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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W41
管理番号 1361747 
異議申立番号 異議2018-900238 
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-21 
確定日 2020-03-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第6058769号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6058769号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第6058769号商標(以下「本件商標」という。)は、「ドローン検定」の文字を標準文字で表してなり、平成28年6月10日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,検定試験の企画・運営又は実施及びこれらに関する情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,検定試験受験者へのセミナーの開催及びこれらに関する情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教材用書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),教材用ビデオ・DVDの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」を指定役務として、同30年6月5日に登録審決、同年7月6日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号並びに同法第4条第1項第15号及び同項第16号に該当するものであり、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は、構成中の「ドローン」の文字は別名「無人航空機」のことを指し、「無人で遠隔操作や自動制御によって飛行できる航空機の総称。」との意味合いとして既に一般用語として定着している(甲2)のみならず、航空法でも、「ドローン」の別名である「無人航空機」が定義されている。
その他にも、テレビや新聞での報道等で「ドローン」の用語が日常的に使用されていることは、経験則的にも明らかなところであり、「ドローン」という用語自体が法律上も日常生活上も一般的な用語として定着していることは明らかである。
他方、「検定」という用語は「検定試験の略。」として一般的に使用されており(甲3)、「〇〇検定」といえば、「○○の内容についての検定試験」との意味で認識されることは明らかである。
そうすると、本件商標は「ドローン(無人航空機)に関する検定」という意味以外に認識することができず、本件商標の指定役務のいずれに使用したとしても、これに接した取引者・需要者は「ドローン(無人航空機)に関する検定に関連する役務」と認識するにとどまり、本件商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、「ドローン(無人航空機)に関する検定に関連する役務」以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人は、「ドローン検定」という名称でドローンに関する検定試験を既に実施しているところ、インターネット上で「ドローン検定」と検索すると約58万件の検索結果が表示され、バナーには申立人の情報が掲示されるのみならず、検索上位に表示される「ドローン検定」の公式サイトや検定の申込サイトは、いずれも申立人の実施する「ドローン検定」についてのものである(甲4)。
申立人の実施する「ドローン検定」は、国土交通省との関係でも一定の効力を有するのみならず、民間資格試験として定着しており、認定資格者は約1万3000名にも上る。
申立人の実施する「ドローン検定」については、つり革や新聞等で広告されているのみならず、資格試験情報誌やドローン関係の情報サイトでも受験が推奨され、民間資格試験として定着しているところ、いずれの広告や情報誌でも、申立人が「ドローン検定」の実施主体であることが表示されている。
そうすると、需要者からすると「ドローン検定」といえば、申立人が実施するドローンに関する検定であるとの認識が既に定着しているものといえ、本件商標を申立人以外の者が使用すれば、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあるものといえ、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第3 当審における取消理由
当審において、商標権者に対して、「本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、その登録は、同条の規定に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号に該当する。」旨の取消理由を令和元年11月27日付けで通知した。

第4 商標権者の意見
前記第3の取消理由の通知に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本件商標は、前記第1のとおり、「ドローン検定」の文字からなるものであり、その構成文字及び意味合いから、「ドローン」及び「検定」の文字(語)からなるものであると容易に認識されるものである。
そして、「ドローン」の語は、「無人機(人が搭乗せず、遠隔操作又は自動操縦によって航行する飛行機。)。」を、「検定」の語は、「検定試験(特定の資格を与えるべきか否かを検定するため行う試験。)の略。」をそれぞれ意味し(いずれも「広辞苑 第7版」(2018年(平成30年)1月12日発行))、いずれの語も一般に親しまれている語である。
そうすると、本件商標からは、「ドローンに関する検定試験」といった意味合いを容易に認識されるものである。
(2)職権による調査によれば、インターネット上のウェブサイトにおいて、別掲1ないし3のとおりの記載が認められる。
これらの記載及び申立人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
ア 「○○に関する検定(試験)」を「○○検定」と称する検定(試験)が多数存在する(別掲1)。
イ ドローンに関する検定・資格がいくつも存在する(別掲2)。
ウ 「ドローン大学校」、「ドローン教習所」及び「ドローンスクール」といったドローンに関する教育機関が存在する(別掲3)。
エ 申立人は、平成27年9月から、「ドローン検定」と称するドローンに関する検定試験を実施している(甲5及び甲8)。
(3)前記(2)で認定した事実によれば、検定試験に係る業界においては、「○○に関する検定(試験)」(○○は、検定試験の対象となるもの)のことを「○○検定」と称することが一般的に行われており、また、ドローンに関する検定・資格がいくつも存在し、そのうち、実際に、ドローンに関する検定試験を「ドローン検定」と称して実施している者が存在することが認められる。
また、各種の検定試験について、当該検定試験の合格のための教育機関が一般に存在し、前記(2)ウのとおり、ドローンに関する教育機関も存在することが認められる。
そうすると、「ドローン検定」の文字(語)は、検定試験に係る業界においては、「ドローンに関する検定試験」といった役務の質を表す語として、当該業界の取引者、需要者に認識されるものと判断するのが相当である。
そして、検定試験に係る業界においては、前述のとおり、当該検定試験の合格のための教育機関が存在することに加えて、検定試験対策としてのテキスト、問題集及びDVD等が制作・販売され、検定試験合格のための知識の教授やセミナーの開催が行われる実情があることは、経験則上明らかであるといえ、また、本件商標の指定役務は、前記第1のとおり、いずれも前述の教育機関、テキスト、問題集、DVD、知識の教授及びセミナーの開催に関連する役務であるといえる。
してみると、「ドローン検定」の文字からなる本件商標は、これをその指定役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、該文字を「ドローンに関する検定試験」や当該検定試験用の役務といった役務の質又は用途を表示したものと認識するにすぎないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、役務の質又は用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、その登録は、同条の規定に違反してされたものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1
(1)「日本の資格検定」のウェブサイトにおいて、「50音順資格・検定一覧 EXAMINATION INDEX」の見出しの下、「アロマテラピー検定」、「暗算検定」、「イアーアート検定」、「イベント検定」、「インターネット検定」、「ウイスキー検定」、「運転地理検定」、「英会話検定」及び「栄養検定」等といった「○○検定」との記載がいくつもあり、その中には、「ドローン検定」の記載もある。
(https://jpsk.jp/examination-name-list.html)
(2)「資格キング」のウェブサイトにおいて、「民間資格を様々な角度から一覧で表示」の「五十音別」の見出しの下、「大家検定」、「英単語検定」、「秋田ふるさと検定」、「あわ検定」、「伊賀学検定」、「音楽検定」、「英会話検定」、「画像処理エンジニア検定」及び「京野菜検定」等といった「○○検定」との記載がいくつもあり、その中には、「無人航空従事者試験(ドローン検定)」の記載もある。
(https://www.shikaku-king.com/kind/minkan-shikaku/)
(3)「ウィキペディア」のウェブサイトにおいて、「日本の検定試験一覧」の見出しの下、「英語ロジック検定」、「アナウンス検定」、「ネットマーケティング検定」、「文書デザイン検定」、「情報処理検定」、「マルチメディア検定」、「モバイル検定」、「簿記検定」及び「珠算検定」等といった「○○検定」との記載がいくつもあり、その中には、「ドローン検定」の記載もある。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/日本の検定試験一覧)

別掲2
(1)「一般社団法人日本ドローン協会」のウェブサイトにおいて、「講習/検定」の見出しの下、「国交省登録JDA認定ドローン資格が取得可能!」、「国交省登録JDA認定ドローン資格とは、日本ドローン協会が、個人のドローン(マルチコプター)パイロットしての技能を客観的に評価し認定する民間の学科・実技試験です。」及び「認定の目的別に以下の3つのクラスに分かれています。 ・インストラクター技能証明書(1級) ・事業用技能証明書(2級) ・自家用技能証明書(3級)」の記載がある。
(https://alldrones.org/drone-training/)
(2)「一般社団法人日本ドローン操縦士協会」のウェブサイトにおいて、「一般社団法人日本ドローン操縦士協会『ドローン操縦士検定』とは?」の見出しの下、「一般社団法人日本ドローン操縦士協会では、『ドローン操縦士検定3級』『ドローン操縦士検定2級』『ドローン操縦士検定1級』を通じて、ドローンを安全に操縦するための必要不可欠な法律等の知識、飛行マナー、実用的な操縦技能習得ノウハウを自宅で身につけてもらう『ドーンパイロット養成講座』ドローン操縦士検定取得コースを開講しています。『ドローン操縦士検定』は、ドローン(無人航空機)を安全に運用するための必要不可欠な知識、一定の操縦技能に関する知識を有することの証明となるものです。」の記載がある。
(https://www.dronepilot.or.jp/?page_id=210)
(3)「一般社団法人ドローン技能検定協会」のウェブサイトにおいて、「コース内容・料金」の見出しの下、「DSAドローン2級操縦士」及び「DSAドローン1級操縦士」の記載がある。
(https://drone-dsa.com/flow/)
(4)「ドローンスクールナビ」のウェブサイトにおいて、「ドローンで農薬散布をするために必要な資格とは」の見出しの下、「ドローンで農薬散布をする場合は、以下の資格が必要となります。 ・産業用マルチローターオペレーター技能認定証」の記載がある。
(https://drone-school-navi.com/news/ドローンで農薬散布をするために必要な資格とは/)

別掲3
(1)「一般社団法人ドローン大学校」のウェブサイトにおいて、「ABOUT ドローン大学校とは?」の見出しの下、「ドローン大学校のミッションは”ドローンの安全な運航に必要な知識と技術を修得していただく”ことです。」の記載がある。
(https://dronecollege.ac/about-us/)
(2)「ドローン教習所 さくらドローンスクール松山校」のウェブサイトにおいて、「当校はドローン検定の認定教習所です」の記載がある。
(https://drone.wisteria-school.jp/)
(3)「JUIDA認定 越後屋ドローンスクール」のウェブサイトにおいて、「基礎知識と安全な飛行ができる技能を持つ操縦士となる為に、ドローンスクールの受講をおすすめします。」の記載がある。
(https://www.echigoyadroneschool.jp/facility/)




異議決定日 2020-02-04 
出願番号 商願2016-63679(T2016-63679) 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (W41)
最終処分 取消  
前審関与審査官 旦 克昌 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 山田 啓之
板谷 玲子
登録日 2018-07-06 
登録番号 商標登録第6058769号(T6058769) 
権利者 JAGAT株式会社
商標の称呼 ドローンケンテー、ドローン 
代理人 岩内 三夫 
代理人 園 真規 

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