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審決分類 審判 全部無効 商3条柱書 業務尾記載 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W35
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W35
管理番号 1361554 
審判番号 無効2019-890030 
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2019-05-07 
確定日 2020-03-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5997310号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5997310号の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5997310号商標(以下「本件商標」という。)は、「解体サポート」の文字を標準文字で表してなり、平成29年2月14日に登録出願、第35類「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,解体業を行う人材の紹介及びあっせん,職業のあっせん,コンピュータデータベースへの情報編集,広告用具の貸与,求人情報の提供,電子出版物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年10月17日に登録査定、同年11月17日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由として引用する商標(以下「引用商標」という。)は、「解体サポート」の文字からなり、「請求人と提携した解体業者の紹介及びあっせん」(以下「請求人役務」という。)に使用しているとするものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
請求人は、平成16年6月以来、解体に関するコンサルティング業務として、引用商標のもとで、請求人役務や、「解体サポート公式サイト」(以下「請求人サイト」という。)の運営を行ってきた有限会社であり、引用商標は、請求人役務を表示する商標である。
また、請求人の活動は、テレビや新聞等のメディアに多数取り上げられてきており、引用商標が請求人役務を表示する商標であることは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、既に需要者の間に広く認識されていた。そして、同業種においても国内最大手としても認識されている。
それにも関わらず、請求人と同業者である被請求人は、平成29年2月14日に、請求人が引用商標を商標登録していないことを奇貨として、同一役務において、本件商標の登録出願を行い、同年11月17日に商標登録された。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書及び第4条第1項第10号に該当するため、同法第46条第1項第1号により無効にすべきである。
2 無効原因
(1)商標法第3条第1項柱書該当性
ア 商標を使用している実体がないこと
被請求人の業務に係る役務は、「比べて安心最安値解体無料見積ガイド」というサイト(以下「被請求人サイト」という場合がある。)を通じて、解体工事を検討する注文者から問い合わせを受け、その問い合わせの要望に合う認定解体業者に現地調査の実施及び見積もりの作成を依頼するとともに、解体工事完了まで当該客をサポートする事業を行うことである(甲1、甲2の1、甲2の2)。
そして、被請求人サイトを見る限り、「比べて安心最安値解体無料見積ガイド」というタイトルで被請求人サイトは運営されており、どこにも本件商標を商標として使用していないことは明らかである。
イ 引用商標は既に周知性があるため、被請求人が本件商標を実際に使用する意思があるとは認められないこと
被請求人は、平成27年6月16日に設立されたものであり、請求人よりも約11年も遅れて設立された会社である。
そして、後述するように、本件商標の登録出願がなされた時点においては、引用商標は、広く請求人が商号として用いている商標であることが需要者の間に周知されているものであった。
そして、このことは、被請求人においても十分認識されていたことである。その証拠に、被請求人の代表者は、被請求人の前身ともいえる株式会社スカイブリッジという会社(甲3)において、平成22年頃に被請求人サイトとほぼ同じ内容のサイトにおいて同一の役務の提供を開始したようであるが、その際に請求人サイトを真似て被請求人サイトを作成した経緯があったことからも明らかである(甲4)。
このような状況にかんがみれば、引用商標は、請求人役務を表示する商標であることが明白であるため、被請求人が本件商標を使用することは現実的にはあり得ないものといわざるを得ない。
以上より、被請求人は、本件商標を実際に使用する意思がないことは明らかである。
ウ 被請求人が本件商標の登録出願を行った動機からして、使用意思が認められないこと
被請求人は、平成29年2月14日に、請求人役務と同一の役務において本件商標の登録出願を行い、同年11月17日に商標登録を受けている。しかし、本件商標は、以下に述べる出願の動機からしても使用意思が認められない。
まず、後述するように、被請求人は、平成31年4月4日に請求人の会社を訪れ、請求人サイトに被請求人の代表理事と請求人の代表取締役との対談を載せることを要求してきた。そして、請求人がその要求を拒否すると、被請求人は、おもむろに被請求人において、本件商標を商標登録していることを示唆した。
つまり、このような事情からすれば、被請求人が、周知性や反響力が大きい請求人サイトに着目し、被請求人との対談企画を請求人サイトに載せることにより、請求人サイトにアクセスするユーザーを被請求人サイトに流入させることを目的としていたと考える他ない。
そして、被請求人は、請求人が被請求人の提案を断れなくするために事前に本件商標の登録出願を行ったものであると考えることは極めて合理的な認定である。
このように本件商標を商標登録した動機が以上のようなものであれば、本件商標を自ら使用する意思がないことは明らかである。あくまでも、本件商標を取得したのは、使用するためではなく、請求人に対して義務なきことを強制させるための手段として取得したものに他ならないからである。
以上からすれば、被請求人は、本件商標を実際に使用する意思がないことは明らかである。
エ 結論
以上のように、被請求人において、本件商標を現実に使用していないこと、引用商標が既に請求人役務を表示する商標として需要者に広く周知されていること及び被請求人が本件商標の登録出願を行った動機からすれば、被請求人において、本件商標を現に使用する意思がないことは明らかであるといわざるを得ない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性
ア 本件商標と引用商標の同一性又は類似性
本件商標は、「解体サポート」の文字よりなり、これより「カイタイサポート」の称呼及び「解体行為の補助、すなわち解体業を行う人材の紹介及びあっせん」の観念を生ずる(甲5)。
また、引用商標も、「解体サポート」の文字からなるものであるから、これも「カイタイサポート」の称呼及び「解体行為の補助、すなわち解体業を行う人材の紹介及びあっせん」の観念を生ずる。
したがって、本件商標と引用商標とは、「カイタイサポート」という称呼「解体行為の補助、すなわち解体業を行う人材の紹介及びあっせん」の観念を共通にする同一又は類似の商標である。
イ 両役務の同一性又は類似性
(ア)請求人の引用商標を用いた役務の内容
請求人は、平成13年7月9日に、設立された有限会社であり(甲6)、同16年6月頃から、引用商標を用いた役務を開始した。
引用商標を用いた役務とは、請求人が作成・管理する請求人サイト(甲7)をとおして、解体業者を必要とする全国の注文者からの問い合わせを受け、注文者に対して、その問い合わせ内容に応じた提携先の解体業者を選定・紹介した上で、選定・紹介された解体業者が現地調査をして見積もりを提出するというものである。
その後、当該見積もりの内容に納得した当該客が、解体業者との間で建物解体を内容とする請負契約を締結すると、当該解体業者による解体工事が開始される。そして、当該解体工事が完了すると、当該客は解体業者に対して工事費用を支払う。
さらに、請求人は、当該解体業者によって解体工事がなされている最中においても、解体工事が終了した後においても、当該解体業者との間で解体工事の進捗状況を逐一チェックしながら解体工事が適切に進行するようサポートするとともに、当該客からの相談を受けて、適宜、必要なサポートを行う役務を行っている(甲8、甲9)。
(イ)被請求人の役務の内容
本件商標の指定役務に「解体業を行う人材の紹介及びあっせん」が含まれている。
そして、被請求人は、平成27年6月16日に設立された一般社団法人であり(甲10)、その活動内容は、解体業者の認定、解体工事に関する相談受付、認定業者の紹介、解体工事に関する情報発信である(甲11)。
そして、このうちの認定業者の紹介とは、被請求人が、被請求人サイトを通じて、解体工事を検討する注文者から問い合わせを受け、その問い合わせの要望に合う認定解体業者に現地調査の実施及び見積もりの作成を依頼するとともに、解体工事完了まで当該客をサポートする事業をいう(甲1、甲2の1)。
つまり、被請求人の認定業者の紹介という役務と上記請求人の役務は、1)サイトを介して解体工事にかかる集客をする点、2)サイトを介して問い合わせてきた注文者の相談を受けてその相談内容に適した解体業者を紹介する点、3)当該解体業者と予め業務提携をしている点、4)当該解体業者に現地調査の実施及び見積もりの作成を依頼する点、5)当該解体業者による解体工事の最中および終了後の一連を通して当該客のサポートをする点等の多数の共通項が存在するのである。
よって、両役務は、同一又は類似のものといわざるを得ない。
(ウ)小括
以上より、本件商標の指定役務中、「解体業を行う人材の紹介及びあっせん」と、引用商標に係る請求人役務は、同一又は類似しているといえる。
ウ 引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時に「需要者の間に広く認識されている」商標であること
(ア)商標として使用された期間
請求人は、平成16年から現在までの間、引用商標に係る請求人役務を、解体工事を必要とする全国の客や、解体業者といった需要者に向けて行ってきた(甲12)。
(イ)全国を対象とする請求人サイトでの集客とパンフレットの交付
平成16年から現在までの間の集客方法は、主として請求人サイトであり、請求人は、請求人サイトの中では都道府県別に実例を紹介するなどして、全国の都道府県を対象に、引用商標に係る請求人役務を展開してきた(甲7)。
また、問い合わせのあった全国の客のうち希望した者に対しては、引用商標に係る請求人役務を説明したパンフレット(甲13の1、甲13の2)を送付した(なお、平成26年7月4日から同29年2月14日までの送付総数は3,432部、同26年7月4日から同29年11月17日までの送付総数は2,884部である。)。
(ウ)勉強会・情報交換会の実績
請求人は、引用商標に係る請求人役務として、全国の解体業者を対象として、勉強会・情報交換会を開催してきた。
なお、第1回目から第10回目(本件商標の登録出願時の直近に開催)までの総参加者数は、263人であり、これらの参加者には、宮城県、福島県、栃木県、群馬県、茨城県、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、静岡県、長野県、愛知県、岐阜県、奈良県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、愛媛県、福岡県の解体業者等も含まれている(甲14)。
このことから、本件商標の登録出願時には、1都2府17県の解体業者が引用商標の勉強会・情報交換会に参加したことがあるのであり、その参加者人数ないし参加業者従業員の分だけ、引用商標が請求人役務を表示するものとして、広く認識されていたといえる。
(エ)全国レベルのメディアへの露出
平成16年から本件商標の登録出願時及び登録査定時までの間、引用商標に係る請求人役務は、多数のメディアに取り上げられてきた。そのメディアには、具体的には、解体業者向けの新聞のみならず、全国レベルのテレビ番組、新聞、雑誌が挙げられる(甲15の1?甲15の10)。NHKの人気番組「あさイチ」や、読売新聞、朝日新聞に掲載されたこともある。
このことから、引用商標は請求人役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、視聴者・購読者の分だけ、需要者に全国レベルで広く認識されていたことは明らかである。
(オ)アンケート結果
請求人は、平成16年から、引用商標に係る請求人役務を受けた客に、アンケートを書いてもらうようにしてきたところ、当該アンケート記入者の解体現場が全国各地であることがわかる(甲16の1?甲16の5)。具体的には、東京都だけでなく、宮城県、埼玉県、大阪府、広島県、山口県等の客からアンケートを記入してもらっている。
このことから、本件商標の登録出願時ないし登録査定時に、引用商標が請求人役務を表示するものとして、全国的に流通し、需要者に相当程度認識されていることがわかる。
(カ)小括
以上の(ア)から(オ)までを総合的に考慮すれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が請求人の使用する商標であり、請求人役務を表すものとして、解体業者、取引者、需要者間において、広く認識されていたものと認めることができる。
(3)終結
以上より、本件商標は、商標法第3条第1項柱書及び同法第4条第1項第10号に違反して商標登録されたものであるから、無効にすべきである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の主張に対して何ら答弁していない。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項柱書の要件について
商標法第3条第1項柱書は、商標登録の要件として、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」であることを規定するところ、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは、少なくとも登録査定時において、現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標、あるいは将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される。
これを本件についてみるに、請求人の主張によれば、(1)請求人の使用商標は、平成16年頃から「請求人の提携した解体業者の紹介及びあっせん」について使用されていること、(2)請求人の使用商標の使用地域は、全国の都道府県に及ぶこと、(3)本件商標は、請求人の使用商標とほぼ同一の構成からなるものであること、(4)被請求人は、請求人の使用商標を認識した上で、これとほぼ同一の本件商標を登録出願したと考え得ること、(5)被請求人は、平成29年2月14日に本件商標の登録出願をし、同年11月17日にその登録を受けたが、現に本件指定役務に係る事業を行っているにもかかわらず、現在に至るまで本件商標を指定役務である「解体業を行う人材の紹介及びあっせん」に使用したことがないことが認められる。
また、被請求人は、商標法第3条第1項柱書に係る請求人の主張に対し、本件商標の登録査定時において、本件商標を指定役務について使用していること、又は、使用する意思があることを立証すべきところ、何ら答弁していない。
上記事情を総合すると、被請求人は、請求人の使用する商標とほぼ同一の商標について、登録出願したにすぎないというべきであって、本件商標は、登録査定時において、被請求人が現に自己の業務に係る役務に使用をしている商標に当たらない上、被請求人に将来自己の業務に係る役務に使用する意思があったとも認め難い。
したがって、本件商標は、その登録査定時において、被請求人が現に自己の業務に係る役務に使用をしている商標にも、将来自己の業務に係る役務に使用する意思のある商標にも当たらず、本件商標登録は、「自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標」に関して行われたものと認められないから、商標法第3条第1項柱書に違反するというべきである。
2 引用商標の周知性について
請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)事実
ア 請求人は、平成13年7月に設立され、平成16年6月頃から引用商標を用いて、請求人と提携した解体業者の紹介及びあっせんや、「解体サポート公式サイト」と称するウェブサイト(請求人サイト)の運営を行ってきた(甲6?甲9、甲12)。
イ 平成16年から現在まで、請求人は、請求人サイトの中で都道府県別に実例を紹介するなどして、全国の都道府県を対象に、引用商標に係る請求人役務を提供してきた(甲7?甲9)。
ウ 請求人は、問い合わせのあった全国の客のうち希望した者に対しては、引用商標に係る請求人役務を説明したパンフレットを送付した (甲13の1、甲13の2)。
なお、請求人は、上記パンフレットの平成26年7月4日から同29年2月14日までの送付総数は3,432部、平成26年7月4日から同29年11月17日までの送付総数は2,884部である旨主張するが、このことを裏付ける具体的な証拠の提出はない。
エ 請求人は、全国の解体業者を対象に引用商標に係る請求人役務の勉強会・情報交換会を開催してきた(甲14)。
なお、第1回目から第10回目までの総参加者数は、263人であり、これらの参加者には、宮城県、福島県、栃木県、群馬県、茨城県、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、静岡県、長野県、愛知県、岐阜県、奈良県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、愛媛県、福岡県の解体業者等も含まれている。
オ 平成16年から本件商標の登録出願時及び登録査定時までの間、引用商標に係る請求人役務は、解体業者向けの新聞のみならず、全国放送レベルのテレビ番組、新聞、雑誌等のメディアに取り上げられた。(甲15)。
カ 請求人は、平成16年から、引用商標に係る請求人役務を受けた客に、アンケートを書いてもらうようにしてきたところ、当該アンケートの記入者の解体現場として、仙台市、ふじみ野市、大阪市、広島市、山口市の記載がある(甲16)。
(2)判断
上記(1)イのとおり、請求人が平成16年から現在までの間の集客方法は、主として請求人サイトによるものであるところ、ウェブサイトにおける情報は、関心のある者が自ら積極的にアクセスしない限り入手できない情報であるから、一般的な需要者が情報を得る媒体とは必ずしもいえない上、請求人サイトの閲覧者が相当数あったと認めるに足りる証拠はない。
また、上記(1)ウのとおり、請求人が送付した引用商標に係る請求人役務を説明したパンフレットの送付総数が請求人の主張のとおりであるとしても、同業他社による同様の数値も明らかではないから、その多寡について評価することはできない。
そして、上記(1)エのとおり、請求人が、全国の解体業者を対象として、引用商標に係る請求人役務の勉強会・情報交換会を開催しているとしても、第1回から第10回までの総参加者数は、263人にすぎず、さらに、上記(1)オのとおり、平成16年から本件商標の登録出願時及び登録査定時までの間に請求人の引用商標が新聞・雑誌及びテレビ放送に取り上げられた回数も10回程度であって、引用商標の周知性を認めるに足りる数値とはいい難い。
さらに、上記(1)カの請求人が平成16年から、引用商標に係る請求人役務を受けた顧客に依頼したアンケートにしても、その回答者の住所、回答日等は確認できないこと、それぞれアンケートの2枚目の解体現場、日付のメモ書きが正しいものであるとしても、アンケートの数はそれ程多いとはいえないものであり、引用商標の周知性を認めるには足りないといわざるを得ない。
その他に引用商標の周知性を客観的に判断するための資料の基礎となる、例えば、広告宣伝した期間、回数、費用及び内容等を示す証拠の提出はない。
そうすると、請求人提出の甲各号証によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人役務を表示する商標として、我が国の需要者の間で広く認識されていたとは認めることはできない。
3 本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、「解体サポート」の文字よりなるところ、「カイタイサポート」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
他方、引用商標は、「解体サポート」の文字よりなるところ、「カイタイサポート」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、両者の構成文字は、「解体サポート」で共通であって、かつ、「カイタイサポート」の称呼を共通にするものであるから、両者は、類似する商標である。
4 商標法第4条第1項第10号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」と規定されている。
そして、前記2のとおり、引用商標は、請求人役務「請求人と提携した解体業者の紹介及びあっせん」等を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものである。
したがって、本件商標が、引用商標と類似する商標であるとしても、引用商標は、需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しないものの、同法第3条第1項柱書の要件を具備していないものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2019-12-19 
結審通知日 2019-12-23 
審決日 2020-01-30 
出願番号 商願2017-17058(T2017-17058) 
審決分類 T 1 11・ 25- Z (W35)
T 1 11・ 18- Z (W35)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐藤 松江 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 小俣 克巳
山田 正樹
登録日 2017-11-17 
登録番号 商標登録第5997310号(T5997310) 
商標の称呼 カイタイサポート、カイタイ、サポート 
代理人 森 大輔 
代理人 岡井 裕夢 
代理人 横山 智実 

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