• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W03
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W03
管理番号 1361626 
審判番号 不服2019-1105 
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-01-28 
確定日 2020-03-27 
事件の表示 商願2017-117784拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「乳酸菌のチカラ×美白×植物のチカラ」の文字を横書きしてなり、第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし、平成29年9月6日に登録出願、その後、本願の指定商品については、当審における同31年1月28日付け手続補正書により、第3類「美白用のせっけん類,美白用の化粧品」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『乳酸菌のチカラ×美白×植物のチカラ』の文字及び記号を書してなるところ、その構成中『チカラ』の文字部分は、『能力』等の意味合いを表す『力』に通じるものであるから、『乳酸菌のチカラ』及び『植物のチカラ』の文字部分からは、『乳酸菌の力(能力)』及び『植物の力(能力)』程の意味合いが認識されるものである。そして、構成中の『×』の記号は、『掛ける』に通じるものであるが、『○○×○○』の文字が『プロテイン×青汁(プロテインと青汁)』のように、『○○と○○』程の意味合いを表すものとしても使用されている。また、近年、『乳酸菌の力(能力)』、『植物の力(能力)』を利用した各種商品が製造、販売され、化粧品に関連する分野においても『乳酸菌の力(能力)』、『植物の力(能力)』を利用した商品が製造、販売されている。さらに、美白化粧品は、しみ、そばかすの原因となるメラニン色素の生成を抑える効能等を備えたものであるが、乳酸菌発酵代謝液や植物抽出成分を配合した美白用の商品も製造、販売されている実情がある。そうすると、本願商標を、その指定商品中『美白用の商品』に使用しても、これに接する需要者等は、該商品が『乳酸菌の力(能力)と植物の力(能力)を利用した商品』程の意味合いを表したもの、あるいはそれを強調して表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識しないとみるのが相当であり、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋
当審において、審判長は、請求人に対し、令和元年9月4日付けで、別掲のとおりの事実を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。

4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、前記3の審尋に対し、令和元年10月21日付け回答書を提出し、要旨以下のように主張した。
(1)本願商標は、外観及び称呼において、一体不可分に認識される商標である。本願商標に接する取引者、需要者が本願商標を「乳酸菌のチカラ」「美白」及び「植物のチカラ」に分離し、その各々の意味合いを認識した上で、再びこれらの意味同士を結びつけて本願商標の意味合いを認識することは、取引の場においては極めて不自然である。そのため、取引の場においては、本願商標は、全体としては何らの意味合いをも認識させることのない造語商標であり、仮に、別掲に述べられたような事実があるとしても、自他商品の識別標識として認識し、また、商品の品質、効能の誤認を生ずるおそれもない。
(2)「乳酸菌のチカラ」「美白」「植物のチカラ」それぞれを単独で使用した場合には、本願の補正後の指定商品との関係においては、自他商品の識別標識として機能し得ないか又は極めて弱いものである。しかしながら、本願商標は、「乳酸菌のチカラ」「美白」及び「植物のチカラ」という、識別力がないか極めて弱い文字同士を記号「×」を介して外観上まとまりよく結合させた商標であるといえ、このような構成の商標については、その構成中のいずれかの文字部分のみが着目され記憶されることはなく、構成文字全体が一種の造語として認識され、取引者、需要者に認識、把握されるとみるのが相当である。
(3)審尋においては、商品の「効能や原材料(有効成分)」を組み合わせて表す際に「×」の記号が使用されていることを、本願商標が自他商品の識別標識としては認識し得ない根拠の一つとして挙げている。しかしながら、「乳酸菌のチカラ(力)」の文字が「乳酸菌の『効能』」ほどの意味合いで、「植物のチカラ(力)」の文字が「植物の『効能』」ほどの意味合いで、「美白」の文字が肌を美しく白くする効能をうたう商品に、それぞれ一般に使用されている旨述べられていることからして、商品の「効能」を組み合わせて表す際に「×」の記号が使用されていることのみが上述の根拠とされるべきであり、商品の「原材料(有効成分)」を組み合わせて表す際に「×」の記号が使用されていることを根拠とするのは全く妥当ではない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「乳酸菌のチカラ×美白×植物のチカラ」の文字を横書きしてなるところ、その文字構成から、「乳酸菌のチカラ」、「美白」及び「植物のチカラ」の文字とを「×」の記号を用いて結合してなるものと看取、把握されるものである。
そして、本願商標の構成中、「乳酸菌」の文字は「乳酸発酵に関与する細菌の総称」の意味を、「美白」の文字は「肌の美しく白いこと」の意味を、「植物」の文字は「動物と対立する一群の生物」の意味を有する語であり、「チカラ」の文字は「効能」等の意味を有する「力」の文字(いずれも「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店))を片仮名表記したものと容易に認識されるものであるから、「乳酸菌のチカラ」の文字は「乳酸菌の効能」ほどの意味合いを、「植物のチカラ」の文字は「植物の効能」ほどの意味合いを容易に理解、認識させるものである。
そして、本願の指定商品を取り扱う業界において、「乳酸菌のチカラ(力)」の文字が「乳酸菌の効能」ほどの意味合いで(別掲1)、「植物のチカラ(力)」の文字が「植物の効能」ほどの意味合いで(別掲2)一般に使用されている事実があり、「美白」の文字についても、肌を美しく白くする効能をうたう商品に一般に使用されている事実がある(別掲2(3)、別掲3(1)ないし(3))。さらに、商品の効能や原材料(有効成分)を組み合わせて表す際に、「×」の記号が一般に使用されている事実がある(別掲3)。
これらの事実を踏まえると、本願商標は、構成全体として「乳酸菌の効能と植物の効能を有する美白用の商品」を表したものと理解させるというべきであるから、これをその指定商品中「乳酸菌の効能と植物の効能を有する美白用の商品」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ない。
してみれば、本願商標は、その商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、上記商品以外の指定商品に使用するときは、商品の品質、効能の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標は、「乳酸菌のチカラ」「美白」及び「植物のチカラ」という、識別力がないか極めて弱い文字同士を記号「×」を介して外観上まとまりよく結合させた商標であるといえ、このような構成の商標については、その構成中のいずれかの文字部分のみが着目され記憶されることはなく、構成文字全体が一種の造語として認識され、取引者、需要者に認識、把握されるとみるのが相当である旨主張する。
しかしながら、本願商標は、その構成全体として、「乳酸菌の効能と植物の効能を有する美白用の商品」程の意味合いを認識させるにとどまり、その商品の品質、効能を表示するにすぎないこと、上記(1)のとおりであるから、請求人による上記主張は、採用することができない。
また、請求人は、審尋において開示した事実について、本願商標が自他商品の識別標識としては認識し得ない根拠の一つとして、商品の「原材料(有効成分)」を組み合わせて表す際に「×」の記号が使用されていることを挙げるのは全く妥当ではない旨主張する。
しかしながら、前記3の審尋において開示した事実によれば、本願の指定商品を取り扱う業界において、「×」の記号が、商品の効能のほかに原材料(有効成分)を組み合わせて表す際に使用されていることが認められるところ、「×」の記号により組み合わされるものが、商品の原材料(有効成分)を表す文字であったとしても、商品の効能を表す文字の場合と同様に、いずれも商品の品質を表すものであることに変わりはなく、自他商品の識別標識としては認識し得ない文字を「×」の記号で組み合わせるという手法において、両者は共通性を有するものであるから、請求人による上記主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、登録することができない。
なお、原査定においては、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨認定、判断しており、当審の認定、判断とは相違する点はあるものの、本願商標の構成及び本願の指定商品に基づき、取引の実情等を総合勘案したときに、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないもの及び商品の品質、効能の誤認を生ずるおそれがあるものとする点を共通にするものであるから、原査定と当審の認定、判断との間に実質的な差異はない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
令和元年9月4日付け審尋をもって開示した事実
1 本願の指定商品を取り扱う分野において、「乳酸菌のチカラ」「乳酸菌の力」の文字が、乳酸菌の効能ほどの意味合いで使用されている事実
(1)「株式会社pdc」のウェブサイトにおいて、「cutura」の見出しの下、「商品特長 乳酸菌のチカラ 化粧水前になじませるだけの集中角質ケア! ピールケア美容液」「EF-01乳酸菌のチカラ EF-01乳酸菌が、肌の奥までしっかり浸透。肌のキメを整えて、カサカサ・ゴワつき・毛穴目立ちのないお肌に整えます。」の記載がある。
(https://www.p-dc.com/shop/g/g4961989201603/)
(2)「鈴木ハーブ研究所 楽天市場店」のウェブサイトにおいて、「やっぱりすごい乳酸菌ローション」の見出しの下、「美肌菌を増やす働きに着目し、『ラ・フローラEC-12(R)※』を配合。 ※化粧品原料として安全性が確認されている乳酸菌です。」「乳酸菌の力で肌自らが美しくなる、新発想のローションが誕生。・・・『美肌菌』を増やし、ダメージに強く自らうるおう肌に育てます。」の記載がある。
(https://item.rakuten.co.jp/sherb/8888/)
(3)「中国醸造オンラインショップ やすらぎ醗酵房」のウェブサイトにおいて、「リラビオ」の見出しの下、「植物性にこだわり、植物が育んだ乳酸菌のチカラを借りて発酵を重ねることでReLABioとなります。植物乳酸菌のやさしいチカラをご実感ください。」の記載がある。
(http://www.hakkobo.jp/products/relabio/)

2 本願の指定商品を取り扱う分野において、「植物のチカラ」「植物の力」の文字が、植物の効能ほどの意味合いで使用されている事実
(1)「DUAL ORGANIC」のウェブサイトにおいて、「DUAL ORGANICについて」の見出しの下、「オーガニック医薬部外品」「薬用+オーガニック植物の2つのチカラで悩み対策」「植物のチカラ 植物成分は、一つの植物に複数のフィトケミカル成分(植物化学成分)が含まれているため、様々なチカラで全体を整えることが得意です。古来から生活に寄り添い、人々を助けてきた歴史ある植物の力を、農薬などで汚すことなく、さらに純粋に取り入れることができるオーガニック植物を採用し、お肌への刺激に配慮して丁寧な製品作りを心掛けています。」の記載がある。
(https://dualorganic.com/about/)
(2)「Pivoine」のウェブサイトにおいて、「ふんわり泡でもっちり肌へ!自然素材をたっぷり配合!植物プラセンタ石鹸Honoho」の見出しの下、「植物のチカラでふんわりと柔らかな肌へ。年齢を感じやすいくすみや毛穴の汚れをしっかり吸着し、透明感のある肌へ導きます。肌に優しい天然成分配合でトラブル肌や敏感肌の方にもお使いいただけます。」の記載がある。
(https://www.pivoineonline.jp/fs/ponline/gr4/gd44)
(3)「さぷれ」のウェブサイトにおいて、「植物のチカラで薬用美白」の見出しの下、「薬用美白化粧水・・・オリーブ果汁や桑エキス他植物由来成分配合。特に自社農園産のオリーブ葉エキスと変換型安定ビタミンCの働きが美白肌へ導きます。」の記載がある。
(https://www.k-sapure.com/products/list.php?category_id=26)
(4)「Makuake」のウェブサイトにおいて、「染めない白髪ケアエッセンス 植物のチカラ×最先端ナノ技術」の見出しの下、「【世界初】染めない白髪ケア ナノ技術と植物の力で美髪に!革新スカルプエッセンス」「厳選された植物エキスを独自のナノテクノロジーで角質層まで届ける頭皮用ローション。・・・植物のチカラ×独自ナノ技術により頭皮に元来備わっている機能に働きかける新発想の頭皮頭髪ケアを実現しました。」「植物のチカラ 頭皮を健やかに整えて、豊かな美髪へ導く5つの植物有用成分・・・配合」の記載がある。
(https://www.makuake.com/project/suna-bioshot/)

3 本願の指定商品を取り扱う分野において、商品の効能や原材料(有効成分)を組み合わせて表す際に「×」の記号が使用されている事実
(1)「ロート製薬株式会社」のウェブサイトにおいて、「肌ラボ 白潤(シロジュン)プレミアムW美白美容液」の見出しの下、「美白有効成分、直接型ビタミンC誘導体とアルブチンをW配合。」の記載とともに、商品の包装箱に「直接型ビタミンC誘導体×アルブチン」と表示されている。
(https://jp.rohto.com/hadalabo/shirojun-premium-essence/)
(2)「株式会社マナビス化粧品」のウェブサイトにおいて、「薬用美白化粧水」の見出しの下、「美白 トラネキサム酸」の文字と「うるおい 植物エキス」の文字とが、「×」の記号で組み合わされている。
(https://www.manavis-cosme.co.jp/img/topics/topics-190416.pdf)
(3)「さずかりファミリー」のウェブサイトにおいて、「薬用美白クリーム WHITENING ESSENCE VIHAXIA-ビハクシア-」の見出しの下、「トリプル有効成分配合」の記載とともに、「ハイドロキノン誘導体」の文字、「ビタミンC誘導体」の文字と「グリチルリチン酸2K」の文字が「×」の記号で組み合わされている。
(https://sazukari-shop.com/shopping/lp.php?p=f_vihaxia01)
(4)「日本盛株式会社」のウェブサイトにおいて、「pourmoi(プモア)」の見出しの下、「乾燥対策や透明感に 日本酒酵母×乳酸菌の美活力」「独自成分W美活エキス 日本酒酵母×乳酸菌」の記載がある。
(http://www.pourmoi.jp/try/1/2/2/?utm_medium=af&utm_campaign=pourmoi&utm_s)


審理終結日 2020-01-15 
結審通知日 2020-01-24 
審決日 2020-02-04 
出願番号 商願2017-117784(T2017-117784) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (W03)
T 1 8・ 13- Z (W03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 石塚 利恵
小田 昌子
商標の称呼 ニューサンキンノチカラバイビハクバイショクブツノチカラ、ニューサンキンノチカラビハクショクブツノチカラ、ニューサンキンノチカラ、ショクブツノチカラ 
代理人 小谷 武 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ