ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W12 審判 査定不服 外観類似 登録しない W12 審判 査定不服 観念類似 登録しない W12 |
---|---|
管理番号 | 1361562 |
審判番号 | 不服2019-3364 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-03-11 |
確定日 | 2020-03-11 |
事件の表示 | 商願2017-118399拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,「セーフ株式会社」の文字を標準文字で表してなり,第12類に属する願書記載の商品を指定商品として,平成29年9月7日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同30年8月7日付け手続補正書及び当審における同31年3月11付け手続補正書により,最終的に,第12類「自動車の窓用ガラス,自動車並びにその部品及び附属品」と補正されたものである。 2 引用商標 原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして,拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 (1)国際登録第1175542号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲(1)のとおり 国際登録日:2013年(平成25年)7月12日 設定登録日:平成26年11月14日 指定商品:第7類,第12類,第17類,第19類及び第26類に属する商標登録原簿に記載の商品 (2)国際登録第1180701号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲(2)のとおり 国際登録日:2013年(平成25年)7月12日 設定登録日:平成26年11月7日 指定商品及び指定役務:第6類,第7類,第11類,第12類,第14類,第17類,第19類,第26類及び第40類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務 (3)国際登録第1189998号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲(3)のとおり 国際登録日:2013年(平成25年)11月5日 設定登録日:平成27年6月5日 指定商品:第6類及び第12類に属する商標登録原簿に記載の商品 (4)国際登録第1342641号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:別掲(4)のとおり 国際登録日:2016年(平成28年)5月10日 設定登録日:平成30年6月8日 指定商品及び指定役務:第6類,第7類,第11類,第12類,第14類,第17類,第19類,第26類及び第40類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務 3 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は,「セーフ株式会社」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中には,会社の種類を示す語である「株式会社」の文字を含むことから,その構成全体をもって,容易に会社の商号である「セーフ株式会社」を表したものと看取されるものである。 よって,本願商標は,その構成文字全体から「セーフカブシキガイシャ」の称呼及び「セーフという名の株式会社」ほどの観念が生じるものである。 また,本願商標の構成中の「株式会社」の文字部分は,上記のとおり会社の種類を示す語であり,自他商品役務の識別標識としての機能を果たすものではないから,本願商標をその指定商品に使用した場合,これに接する取引者・需要者は,その構成中の「セーフ」の文字部分(以下「本願要部」という。)を自他商品役務の識別機能を果たすものとして認識するというのが相当である。 そして「セーフ」の文字は,「安全な」ほどの意味を有する英語の「safe」の文字(「ベーシックジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店)を片仮名で表記したものとして一般に親しまれた語であることから,本願商標から,当該文字に相応した「セーフ」の称呼及び「安全な」ほどの観念をも生じるものとみるのが自然である。 (2)引用商標について ア 引用商標2について (ア)引用商標2は,別掲(2)のとおり,中央部に「Safe」の文字が大きく紺色で表され,左下の角から右下の角に向けて徐々に幅が広がる紺色のラインが配されている銀色のグラデーションが施された,左上及び右下の角が丸みを帯びた横長の略長方形図形(以下「略長方形図形部分」という。),及び,略長方形図形部分の下に「L’esprit industriel」の文字が配された構成よりなるものである。 (イ)引用商標2の構成中,略長方形図形部分と「L’esprit industriel」の文字部分は,視覚的に分離して看取し得るものである。 そして,「L’esprit industriel」の文字部分は,「L’」,「esprit」及び「industriel」の各文字が,フランス語の定冠詞「Le」の省略形,「才気,機知,エスプリ」及び「産業の,工業の」程度の意味を有する語であるとしても,これらの文字は,我が国において親しまれたフランス語とまではいえないことから,特定の観念は生じないものというのが相当である。 そうすると,引用商標2は,略長方形図形部分と「L’esprit industriel」の文字部分が,視覚的に分離して看取し得ることに加え,観念的に密接な関連性を有しているとはいえず,一連一体の称呼が生じるともいえないことから,それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえないものである。 よって,引用商標2は,略長方形図形部分と「L’esprit industriel」の文字部分は,各々,自他商品役務識別標識としての機能を有するものと認められる。 (ウ)略長方形図形部分をみるに,その構成中の略長方形図形は,2色の色彩が付されているとしても,内部の文字を強調するための装飾的な背景図形として理解されるものであるから,出所識別標識としての特定の称呼及び観念を生じるものとはいえない。 そうすると,略長方形図形部分の構成中,大きく表されている「Safe」の文字部分が自他商品役務識別標識としての機能を有するというのが相当である。 (エ)以上のことから,引用商標2は,「Safe」の文字部分を抽出し,当該文字部分のみを本願商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものであり,当該「Safe」の文字は「安全な」ほどの意味を有する親しまれた語(前掲書)であるから,当該文字部分に相応して「セーフ」の称呼及び「安全な」ほどの観念を生ずるものである。 イ 引用商標4について 引用商標4は,別掲(4)のとおり,引用商標2の構成に加えて,略長方形図形部分内の「Safe」の文字の右下に「Corporation」の文字が小さく配された構成よりなるものである。 そして,略長方形図形部分内の「Corporation」の文字は,会社の種類を表す「株式会社」等の意味を有する英語(前掲書)であり,加えて,「Safe」の文字に比して,小さく表されていることから,当該文字は,自他商品役務の識別標識としての機能を有さないか極めて弱いものである。 そうすると,上記アと同様に,引用商標4も,「Safe」の文字部分を抽出し,当該文字部分のみを本願商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものであるから,当該文字部分に相応して「セーフ」の称呼及び「安全な」ほどの観念を生ずるものである(以下,引用商標2及び4の「Safe」の文字部分を「引用要部」という場合がある)。 (3)本願商標と引用商標2及び4との類否について 本願商標と引用商標2及び4との類否について検討すると,外観においては,本願要部と引用要部とは,文字の種類及び色彩が相違するものであるが,商標の使用においては,商標の構成文字を同一の称呼及び観念が生じる範囲内で文字の種類及び色彩を変えて表すことはごく普通に行われていることであるから,両者における文字の種類及び色彩の相違が,看者に対し,出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。 そして,称呼及び観念においては,本願要部と引用要部とは,「セーフ」の称呼及び「安全な」ほどの観念を共通にするものである。 以上によれば,本願商標と引用商標2及び4とは,外観において,その全体の構成について差異を有するとしても,本願要部と引用要部とは,外観上,文字の種類及び色彩の相違が顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえず,称呼及び観念を共通にするものであるから,取引者・需要者に与える印象,記憶,連想等を総合すると,商品の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。 したがって,本願商標と引用商標2及び4とは,互いに類似する商標といえる。 (4)本願商標の指定商品と引用商標2及び4の指定商品との類否について 本願商標の指定商品は,引用商標2の指定商品中の第12類「automobiles; automotive structural parts, namely, self-sealing tanks for fuel storage, fitted covers for vehicles, automobiles, caps for vehicle fuel tanks, safety belts for vehicle seats, housings for vehicle safety belts; airbags (safety devices for automobiles); housings of automobiles, covers and shells for airbags (automobile safety devices) for vehicles; front panels for vehicle dashboards; safety seats for children for vehicles; hubcaps, direction signals for vehicles, vehicle bumpers, rear-view mirrors and rear-view mirror housings, vehicle seats, headrests for vehicle seats, ski carriers for cars, vehicle convertible tops, luggage carriers for vehicles, steering wheels for vehicles, air bags (safety devices for automobiles);」及び引用商標4の指定商品中の第12類「automobiles; automobiles, caps for vehicle fuel tanks, safety belts for vehicle seats, housings for vehicle safety belts; air bags (safety devices for automobiles); cases, covers and shells for air bags(safety devices for automobiles) for vehicles; control buttons for vehicles,front panels for vehicle dashboards; safety seats for children, for vehicles; hub caps, direction signals for vehicles, vehicle bumpers, rear-view mirrorsand rear-view mirror housings, vehicle seats, headrests for vehicle seats, ski carriers for cars, vehicle convertible tops, luggage carriers for vehicles,steering wheels for vehicles; components and subassemblies made of plastic for vehicle safety devices of aircraft, automobiles, bicycles, motorcycles, rolling stock for railways and ships;」と同一又は類似の商品である。 (5)小括 以上によれば,本願商標は,引用商標2及び4と類似する商標であって,かつ,本願商標の指定商品と引用商標2及び4の指定商品も同一又は類似するものである。 したがって,本願商標は,他の引用商標について検討するまでもなく,商標法第4条第1項第11号に該当する。 (6)請求人の主張について 請求人は,最高裁判例等を引用して,本願商標は,その構成中の「セーフ」の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているということができず,称呼についても冗長でなく一連に称呼し得るものであり,当該部分を取り出して観察することを正当化するような事情を見いだすことはできない旨主張している。 しかしながら,上記(1)のとおり,本願商標構成中の「株式会社」の文字部分は,会社の種類を示す語であり自他商品役務識別標識としての機能を果たすものではない。 そうすると,「セーフ」の文字部分が自他商品役務識別標識としての機能を果たし得る要部として認識され,当該文字部分をもって取引に当たる場合も決して少なくないというべきであり,当該文字部分のみを引用商標2及び4と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。 そして,上記(3)のとおり,本願要部と引用要部とを比較すると,本願商標と引用商標2及び4とは類似の商標と判断するのが相当であるから,請求人の主張は採用できない。 (7)まとめ 以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 (1)引用商標1(色彩は原本参照。) (2)引用商標2(色彩は原本参照。) (3)引用商標3(色彩は原本参照。) (4)引用商標4(色彩は原本参照。) |
審理終結日 | 2019-12-26 |
結審通知日 | 2020-01-06 |
審決日 | 2020-01-28 |
出願番号 | 商願2017-118399(T2017-118399) |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W12)
T 1 8・ 263- Z (W12) T 1 8・ 262- Z (W12) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉沢 恵美子 |
特許庁審判長 |
薩摩 純一 |
特許庁審判官 |
浜岸 愛 大森 友子 |
商標の称呼 | セーフ |
代理人 | 鳥巣 実 |