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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 審決却下 Y1940
管理番号 1361637 
審判番号 無効2019-890041 
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2019-07-30 
確定日 2020-03-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第4792999号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求を却下する。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4792999号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成16年1月23日に登録出願,第19類「墓用石材,その他の石材,灯ろう,墓標及び墓碑用銘板(金属製のものを除く。),石製彫刻,コンクリート製彫刻,大理石製彫刻,花こう岩,大理石,玉石,その他の建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物」及び第40類「石材の加工」を指定商品及び指定役務として,同年6月30日に登録査定,同年8月6日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が,本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第4093956号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成8年5月28日に登録出願,第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,墓石工事,ガラス工事,鋼構造工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロック工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリート工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事」を指定役務として同9年12月19日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号について
(1)商標の類似について
本件商標は,引用商標と外観上も呼称上も類似する。
(2)商品及び役務の類似について
本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定役務とは販売地域並びに都立多磨霊園の墓参者である需要者が同一で,混同を生ずる類似する商品及び役務ということができる(甲2)。
(3)請求人及び被請求人の業務について
被請求人の法人目的として石材工事,墓地工事が登記されており(甲3の1),また,石材工事,墓石工事を業務としている(甲6)。
同様に,請求人も,法人目的として墓石・石材工事の設計施工請負を登記しており,業務としている(甲3の2)。
したがって,業態的には,請求人も被請求人も,霊園・墓地地域に多く存在する,いわゆる石材店であって,極めて類似している。
(4)請求人と被請求人の業務に係る商品又は役務の混同について
上記(2)のとおり,狭い商圏で,請求人と被請求人が道を挟んで斜め向いに存在し,それぞれが同一又は類似の商標を掲示するという状況は,訪れる需要者にとっては,それぞれが別事業者であるのにもかかわらず,本店と支店,あるいは本館と別館の関係にあるがごときの混同をするなどのおそれが,非常に高いといえる。
また,実際に,請求人と被請求人を誤って訪ねてくる顧客が存在する。
そうすると,引用商標が,著名な商標であるかどうか関係はない。
(5)むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当し,同法第46条第1項第1号によりその登録は無効とされるべきである。
2 除斥期間について
(1)請求人代表者の祖父は,大正12年に現在の請求人の住所において個人商店を創業(甲10)し,昭和39年に請求人代表者の父によって「有限会社山田石材店」(以下「山田石材店」という。)が設立された。
しかしながら,請求人代表者の父の死後,山田石材店は,請求人代表者の叔父らに実効支配されたため,請求人は被請求人(山田石材店)に対し土地の明け渡しを求め,被請求人は,平成15年12月末までに移転した。
そうすると,被請求人は,本件商標の登録出願時には既に移転を完了しているところ,会社登記所在地は,平成16年7月12日に移転したことにし,その登記は同年8月3日であった(甲3)。
(2)被請求人は,請求人の住所において商標登録出願を行い,この住所が訂正されたのが,平成26年8月であった(乙1の1)。
被請求人は,本件商標の登録料納付(平成16年7月29日)の僅か5日後に会社移転登記を行っているにかかわらず,商品や役務の出所に関する重要な情報である登録名義人の住所の変更を,その後10年間も行わなかったのは,失念の範ちゅうを超えているものである。
(3)「丸忠」の屋号は,請求人の住所に根付き,請求人の側にあることは,明らかであり(甲2),近隣商圏にある同業者の間でも長く認識されている。
(4)被請求人と請求人の住所は,通りを挟んでの至近距離にあり,被請求人と請求人の販売地域と都立多磨霊園の墓参者である需要者は同一であることから,被請求人は,地域や需要者に混乱を生じさせる(甲2の1)。
(5)被請求人は,請求人の所有する登録商標(甲5)を組み合わせた商標を登録出願し(甲4),存在しない「有限会社山田石材店」を掲出し(甲6),かつ「つなぎ館」を「つなぎや」と読ませて同一性を回避しようとする意図が感じられる(甲2の5)。
(6)以上より,本件商標は,地域や需要者に混同を生じさせる不正競争の目的,不正の目的があると考えられ,本件無効審判請求は,除斥期間は適用されない。

第4 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標は,商標においては構成を同じくしており,外観及び称呼は類似するといえる。
しかしながら,特許庁編纂の「類似商品・役務審査基準」に示されているように,引用商標の指定役務と,本件商標の指定商品及び指定役務とは,別異の類似群コードが付され「備考類似」ともされていない。
よって,本件商標と引用商標とは「互いに非類似の商品及び役務」である。
2 商標法第4条第1項第15号の該当性について
(1)商標法第4条第1項第15号に該当するのは,本件商標と他人の商標の指定商品・役務が非類似である場合であり,本件商標と引用商標の指定商品及び指定役務が類似するのであれば,そもそも本件商標は,本号には該当しない。
(2)請求人,被請求人及び多磨霊園の位置関係は明らかだが(甲2の1),本件商標の登録出願時及び登録査定時に,引用商標が本号に該当する程に著名な商標であることの主張及びそれを裏付ける証拠の提出はされていない。
また,請求人が,平成16年当時には,いかなる業務に引用商標をどのように使用していたのか,両者の需要者の共通性,請求人業務と本件商標の指定商品・役務との間でどのように出所混同を生ずるのか等についても一切具体的な説明もない。
よって,本件商標が著名な商標であるとは到底理解し難く,本号に該当するものとは考えられない。
(3)被請求人が本件商標を登録出願したのは平成16年であるが,被請求人は,大正12年から現在に至るまで,本件商標を屋号として使用し続けている。
そして,このことは,請求人及び被請求人が所在する府中地域周辺・都立多磨霊園周辺及び多磨霊園の墓参者においては,広く知られていることである。
このような被請求人の本件商標の使用・取引の実情等からしても,本件商標が請求人の商標との関係において,出所の誤認混同を生ずることはない。
(4)以上のとおり,本件商標が請求人の商標との関係において,出所の誤認混同を生ずる余地はないことから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
3 不正競争又は不正の目的について
(1)本件商標は,上記2のとおり,そもそも商標法第4条第1項第15号に該当するものではないので,被請求人に不正競争の目的又は不正の目的があるか否かについて,答弁する必要はないと考える。
(2)請求人の代表者は,被請求人の代表者と近親関係にあり,また,被請求人の出資者でもあることから,請求人は,被請求人について熟知している。
(3)被請求人は,平成16年8月に移転登記を行ったところ,本件商標の登録出願時及び登録料納付日(平成16年7月29日)には,未だ被請求人の登記簿上の住所は移転登記前であったことから,本件商標の登録手続の経緯に不正は全くない。
その後,被請求人は,登録名義人の住所の表示変更登録申請の手続を行うことを失念していたが,本件商標の存続期間の更新手続を行う際,住所の表示も変更した(乙1の1)。
登録名義人の表示変更の手続を失念することは時折見受けられることである。
よって,被請求人が近隣の土地に移転したこと,及び住所変更の手続が遅れたことは,何ら「不正競争又は不正の目的がある」ことの理由となり得るものではない。
(4)被請求人による商標登録出願は,本件商標の登録査定時の事情には全く関係ないことではあるが,これらの商標は,被請求人が長きにわたり使用している商標であって,そこには「不正競争の目的」又は「不正の目的」など全くない。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものではないから,同法第46条第1項第1号によりその登録を無効にすることはできない。

第5 当審の判断
1 商標法第47条該当性について
商標法第47条第1項は,商標登録が同法第4条第1項第15号に違反してされたとの理由により,同法第46条第1項に基づき,該商標登録の無効の審判を請求するときは,それが不正の目的で商標登録を受けた場合を除き,該商標登録に係る商標権の設定の登録の日から5年を経過した後は,その請求をすることができない旨規定しているところ,本件商標は,上記第1のとおり,平成16年8月6日に設定登録されたものであり,また,本件審判の請求は,審判請求書に照らせば,当該設定登録の日から5年を経過した後の令和元年7月30日にされたものであって,本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたことを無効事由とするものであるから,本件審判の請求については,本案の審理をするに先立ち,本件商標が不正の目的で商標登録を受けたものであるか否かについて,以下検討する。
(1)不正の目的について
請求人は,不正の目的につき,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第10号証を提出しており,また,被請求人は乙第1号証及び乙第2号証を提出しているところ,これらからは,以下の事実が認められる。
ア 請求人及び被請求人について
請求人は,昭和57年9月17日に「丸忠造建株式会社」として設立された「墓石・石材工事の設計施工請負」等を事業とする企業である。その後,平成22年1月4日に現在の名称に変更登記されている(甲3の2)。
被請求人は,昭和39年7月31日に「有限会社山田石材店」として設立された「石材工事,墓地工事」等を事業とする企業である(甲3の1,甲8)。その後,平成16年8月3日に請求人の住所より現在の住所に変更登記され,同17年7月12日に現在の名称に変更登記されている(甲3の1)。
本件商標の設定登録時の商標権者の名称は,「有限会社山田石材店」であり,住所は請求人の住所と同一である(甲1の1,乙1の1)。
イ 請求人及び被請求人の住所及びその位置関係について
請求人と被請求人とは,多磨霊園の近郊の道路を挟んだ向かい側にそれぞれ住所を有している(甲2の1)。
ウ 請求人のウェブサイトの写しの左上部には,「丸中山田」の文字の左に○の中に「忠」の文字を白抜きした商標が表示され,下部に「墓石工事」の表示がある(甲2の6)。
エ 被請求人を紹介したウェブサイトの写しの右上部及び下部には,「有限会社山田石材店」の文字の左に○の中に「忠」の文字を配した商標が表示され,右上部に「石材工事一式 墓石工事一式」の表示がある(甲2の5,甲6)。
オ 請求人の提出に係る証拠には,引用商標の役務の提供に関する売上高など取引の実績を示す具体的な証拠の提出はない。
(2)判断
本件商標と引用商標とは,いずれも○の中に「忠」の文字を表してなり,類似の商標であることは,両当事者間において争いはない。また,上記(1)で認定した事実によれば,請求人と被請求人は,共に「石材工事,墓石工事」等を業としており,○の中に「忠」の文字を配した商標を使用していることがうかがえる。
さらに,両者は,本件商標の登録査定及び引用商標の設定登録後の平成16年8月まで住所を同じくし,その後も道路を挟んだ向かい側にそれぞれの住所があることがうかがえる。
しかしながら,引用商標の使用に係る役務の提供に関する売上高など取引の実績を示す具体的な証拠はないことから,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,請求人の業務に係る役務「石材工事,墓石工事」を表すものとして,我が国の需要者の間に広く知られていたものとは認めることができない。
以上のとおり,被請求人は,本件商標の登録出願時に引用商標の存在を知っていたとはいい得るものの,引用商標は,請求人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから,本件商標は,これをその指定商品及び指定役務について使用をすることが,引用商標の周知性による信用及び顧客吸引力に便乗するものということはできず,請求人に損害を与え,被請求人において不正の利益を得る意図があったものとは認められない。
他に,被請求人が不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するために本件商標の登録を受けたと認めるに足る証拠はない。
2 請求人の主張について
(1)請求人は「被請求人と請求人の住所は,通りを挟んでの至近距離にあり,被請求人と請求人の販売地域と都立多磨霊園の墓参者である需要者は同一であることから,本件商標の登録は,地域や需要者に混乱を生じさせる不正競争の目的,不正の目的がある。」旨主張する。
しかしながら,上記1(1)のとおり,請求人と被請求人の住所が至近距離にあって,両者は共に「石材工事,墓石工事」等を業としていることから,請求人と被請求人の需要者が共通することは認め得るが,これをもって本件商標が不正の目的をもって商標登録を受けたと認めることはできない。
(2)請求人は「被請求人は,存在しない『有限会社山田石材店』を掲出し(甲6),請求人の登録商標『丸忠』,『丸忠山田』及び『つなぎ館』(甲5)を組み合わせた商標を登録出願し(甲4),かつ『つなぎ館』を『つなぎや』と読ませて同一性を回避しようとする意図が感じられる(甲2の5)から,本件商標の登録は,不正競争の目的又は不正の目的がある。」旨主張する。
しかしながら,被請求人が「有限会社山田石材店」の名称を使用し,被請求人の登録商標の構成中に請求人の登録商標と同一の文字があり,「つなぎ館」を「つなぎや」と読ませているとしても,本件商標が不正の目的をもって商標登録を受けたということにはならない。
(3)したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標は,不正の目的で商標登録を受けたと認めることができないものであるから,本件商標の登録が商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるとの理由に基づく本件審判の請求は,同法第47条第1項の規定により,請求することのできる期間を経過した後にされたものといわなければならない。
したがって,本件審判の請求は,不適法なものであって,その補正をすることのできないものであるから,商標法第56条第1項において準用する特許法第135条の規定により,却下すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。

別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標)


審理終結日 2020-01-28 
結審通知日 2020-01-30 
審決日 2020-02-13 
出願番号 商願2004-5362(T2004-5362) 
審決分類 T 1 11・ 271- X (Y1940)
最終処分 審決却下 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 平澤 芳行
大森 友子
登録日 2004-08-06 
登録番号 商標登録第4792999号(T4792999) 
商標の称呼 マルチュー、マルタダ、チュー、タダ 
代理人 小宮山 誠司 
代理人 藤田 朗子 
代理人 江成 文恵 
代理人 瀧野 文雄 
代理人 今井 貴子 
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