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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W2932
管理番号 1361751 
異議申立番号 異議2019-900199 
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-07-22 
確定日 2020-04-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第6139193号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6139193号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6139193号商標(以下「本件商標」という。)は、「MONS」の文字を標準文字で表してなり、平成30年7月5日に登録出願、第29類「牛乳,ヨーグルト,乳製品,食用油脂,食用たんぱく」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品として、同31年3月26日に登録査定され、同年4月19日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりである(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)。
1 申立人が引用商標として明示した商標
(1)登録第5393681号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 MONSTER ENERGY(標準文字)
指定商品 第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」
登録出願日 平成22年7月8日
設定登録日 平成23年2月25日
(2)登録第6052913号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 MONSTER MEAL DEAL(標準文字)
指定商品及び指定役務 第29類、第30類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成29年12月26日
設定登録日 平成30年6月15日
2 申立人主張の全趣旨から、合議体が引用商標と認めたもの
(1)「MONSTER」の欧文字からなる商標(以下「引用商標3」という。)
(2)「モンスター」の片仮名からなる商標(以下「引用商標4」という。)

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第373号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標の周知性について
(1)申立人の使用に係る商標と取扱い商品
申立人は、1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり、創業以降、アルコールを含有しない飲料、すなわち、炭酸飲料、フルーツジュース、エネルギー補給用飲料等の様々な飲料製品の企画、開発、製造、マーケティング、販売の事業に従事していたが、2015年(平成27年)6月からはエネルギー補給飲料(エナジードリンク)の事業に注力している(甲2、甲58)。
申立人の使用に係る「MONSTER」は、申立人が2002年(平成14年)に創設したエナジードリンク(エネルギー補給飲料)事業のブランド「MONSTER ENERGY」の基軸商標として2002年(平成14年)から現在に至るまでの長年にわたり継続して使用されているものであり、同ブランドのエナジードリンクは、2002年(平成14年)に米国で最初に販売を開始後、日本では2012年(平成24年)5月から販売を開始し、現在では日本を含む世界130以上の国及び地域で販売中である。申立人は2002年(平成14年)以降、現在まで継続して、当該ブランドから発売された数多くの異なる種類のドリンクの個別商品名のすべてに「MONSTER」の文字を採択しており、当該各種ドリンクの缶の正面に「MONSTER」の文字を特徴的なデザインの太字を用いて大きく目立つ態様で表示して使用している。このように「MONSTER」を基調とする商標を用いた申立人のエナジードリンク事業の成功は、経済界でも高い評価を受けている(甲2?甲33、甲51?甲58)。
2012年(平成24年)5月から現在までに国内発売された「MONSTER」の文字が付されたエナジードリンクのシリーズは、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER KHAOS」、「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」、「MONSTER ENERGY M3」、「MONSTER COFFEE」、「MONSTER ENERGY ULTRA」、「MONSTER ENERGY THE DOCTOR」、「MONSTER CUBA LIBRE」、「MONSTER PIPELINE PUNCH」である(甲5?甲7、甲10、甲12?甲15、甲59?甲62、甲101?甲103、甲118、甲127?甲131、甲252?甲264、甲274、甲291、甲323?甲326、甲353?甲360ほか)。
(2)広告及び販売促進活動
申立人による当該エナジードリンクの広告及び販売促進活動は、世界の有名アスリート、レーシングチーム、スポーツ競技会、アマチュアスポーツ選手、音楽祭及びミュージシャンに対するスポンサー提供、スポーツ、音楽、コンピュータゲーム(eスポーツ)などの娯楽イベントの開催、米国ラスベガスの公共交通機関モノレールの「モンスター列車」の走行、これらのイベント開催などと関連して頻繁に実施されるエナジードリンク販売キャンペーン、各イベント会場におけるサンプリング(サンプル配布)、販売プロモーションキャンペーンの応募当選者に対する様々な「モンスター限定グッズ」の提供、「MONSTER」の文字を付したポスター・商品ネームプレート・チラシ・陳列棚・冷蔵庫などの店舗用什器の使用及び展示などを行っているほか、新商品発売・懸賞キャンペーン・イベント開催情報などを掲載したプレスリリース、申立人ウェブサイト及びソーシャルメディアを通じ、2002年(平成14年)から現在まで世界規模で継続的に実施されている。
これらの広告物及び販売促進物には、「MONSTER」及びその音訳「モンスター」の文字が独立の商品出所識別標識として認識される態様で使用されてきた(甲7?甲17、甲34?甲91、甲101?甲133、甲136?甲168、甲225?甲274、甲279?甲296、甲323、甲324、甲335?甲352、別紙2)。
(3)ライセンスによる引用商標の使用
申立人は、2002年(平成14年)から、ブレスレット、ラペルピン、キーホルダー、Tシャツ、スウェットシャツ、帽子、レーシングジャケット、手袋などのアパレル製品、運動用ヘルメット、バッグ類、ステッカー、傘、ビデオゲームなどの「MONSTER」ライセンス商品の製造販売を第三者に使用許諾している。当該ライセンス商品のカタログやオンラインショッピングサイトは、ブランド名及び個別商品名として「MONSTER」「Monster」の文字を単独で表示し、販売及び宣伝広告している。これらのライセンス商品は、国内の実店舗のほか、オンラインショップや通信販売を介して国内の一般消費者にも販売されている(甲47、甲48、甲58、甲92?甲100、甲134、甲135)。
これらのライセンス商品の人気の高さに便乗して、海外で製造された模倣品が日本の税関で輸入差止される事案が遅くとも平成25年7月から現在に至るまで継続して度々発生している(甲169?甲224、別紙1)。
(4)世界における商標出願及び登録
申立人は、エナジードリンク等の飲料製品及び上記ライセンス商品等について、引用商標をはじめ、「MONSTER」の文字を基調とする様々な構成の商標について日本を含む世界150を超える国及び地域で商標出願し、登録を取得している(甲58、甲361?甲373)。
(5)申立人の「MONSTER」エナジードリンクの国内市場占有率など
第三者による市場調査報告書やエナジードリンクの市場に関する記述によれば、2013年(平成25年)時点で申立人の「MONSTER」エナジードリンクの国内市場占有率は既に25%を超えており、それ以降も着実に売上げを伸ばし、男子若年層を中心とした従来の主要需要者層に止まらず、女性層にも知名度、人気を拡大している。また、実際の市場で申立人の「MONSTER」エナジードリンクは「モンスター」と呼ばれ、「モンスター」の表記で認知されている(甲311?甲322)。
(6)小括
以上の事柄に照らせば、「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務、とりわけ商品「エナジードリンク」の出所識別標識として国内外の取引者、需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。
2 商標法第4条第1項第15号該当性
(1)本件商標の構成文字「MONS」と申立人の使用に係る「MONSTER」を比較対照すると、本件商標を構成する全4文字「M」「O」「N」「S」及びその配列が「MONSTER」の語頭の連続する4文字「MONS」及びその配列と一致し、両者は外観上の類似性を有する。
また、本件商標から生じる称呼「モ・ン・ス」と「MONSTER」から生じる称呼「モ・ン・ス・ター」は、語頭の連続する3音「モ・ン・ス」及びその配列が一致するから、全体を一連に発音した場合、音質及び語韻語調が近似し、称呼上も類似性を有する。
よって、本件商標は、申立人の使用に係る「MONSTER」と類似性の程度が高い。
(2)本件商標の指定商品(以下「本件指定商品」という。)は、清涼飲料、果実飲料をはじめとする第29類及び第32類の飲料製品を包含し、申立人がその商品出所識別標識として「MONSTER」を長年使用しているエナジードリンクと同一又は類似の商品を多く含む。また、これらの商品は、使用目的、原材料、効能、販売場所、需要者の範囲がエナジードリンクと共通し、極めて類似性、関連性が強い。
本件指定商品の最終的な需要者は一般消費者を多く含むから、通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。
(3)上記のとおり、申立人の使用に係る「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、申立人の商品出所識別標識として本件商標の登録出願時及び査定時には需要者の間で広く認識されていた。
(4)したがって、本件商標が本件指定商品に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、申立人の使用に係る「MONSTER」及び申立人会社を直観し、当該商品が申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取り扱いに係るものであると誤信し、その出所について混同を生じるおそれがあることが明らかである。
また、本件商標の使用は、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所識別力希釈化するものであり、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、次のとおりである。
ア 申立人は、米国の飲料メーカーであって、我が国においてはアサヒ飲料株式会社を通じて2012年(平成24年)5月にエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の販売を開始し、その販売量は同年9月には累計100万箱を超え、12月には累計157万箱となった(甲7?甲9)。
イ 申立人は、我が国において2013年(平成25年)5月に「MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO(モンスターアブソリュートリーゼロ)」(甲10)、2014年(平成26年)8月に「MONSTER ENERGY M3(モンスターエナジー M3)」(甲59)、同年10月に「MONSTER COFFEE(モンスターコーヒー)」(甲60)、2015年(平成27年)7月に「MONSTER ENERGY ULTRA(モンスターウルトラ)」(甲101)、2017年(平成29年)6月に「MONSTER ENERGY THE DOCTOR(モンスターロッシ)」(甲257)、2018年(平成30年)4月に「MONSTER CUBA-LIBRE(モンスターキューバリブレ)」(甲323、甲324)、2019年(平成31年)4月に「MONSTER ENERGY PIPELINE PUNCH(モンスターパイプラインパンチ)」(甲357?甲360)の販売を開始した(以下、これら商品と上記アの商品をまとめて「申立人商品」という。)。
ウ 申立人商品のうち、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER KHAOS」(2016年(平成28年)5月から)、「MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO」、「MONSTER ENERGY M3」、「MONSTER ENERGY ULTRA」、「MONSTER ENERGY THE DOCTOR」及び「MONSTER ENERGY PIPELINE PUNCH」の容器には、その中央に別掲のとおりの商標(色彩が異なるものを含む。以下「別掲商標」という。)が表示されている(甲7、甲10、甲59、甲101、甲130、甲257?甲263、甲357ほか)。
また、「MONSTER COFFEE」の容器にはその中央に別掲商標の上段のデザイン化された「MONSTER」の文字部分(以下「MONSTERロゴ」という。)と「COFFEE+ENERGY」の文字が2段に表示され、「MONSTER CUBA-LIBRE」の容器には、「MONSTERロゴ」が表示されている(甲60、甲324ほか)。
エ 申立人は、我が国で開催される各種のスポーツ競技会、イベントにおいて、看板、ユニフォーム、車体など多種多様なものに、別掲商標を表示している(甲73?甲80、甲82ほか)。
オ 我が国において、別掲商標が表示されたステッカー、衣類、帽子、ヘルメットなどが販売されている(甲47、甲48、甲98ほか)。
カ 平成25年7月以降、我が国の税関において、申立人の商標(国際登録第1048069号など)に係る商標権を侵害する疑いがある貨物(帽子、ショートパンツ、Tシャツなど)が多数発見されている(甲169?甲224)。
キ JMR生活総合研究所による消費者調査 No.196「エナジードリンク(2014年(平成26年)7月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であった(甲311)。また、同消費者調査 No.232「エナジードリンク(2016年(平成28年)8月版)」でも、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」であり、2位は「モンスターエナジー」であったと推認できる(甲312)。
ク 飲料総研の調査によれば、我が国における2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位のレッドブルが550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースであった(甲317、甲318、甲320)。
ケ ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年(平成26年)4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTER ENERGY」であった(甲319)。
コ JMR生活総合研究所による消費者調査データ No.269「エナジードリンク(2018年(平成30年)5月版)」には、「モンスター、レッドブル、リアルゴールド 寡占化すすむエナジードリンク市場」のタイトルのもと、「今回の調査では、『リアルゴールド(日本・コカコーラ)』『レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)・・・』『モンスターエナジー(アサヒ飲料)』の3ブランドがほとんどの項目で上位3位を独占した。」の記載がある。
(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking269.html)
また、同消費者調査データ No.293「エナジードリンク(2019年(令和元年)5月版)」には、「リアルゴールド、レッドブル、モンスターエナジー。3強上位独占」のタイトルのもと、「エナジードリンクの市場は、2桁の伸びの後に、2016年(平成28年)は対前年比5%増、2017年(平成29年)は同じく8%増とやや落ち着いたものの、依然として成長を続けている。」の記載がある。
(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking293.html)
サ 申立人及びアサヒ飲料株式会社は、本件商標の登録出願の日前から、申立人商品のキャンペーンに係るニュースリリース、ポスターなどで申立人商品を「モンスター」と表示しているものが見受けられ、また、両社以外のウェブページにおける当該キャンペーンについてのポスターやその他の記事においても「MONSTER」及び「モンスター」の文字が表示されているところ、当該ニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等には、申立人商品の画像又は別掲商標若しくは「モンスターエナジー」の文字が同時に表示又は掲載されている(甲69、甲71、甲79、甲101?甲103、甲111、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124ほか)。
(2)上記(1)のとおり、申立人は、我が国において、2012年(平成24年)5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売を開始し、その後現在まで、計9種の申立人商品を販売するとともに、各種のスポーツ競技会、イベント及びキャンペーンなどを通じ、申立人商品の広告宣伝を行っていたこと、2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人商品の出荷数は240万ケースで第2位であったこと、申立人商品の認知度が2014年(平成26年)において、その数値は31%と47.6%と差異はあるものの、いずれの調査でも第2位であったことが認められ、2016年(平成28年)の認知度はその数値は不明であるものの2位であったと推認できることに加え、2018年(平成30年)及び2019年(令和元年)の調査において、いずれも申立人商品はエナジードリンクで3強の一つとされ、また、エナジードリンクの市場は2017年(平成29年)において成長を続けているとされていることを併せみれば、申立人商品は、本件商標の登録出願の日(平成30年7月5日)前から、登録査定日(平成31年3月26日)はもとより現在においても継続して、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
そして、申立人商品は、そのほとんどの容器の中央に「MONSTER ENERGY」の文字が別掲のとおりの態様で表示されていること、及びニュースリリース、各種記事などにおいて「MONSTER ENERGY」「モンスターエナジー」と表示され、「モンスターエナジー」と称されていることから、「MONSTER ENERGY」及び「モンスターエナジー」の文字は、いずれも本件商標の登録出願の日前から、登録査定日はもとより現在においても継続して、申立人及びアサヒ飲料株式会社の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえる。
そうすると、「MONSTER ENERGY」の文字からなり、指定商品中に「エナジードリンク」を含む引用商標1は、申立人商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間においては広く認識されているものというべきである。
しかしながら、申立人商品の広告宣伝は、各種のスポーツ競技会、イベント及びキャンペーンなどを通じて行われているものの、老若男女を問わず幅広い需要者層が目にする機会の多い一般的なメディアを通じたものとはいえないばかりか、我が国における申立人商品の清涼飲料に対する市場占有率等も確認することができないこと等を総合的に判断すると、申立人商品及び引用商標1は、幅広い需要者層を有する一般的な清涼飲料の分野においてまでも、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。
また、申立人商品は、その容器に「MONSTER」及び「ENERGY」の各文字が比較的近接して表示されているものがほとんどであり、MONSTERロゴのみが表示されている商品である「MONSTER CUBA-LIBRE」についての出荷数、シェア等の販売実績は確認できない。
そして、「MONSTER」の文字及び「モンスター」の文字は、ニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等において、申立人又は申立人商品の略称として表示または掲載が見受けられるものの、常に申立人商品又は「モンスターエナジー」若しくは別掲商標の文字と同時に表示または掲載されている。
そうであれば、当該ニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等に接する需要者は、そこに表示または掲載された「MONSTER」の文字及び「モンスター」の文字について、申立人商品(モンスターエナジー)に係るニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等に使用されていることを前提として、申立人商品(モンスターエナジー)を指称する文字であるということを認識するのが相当である。
そうすると、申立人商品又は「モンスターエナジー」の文字若しくは別掲商標と関連なく表示されている「MONSTER」の文字及び「モンスター」の文字までもが、需要者において申立人商品を表示するものと理解されるとはいい難い。
したがって、「MONSTER」の文字からなる引用商標3及び「モンスター」の文字からなる引用商標4は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
また、引用商標2は、我が国においてその指定商品及び指定役務について使用されている事実さえも確認できないから、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人は、本件商標は引用商標3「MONSTER」との関係で出所の混同を生じるおそれがある旨主張していると認められるので、まず、その点について検討する。
ア 本件商標と引用商標3との類似性の程度
(ア)本件商標は、上記第1のとおり、「MONS」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから、特定の意味を有しない一種の造語として理解されるものである。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「モンス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標3は、「MONSTER」の文字からなり、当該文字に相応し「モンスター」の称呼を生じ、「怪物」の観念を生じるものである。
なお、「MONSTER」の文字は、上記1のとおり申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないこと及び当該「MONSTER」の文字が「怪物」の意味を有する我が国で広く親しまれた英単語であることから、引用商標3は、上記のとおり「怪物」の観念を生じるものと判断するのが相当である。
(ウ)そこで、本件商標と引用商標3との類否を検討すると、まず、本件商標の構成文字「MONS」と引用商標3の構成文字「MONSTER」との比較において、両者は、語頭から4文字の「MONS」の文字を共通にするものの、語尾における「TER」の3文字の有無という差異を有し、この差異が4文字又は7文字という構成文字数の差異となり、両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。
次に、本件商標から生じる「モンス」と引用商標3から生じる「モンスター」の称呼を比較すると、両者は語尾における「ター」の音の有無という差異を有し、この差異が3音又は5音という短い音構成である称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標3からは「怪物」の観念が生じるから、両者は、観念上、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標3とは、外観、称呼及び観念において相紛れるおそれがない非類似の商標であって、その類似性の程度も極めて低い別異の商標というべきものである。
したがって、本件商標と引用商標3は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、その類似性の程度も極めて低い別異の商標というべきものである。
イ 出所混同のおそれ
上記1のとおり、引用商標3は申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないことに加え、上記アのとおり、本件商標と引用商標3は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、類似性の程度も極めて低い別異の商標というべきものであること、及び引用商標3は、その構成文字「MONSTER」が我が国で広く親しまれた英単語であって独創性の程度が低いことから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標3を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、引用商標3との関係において、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(2)また、本件商標は、引用商標1、2及び4との関係において、出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲(申立人商品の容器に表示されている商標)


異議決定日 2020-03-31 
出願番号 商願2018-87681(T2018-87681) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W2932)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松浦 裕紀子 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 大森 友子
平澤 芳行
登録日 2019-04-19 
登録番号 商標登録第6139193号(T6139193) 
権利者 オーム乳業株式会社
商標の称呼 モンス 
代理人 柳田 征史 

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