりマシーン)」,例として「けったーで中田島まで行ったに」の各記載がある。
(http://www.kisoya.net/tango.htm)
(5)「株式会社 シーエルシー」のウェブサイトにおいて,「方言検索の名古屋弁辞典」の見出しの下,「ケッタ」の項に,「読み ケッタ,意味 自転車,使用例 ケッタ貸して」の記載がある。
(http://nagoyaben.com/kagyou.html)
(6)「名古屋市」のウェブサイトにおいて,「報道資料 令和元年6月28日発表『ケッタ・シンポジウム 自転車を使いたくなるまちを目指して』を開催します 最終更新日:2019年7月2日」の見出しの下,「名古屋市自転車活用推進計画の策定に向けて,名古屋市が取り組む方向性を探り,市民が自転車との関わり方について考えていただくきっかけとなるように,シンポジウムを開催することになりましたので,お知らせします。」の記載,及び,「※ケッタとは…尾張・美濃地方での自転車を指す方言で,名古屋らしさを感じていただけるようこの地方の方言を用いました。」の記載がある。
(http://www.city.nagoya.jp/ryokuseidoboku/page/0000118700.html)
(7)「岐阜大学」のウェブサイトにおける,「岐阜・愛知の若年層方言について1?遊びのことば・学校のことば・オノマトペ?」の資料の22頁に,「2.6 『ケッタ』と『チャリ』」の見出しの下,「地図7 自転車の呼び名」とともに,「東海地方で特に用いられると考えられている『ケッタ』についての考察は,すでに何点か見られる。岸江信介他編(2001)では,名古屋から伊勢の間でさまざまな語形をどのように表現するかが調査されており,その第1番目の項目に『自転車』が挙がっている。・・・今回このような自転車の呼び名に関して,名古屋でも『ケッタ』と『チャリ』の併用化が進んでいることを受け・・・」の記載がある。
(http://www.ed.gifu-u.ac.jp/info/zinbun/pdf/560102.pdf)
(8)「株式会社ジェイ・キャスト」のウェブサイトの「Jタウンネット宮城県」のコラムに,2015年(平成27年)8月6日付けで,「ジャス,ケッタマシン,ラーフル,ジャミジャミ...知ってた?『昭和四大方言』」の見出しの下,「名古屋を中心に東海地方の広い範囲で使われる『ケッタマシン』は,自転車を指す方言。略称の『ケッタ』や,派生形の『ケッタリング』などそのバリエーションは多い。言葉の由来は,『蹴ったくりマシーン』というのが通説。鳥山明さんの『Dr.スランプ』(連載は昭和50年代)に登場したことで,全国的な知名度が急上昇したようだ。」の記載がある。
(https://j-town.net/miyagi/column/gotochicolumn/209892.html?p=all)

3 本願商標と近似した特徴を有する書体の使用例
次の欧文字書体に関する書籍において,本願商標と近似した特徴を有する「k」,「e」「t」及び「a」の書体が載録されている。
(1)本願商標と近似した特徴を有する「k」の書体
ア 「レタリングデザイン」(グラフィック社)(1969年(昭和44年)1月15日発行)
161頁「コロネット・ボールド」の項





イ 「Font Style Book2009」(株式会社ワークスコーポレーション)(2009年(平成21年)2月5日発行)
490頁「Triplex Italic [Emigre]」の「Extrabold」の項





(2)本願商標と近似した特徴を有する「e」の書体
「Font Style Book2009」(同上)
446頁「Frutiger」の「76 Black Italic」の項






(3)本願商標と近似した特徴を有する「t」の書体
「Font Style Book2009」(同上)
491頁「Wutupdo [GarageFonts]」の「Bold Italic」の項





(4)本願商標と近似した特徴を有する「a」の書体
「Font Style Book2009」(同上)
443頁「Flora (ITC Flora)」の「Bold」の項









審理終結日 2020-03-02 
結審通知日 2020-03-06 
審決日 2020-03-17 
出願番号 商願2018-3613(T2018-3613) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W12)
T 1 8・ 272- Z (W12)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 赤星 直昭 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 大森 友子
山根 まり子
商標の称呼 ケッタ 
代理人 松原 等 

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