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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09
管理番号 1362424 
審判番号 取消2019-300208 
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-06-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-03-15 
確定日 2020-04-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第5079632号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第5079632号商標(以下「本件商標」という。)は,「クレデンシャル」の文字を標準文字で表してなり,平成18年11月10日に登録出願,第9類「学習履歴等の情報を記録自在なフラッシュメモリを内蔵した未記録のIDカード,身分証明用未記録のICカード・磁気カード・光カード,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,磁心,抵抗線,電極,電子出版物,耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレータ,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」を指定商品とし,同19年9月28日に設定登録されたものである。
その後,本件商標の商標権については,商標登録の無効消審判により,指定商品中,第9類「電子出版物」について商標登録を無効にすべき旨の審決がされ,平成21年12月3日にその確定審決の登録がされ,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成31年4月8日にされた(以下,当該登録前3年以内を「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品中,第9類「映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」(以下「取消請求商品」という。)についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,取消請求商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人は,「平成29年9月30日に被請求人が株式会社ピース(以下『ピース社』という。)において乙第1号証と同一内容のDVD-Rを納品した際に担当者に手渡したものです。」と主張している。
そして,商品代価は500円である。
被請求人の経費がDVD-Rの原価,DVD-Rに内容をダビングするための費用,送料程度であれば,量産すれば商品代価が500円でも独立した商取引として成り立つ可能性はある。
しかし,被請求人の主張では,被請求人がピース社まで納品に行っている。納品に行くための人件費と交通費を考慮すると,ピース社に対するDVD-Rの商品代価は,必要な経費よりも安いので,独立した商取引として成り立たない。
実際にDVD-Rを納品したのかにも疑問はあるが,仮に納品したとしても,DVD-Rは別の商品・役務の付属品として経費よりも安く提供していると解するのが自然である。
したがって,乙第2号証ないし乙第4号証及び被請求人の主張は,要証期間に,第9類「録画済みビデオディスク」について,被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明していないと解する。
(2)乙第1号証に関する被請求人の主張では,被請求人は「産業人材育成システム」を「クレデンシャル(R)」((R)は,○内に「R」の文字が小さく付されていることを表す。以下同じ。)として販売していると説明している。
ところが,ピース社の住所はマンションの一室と考えられ,ピース社がどのような商業等に従事する企業であるか不明であるし,実際に商業等に従事しているのかも不明である。
このような企業がDVD-Rに記録された動画(乙1)で紹介されている「産業人材育成システム」というシステムを購入するとは考えられない。
また,DVD-Rに記録された動画(乙1)は,「産業人材育成システム」の説明用又は紹介用の動画と考えられるが,説明用又は紹介用の動画が記録されたDVD-Rを500円で購入したということも不自然といわざるを得ない。
しかも,被請求人は,ピース社が「産業人材育成システム」とどのように関わっているのかを説明も証明もしていない。
つまり,ピース社が乙第1号証と同一内容のDVD-Rを500円で購入したこと自体に信ぴょう性がない。
さらには,「産業人材育成システム」の説明用又は紹介用と考えられる動画の中に本件商標が記載されていないのは極めて不自然である。
したがって,「産業人材育成システム」を「クレデンシャル(R)」として販売しているという説明にも信ぴょう性がないと考える。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は,本件審判の請求の登録日(予告登録)である平成31年4月8日前3年以内に日本国内において,その請求に係る指定商品中,第9類「録画済みビデオディスク」について本件商標を使用している。
録画済みビデオディスク(以下「DVD-R」という場合がある。乙1)には,WMVフォーマットの動画が格納されている。当該動画ファイル中には本件商標及び本件商標権者の記載はないが,当該ビデオディスクの表の面には「クレテンシャル(R)」の商標及び作製時期(2017年9月)が記載されており,平成29年6月28日に作成した動画データ(サーバーに保存されていたもの)を,令和元年年5月29日にDVD-R(在庫として残っていたブランクの記録媒体)に焼き付けたものである。
被請求人は,「産業人材育成システム」を「クレデンシャル(R)」として販売しており,動画ファイルの内容は「産業人材育成システム」の使い方等に関するものである。
DVD-Rには,社名「株式会社TOMS」(審決注:株式会社トムスの誤記と認められる。)及び標章「クレデンシャル」が記載されており,かつDVD-Rが売買契約の目的物として要証期間に譲渡されているので,当該DVD-Rは商標法上の商品であることは明らかである。
納品書(乙2)は,当該DVD-Rをピース社に納品した事実を示す平成30年10月31日(審決注:平成29年9月30日の誤記と認められる。)付のものである。
受領書(乙3)は,前記納品書に応じてピース社が被請求人に発行した同日付のものである。
請求書(乙4)は,平成29年9月30日に被請求人がピース社において乙第1号証と同一内容のDVD-Rを納品した際に担当者に手渡したものである。
2 まとめ
以上のとおり,乙第1号証ないし乙第4号証により,乙第1号証に係るDVD-Rが商取引されたこと(すなわち,当該DVD-Rが売買契約の目的物であったこと)が明らかとなったので,本件商標「クレデンシャル」は,その指定商品である「録画済みビデオディスク」について要証期間に日本国内において使用(商標法第2条第3項第2号の「商品に標章を付したものを譲渡」)していたことが証明された。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及びその提出に係る乙号証によれば,以下の事実が認められる。
(1)録画済みビデオディスクについて
商品「録画済みビデオディスク」(以下「本件使用商品」という場合がある。乙1)には,表面上部に「クレデンシャル(R)」の文字,並びに下部に本件商標権者の名称及び「2017年9月」の文字が記載されている。そして,その記録内容は,ファイル名を「産業人材育成システム_日本語版170929」,更新日時を「2017/09/29 14:15」とする動画ファイルである。
(2)本件商標件者とピース社との取引について
本件商標権者は,平成29年9月30日に本件使用商品をピース社へ納品の際に同社宛に,件名欄に「クレデンシャル(R)」,摘要欄に「クレデンシャル(R)(DVD)」,数量欄に「1」及び単価欄に「500」と記載された平成29年9月30日付けの「納品書」及び「請求書」を発行し(乙2,乙4),これらの伝票を受け取ったピース社から,同社の代表者印が押印された同日付けの「受領書」の返却を受けた(乙3)。
2 上記1において認定した事実によれば,以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
平成29年9月30日に,本件商標権者からピース社への録画済みビデオディスクの納品にあたって両者との間で接受された伝票(「納品書」,「請求書」及び「受領書」)には,件名欄に「クレデンシャル(R)」,摘要欄に「クレデンシャル(R)(DVD)」,数量欄に「1」及び,単価欄に「500」と記載されており,「納品書」及び「請求書」を受け取ったピース社から,同社の代表者印が押印された同日付けの受領書の返却を受けていることから,本件商標権者は,ピース社に本件使用商品を納品する際,これらの伝票に当該録画済みビデオディスクに関して「クレデンシャル」の標章(以下「使用商標」という場合がある。)を付したものと認められる。
本件商標は,「クレデンシャル」の片仮名からなるものであり,他方,使用商標は,上記のとおり「クレデンシャル」の片仮名からなるところ,同一のつづりからなるものであるから,本件商標と使用商標とは社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用商品について
本件使用商品は,上記1(1)のとおり,商品「録画済みビデオディスク」であるから,本件審判の請求に係る指定商品中「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」に含まれる商品である。
(3)使用時期及び使用行為について
本件商標権者は,要証期間に含まれる平成29年9月30日に,ピース社に対し,商品「録画済みビデオディスク」に関する取引書類(納品書,請求書)に,「クレデンシャル」の標章を付して頒布したものと認められる。
(4)小括
以上によれば,本件商標権者は,要証期間に含まれる平成29年9月30日に,日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品に含まれる使用商品の取引書類に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布したものと認められる。
本件商標権者による上記行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
したがって,本件商標権者は,本件審判の請求の登録前3年以内である平成29年9月30日に,日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品中に含まれる「録画済みビデオディスク」について,本件商標を使用したものと認めることができる。
3 請求人の主張について
請求人は,ピース社がどのような商業等に従事する企業であるか不明であり,同社が乙第1号証と同一内容のDVD-Rを500円で購入したこと自体に信ぴょう性がなく,「産業人材育成システム」を「クレデンシャル(R)」として販売しているという説明にも信ぴょう性がない旨主張する。
しかしながら,商標法第50条第2項は,その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明すれば,商標登録の取消しは免れる旨規定しているのであって,上記2認定のとおり,被請求人は,本件審判の請求に係る指定商品中の「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」に含まれる「録画済みビデオディスク」について,本件商標の使用をしていることを証明し得たのであるから,請求人の上記主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間に日本国内において,本件商標権者が,本件審判の請求に係る指定商品中の第9類「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」に含まれる商品「録画済みビデオディスク」について,本件商標の使用をしていたことを証明したというべきである。
したがって,本件商標の指定商品中,取消請求に係る指定商品についての登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2020-02-14 
結審通知日 2020-02-19 
審決日 2020-03-03 
出願番号 商願2006-104455(T2006-104455) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y09)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 薩摩 純一
平澤 芳行
登録日 2007-09-28 
登録番号 商標登録第5079632号(T5079632) 
商標の称呼 クレデンシャル 
代理人 中村 幸雄 
代理人 義村 宗洋 
代理人 中尾 直樹 

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