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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1360708 
異議申立番号 異議2019-900155 
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-04-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-05-18 
確定日 2020-03-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第6124934号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6124934号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6124934号商標(以下「本件商標」という。)は、「ALOBON」の欧文字を横書きした構成からなり、平成30年5月2日に登録出願、第3類「化粧品,つけづめ,つけまつ毛,せっけん類,シャンプー,口臭用消臭剤,歯磨き,香料,薫料」を指定商品として、同31年1月28日に登録査定、同年2月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の3件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第2133542号商標(以下「引用商標1」という。)
登録商標:別掲1に示すとおり
登録出願日:昭和61年10月28日
設定登録日:平成元年4月28日
指定商品:第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」
書換登録日:平成22年6月23日
2 登録第2716061号商標(以下「引用商標2」という。)
登録商標:「ALBON」及び「アルボン」の二段書き
登録出願日:平成3年9月4日
設定登録日:平成8年9月30日
指定商品:第3類「歯磨き,化粧品,香料類」
書換登録日:平成20年3月26日
3 登録第3254392号商標(以下「引用商標3」という。)
登録商標:「ALBION」及び「アルビオン」の二段書き
登録出願日:平成6年8月23日
設定登録日:平成9年1月31日
指定商品:第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛 ,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用 ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜 きベンジン,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人 造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」
以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してなされたものであるから、同法第43条の2第1号に基づき、取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標1について
本件商標「ALOBON」の語頭の「A」の文字以外の構成文字である「L」「O」「B」「O」「N」の文字部分の書体は、引用商標1「ALBION」の語頭の「A」の文字以外の構成文字である「L」「B」「O」「N」の文字部分の書体と外観上ほとんど同一といえる。
よって、時と処を異にして離隔的に観察するときは、本件商標「ALOBON」と引用商標1「ALBION」は、外観上極めて相紛らわしい印象となり、互いを見誤るおそれが十分にある。
また、両者の指定商品も互いに抵触する。
イ 本件商標と引用商標2について
本件商標の称呼「アロボン」と引用商標2の称呼「アルボン」は、称呼上類似すると共に、本件商標「ALOBON」と引用商標2の欧文字部分「ALBON」とは、外観上も類似する商標である。
また、両者の指定商品も互いに抵触する。
ウ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標1「ALBION」及び引用商標3「ALBION/アルビオン」は、申立人の商標として周知著名であり、広く一般に知られていることから(甲2、甲4?甲6)、これらと類似する本件商標「ALOBON」とは商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「ALOBON」の欧文字を横書きした構成からなるところ、該文字は、直ちに何らかの意味合いを理解させるものではなく、また、我が国の一般的な英語の辞書にはその記載がないことから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「アロボン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標1について
引用商標1は、別掲1に示すとおり、「ALBION」(語頭の文字部分はデザイン化されているものの「A」の文字を表したものと認識できるものである。以下同じ。)の欧文字を横書きした構成からなるところ、「ALBION」の文字は、「グレートブリテン島またはイングランドの雅称」等を意味する語(「ジーニアス英和辞典 第5版」株式会社大修館書店発行)ではあるものの、我が国において親しまれた語とまではいえないことから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。
したがって、引用商標1は、「アルビオン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)引用商標2について
引用商標2は、前記第2のとおり、「ALBON」の欧文字及び「アルボン」の片仮名を二段に横書きした構成からなるところ、その構成中下段の片仮名部分は、上段の欧文字部分の読みを表したものと認められることから、その構成文字に相応して、これより「アルボン」の称呼を生じるものである。
そして、「ALBON」の欧文字は、直ちに何らかの意味合いを理解させるものではなく、また、我が国の一般的な英語の辞書にはその記載がないことから、特定の意味合いを想起させることのない造語として認識されるものである。
したがって、引用商標2は、「アルボン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(4)本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否について
ア 本件商標と引用商標1との類否について
両商標は、語頭の「A」のデザイン化の差異及び3文字目以降の構成文字の並びに明確な差異を有し、この差異が両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きいことから、外観上、相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「アロボン」と引用商標1から生じる「アルビオン」の称呼を比較すると、両者は語頭の「ア」の音及び語尾の「ン」の音を共通にするものの、中間の「ロボ」と「ルビオ」の音の差異により、両称呼全体の語調、語感が異なり、両者をそれぞれ一連に称呼しても、称呼上、聞き誤るおそれはない。
さらに、両商標は、ともに特定の観念は生じないものである。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することができないとしても、外観において相紛れるおそれはなく、称呼においても聞き誤るおそれがないことなどを総合して勘案すれば、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
イ 本件商標と引用商標2との類否について
両商標は、外観において、欧文字「O」及び片仮名「アルボン」の有無並びに構成文字数の相違という明確な差異を有し、この差異が両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きいことから、外観上、相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「アロボン」と引用商標2から生じる「アルボン」の称呼を比較すると、両者は、第2音において、「ロ」の音と「ル」の音に差異を有するところ、該「ロ」と「ル」の音は、子音「r」を共通にするとはいえ、母音「o」と「u」を異にし、しかも、共に明瞭に発音、聴取される音であるから、両称呼が、4音という共に比較的短い音構成からなることをも踏まえれば、かかる差異音が両称呼の全体に与える影響は決して小さいものということはできず、それぞれを一連に称呼しても、互いに紛れることなく、称呼上十分に区別できるものというのが相当である。
さらに、両商標は、ともに特定の観念を生じないものである。
そうすると、本件商標と引用商標2とは、観念において比較することができないとしても、外観において相紛れるおそれはなく、称呼においても聞き誤るおそれがないことなどを総合して勘案すれば、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
(5)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは非類似の商標であって、その他に、本件商標と引用商標1及び引用商標2とが類似するというべき事情は見いだせないものであるから、それぞれの商標の指定商品の類否を判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標1及び引用商標3の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。
ア 甲第5号証は、申立人の会社概要等の資料、甲第6号証は、申立人の広報グループ発行の「経営ジャーナル2016 SPRING No.173」の抜粋であるところ、2018年3月末日現在とする「会社概要」において、申立人は、昭和31年3月設立、化粧品の製造販売を開始し、現在、本社を東京銀座に構えるとともに、支店を国内に複数有し、百貨店及びデパート等並びに申立人が運営する店舗等において化粧品を販売し、2018年3月期の売上は682億円で、従業員数は3,320名との記載があり、2016年には創立60周年を迎えたとされている。
なお、甲第5号証10ページにおいて、「アルビオンを代表するロングセラー化粧水、『薬用スキンコンディショナー エッセンシャル』の記載とともに引用商標1が付された商品の写真が掲載されている。
また、甲第6号証の4ページには、創業時の商品と称する写真が掲載されているところ、それらの商品には「ALBION」の文字が表されており、最終ページには、「ホワイトニング イマキュレート エッセンス IDD <薬用美白美容液>」の記載とともに引用商標1の表示がある。
その他、甲第5号証及び甲第6号証には、引用商標1、「ALBION」及び「アルビオン」の表記が散見される。
イ 申立人は、「ALBION」及び「アルビオン」からなる商標は、申立人が創業以来継続的に化粧品等の商標として使用し、かつ、株式会社アルビオンを表示する総称、略称として使用してきた結果、本件商標の出願日である平成30年5月2日においては、当該商標は、申立人が販売する化粧品等の商標としてのみならず、需要者、取引者さらには一般世人の間においても、直ちに申立人を想起するほどまでに周知著名になっていると主張している。
ウ 特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」において日本国の周知・著名な商標に、引用商標3が掲載されている(甲7)。
エ 上記アないしウからすれば、申立人は、我が国において、昭和31年から化粧品の販売を開始し、その後、60年以上に亘り、化粧品の製造、販売を行い、2018年3月期の売上は682億円で、従業員は3,320名程度雇用しており、「ALBION」及び「アルビオン」からなる商標を昭和31年から化粧品について使用し、現在では引用商標1についても化粧品について使用していることがうかがえる。
しかしながら、申立人から提出された証拠からは、引用商標1及び引用商標3を付した商品の売上高、数量等の販売実績並びに市場シェア等は明らかではなく、また、当該商標を使用して取引をした商品の宣伝広告の回数、費用、範囲、期間等の広告実績については提出された証拠からはうかがい知ることができない。
以上を踏まえれば、申立人から提出された証拠をもってしては、引用商標1及び引用商標3が、申立人の業務に係る商品「化粧品」を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないといわざるを得ない。
(2)本件商標と引用商標1及び引用商標3との類似性の程度について
上記1(4)アのとおり、本件商標は、引用商標1と非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
また、引用商標3は、「ALBION」の欧文字及び「アルビオン」の片仮名を二段に横書きしてなるところ、その構成中下段の片仮名部分は、上段の欧文字部分の読みを表したものと認められるから、その構成文字に相応して「アルビオン」の称呼を生じるものであり、「ALBION」の欧文字は、引用商標1と同様に、特定の意味合いを想起させることのない造語として認識され、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標3との類否を検討すると、両商標は、3文字目以降の構成文字の並び及び片仮名の有無に明確な差異を有し、この差異が両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きいことから、外観上、相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「アロボン」と引用商標3から生じる「アルビオン」の称呼を比較すると、両者は語頭の「ア」の音及び語尾の「ン」の音を共通にするものの、中間の「ロボ」と「ルビオ」の音の差異により、両称呼全体の語調、語感が異なり、両者をそれぞれ一連に称呼しても、称呼上、聞き誤るおそれはない。
さらに、両商標は、ともに特定の観念は生じないものである。
そうすると、本件商標と引用商標3とは、観念において比較することができないとしても、その外観において相紛れるおそれはなく、称呼においても聞き誤るおそれがないことなどを総合して勘案すれば、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
したがって、本件商標と引用商標1及び引用商標3とは、類似性の程度は低い。
(3)出所の混同を生ずるおそれについて
引用商標1及び引用商標3は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとは認められないものであり、また、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標1及び引用商標3との類似性の程度は、低いものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標1及び引用商標3を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
(4)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。


別掲 別掲
引用商標1(登録第2133542号)




異議決定日 2020-02-25 
出願番号 商願2018-58165(T2018-58165) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W03)
T 1 651・ 262- Y (W03)
T 1 651・ 263- Y (W03)
T 1 651・ 271- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小林 郁内藤 順子 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 岩崎 安子
中束 としえ
登録日 2019-02-22 
登録番号 商標登録第6124934号(T6124934) 
権利者 黄 翔
商標の称呼 アロボン 
代理人 林 栄二 
代理人 篠田 貴子 
代理人 小野寺 隆 
代理人 柿本 邦夫 

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