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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W33
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W33
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W33
管理番号 1360697 
異議申立番号 異議2019-900017 
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-04-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-01-16 
確定日 2020-02-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第6093983号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6093983号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第6093983号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの態様からなり、平成30年2月9日に登録出願、第33類「山田錦を原料米とした純米吟醸酒」を指定商品として、同年9月18日に登録査定、同年11月2日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、引用した登録第5109209号商標(以下「引用商標」という。)は、「黄金酒」の文字を標準文字で表してなり、平成18年4月14日登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同20年2月1日に設定登録され、現に有効に存続している。

第3 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、その構成中、自他商品識別力を有する「黄金酒」と「あいさい」の文字がそれぞれ独立して出所識別標識として機能するところ、中央に黄色の文字で大きく表され強く支配的な印象を与える「黄金酒」の文字部分より、「オウゴンシュ」または「コガネシュ」の称呼と、「黄金の酒」の観念を生じる。
これに対し、引用商標は、その構成文字に相応して、「オウゴンシュ」又は「コガネシュ」の称呼と、「黄金の酒」の観念を生じることは明らかである。
してみれば、両商標は、称呼及び観念を共通にし、かつ「黄金酒」の構成文字も共通にする類似の商標であり、その指定商品も互いに抵触する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 取消理由通知
審判長は、商標権者に対して、「本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。」旨の取消理由を令和元年8月21日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第5 商標権者の意見
商標権者は、上記第4の取消理由に対し、令和元年9月30日付けの意見書において要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
1 本件商標の要部認定について
本件商標中「あいさい」の文字部分は、文字スペースの都合上、「黄金酒」の文字部分よりも、文字サイズが若干小さくなっているが、要部を決定付ける程の文字サイズの差はないと考えるのが妥当である。
さらに、中央部に大きく書された「あいさい黄金酒」から「あいさい」の部分をさらに分離して観察することは不自然といわざるを得ない。
本件商標に接する需要者は、円弧状の稲穂の図形と、リボン上の図形と相俟って、中央部の「あいさい黄金酒」全体が看者の注意を惹きやすい部分とするのが自然である。
仮に、「あいさい」か「黄金酒」のいずれかを要部とするのであれば、「あいさい」部分を要部と判断するのが相当である。
その理由は、(1)「黄金酒」の文字は黄色で稲穂の色彩と共通し、色彩的に埋没しやすいのに対し、「あいさい」の部分は、黒地の地模様の白抜きで目立ちやすいこと、(2)「黄金酒」の自他識別力が希薄であること、である。
特に、(2)については、(ア)引用商標の審査過程で、自他識別力が希薄である旨の拒絶理由通知がなされていること、(イ)「黄金酒」の文字は、「金箔入り」の商品を中心に広く一般的に採択されていること、からである。
したがって、本件商標は、指定商品との関係において、「黄金酒」の文字は自他識別力が希薄であり、要部となり得るのは「あいさい」の部分である。
2 本件商標と引用商標との類否判断について。
本件商標は、「あいさい黄金酒」又は「あいさい」の部分が自他商品を識別する機能を有する部分であるから、引用商標「黄金酒」とは、相紛れるおそれがない非類似の商標である。
3 まとめ
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1号第11号に違反して登録されたものではない。

第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標との類否
ア 本件商標について
本件商標は別掲のとおり、黒地の絣模様の地模様を背景に、中央に他の文字よりも比較的大きく白抜きで「あいさい」の文字及び「あいさい」の文字よりさらに大きく黄色を施した「黄金酒」の文字をそれぞれ縦書きに表し、また、「あいさい」の文字の右上に白抜きで「純米吟醸酒」の文字を配し、さらに、「あいさい」及び「黄金酒」の各文字の下に赤いリボン状の図形内に白抜きで「JA東とくしま産 山田錦使用」の文字を表し、そして、「あいさい」及び「黄金酒」の各文字を囲むように、穂が垂れた稲穂と思しき図形を配し、その穂先は「純米吟醸酒」の文字に僅かに架かるように表されている。
本件商標の係る構成において、「純米吟醸酒」及び「JA東とくしま産 山田錦使用」の各文字は、指定商品の名称や原材料等を表示したものであり、また、稲穂と思しき図形は、指定商品の原材料を暗示させるものでしかなく、リボン状の図形についても独創性のある特別な印象を与えるものともいい難いことから、これらの文字及び図形部分は、商品の出所識別標識として非常に弱い部分であるといえる。なお、この点について、商標権者は否定はしない旨述べている。
そして、本件商標中の中央部に他の文字よりも比較的大きく表示された「あいさい」及び「黄金酒」の各文字は、看者の注意を惹きやすい部分であるものの、それぞれの文字の太さ、大きさ及び色が異なることから、視覚上分離され、また、各文字より生じる「アイサイコガネシュ」又は「アイサイオウゴンシュ」は8音又は9音と、それぞれの称呼がやや冗長であるうえに、これらが一体として特定の観念を生じるものでもないことからすれば、両者は、それぞれが独立して看取、把握されるとみるのが自然である。
さらに、「あいさい」及び「黄金酒」の各文字部分は、指定商品との関係において、商品の品質等を表示しているものではなく、自他商品を識別する機能を果たすものであることに加えて、「黄金酒」の文字部分が、「あいさい」の文字よりも大きく、かつ、黒地に目立ちやすい黄色の色彩で表示されていることからすれば、これに接する取引者、需要者が「黄金酒」の文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないといわなければならず、また、本件商標中の「あいさい」の文字をはじめとする各文字及び図形の構成部分から「黄金酒」の文字部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められない。
そうすると、本件商標から、「黄金酒」の文字を要部とし、これを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは許されるというべきである。
したがって、本件商標は、その構成中の「黄金酒」の文字に相応して「コガネシュ」又は「オウゴンシュ」の称呼を生じ、また、「黄金」の文字は、「こがね。きん。こがねいろ。おうごん。こがねいろの略。」(広辞苑第六版)等の意味を有することから、「黄金色の酒」程の観念を生じるというべきである。
イ 引用商標について
引用商標は、前記第2のとおり、「黄金酒」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「コガネシュ」又は「オウゴンシュ」の称呼を生じ、また、上記アと同様に「黄金色の酒」程の観念を生じるというべきである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標の要部である「黄金酒」の文字と引用商標の類否について検討すると、両者は構成文字を同じくすることから、外観上類似するものである。 次に,称呼については、両者は、「コガネシュ」又は「オウゴンシュ」の称呼を共通にするものである。
そして、観念については、両者は、「黄金色の酒」の観念を共通にするものである。
そうすると、本件商標の要部である「黄金酒」の文字と引用商標とは、外観上類似し、称呼及び観念を共通にするものであるから、外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、考察すれば、両者は互いに相紛れるおそれがある類似のものというべきである。
したがって、本件商標と引用商標とは、互いに類似する商標と判断するのが相当である。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定商品「山田錦を原料米とした純米吟醸酒」と、引用商標の指定商品中「日本酒」とは、同一又は類似の商品である。
オ 小括
以上よりすれば、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標権者の主張について
商標権者は、本件商標の構成から、他の文字や図形を分離し、「あいさい黄金酒」の文字部分からさらに「あいさい」の文字部分を分離して観察することは不自然であること、また、「黄金酒」の文字部分は、稲穂の図形と同じ色であるから、色彩的に埋没しやすく、自他商品を識別する機能がない又は弱いものであること等から、本件商標中「あいさい黄金酒」又は「あいさい」の部分が自他商品を識別する機能を有する要部である旨主張している。
しかしながら、上記1(1)アのとおり、本件商標の構成中、「黄金酒」の文字部分は、「あいさい」の文字部分と、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても一体性はないうえに、「あいさい」の文字部分に比して目につきやすい大きさ及び色彩でもって表示されていることからすれば、需要者等が「黄金酒」の文字をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきであるから、近接する図形の色彩との共通性を理由に、本件商標から「黄金酒」の文字部分を分離して観察することが不自然であるということはできない。
そして、商標権者が提出した証拠において「黄金酒」の文字が、「金箔入り」の酒に使用されている様子はうかがえるとしても、これが直ちに商品「酒」の品質を具体的に表示しているものとはいえず、その他に「黄金酒」の文字が商品の品質を表示し、自他商品を識別する機能を果たし得ないと認め
るに足る証拠は、見い出せないことから、一時の審査判断に関らず、「黄金酒」の文字は自他商品を識別する機能を果たし得るというべきである。
したがって、商標権者のいずれの主張も採用することはできない。
3 結語
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 本件商標(色彩は、原本参照。)



異議決定日 2019-12-26 
出願番号 商願2018-22370(T2018-22370) 
審決分類 T 1 651・ 262- Z (W33)
T 1 651・ 261- Z (W33)
T 1 651・ 263- Z (W33)
最終処分 取消  
前審関与審査官 駒井 芳子押阪 彩音 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 小田 昌子
岩崎 安子
登録日 2018-11-02 
登録番号 商標登録第6093983号(T6093983) 
権利者 東とくしま農業協同組合
商標の称呼 ジュンマイギンジョーシュアイサイコガネシュ、アイサイコガネシュ、アイサイ、コガネシュ、コガネ、オーゴン、ジェイエイヒガシトクシマサンヤマダニシキシヨー、ジェイエイヒガシトクシマサン、ジェイエイヒガシトクシマ、ジェイエイ、ヤマダニシキシヨー 
代理人 木戸 一彦 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 
代理人 木戸 良彦 

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