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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W10
管理番号 1360696 
異議申立番号 異議2018-900370 
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-04-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-12-07 
確定日 2020-02-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第6081635号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6081635号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第6081635号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成29年11月18日に登録出願,同30年8月2日に登録査定,第10類「灸治療器具」を指定商品として,同年9月14日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は商標法第3条第1項柱書,同法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当するとして引用する商標は,別掲2のとおりの構成よりなり(甲2,甲23,以下「引用商標」という。),申立人である中華人民共和国(以下「中国」という。)所在の「深セン前海艾艾貼生物科技有限公司」の業務に係る商品「灸製品」等を表示するものとして,中国における需要者の間に広く認識されているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第3条第1項柱書,同法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1項によって取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第32号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第7号について
申立人である深セン前海艾艾貼生物科技有限公司は中国において2015年(平成27年)7月9日に創立され,ヨモギやもぐさの製品(主に灸製品)の製造販売,バイオ技術の開発,技術コンサルティングなどの業務を行う会社である。申立人は,中国国内の20の省市において,約7000の代理店があり,また,中国全土でテレビCMの放映や広告なども広く掲示しており,中国国内,特に深セン市では灸製品メーカーとして有名な会社である(甲23?甲32)。
申立人は本件商標と同様の標章(本件商標を構成する中国語表記の部分及び本件商標を構成するロゴマーク部分を組み合わせた商標等)について,本件商標の登録出願日より前に中国及びその他の国で多数の商標権を取得している(甲3?甲11)。特に,中国において本件商標と同一の商標(色違いのものを含む。以下同じ。)を登録出願している(甲3の1・2)。
他にも,本件商標と同一の商標をマレーシア,オーストラリア,マカオ,欧州連合,シンガポール,台湾,米国でも取得しており(甲12?甲18),マレーシア,オーストラリア,欧州連合,シンガポールでの登録日は,本件商標の登録出願日より前であり,マカオ,台湾,米国においても登録出願日は本件商標の登録出願日より前である。
申立人は,他にも,本件商標と類似する商標について,香港において商標登録を有している(甲19)。
また,申立人は本件商標と同一又は類似の標章を中国国内において著作権登録をしている(甲2,甲20,甲21)。特に,本件商標と完全同一である標章(引用商標)の作品(甲2)の著作権が完成したのは2017年(平成29年)2月24日であり,本件商標の登録出願日より前である。また,中国国内においては,同標章を付した灸製品の包装容器の意匠登録をしており(甲22),やはり本件商標の登録出願日より前に登録されている。
したがって,申立人は,引用商標について重畳的かつ複合的に登録しており,引用商標のブランド保護について,本国である中国及び外国において,その価値を高めていたことが明白である。
そうすると,商標権者は,申立人に化体した信用,名声及び顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する不正な目的で本件商標を採択・出願し登録を受けたものであることは明らかであり,公序良俗違反となる商標である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号について
上記(1)のとおり,申立人が中国国内において使用する商標は長期間・大多数の営業等により著名になったものである。また,中国語で「艾艾貼」や「aiaitie(艾艾貼のピンイン表記)」の文字は一般名称ではなく造語であり,図形部分の構成上も顕著な特徴を有するのは明らかである。また,申立人は日本への進出も予定しており,本件商標の使用は,引用商標を使用した日本における申立人の事業を不当に阻害するおそれがあるから,本件商標は,商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録された商標である。
(3)商標法第3条第1項柱書違反について
上記(1)のとおり,本件商標は,申立人の著作権を侵害することは明白であり,商標権者が使用することのできない登録商標となるので(商標法第29条),本件商標は,商標権者が将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標にも当たらず,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」に該当しないから,商標法3条1項柱書に違反して登録された商標である。

4 当審おける取消理由の要旨
当審において,本件商標権者に対し,「本件商標は,商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を令和元年8月16日付けで通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

5 本件商標権者の意見
商標権者は,上記4の取消理由の通知に対して,指定した期間内に何ら意見を述べていない。

6 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 事実認定
申立人の提出した甲第1号証ないし甲第32号証(枝番号を含む。),同人の主張及び職権調査によれば,以下の事実を認めることができる。
(ア)申立人は,中国において,引用商標と同一の構成からなる商標(色違いのものを含む。以下同じ。)を,商品「灸療法用器具」を含む国際分類第10類に属する商品を指定商品として,2017年8月11日に登録出願した(甲3)。
(イ)申立人は,中国及び香港において,引用商標の構成中,上段の大きな花形の輪郭内に「艾」の文字を書した部分(以下「引用図形部分」という。),中段の「艾艾貼」の文字部分(以下「引用漢字部分」という。「貼」は簡体字。以下同じ。),下段の,「艾艾貼」の振り仮名(ピンイン)と認められる「aiaitie」の文字部分(以下「引用欧文字部分」という。)とそれぞれ同一の構成からなる商標について,国際分類第10類に属する商品を指定商品として,本件商標の登録出願日(平成29年11月18日)より前に登録出願し,商標登録されているところ(甲4?甲11,甲19),そのうち,引用図形部分と同一の構成からなる商標及び引用欧文字部分と同一の構成からなる登録商標については,その指定商品中に商品「灸療法用器具」を含むものである(甲9,甲11,甲19)。
(ウ)申立人は,マレーシア,オーストラリア,マカオ,欧州連合,台湾,シンガポール,米国において,引用商標と同一の構成からなる商標を,国際分類第10類に属する商品を指定商品として,本件商標の登録出願日(平成29年11月18日)より前に登録出願し,商標登録されている(甲12?甲18)。
(エ)申立人は,2015年(平成27年)に創立された商品「灸製品」等を扱う企業であり(甲25,甲30ほか),当審による職権調査(ウェイバックマシン:インターネット上のキャッシュデータ閲覧サービス)によれば,2017年(平成29年)5月30日に,引用商標(甲23)を申立人に係るホームページのトップページ(http://www.qianhaiaiaitie.com/)に使用している。
(オ)申立人と深セン市亜美広告有限会社が,2016年(平成28年)9月5日に締結した「地下鉄広告発表契約書」によれば,同年9月12日から同年10月10日までの4週間にわたり,中国の深セン市内の地下鉄のうち4つの路線の11駅において,申立人に係る「艾艾貼」製品やサービスに関する照明看板等を掲示し,その広告費用は,167000元(約250万円)であった(甲24)。
(カ)申立人は,2017年(平成29年)4月に,中国の深セン市内の地下鉄のうち4つの路線を走る地下鉄において,申立人に係る商品「灸製品」である「艾艾貼」ブランドを宣伝するため,列車内に中国の詩や艾灸養生に関する名言などを満載した「テーマ列車」による広告を行ったところ,中国における同年5月5日付けのインターネット上の新聞記事において,当該「テーマ列車」が「(乗客の)関心を集めた」旨の報道がされ,同記事とともに掲載された列車内の画像においては,列車内に表された引用図形部分及び引用漢字部分が確認できる(甲25)。
(キ)申立人は,2017年(平成29年)7月28日に,申立人の創立2周年を祝うため,中国の7大都市(北京,瀋陽,西安,上海,重慶,成都,済南)において,ビルのネオン広告を行ったところ,そのことについて,中国のウェブサイト「鳳凰網河北」において,同年8月3日付けの記事として,「ビルのもとに艾艾貼ブランドの支持者が集まり祝福した」旨の報道がされ,同記事とともに掲載されたネオン広告の画像においては,ビルの巨大なネオンとして顕著に表された引用図形部分及び引用漢字部分が確認できる(甲30)。
イ 引用商標の周知性について
上記ア(エ)ないし(キ)において認定した事実によれば,申立人は,2015年(平成27年)に創立された商品「灸製品」等を扱う企業であり,2016年(平成28年)には,中国の深セン市内の地下鉄の11駅において,引用漢字部分と同一の文字からなる「艾艾貼」の文字を冠した製品に関する照明看板等の広告を相当の広告費用をかけて行ったこと,2017年(平成29年)4月には,中国の深セン市内の地下鉄のうち4つの路線を走る地下鉄において,引用図形部分及び引用漢字部分を列車内に付した「テーマ列車」による広告を行い乗客の関心を集め,そのことが,中国における同年5月5日付けのインターネット上の新聞記事において報道されたこと,同年7月に,申立人の創立2周年を祝うため,北京,西安,上海,重慶を含む中国の7大都市において,引用図形部分及び引用漢字部分をビルの巨大なネオンとして表示したネオン広告を行い,そのことが,中国のウェブサイトにおいて,同年8月3日付けの記事として報道されたこと,さらに,申立人は,遅くとも同年5月には,引用商標を,申立人に係るホームページのトップページに使用していたことが認められる。
そうすると,引用商標は,少なくとも中国における商品「灸製品」等を取り扱う取引者,需要者の間において,申立人の業務に係る商品を表すものとして,本件商標の登録出願日(平成29年11月18日)には既に相当程度広く認識され,その周知性は,本件商標の登録査定日(同30年8月2日)においても継続していたものということができる。
ウ 本件商標と引用商標との類似性について
(ア)引用商標は,別掲2のとおり,上段に大きな花形の輪郭内に「艾」の文字を書し,中段に「艾艾貼」の文字を書し,下段に「aiaitie」の文字を書し,全体をうぐいす色とした構成よりなるところ,その構成中に図形要素を含むこと,「艾艾貼」の文字及び「艾艾貼」の振り仮名(ピンイン)と認められる「aiaitie」の各文字は,辞書類の載録のない一種の造語として理解されること,「艾艾貼」の文字が,申立人の名称の一部である「艾艾貼」(「貼」は簡体字ではない。)と実質的に一致することからすれば,引用商標は,構成全体として,特徴的なものであるといえる。
そして,上記イのとおり,引用商標は,申立人の業務に係る商品「灸製品」等を表示するものとして,中国における需要者の間に相当程度広く認識されているものである。
(イ)本件商標は,別掲1のとおりの構成よりなることころ,これは,その全体的構成はもとより,図形を描く線の太さ,構成文字の書式,文字と図形の大きさのバランスや間隔等の細部の特徴に至るまで,特徴的な引用商標と全く同一の態様からなるものである。
そして,本件商標の指定商品は,上記1のとおり商品「灸治療器具」であるから,申立人の業務に係る商品「灸製品」等と同一又は類似のものである。
(ウ)したがって,本件商標は,引用商標と同一又は類似の商標であり,かつ,その指定商品も,申立人の業務に係る商品「灸製品」と同一又は類似のものである。
不正の目的について
上記ウのとおり,本件商標はその全体的構成はもとより,図形を描く線の太さ,構成文字の書式,文字と図形の大きさのバランスや間隔等の細部の特徴に至るまで,特徴的な引用商標と全く同一の態様からなるものであるところ,本件商標と引用商標とがかかる細部の特徴に至るまで偶然に一致するとは考え難いこと,本件商標の指定商品は,申立人の業務に係る商品「灸製品」等と同一又は類似のものであること,上記ア(ア)ないし(ウ)において認定した事実によれば,申立人は本件商標の登録出願日前に,中国はもとより,諸外国においても,引用商標と同一の構成からなる商標又は引用図形部分,引用漢字部分若しくは引用欧文字部分とそれぞれ同一の構成からなる商標(以下,これらをまとめて「引用商標等」という。)を商品「灸療法用器具」又は第10類の商品を指定商品として商標登録しており,申立人が引用商標等を商品「灸製品」等に用いて海外進出を図っていたことは明らかであること等を総合すれば,本件商標権者は,本件商標が他人の業務に係る商品を表示するものとして中国における需要者の間に相当程度広く認識されている商標と同一又は類似の商標であることを承知のうえ,引用商標等が我が国において未だ登録されていないことを奇貨として外国権利者の国内参入を阻止し,又は国内代理店契約を強制する目的,又は引用商標等の顧客吸引力を希釈化若しくは便乗し不当な利益を得る等の目的のもとに出願し,権利を取得したものと推認せざるを得ないから,本件商標は,不正の目的をもって使用する商標に該当するといわなければならない。
オ 小括
以上によれば,本件商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,中国における取引者,需要者の間に広く認識されていた引用商標と類似の商標であって,不正の目的をもって使用をする商標というべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
(2)むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当し,その登録は第4条第1項に違反してされたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標 (色彩については,原本を参照。)

別掲2 引用商標 (色彩については,原本を参照。)

異議決定日 2019-11-28 
出願番号 商願2017-152030(T2017-152030) 
審決分類 T 1 651・ 222- Z (W10)
最終処分 取消 
前審関与審査官 赤星 直昭 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 渡邉 あおい
平澤 芳行
登録日 2018-09-14 
登録番号 商標登録第6081635号(T6081635) 
権利者 陳 暁紅
商標の称呼 ガイガイチョー、アイアイティエ、アイアイティー、ガイ 
代理人 新保 斉 
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